ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
この作品の球技大会は一味違う・・・!
『それでは部活対抗球技大会決勝戦! 実況は我々放送部が勤めさせていただきます!』
決勝戦。なんか白熱しすぎているということで、それに合わせて実況が追加されている。
ちなみに、なんかハイレベルな戦いになりそうとのことで、なぜか審判として運動部の人間の中でもかなり優秀成績を出した人間が駆り出されている。
『赤コーナー! エロ兵藤の陽動を活かした小猫ちゃんの思わぬ大活躍! 想像以上の運動神経を見せた二人に、純粋な拍手を送りたい!! オカルト研究部ー!!』
ワァアアアアアアアッ!!
司会の説明に大歓声が沸き起こる。
まさかここまで白熱するとは・・・。
『どうでしょうか解説の体育教諭!』
『搭城も兵藤も体育の成績がかなり高いので活躍は予想できましたが、ここまですごいと運動部に参加していないのが悔やまれるな』
解説まで用意してるのかよ!?
まあ悪魔だからな。ライザーとの戦いに比べれば、学校の体育だなんてイージーモードもいいところだろう。
たとえ運動部が相手だとしても、このメンツなら負ける気はしない。
さて、相手はどこのどいつだ―
『青コーナー! 想像以上の大活躍!! 明らかに裏取引で入部したっぽいエロ坊主を含めてもいような活躍を見せつける! UMA研究部&松田くん!!』
オォォォォォォッ!?
こちらはどよめきが巻き起こる。
・・・って、待て。
「「何やってんだよ松田!!」」
俺とイッセーの声が重なった。
そう、何やら怪しい雰囲気を纏わせた男女の中に、それとは違った意味で妙なオーラを纏わせた松田の姿がそこにあった。
な、なんか目が据わってるぞ!?
「ふ、ふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふふうフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!」
明らかにヤバい!
「この日を! この日を待ってたぞイッセー!」
血走った眼でイッセーを睨む松田。その瞳からは正気が消え失せてる。
「な、なんだよ! 俺がお前に恨まれるようなことをしたか!?」
イッセーもかなり狼狽している。
そりゃそうだ。
ほとんどの連中が引いている。
そして、松田は血涙すら流しそうな勢いでイッセーを罵倒する!
「ふざけんな! 女の子を紹介しろと言ったのになんだよあのミルたんって超生命体は!? なんかUMA扱いした連中が捕獲に動いたぞ!?」
「なにやってんのイッセーッッッ!!」
思わずイッセーを蹴り飛ばした。
「なにすんだよ宮白!? 痛いじゃないか!?」
「どこの世の中に女の子を紹介してほしい相手に魔法少女コスプレをした筋骨隆々の
何を考えているんだこのバカは!?
あれはUMA扱いしてもいい気がするぞ!
だが、そんな俺に対して松田はさげすむかのような視線を向けてくる。
「何言ってやがる! その恨みを風評被害に込めようとしたのに邪魔したお前も半分同罪だ宮白!!」
「オカルト研究部員をことごとく鬼畜調教しているだなんてデマ、法的に罰せられるだろうがアホッッッ!!」
さすがにアウトだバカ野郎!
初期段階で把握できて本気でよかった。
つーか、下手にエスカレートすると俺にも被害が届きかねない!
「木場バージョンとお前バージョンもいろいろなシチュエーションで用意してたってのにどうしてくれる!?」
「殺すぞコラァ!?」
止めて正解だった!
正直本気で殺意を叩きつけた。
だが、松田は全く動じない。
なんだ? こいつの雰囲気が何もかも違いすぎる。
と、いうが、UMA研究部の連中も明らかに異様な雰囲気を見せているんだが、どうしたんだ?
「くっくっく」
「これで優勝すれば、我々UMA研究部の入部希望者も出てくるというもの」
「正直私の胸を触らせる程度、何の問題もないわ」
うん。
「部長、プロモーションの許可ください。明らかにヤバいです」
具体的には松田を取り入れるために自らを犠牲にする女子部員が一番ヤバい。
「ついでに言えば、我が部の女子生徒はワイルドな男性が好みなので、木場にボールをぶつけても問題ないのがラッキーだな」
とりあえずオカ研男子の身がヤバい。
「はっはっは! なぞのふんどし集団のおかげで、俺達の体は常識を超えた力を手に入れたのさ。・・・この力でお前らに復讐してやる!」
「なんか心当たりがある特徴の集団だなぁっ!!?」
あれか?
アレなのか!?
あのナツミを追いかけまわしていた謎集団なのか!?
だとするといろいろな意味で不味い気がするぞ!
「部長! ホントにプロモーションの許可を―」
『試合開始!』
その瞬間、俺の横を何かがものすごいスピードで駆け抜けていった。
「ガッ!?」
上がる悲鳴と、その直後の倒れ伏すかのような音。
猛烈な嫌な予感と共に、俺は振り返った。
「・・・な・・・何・・・が?」
倒れ伏す木場の姿があった。
「木場ぁあああ!? し、しっかりしろぉおおおお!!」
思わず抱き上げるイッセーの悲鳴が響く。
・・・ちょっと待て、これはやりすぎだろう?
「・・・部長、さっさと決断してください。シャレにならない」
「え、ええ。いささかやりすぎな気もするけど、下僕たちの安全には変えられないわ。・・・プロモーションを許可するわ」
よかった。
これで、とりあえずこんなところで死ぬことはないだろう。
だが、甘かった。
ルークの筋力で投げれば
「その程度か宮白!」
片手で受け止められ
一度でもボールが奴にわたれば。
「イッセー死ねぇええええっ!!」
視認するのも大変な速度で投げつけられる。
なんだあのバグキャラは!?
まさか、ナツミの時は手加減されていたとでもいうのか!?
想像以上の事態に対し、それでも俺たちはよく頑張った。
洒落にならない松田のボールだけは絶対にかわそうとした結果、残念なことに他の連中には気を抜いてしまい何人か脱落したが、逆に相手にボールをぶつけることにも成功。
結果
『オカルト研究部は搭城と宮白、UMA研究部は助っ人の松田が残ったわけだ。・・・正直ここまで白熱するとは思わなかった』
俺も、ここまで苦戦するとは思わなかったよ
「・・・あの変態集団がこんなところにまで浸透してるだなんて」
「同感だ小猫ちゃん。・・・ナツミ、大丈夫かなぁ」
耳は隠せるみたいだから大丈夫な気もするけど、襲われたりしたらどうしよう。
「小猫ちゃんに当てるのは心苦しいが、おっぱいに触るためだ。・・・二人とも覚悟してもらう!」
向かい合うエロ坊主が洒落にならないオーラを放っている。
ただでさえスポーツ万能だったとはいえ、まさかここまで化け物じみた身体能力を発揮するとは・・・。
「仕方ない。これだけは使いたくなかったが、最後の切り札を使う」
本当に使いたくなかったが、まあこの状況下なら使ってもいいだろうと思えてしまう状況になってきた。
正直あいつが投げるボールに当たりたくない。あの剛速球派もはや凶器だ。普通に人が死んでもおかしくないと思うぐらいのスピードで飛んできているから、そろそろ回避するのも無理な気がしてきた。
幸い、今ボールは小猫ちゃんの手にある。
「小猫ちゃん。今から俺は奴の気を確実に引ける言葉を放つ。そのタイミングでボールを叩きつけるんだ!」
「・・・よくわかりませんがわかりました」
「やれるもんならやってみろ! まるきこえな状況で誰が引っ掛かるか」
なめるなよ松田。俺だっていろいろと考えてるんだからな。
小猫ちゃんが振りかぶる。俺はそれに合わせる形で口を開こうとし・・・
「松田! お前の後ろに裸・・・」
押し黙った。
「「「「「「・・・え?」」」」」」
その場にいる全員が突然の沈黙に戸惑う中、俺の瞳孔が大きく開き、口元が誰が見てもわかるぐらいひきつった。
「・・・なにあの痴女? ほぼ全裸じゃん!?」
「「「「「「えぇっ!?」」」」」」
皆が驚いて俺の視線を追いかける。
「・・・見事な搦め手です。ソレ」
「ギャフン!?」
ハイ撃破ぁ。
「いよっしゃぁ! 俺ナイス演技! よくやった俺!!」
はっはっは!
考えたな俺!
気を引く声を上げようといたタイミングで、マジで驚いた演技で相手の気を引く。
我ながら迫真の演技だと褒めてやるぜ! いよっしゃマジで俺天才!!
そして引っ掛からなかった小猫ちゃんナイス! さすがだよ小猫ちゃん!
「・・・とてもカッコ悪い勝ち方でした」
仕方ないよ小猫ちゃん。俺はまだ死にたくない。
球技大会が終了したタイミングで、ついに天気が崩れて雨が降ってきた。
なんかシャワーみたいな勢いで降ってきているから、ちょっと浴びたいとか本気で思ってしまう。
いや、ホント汗流しすぎているから。冷や汗まで流しているから本当にシャワーが浴びたい。
部長、貸してくれないだろうか。
しかし、今回は少し警戒をした方がいいかもしれない。
あのふんどし集団の影がここまで見えているというのは割と本気で危険だ。
奴らがナツミを狙っているということから、出会った場合戦闘になりかねないのが一つ。予想以上にポテンシャルを隠し持っているっぽい力があるし、下手をすると本気を出した奴らに全滅の可能性もある。生徒会との連携も視野に入れた方がいいのかもしてない。
奴らにイッセーの力を見せているというのも一つある。
イッセーの力は下手に一般社会に知られれば非常に危険視されかねないものだ。まあ、悪魔の存在が社会に知られれば混乱は免れないだろうが、それをおいても山を思いっきり削ったあの力はかなり不味い。
さすがにその対策をしているのは想定できるのでそこまでビビっているわけでもないが、それでもなければ無い方がいいに決まっている。
あんな山奥で出会ったのだし、まさかこんな近くに奴らがいるとは思わなかった。
念のため調べ上げ、奴らの記憶を消しておくというのも考えた方がいいのかもしれない。
そう思った時、乾いた音が響いた。
「・・・気は済んだかしら?」
部長、かなり怒っているな。
今のは部長が木場の頬を張った音だ。
まあ、今回の木場はいろいろとやりすぎた・・・というより、やらなさすぎた。
最近の木場はぼんやりしすぎている。
今回はドッジボールだったからよかったようなものの、これが実戦だったらどうなっていたか本気でわからない。
思えば、イッセーの家であの写真を見た時だ。
あいつはそのとき聖剣と確かに言っていた。
その名の通りの代物なら、悪魔である俺たちが敵視するのは当然だとは思うが・・・。
「そろそろいいでしょうか?」
それだけじゃないのがよくわかるぐらい、木場の様子はおかしかった。
「今回はいろいろとすいませんでした。夜の部活にはちゃんと出ますけど、昼の方の部活は遠慮させていただきます」
そういうと、木場はそのまま部室を出ていく。
それが気になったのかイッセーは追いかけていくが、今回はそっとしておいた方がよくないか?
・・・まったく。気にするべきことが多くなってきた。
これ以上たたみかけるような出来事なんて・・・起きないよなぁ?
ふんどしの魔の手が再びナツミに迫るかも・・・?
今後もふんどしは要所要所で登場することを誓います。