ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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連続投稿最終章。


日常、新たに始めます!

 目の前に、聖剣使いがいた。

 

 あと、エクソシストもいた。

 

「・・・やあ、転生者」

 

 とりあえずドアを閉める。

 

 ・・・あれって、ゼノヴィアとベルだよな?

 

 あいつらなんでこの学校に残ってるんだ?

 

 なにか残る理由でもあったのか?

 

 とりあえず、俺は昨夜のことを思い出す。

 

 昨夜は結局、三人そろって尻叩きがかなり続いて地獄だった。

 

 まさか増援が来た後も続けられるとは思わなかった。おかげでいらん恥をかいたよ。

 

 その後、協力して後始末をしてから帰宅。

 

 あと、どさくさにまぎれて回収した戦利品をちゃっかり保管してから寝酒と夜食をとって就寝。

 

 そして、ついうっかり酒を飲み過ぎて疲れが取れなまま学校に登校。

 

 すごい眠かったけど頑張って起きて、昼休みは爆睡。

 

 おかげで昼飯を食い損ねたので、旧校舎までの道のりで購買の残りのおにぎりを食いながらここまで来て・・・。

 

 うん。

 

「なんでいるんだよ!?」

 

 俺はドアをけり開けてツッコミを入れた。

 

 うん。やはりベルとゼノヴィアだ。

 

「私は後始末というか事後報告です。実質、重大情報が複数出てきた以上、ある程度報告しておかないと失礼になりますから」

 

 なるほど、ベルの言い分はもっともだ。

 

 だがゼノヴィアはなんでいる? ・・・と、いうか、今気付いたがウチの制服来てるのはどういうことだ。

 

 ふと見ると、イッセーが軽く頭を抱えていた。

 

 ・・・なんだろう。嫌な予感がする。

 

「神の死を知って正直やけになった」

 

 ・・・どんどん嫌な予感が膨れ上がっていく。

 

 俺の表情に気がついたのか、部長がにっこり笑ってトンデモ発言。

 

「向こうから売り込んできたので眷属にしたの。騎士の駒一個で転生できてお得だったわ」

 

 な ん で す と ?

 

「はぁ」

 

 ベルもため息ついてる!?

 

 そしてゼノヴィアは悪魔の翼をシュバッと出した。

 

 マジで悪魔かよ!!

 

「どうやらデュランダルがすごいだけで私は大したことがなかったらしくてね。ああ、今日からこの学校の二年でオカルト研究部所属だ」

 

「ああ、さいですか」

 

 ウチのメンバー教会関係者が多すぎないか? 仮にも悪魔の下僕としてこのメンバー構成はどうよ?

 

 赤龍帝やら、どうにも元堕天使関係者らしい朱乃さんやら、コカビエルじゃないけどウチのメンバーのイレギュラーさには驚かされる。

 

 いや、俺が言うことでもないのはわかるけどね?

 

 それに気を取り直して考えれば、これは今後にとって非常に便利な力だ。

 

 元々悪魔にとって聖剣は天敵なんだ。それを使いこなせる同胞がいるというのは、レーティングゲームにとって非常に有利に働くはずだ。

 

 しかも、超ド級聖剣デュランダルときたもんだ。どう考えてもチートが誕生しただろこれは。

 

「・・・それで? エクスカリバーとかはどうなったんだよ」

 

「エクスカリバーは核を確保することができたので、イリナが責任をもって本部へと届けています。実質、完全に砕け散ったのでそういう扱いになりましたが」

 

 ・・・無理をしすぎたのは認める。

 

 だが、まさか俺も壊れるとは思わなかったんだ!

 

 持ちこたえるかと割と本気で思ってたんだよ! ホントだよ!!

 

「・・・まあ、核さえ残っていれば修復は簡単ですし、実質運ぶ時の手間を考えれば助かったと考えてもいいでしょう」

 

 気を使ってくれなくても結構です。

 

 擬態の聖剣があることぐらい知ってるよ。イリナみたいに飾り紐にして運べばいいことぐらい知ってるから!

 

「・・・いや、しかしさすがに悪魔になったのは性急すぎだったか? だがもうなってしまった以上、後戻りは決してできない」

 

 なんか、気が付いたらゼノヴィアが悩んでいた。

 

 それはどう考えても後の祭りだぞ、ゼノヴィアよ。

 

「主がおられぬ以上私の人生は破綻したわけで・・・いや、だからと言って悪魔というのはやりすぎ・・・ああ、主よ・・・アウッ!?」

 

 ああ、お祈りまでしてダメージ入ってるし。

 

 そういえば、アーシアちゃんも時々お祈りしてはダメージ入ってるな。

 

「そういや、イリナはどうしたんだよ?」

 

 イッセーが気になることを聞いてきた。

 

 そういえば、この二人がいるのにイリナはいないって言うのは不思議だな。

 

「ああ、彼女はエクスカリバーの核を以って、本部へと帰還したよ」

 

「実質、彼女は主の死亡を知らされていませんしね。私達も教えたりはしてません」

 

 そういえば、あいつは決戦に参加していなかったな。

 

「実質イリナだけが逃げ遅れた形になりましたが、それが不幸中の幸いになりました。・・・彼女は信仰心が非常に深いので、真実を知ればショックで自殺しかねません」

 

 ベルが本気で頭を抱えながらそう言った。

 

 そりゃそうだ。信仰心あふれる人が、その信仰の主とはもういませんよーだなんて言われたらショックもひどい。

 

 むしろ、アーシアちゃんが一日で一見落ち着いているのがすごい方だ。

 

 気を取り直すかのように、ベルは勢いよく立ちあがった。

 

「今回の件について、教会側からの正式な報告があります」

 

 ・・・なんだ? まさかこっちが介入してきたことに対して文句とか言わないだろうな。

 

「ぶっちゃけていえばこんな感じです。・・・むっちゃいやだけど、実質堕天使がなにするかわからないからちょっと連絡取り合わない? ・・・と」

 

 どんなまとめ方だ!

 

 ベルさん!? あんたそんなキャラでしたっけ!?

 

「それと木場祐斗。本部から、バルパーの始末をつけ損ねたことについては、正式な謝罪が送られました。あなたの同胞達も、これで少しは無念が晴れてくれると嬉しいのですが・・・」

 

「そうですか。・・・大丈夫、その気持ちは、届いているはずです」

 

 エクスカリバーの一件はこれで終了・・・か。

 

 まさか、木場の因縁が巡り巡ってこの街そのものの存亡をめぐる事態に発展するとは思わなかった。

 

 まあ、エクスカリバーがなければコカビエルは倒せなかっただろうし、そういう意味では助かったか。

 

「それでは、私はこれで失礼します。お茶、美味しかったですよ」

 

 ベルはティーカップを置くと、そのまま部室から出ていく。

 

 去り際、ベルはアーシアちゃんとゼノヴィアに視線を向けた。

 

「・・・二人に言い忘れていたことがありました」

 

「なんだい、ベル」

 

「な、なんでしょうか」

 

 キョトンとする二人だったが、ベルの言葉にその目が見開かれる。

 

「別に、悪魔が主の教えに従って生きてはいけないなんて決まってないと思います。実質、悪魔を改宗させた信徒だなんて前代未聞の偉業を狙うぐらいいくべきですよ?」

 

 ・・・そりゃすごい発想だ。

 

 主の教えに従い、主と共に歩む悪魔・・・か。

 

 ああ、俺たちみたいな混沌だらけのこの世界、それぐらいあっても驚かないな。

 

「それでは今度こそ失礼します。・・・宮白兵夜。近いうちに一緒にお茶をしようと、桜花久遠にも伝えてください」

 

 それだけ言うと、俺の返事を待たずに扉を閉めていった。

 

 ・・・ああ、また会おう。

 

「それと、堕天使陣営から連絡が来たわ」

 

 部長の言葉に俺は意識を戻す。

 

 そういえば、向こうも対応していたな。

 

「・・・今回の一件はコカビエルの完全な独断であり、コカビエルは地獄の最下層、コキュートスで永久冷凍の刑が執行されたそうですわ」

 

 朱乃さんの説明が本当なら、これで戦争の危機は完全に脱したと考えるべきだろうな。

 

 まったく、割と本当に一大事だったぜ。

 

 二度と出てくるなコカビエル。さすがに二度目は勝てる気がしないから。

 

「兵夜には感謝するわ。あの場で白龍皇たちがコカビエルをおさめたら、身内の問題を身内で片付けたことになるから追及が難しくなっていたもの。後々のことを考えれば、政治的に大きな意味を持つわ」

 

 なるほど、部長の言うとおりだ。

 

 確かにあいつらがいるなら事態の解決は可能性があったかもしれないが、それだと政治的に面倒が起こるわけだ。

 

「・・・大手柄です」

 

「グレモリー眷属全体の手柄になりますが、何よりMVPは兵夜くんですわね」

 

 小猫ちゃん、朱乃さん・・・。

 

「最初のエクスカリバー捜索の時と言い、君は僕たちにとってもう、欠かせない存在だよ。・・・ありがとう、宮白くん」

 

 木場まで俺のことをほめたたえる。

 

 な、なんか照れくさいな。

 

「宮白さん、あの時は本当にカッコよかったです。・・・だ、駄目、私にはイッセーさんが! あぁ、主よ、私を許しアゥ!?」

 

 何やってんのアーシアちゃん。

 

 後大丈夫。君の事情気づいてないの当事者(イッセー)だけだから。

 

「部長。宮白は俺達の大事な仲間ですよね?」

 

「そうよイッセー。ソーナにもレヴィアタンさまにもあげないわよ。・・・そういうことだから、これからも私のために頑張りなさい」

 

 ・・・また涙腺が緩みそうだ。

 

 俺の事情を知ってもなお、俺を仲間と認めてくれる。

 

 ありがたすぎるぜ。ホントにな。

 

「これが、グレモリー眷属か」

 

 ゼノヴィアが関心するように俺達を見ている。

 

 まったく、これはイッセーがなんか言うな。

 

「何言ってんだよ。お前も、グレモリー眷属だろ?」

 

「そうですよ、ゼノヴィアさん。・・・そんな寂しいこと言わないでください」

 

 イッセーとアーシアがそういうと、ゼノヴィアは少し面食らっていた。

 

「いいのかい、アーシア・アルジェント。私は君に・・・」

 

 ああ、そういえば思いっきりキツイことを言ってたなこいつ。

 

 だが、アーシアは静かに首を横に振る。

 

「いいんです。私は、今の生活がとても気に入っています。正直な話、主の教えより大切に思っていて主に申し訳ないぐらいです。・・・あなたの言葉を否定しきれませんから」

 

 アーシアちゃん。そんな風に思っていてくれていたのか。

 

「・・・そうか。だが、非礼なのは事実だ。それはこれから起こるであろうレーティングゲームや、白い龍(アルビオン)との戦いに力となることで濯ぐとしよう」

 

 ・・・白い龍、ね。

 

「赤龍帝に対となる存在がいたってことには驚きだが、どうもあいつの方がイッセーより遥かに強そうだな」

 

「ぐ・・・。お前もバッサリいうよな」

 

 そうは言うがなイッセー。

 

 実戦経験がほとんどないお前と、こういう事態に派遣されるほどの実力者と思われる白龍皇とじゃ差があるのは歴然だぞ?

 

 ゼノヴィアもそれは分かっているのか、静かに頷いた。

 

「ああ、既に堕天使陣営の中でも四番手の力と聞く。神の子を見張る者(グリゴリ)が集めている神器の使い手でもトップクラスだ」

 

 そんな頂上存在といつか戦わないといけないのかイッセーは。

 

 普通に考えれば、勝負にもならないのは明白だ。とはいえ・・・。

 

「・・・まあ、でかい組織にいることが理由になって動きにくいだろうし、それだけの時間があれば充分だろ」

 

「ああ、それは当然だね」

 

「分かっているようで安心だわ」

 

 俺の言葉に木場と部長が続く。

 

「なんでだよ。そりゃぁ俺も強くなるつもりだけどさ、そのころにはあいつもさらに強くなってるだろ?」

 

「ばっかだなお前、根本的なことを忘れてるぞ」

 

 まったく、さっきまでのいい話をなんだと思ってる?

 

「お前だって俺たちの仲間なんだ。俺たち全員が強くなれば、合計であの半減ドラゴンを超えるぐらい可能だろ?」

 

 俺がリアス部長の仲間なら、お前だってそうだろうが。

 

「そういうこと。さぁ、部員も集まったんだから、今はちゃんと部活動をしましょうか!」

 

 部長の言葉に、俺たちは日常を再開する。

 

 ・・・ああ、そうだ。

 

 俺たちは日常を続けていいんだ。

 

 そうだろ、皆?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・よっしゃぁ90点ジャスト! これで三連続90点代!!」

 

 カラオケでここまで高得点を維持できたのは久しぶりじゃないか?

 

 アレから数日後、俺はイッセーたちと共にカラオケに熱中していた。

 

 ・・・一応匙や久遠を誘ったのだが、会長に異性間交友を禁止されているらしく断られた。

 

 会長、厳しい人だ。おれは部長の下僕で本気でよかった。生徒会に所属していたら堅苦しくって今頃はぐれになっていただろう。

 

「よっしゃあ! 次は俺の番だ! 歌うぜ、ドラグ・ソボール!!」

 

「よ! ドラグ・ソボールバカ!」

 

「畜生! おまえはアーシアちゃんとデュエットしてやがれ!!」

 

 やる気満々のイッセーに対して、松田と元浜の野次が飛ぶ。

 

 ・・・これが、俺たちが頑張った報酬か。

 

 良いモン手に入ったもんだ。こんな報酬なら毎日働けるね。

 

 一緒に来た小猫ちゃんや木場も楽しんでる。

 

 アーシアちゃんにいたっては、匠である桐生の手によってゴスロリ衣装にドレスアップ。

 

 イッセーは心の中でどれほど歓喜したことか予想できない。

 

「・・・おまえ、センスいいよなぁ」

 

「あら、今頃気づいたのかしら?」

 

 不敵な笑顔を浮かべるな。なんか嫌な予感がして褒めた自分が嫌になるから。

 

 そして、そんな匠の手にかかった可憐な美少女がもう一人。

 

「あ、イッセー! その曲ボクがリクエストした奴!!」

 

 こっちもゴスロリ衣装にドレスアップしたナツミだ。

 

 耳さえ隠せば人間と変わりないのに、オカルト研究部だけの交流なのはかわいそうと思ったので呼んでみた。

 

 ちなみに偽名は「宮白ナツミ」 俺の遠縁の親戚ということにしてごまかした。

 

 家族と上手くいかなくて別居しているのがこんなところで役に立つとは思わなかった。下手なぼろが出ない。

 

 ゼノヴィアは学校生活になれるために苦戦中なので今回はパス。ただし、今度機会があれば一緒に参加すると言っていたので、今度は俺がセッティングしよう。

 

 部長と朱乃さんは水着選びのショッピング中だそうだ。

 

 なんでも、生徒会からの依頼でプールを清掃する代わりに一時的な占有の許可を得たらしい。

 

 あの少人数でプールを占有できるだなんて、結構マジで楽しめそうだ。

 

 イッセーあたりは二人の水着姿を考えて暴走寸前になっているだろうな。

 

 などと考えていたら、裏稼業用の携帯に連絡が入ってきてしまい、とりあえず一旦退席する。

 

 内容は最近顔を見せていなかったところでちょっと一部の連中が暴走しかけているとのことだ。

 

 とりあえずこれが終わったらシメに行くことを伝えて会話は終了。

 

 さて、戻ろうとした時に・・・。

 

「・・・よう、奇遇だな」

 

 最近の俺の常連が来ていた。

 

「なんでこんなところにいるんだ?」

 

「ちょっと長逗留することになってな。こづかい稼ぎにバイトしてたんだよ」

 

 そりゃ気付かなかった。

 

 どうやら裏方のバイトらしい。しかも今上がりとのことだ。

 

 そういえばもう五時か。だいぶ長く楽しんでたな。

 

「・・・それじゃあもうちょっと注文した方が良かったかな? お得意様にたいするサービスって奴だ」

 

「気にすんじゃねーよ。どんだけ作ったんだってバイト代は変わらねーんだ。むしろ少ない方が楽でいい」

 

 いわれてみればそれもそうか。

 

「んじゃ、俺はそろそろダチのところにもどらねぇとな。今後ともぜひごひいきに・・・っと」

 

「ああ、ようがあったら呼ばせてもらうぜ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・あいつのこともあるし、な」




そろそろいったん落ち着きます。

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