ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
「がぁああああああああああああああああっ!?!?!??!」
全身から血を拭きながら、エイエヌは悶え苦しんで地面を転がる。
既にその体からは物質化した神器が何十個も転げ落ちて、そして粒子になって消えていった。
「……兵夜さんの予想通りですね」
「本当に、本当に聖槍が根幹だったんだね」
「別に、自業自得だろ」
その様子をアインハルトは沈痛の表情を浮かべて見て、須澄も複雑な表情を浮かべる。赤龍帝は愉快そうにこそしていなかったが、それでも特に同情の視線は浮かべていなかった。
そして、俺も漸く辿り着いた。
「決着はついたか」
どうやら、これで終わりのようだ。
……様々な奇跡を自由に使うことができるエイエヌの聖槍の禁手。
その言葉を聞いて、俺は少し推測していた。
拒絶反応の抑制も、それによる部分が大きいのではないかと。
ゆえに、それを念頭に置いた作戦を立ててみたが、まさかここまで成功するとはな。
「兵夜さん!」
「宮白兵夜!!」
ヴィヴィ達とアルサムもこちらに近づいてくる。
よく見てみれば、魔獣達や従僕もその多くが動きを止めて崩壊していた。
戦局は完全に決着したな。ここから巻き返すのはエイエヌでも不可能だ。
「ヴィヴィ達も無事だったか」
「はい! 言われた通りフリードって人は取り押さえてきました!」
「ゴライアスが圧し掛かってるから動けません!」
リオやコロナとハイタッチを交わすが、しかしあんまり油断しすぎていてもいけないな。
だが、それでも戦局は有利だ。
既に決着がついているからか、アザゼルやクリスタリディ猊下、高町一等空尉も駆けつけてきた。
「……ヴィヴィオぉ!!」
「ママぁ!!」
ああ、親子の再会だ。感動的だ。
「もう! 心配したんだからね!!」
「ごめんなさい。でも、兵夜さん達のおかげで助かったの」
娘の言葉に高町さんは立ち上がると、俺とアルサム手を取って何度も頭を下げてくる。
「本当にありがとう! ヴィヴィオだけじゃなくてリオちゃん達までお世話になったみたいで―」
「いえいえ。むしろ色々と見せてはいけないものを見せたりなどご迷惑をおかけしたうえで、実に助けていただいておりまして……」
「こちらとしても実に助かった。こういう言い方は悪いが、彼女達には礼を言わねばならない立場だ。顔を上げてほしい」
俺もアルサムも色々巻き込んだ側なのでちょっと恐縮する。
「あ、俺なんかヴィヴィオちゃんとアインハルトちゃんの前でディオドラの奴を吹き飛ばしてたな。ホントごめんなさい!!」
うん。赤龍帝は反省してような? 勘違いしても仕方がないけど、参加者が従僕じゃないのは想定できただろ?
「ぐ……がぁっ! 糞が……ぁ!!」
そして、うめき声に我に返ると、全員の視線が集まった。
全身を崩壊させながら、エイエヌはしかし驚くべきことに立ち上がる。
「まさか、聖槍を奪われるとはなっ! やってく、れる……っ!!」
「同情なんて欠片もしないぞ、エイエヌ。お前がさんざんやってきたことに比べれば、そんな程度の苦しみは軽すぎる」
血を吐いて恨み節を語るエイエヌに、赤龍帝はばっさりと切り捨てる。
ああ、あいつの立場からすれば当然の反応だ。
凄惨な光景に目を伏せたくなることはあっても、半端な同情をするべきじゃない。
だが、エイエヌは歯を剥いて笑うと、そして立ち上がる。
「いいだろう。ならこっちも最後の賭けだ……っ!」
賭けだと!?
………しまった! まずい!!
エイエヌは注射器を取り出すと、俺達が動くより早くそれを差し込んだ。
おそらく、フォンフ辺りから用意したドーピング剤!
「拒絶の抑制は、聖槍だけに頼っているわけじゃない!!」
そういうと同時に、エイエヌは目くらましの攻撃をぶちかますと同時に駆け出した。
「追いかけろ!! 奴は聖杯を使って自分を回復したうえで逃亡するつもりだ!!」
そして、一からグレートレッドを殺すための計画を再開する。
最早やる方法はそれしかない。趨勢が決している以上、今のまま地球に侵攻することなど不可能だ。
……やらせるか!!
俺は砲撃をかいくぐって、何とかアイツを追いかける。
だが、一瞬で地面から大量の魔獣が呼び出されると、そのまま一斉に襲い掛かってきた!!
「あの野郎、覚悟決めすぎだろう!!」
ええい、さっきの砲撃をかいくぐれたのも俺だけか!
俺一人で、あいつをどうにかできるのか―?
「兄さん!」
「宮白兵夜!!」
だが、俺に並ぶ影があった。
それは、須澄と赤龍帝。
「逃がしはしないよ。ここで決着をつけよう!!」
「ああ、やっぱりもう一回殴り飛ばさないと気がすまねえからな!!」
……ああ!
「行くぞ! 今度こそアイツを、倒す!!」
アザゼルSide
俺達の目の前で、大量の魔獣達が立ち上がる。
中には業獣鬼に匹敵するレベルの巨大な魔獣までいて、これは本気でやばいと実感させるほどだ。
「どういうことだよ! エイエヌは瀕死なんじゃなかったのか!?」
「冷静に考えれば納得だがな!」
暁とかいったパーカーの少年に、俺は速攻で答える。
ああ、確かにエイエヌは瀕死だろう。
全身が崩壊する激痛に、常人はとてもじゃないが耐えられない。イッセーでも短時間が限界だ。
だが、あそこにいるのは常人じゃない。
「宮白の平行存在ってなら、それ位耐えても全くおかしくないさ! なにせ気が狂ってるからな!!」
ああいうのに強いんだよ宮白の奴は!!
「でも、これってまずいんじゃないか!?」
木っ端魔獣達は暁の眷獣ってやつで簡単に吹き飛ばされるが、大型となるとそうはいかない。
しかもそんな奴らに限って攻撃が激しいと来たもんだ。
ああ、そして確かにやばい。
「この場でもし助かって逃げられでもしたら、今度はどんなところで何をしでかしてくるかわかったもんじゃねえな」
特に従僕の能力が危険すぎる。
万が一、奴がまたどっかの国の政府要人でも従僕に変えちまったら、一気に危険度が跳ね上がる。
だが、この数はかなりやばいんじゃねえか!?
「大丈夫です!!」
そんな声と共に、魔獣の一つが跳ね上がった。
金髪をなびかせた高町の子供が、冷静に一体ずつ相手にしながら声を上げた。
「兵夜さんも、須澄さんも、赤龍帝さんも行きました! あの人達なら、きっと止めてくれるはずです!!」
……あの野郎、なに子供誑し込んでんだよ。
「おい高町! お前近い将来義理の息子ができるかもな!!」
「ええ!? そ、そんなことないよねヴィヴィオ!? ママだってまだなのに!!」
「え? ち、違う違う! そんなんじゃないよ!?」
「アザゼル総督。この状況下でからかうとは余裕ですな」
うっせえよクリスタリディ。半分ぐらいヤケだってんだ。
だが、しかし―。
「あのフィフスをぶちのめした宮白とその弟、そしておっぱいドラゴンの平行存在が揃ってんだ。確かに期待してもいいかもな!!」
ああ、あいつらならきっといける。
だから―
「死ぬんじゃねえぞ野郎ども!! ここで死んだら、勝利の美酒が飲めなくなるんだからな!!」
俺達もすぐ追いかける。
だから待ってろよ、ガキども!!
……見つけた!!
「逃がすかエイエヌ!!」
「くそ! もう追い付いてきやがったか!!」
やはり、崩壊の影響か速度が落ちてる!!
これなら追いつけるか! いや、意地でも追いつく!!
「エイエヌぅううううううう!!!」
「クソ兄貴!!」
赤龍帝と須澄が同時に莫大なオーラを放つが、エイエヌはそれを防護障壁で受け止める。
そして、同時に地面から大量の魔獣が生み出された。。
ええい、この期に及んで時間稼ぎ!
こいつらの相手をしている暇は―
「ぶった切りなさい、グラム!!」
「行ってね、ザ・クラッシャー!!」
そこに、魔剣と眷獣が勢い良く現れて有象無象を吹き飛ばす。
アップにトマリ! 出かした!!
「行きなさい、三人共!!」
「ここは任せて!!」
ああ、礼を言う!!
ここで、なんとしても決着をつける!!
「エイエヌぅうううううう!!!」
後ろに爆弾を展開して、その爆発に吹き飛ばされる形で最後の距離を詰める!
そして、俺はそのまま義足を開放する。
「くたばれエイエヌ!」
「誰がぁ!!」
それをエイエヌは光の剣で迎撃する。
「まだ戦う気か、エイエヌ!!」
「当然! 楽しく愉快に面白おかしく!! 俺は彼女に静寂を押し売りする!!」
ああ、そうだろうよ。お前はそうだろうよ!!
輝きの為に全てを捧げる。そしてそれを受け入れてしまう対象。
オーフィスはまさにそんな感じの奴だった頃がある。それが、全ての不幸の始まりだった。
俺は、お前のことが嫌いになりきれない。
なぜなら、俺は一歩間違えればお前になっていたって心の底から断言できるからだ。
兵藤一誠と心の底から憎み合う。そんな関係があるだなんて信じたくないけど信じるしかない。
そして、どこまでもこいつは止まらない。
もう、本当に言葉をかけてほしい奴はいないのだから。
だから―
「俺が、お前を終わらせる!!」
「できる物なら―」
瞬間、大量の聖剣魔剣が空中に浮かぶ。
まずいな、あれ全部神殺し!!
「―やってみろ!!」
放たれる無数の神殺し。
ああ、避けることなど普通に不可能―
「僕達を忘れるな!!」
―だが、聖なるオーラがそれを弾き飛ばす。
「須澄ぃいいいいいいい!」
「兄貴ぃいいいいいいい!」
聖槍と光の槍がぶつかり合い、そして莫大なオーラを産む。
そのまま、二人は何度も全力をぶつけ合う。
「もうこれ以上、身内の恥は晒させない!!」
「あいにく無理だ! 例え聖槍があろうとも―」
鍔迫り合いに持ち込んだ瞬間、エイエヌは素早く足を払って須澄君を転ばせる。
そしてそのまま勢い良く光の槍が振り下ろされる。
「単純に技量が足りてない!!」
「だったら数でフォローするよ!!」
その光槍を、赤龍帝が防ぎきる。
透過の力により絶霧の禁手が防がれ、二人は力比べに突入する。
その事実に、エイエヌは心の底から舌打ちした。
「赤龍帝! お前は本当に俺の邪魔をするな!!」
「そっちが先にしてきたんだろうが!!」
空いた拳と拳がぶつかり合い、そしてお互いの指の骨にヒビが入る。
だがエイエヌは諦めない。
大量の岩石が腕となると巨大な武器を手にもって振り下ろされる。
地面が割れ、中から溶岩の火柱がいくつも伸びあがる。
天空から、大量の氷柱が展開される。
それら全てが神クラス。
それらを全て運用しながら、エイエヌは一斉にその攻撃を放つ。
だが、俺達は恐れなかった。
「赤龍帝!」
「ああ!」
「須澄!」
「うん!」
俺達はいっせいに言葉を交わし合うと、そのまま全力で突撃する。
「「「うぉおおおおおおおおおお!!!!」」」
小細工など一切無用。全力で真正面から押通る!!
「なめるな! この火力、いかに神滅具といえど突破できるわけが―」
エイエヌがそう吠えるが、しかしお前は少し勘違いをしているぞ?
「もっかい気張りなさい、グラム!!」
「撃ち落とそうか、ザ・スマッシャー!!」
俺達は―
「吠えろ、ルレアベ!! 未来を、作るのだ!!」
「
決して―
「行くよヴィヴィオ!」
「うん、全力全開で!!」
お前と違って―
「撃ち落とせ、
「
一人なんかじゃ―
「私達も、行きましょう!!」
「はい! アインハルトさん!」
「叩いて砕け、ゴライアス!!」
ないんだから―
「行け、大将!」
「勝ちなさい、兄上!!」
「信じてるわよ、兵夜さん!!」
―負けるわけがないだろうが!!
「行くぜ、須澄!!」
「うん! 聖槍よ、全力でお願い!!」
赤龍帝と須澄が同時に槍を構え、そして一撃を叩き込む。
倍加と透過と譲渡を組み合わされた聖槍が、エイエヌの展開した障壁とぶつかり合った。
その威力、まさに主神どころか龍神クラス。間違いなく世界最強の最上級の領域だ。
そして、それを防ぐエイエヌもまた、規格外の領域だった。
「まだだまだだまだまだまだだ!! 俺は、あいつに、静寂を―!」
「悪いが押し売りは厳禁だ!」
だから、これが最後の一押しだ。
「
エイエヌ。
お前は俺で、俺はお前だ。
だから、これがお前に対するはなむけだ!!
「
俺の渾身の一撃が、聖槍の石月を蹴り飛ばして加速する。
「「「うぉおおおおおおおおおおお!!!」」」
「まだだ! まだだ! まだだ!! 俺はまだ、あいつに何も―」
結界がひび割れながらも、しかしそれでも砕けない。
そうまでしてまで、エイエヌは決して諦められなくて―
「……もういい」
その言葉が、聞こえた。
「………あ」
「我でない我のために、頑張ってくれてありがとう」
その言葉に、エイエヌは一瞬だが確かに気を緩め―
「―その言葉が、聞きたかった」
槍が、エイエヌをぶち抜いた。
総力戦の上で、さらに最後の一押しがあってようやくエイエヌ撃破。フィフスにも負けぬ強敵でした。
そして次はエピローグ。ついに隠されいた衝撃の事実が……!!