ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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さて、結構筆が進んでしまっているので、また投稿します。

元E×Eを完結させなければコラボは書けないけど、筆が進んで進んで。








とりあえず、本編ではあまり描写できなかったスパロを掘り下げて書いているところですね。


番外編、いい男はやろうにもモテるってよくいうよね

 

「イッセー。姫様は今日来ないのかよ」

 

 俺は真剣に姫様に来て欲しかった。

 

 政略結婚。魔術の世界に生きていた俺としても、比較的身近なものである事は知っていた。

 

 なにせ、魔術業界で子だくさんというだけで比較的珍しい。その上子供が全員魔術の心得があるというのも更に珍しい。

 

 ポテンシャルはそこまで高くないが、しかし魔術が好きだから魔術をやっている前世の俺の家は、その在り方ゆえに広く浅く魔術を知り、礼節を弁えれば縁故関係の物にも資料を見せたりする家でもある。いや、聖杯戦争関係は限度があるので秘匿しているが。

 

 まあそんなわけで、俺も結婚に困る事になったら政略結婚でいいとこの魔術師の助手兼の種馬になるかもなーとか、不安半分逆玉の輿気分半分だったりした事もあるわけだ。

 

 そしたら政略結婚を裏の目的としているとしか思えない女性を眷属にする事になってしまった。

 

 ………マジどうしよう。

 

 なので政略結婚絡みで困っていた姫様とマジ会話がしたかったんだが、色々忙しくて家で顔を合わせている暇がなくてなぁ。

 

「宮白、お前ハーレム強化するとか羨ましいよ糞たれ」

 

「真顔で何言ってんだこの馬鹿。今だお前より数少ねえよドアホ」

 

 俺、シルシを含めてもまだ五人なんですけど。

 

 そして、イッセーの場合を計算してみよう。

 

 雪侶、姫様、アーシアちゃん、朱乃さん、小猫ちゃん、ゼノヴィア、イリナ、ロスヴァイセさん、レイヴェルはほぼ確定。

 

 更にヴァーリチームのルフェイが迫りくる寸前。京都では九重(くのお)が良い線行っている。

 

 また黒歌の好感度もどんどん高まっており、以前出会った吸血鬼のエルメンヒルデ・カルンスタインも、フィフス討伐作戦で出会った時にイッセーを気にしていた節がある。

 

 この時点で合計13人だ。神滅具と同じ数だけ誰もが認めるような美少女を惚れさせるとか、信じられん。

 

 シルシは未定なんだから、俺はこいつの三分の一もフラグ立ててない。なんで妬まれるんだ俺は。

 

「おいハーレム王。人の三倍近い人数にフラグ立てといて妬むんじゃねえよ。しかもお前の場合はディスアドバンテージまで乗り越えてだってのに」

 

「ディスアドバンテージってなんだよ!?」

 

「フィフスの味方するわけじゃねえが、覗きやらエロ本堂々と公開するような奴は普通モテねえんだよ」

 

 ばっさり切り捨てれるってのがあれだ。

 

「そ、そんなことはないです! イッセーさんはいつもでも素晴らしい人です!」

 

 アーシアちゃんがそうフォローするけど、現実問題どうかと言われると……。

 

「変態は、かなりのハードルですよね」

 

「ガントリークレーンって言っていいぞ、小猫ちゃん」

 

 ほんと、いい加減にそういうところは治した方がいいと思うんだが。

 

「まあいいじゃないか。イッセーは確かに変態だが、とてもまっすぐな変態だ。いい男だと断言していいぞ」

 

 ゼノヴィアはそう言うが、しかしそうもいかないだろう。

 

「変態ってのは、人によってはそれを補って余りある欠点なんだよ。っていうかゼノヴィア、生徒会はいいのかよ」

 

 生徒会長が、この高頻度でオカ研の部室に来るのはどうなんだ?

 

 俺はジト目を向けるが、ゼノヴィアは堂々と胸を張った。

 

「安心しろ。此処に行く事は言っているから、何かあれば誰か呼びに来る」

 

 コンコン

 

『失礼します。ゼノヴィア会長はそこにおられますか?』

 

 沈黙が、五秒ほど響いた。

 

「何かあったらしいな?」

 

「む……」

 

 噂をすれば影とはよく言ったものだ。ゼノヴィアも少々顔が赤い。

 

 まあ、そのままにするというわけにもいかないだろう。

 

 俺達がOKを出すと、部屋に入ってくる少年がいた。

 

 確か一年の百鬼(なきり)黄龍(おうりゅう)だったな。

 

「やあ百鬼君。ゼノヴィアの引き取りか、それとも五大宗家からイッセーか俺に依頼かい?」

 

「レポートを確認してもらうだけですよ。依頼については機会があればって事で」

 

 俺の軽口を華麗に流すこの少年。実は異形側の人間でもある。

 

 日本を古来より守ってきた、この国の異能関係者の大御所中の大御所。五大宗家。

 

 地を司る黄龍の百鬼。

 

 火を司る朱雀の姫島。

 

 金を司る白虎の真羅。

 

 木を司る青龍の櫛橋。

 

 水を司る玄武の童門。

 

 この五つの家系は大抵上述の属性に由来する力を持っている。そして、当主となる者は代々霊獣の名前を継ぐというわけだ。

 

 つまり、百鬼家の出身でその担当する霊獣である黄龍の名を持つこの少年。凄まじいエリートである。

 

 因みに俺は色々と調べている過程でそれに行き当たり、既に個人的に接触している。

 

 地を司る百鬼の家系、それも黄龍の加護を受けた者は地脈から力を得る事ができるそうだからな。地脈を利用して工房などに利用する魔術師としても、話を聞いて損はなかった。

 

 そんな百鬼は、きょろきょろと俺達を見渡している。

 

 ……ん?

 

 ああ、俺はある事に気が付いた。

 

「ああ、そう言えば俺やゼノヴィア以外とは、ろくに面識がなかったな」

 

「そうだったか?」

 

 ゼノヴィア。お前、なんで足りない時はどこまでも足りないんだ。

 

 百鬼もため息ついてるぞ。後で謝っとけ。

 

「後で紹介するとだけ言われて、そのままでした」

 

「すまんすまん。まあ、宮白は既に会っているが紹介しておこう」

 

 と、立ち上がったゼノヴィアは百鬼を横に並ばせて、改めて紹介を始める。

 

「こいつはうちの生徒会に所属する書記だ。一年の―」

 

「百鬼勾陳(こうちん)黄龍です。皆さんの噂は色々と伺っています」

 

 丁寧な挨拶だ。

 

 まあ、名前ぐらいは新生徒会のメンバー発表で知られているだろう。ゼノヴィアも連れて歩いているから、見た事はあるはずだ。

 

 とはいえ、新生徒会との接触は少ないのが真オカルト研究部。顔と名前を一致させたのは今回が初めてではないだろうか。

 

「なんつーか、日本人の割には長い名前だな」

 

 イッセーがそう尋ねる。

 

 まあ、確かにそうなんだが―

 

「御大層な家系の次期当主だからな。ミドルネームの一つぐらいはあるだろ」

 

 俺はそう言っておく。

 

 魔術師の名門中の名門とかにも、ミドルネームなどがある場合はある。時計塔のロードとかは、大抵ミドルネームを与えられてロードなんちゃらと言われる事が多いからな。

 

 こちら側でいうと……リゼヴィム・リヴァン・ルシファーのことを思い出すな。

 

 最悪の例えだ。我ながら他に引き合いに出せる奴はいなかったのかと反省したい。百鬼には絶対に言わないでおこう。

 

「厳密には諱ってやつです。百鬼でも黄龍でも好きに呼んでください」

 

 うん、気前の良い奴だ。

 

「百鬼君、こんにちわ」

 

「ここでお会いするなんて、珍しいですわね」

 

「コーチン、仕事?」

 

「よ、いつもの三人組。それとコーチンはやめろって言ってるだろ。……名古屋コーチンみたいでいやなんだよ」

 

 とまあ、顔合わせしていたのか、一年生組が和気あいあいとしている。

 

 まあ、一年の異形関係筆頭格だからな。面識はそこそこあるんだろう。

 

 そんな事を想っていると、百鬼はイッセーに強い視線を向けてきた。

 

 ん? 生徒の風紀にも関わるイッセーとしては、やはり覗き魔のイッセーは困ったものか?

 

 いや、にしては強い熱視線だな。これはマイナスというよりプラスの感情に近い。

 

「赤龍帝の兵藤一誠先輩」

 

「ん? な、なにかな?」

 

 イッセーが戸惑っていると、百鬼はずずいと言った感じに前に出る。

 

「俺、先輩のことリスペクトしてます」

 

「り、リスペクト? なんで?」

 

 いや、戸惑うなイッセー。

 

 冷静に考えればお前、冥界の大英雄だろうに。普通に考えてシンパの一人や二人ぐらい出てくるだろう。

 

「そう言えばゼノヴィア。百鬼は黄龍の名前を受け継いでるわけだろ? 動きから見ても相当鍛えているようだが、どれぐらいだ?」

 

「かなりできるぞ。単純な体術なら通常禁手のイッセーと渡り合えるだろうな」

 

 ほう、そこまでか。

 

 既に通常禁手ですら、イッセーは最上級悪魔クラスある。並大抵の上級悪魔ならまとめてぶちのめせるだろう。

 

 最近は乳乳帝の簡易発動も可能になってきているらしいし、下手をしなくても神クラスに到達しているはずだ。

 

 そのイッセーと勝負になるとは、黄龍の加護を受けるだけの事はあるという事か。

 

 しかしこの学園、どんどん魔境と化しているな。

 

「イッセー君は人気者だね」

 

「まったくね。ダーリンが人気者だと鼻が高いわ!」

 

 と、木場とイリナがうんうんと頷いていたが、しかしこれは人気者だろう。

 

 そろそろ真剣に臣下とかも出てくるかもしれねえな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 などと思っていたら本当に臣下志望が来たよ。

 

 主の姫様とイッセーの秘書のレイヴェルに意見を求められ、イッセーの付き添いという形で連れてこられた俺は、それを見た。

 

 なんかどっかで見た事あるドラゴンを一回り小さくした感じのドラゴンが、イッセーに対して畏まって跪いている。

 

 ………どういう事だ?

 

「お初にお目にかかります。某は、最上級悪魔タンニーンの息子、ボーヴァ・タンニーンと申します」

 

 ………あの竜王タンニーンに息子がいたのか。いや、いてもおかしくないぐらい長生きしてたはずだけども。

 

 で、そんな人物が何でここに?

 

「赤龍帝、兵藤一誠様にお願いがございまして、この場に参じております。ぜひ、某めをあなたの臣下にしていただきたく、参上つかまつりました!」

 

 空間に響くボーヴァの声を理解するのに、ちょっと遅れた。

 

 イッセーを見ると、思考が完全に止まっているのがわかる。

 

 さて、ちょっと耳をふさいで―

 

「ええええええええ!? 臣下ぁあああああ!?」

 

 やっぱり大声出した。

 

 至近距離で大声出されると耳に悪いからな。ふさいでおいて正解だった。

 

 ふむふむ、まさかもう来たか。

 

 半分冗談で臣下ができることを想定していたが、ここまで即座に来るとは思わなかった。

 

 それも、龍王タンニーンの息子とはすさまじい。姫様に勝るとも劣らぬ引きの強さだ。いや、勝手に来てるんだが。

 

 しかしなるほど。それで俺が選ばれたわけか。

 

 そういう人材関係なら、俺のポテンシャルはオカルト研究部でも優れている自負があるからな。いや、引きの強さでは姫様には負けるが。

 

 ……いや、魔王末裔に魔法使い組織のエリートに上級悪魔の子女と、俺の眷属もかなりのポテンシャルだ。なんだかんだで負けてないな。

 

 などと思い直していると、レイヴェルがイッセーに耳打ちしてきたので、俺も聴覚を強化する。

 

(……「破壊のボーヴァ」という蔑称がつくほどの荒くれ者として、冥界では有名ですわ。素行の悪さゆえにドラゴンに敬愛されるタンニーン様のご子息とは思えないほどとか)

 

 ……めちゃくちゃかしこまってるんだが、マジかレイヴェル。

 

 そして、今度は姫様が耳打ちしてくる。

 

(だけど、タンニーン様のご子息の中では最強とも言われているわ)

 

 ……何というか、凄い人物が来ているようだな。

 

 で、今度は俺の耳打ちを視線で要請してくる一同。

 

 俺は速やかに考えると、魔術でボーヴァに声が聞こえないようにして、速やかに告げる。

 

「……龍王タンニーンの性格からして、こんな押しかけで息子が来るのは止めるだろうし、事前連絡をさせるはずだ。たぶん独断だな」

 

 そういうと、俺は一歩前に出る。

 

「ボーヴァだったか。俺はイッセーの親友の宮白兵夜だ」

 

「存じ上げております。一誠様と並び立つ神喰の神魔(フローズヴィトニル・ダビデ)にお声を掛けられるとは、某は歓喜に堪えません」

 

 ………。

 

 こいつ、できる。

 

 にわか仕込みのファンだと思ったが、どうやら礼節をわきまえる能力があるようだ。荒くれ者だとはとても思えぬ人物だろう。

 

「一つ聞こう。それはイッセーの眷属になりたいという売り込みか何かか?」

 

「滅相もございません!」

 

 大慌てで、ボーヴァは首を横に振った。

 

 ん? だが上級悪魔の臣下というならば、それはもはや眷属になりたいということじゃないか?

 

「一誠様は眷属を女人で構成されたいという野望を持っていることは某の耳にも入っております。某めは、ただの部下、兵士としてお仕えしたいと思いはせ参じました!!」

 

 ………すごいことになったな、おい。

 

 イッセーの師の一人ともいえる、龍王タンニーンの息子。

 

 それがイッセーの傘下になりたいとは驚いた。これはまたすごい展開だ。

 

 さて、どう判断したものか。

 

 俺はイッセーに視線を向けると、明らかに戸惑っていた。

 

 だが、それはちょっと困る。

 

「イッセー。お前としてはどうなんだ……といいたいが、いきなりこれは難しいか」

 

 イッセーは一般市民感覚が強いからな。出世の速度が凄まじすぎて、上の立場という認識が薄いはずだ。

 

 俺なんかは割と支配下に置いている舎弟が多いからこの辺は対応できるんだが、さてどうしたものか……。

 

「え、えっと……」

 

 イッセーは腕を組みながら考えこみ―

 

「……と、とりあえずもう少し考えてもいいかな?」

 

 まあ、その辺が妥当か。

 

 とはいえフォローをしておくべきかもしれんが―

 

「ボーヴァ。イッセーは上級悪魔になりたてで、まだ少し戸惑っている。それに今日初めて会ったばかりでは対応に苦慮するだろうしな。少し時間を与えてやってはくれないか?」

 

 さて、これでどう出るか。

 

 などと思っていたら、ボーヴァはさらに大慌てした。

 

「こ、これは失礼いたしました! 某としたことが、急ぎすぎたようです! お考えいただけるだけでも十分でございます!!」

 

 大げさすぎだろ。

 

 まあしかし、なんだろうな。

 

「お前、最近女だけじゃなくて男にもモテてるなぁ」

 

 ヴァーリに匙にサイラオーグ・バアルに曹操にクロウ・クルワッハ。

 

 男、それも実力者ばかりがイッセーに興味津々だ。これも人徳かねぇ。

 

「お、俺としては女の子にもてたいなぁ!! いや、ここまでありがたがられるのはありがたいけど!!」

 

 はっはっは。まあ頑張れ。

 

 お前のことだから最上級悪魔もすぐだろうし、そうなったらきっとこの程度じゃすまないぜ、マジで!

 




百鬼とボーヴァについて、兵夜の視点からというある意味変化のない話でした。

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