ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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参上、魔王少女!

 

「それではみなさん。いま配った紙粘土で何か作ってください。家でも、人でも、動物でもいい。・・・そういう英語もある」

 

 ・・・あるわけあるか!?

 

 今、俺は授業参観という状況でとんでもない驚愕に襲われていた。

 

 悪魔というのは、語学において圧倒的なアドバンテージを持つ。

 

 聞こえてくる言葉はすべて自分が知っている言葉に聞こえ、放つ言葉は相手の言語に聞こえてしまうという素敵仕様。

 

 それはつまり、会話という土俵において無敵と言ってもいい。

 

 外国語関係の授業において心強い味方なのは間違いないだろう。

 

 まあ、書いたりするのはまったく関係ないのだがな。そういう意味では日本における英語の授業では本来あまり役には立たない。

 

 追加でいえば、別居している俺は授業参観で親が来るということはない。

 

 だが、それでも多く人が見てくるのは分かっているわけで、当然カッコつけるのは気分がいいわけで・・・。

 

 何が言いたいのかというと、だ。

 

「・・・なんでこうなった」

 

 普通に英語の授業をしろ!

 

 こういう時だからこそ何の変哲もないいつもの授業を見せつけてやれ! インパクトとか考えたんだろうけどこれは明らかに方向性が致命的に間違ってるぞ!

 

 ああもう! みんな絶対に混乱状態に―

 

「・・・うぅん。結構難しいですね」

 

 アーシアちゃん適応してる!?

 

 見れば、イッセー以外はとりあえず対応しきっていた。

 

 おかしいのか? おかしいのは俺たちなのか!?

 

 ・・・仕方がない。こうなれば本気を見せてやろう。

 

 魔術回路を起動して、ありとあらゆる手段を以って一級品の芸術を作り上げてくれるわ!!

 

 とりあえず、外見は何にした方がいいか・・・。

 

 今住んでいるマンションにするか? それとも、山で修行中に見かけたイノシシにするというのもありかな。

 

 ・・・いかん、考えたら考えるほど泥沼にはまる。

 

 なんとしても時間内で完成させて度肝を抜くような一品を見せつけなければ・・・

 

「おお!!」

 

 イッセーの方で声が上がり、そっちに視線を向けてみた。

 

 ・・・等身大全裸の部長フィギュア(未塗装)が完成していた。

 

「・・・なにをつくってんだイッセー!!」

 

「フガッ!?」

 

 とりあえず飛び蹴りを叩きこんでおく。

 

 お前は衆人環視の中で何をつくってんだなにを!!

 

 そして完成度が半端ないな!? 相変わらずエロが絡んだ時のこいつの潜在能力の発揮具合は恐ろしいレベルだ!

 

「バカな・・・。イッセーがなぜリアス先輩の裸身を!?」

 

「そんな!? まさか、見たというの!?」

 

 ギャラリーの絶望感が半端ないレベルに到達している。・・・お前ら授業はどうした。

 

「はいはいささげられるまで秒読み段階だからお前ら全員着席しろー」

 

「アンタ今爆弾投下したわよ。でもそっかー、秒読み段階なのかー。アーシアも大変ね~」

 

 桐生よ、これはわざとだ。ここで絶望に叩き落としておけばこいつらも静かになるだろう。

 

 俺は形を決めるのに忙しいんだ。時間は一時間もないって言うのに難易度高い真似をしなければならないんだぞ!

 

 良し! 形は決めた! 天使の鎧を作ろう!!

 

 そして俺は自分の席に戻り・・・

 

「5000!!」

 

 すべてが終わる声を聞いた。

 

「させるか! 俺は6000出す!」

 

「松田の好きにはさせねえ! 6000+俺の作品との交換権!」

 

「そんなのいらないわよ、私は7000円出すわ!!」

 

 すごい勢いで値段がつりあがっていく。

 

「始めて知ったよ。授業参観とは、皆で騒ぐためのお題目だったんだね」

 

「ゼノヴィア、マジボケするな」

 

 結果、俺達の授業は部長フィギュアオークション会場になった。

 

 いや、フィギュアはイッセーが死守したけどね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSIDE

 

 全くあいつらはなんて奴らだ!

 

 俺の大切な部長の姿を自分達の欲望のために汚そうとしやがって! 俺の部長をなんだと思ってやがる!!

 

 宮白も宮白だ!

 

 あの後暴動になりかねなかったあいつらをなだめて、「一万円で新作を買い取る方向でいこう」とか修正しやがって!

 

 ・・・まあ、松田がヤバいオーラを放っていたのでそこは正直助かった。

 

 真面目な話、アイツ神器使っても勝てそうにないんだもん。すでにエクスカリバー無しのフリードより上ぐらいになってるんじゃないか?

 

 しかも、アイツを鍛えたのはナツミちゃんを追いかけてたふんどし集団だとかいうし、世の中はとんでもない奴が多すぎるな。

 

「・・・イッセー、そろそろ戻ってこい」

 

 宮白に肩をたたかれて、俺は我に返った。

 

 ・・・そうだ、そんなこと言ってる場合じゃなかった。

 

 俺の目の前には、魔法少女がいた。

 

 いや、魔法少女じゃなくって魔王少女だった。

 

「ソーナちゃんどーしたの? 久しぶりの再会なんだから、もっとこう百合百合な展開でもいいと思うのよお姉ちゃん」

 

 会長に向かって難易度の高い言葉を放つ魔王少女。

 

 魔法少女のコスプレをして写真撮影会を行い、大きなお友達の心をつかんだ可憐な美少女。

 

 あの子の名前は、セラフォルー・レヴィアタン・・・!

 

 なんと、魔王さまなんだって。

 

 ありえねぇええええええええええええっ!?

 

 いや、チョー美人だよ!? 生唾飲み込むよ!?

 

 だけど、なんか違うんだよ!

 

 四大魔王唯一の女性魔王だと聞いて、俺はもっと大人のお姉さん的なアダルティックな魅力あふれる魔王だとばっかり思ってたんですよ!

 

 これはなんか方向がおかしい!!

 

「しかしセラフォルー殿もこちらに来ていたとは驚きですな。貴女も此度の会談に出席されるご予定で?」

 

「そうなのですわおじさま☆ ほら、レヴィアたんってば外交関係担当ですから☆」

 

「頼りにしてるよセラフォルー。それはそれとして、後で妹自慢をし合おうではないか」

 

 部長のお父さまやお兄さまもノリノリで会話してるし!

 

 ってストップ! え? 妹自慢? そんなことするぐらい仲いいの!?

 

「な、なあ、ちょっと魔王様たちのノリが・・・すごくないか?」

 

「いや、別に魔王さまだって人げ・・・じゃなかった。悪魔なんだからプライベートはあるだろ」

 

 宮白はそういうが、それでも少し動揺していた。 

 

 匙も、結構どんびきになりながらうなづいている。

 

「会長が、姉にコカビエルが暴れていることを報告したら即戦争になるから呼びたくても呼べないとか言ってたけど、まさかこれほどとは・・・」

 

 即戦争!?

 

 そんな人が外交担当って本気ですか!?

 

「うふふ。現四大魔王さまには、共通点があるのですわ」

 

 朱乃さんがそういうと、サーゼクス様とセラフォルー様に視線を向ける。

 

「四大魔王様は皆、プライベートではフリーダムなのです。そして、そのご家族は基本的にみんなまじめな方が多いのですわ」

 

「なるほどー。反動というかセーフティと化したんだねー」

 

 うんうんと桜花さんが頷くが、あなたも結構フリーダムですからね。

 

 ああ、そんなフリーダムなセラフォルー様の姿に、どうも会長は耐えられそうにないらしい。

 

 なんだか泣きそうじゃないか?

 

「仕方がない。・・・ここは俺に任せろ」

 

 宮白が動いた!

 

 宮白は堂々と歩きだすと、二人の前に立ち止まる。

 

「お初にお目にかかりますセラフォルーさま。宮白兵夜と申します」

 

「あら。あなたが久遠ちゃんがみつけた転生者ちゃん? 私はセラフォルー・レヴィアタン。レヴィアたんって読んでね?」

 

 難易度が高いけど大丈夫か!?

 

 だが、宮白は沈痛そうな表情を浮かべると、静かに首を振った。

 

「残念ですが、まずはあなたに残念なことを言わねばなりません」

 

「な、なんですって」

 

 表情がこわばる魔王少女に、しかし宮白は動じない。

 

 あくまで、沈痛な表情のままだった。

 

「古今東西の魔法少女。その基本方針として、その多くは一部のもの以外に正体を明かさず、人知れず悪を正して去っていくのが魔法少女のトレンドです。つまり!」

 

 その目をクワっと見開いて、セラフォルー様に指を突きつける!

 

「堂々と衣装発表を行うなど、魔法少女として二流、いや三流、つか通り越して五流ッ!!」

 

「四流が抜けてるの!?」

 

 劇画丁で固まるセラフォルーさま。

 

 おぉい!! 宮白なに言っちゃってるの!?

 

「悪もいないこのような状況下で魔法少女として活動しようなどもはや語るに落ちる。あなたに魔法少女を語る資格はありません!!」

 

「な、なんてことなの・・・。そうよ、あの子もあの子も皆、魔法少女は人知れず世界を救ってきたのに・・・っ! レヴィアたんはそんなことにも気付かなかったなんて」

 

 この世の終わりのような表情で崩れ落ちるレヴィアたん。

 

 すげえ、魔王を言葉だけで撃沈しちゃったよ俺の親友!

 

 そして、宮白は静かに腰を落とすと、そんな魔王少女さまの肩に静かに手をおく。

 

「大丈夫。まずは、日常ではちゃんとした服を着るところからやり直しましょう? 古今東西あらゆる魔法少女だって、日常ではちゃんと服を着て生活してるんですから」

 

「大丈夫・・・? レヴィアたんは、また魔法少女として頑張れるの?」

 

「はい。だって、魔法少女は皆の願いをかなえる、奇跡を起こす女の子なんですから」

 

 悪魔のほほえみだよ。いや、悪魔だった。

 

 それに気づかぬセラフォルー様は、感動の涙を流しながら宮白に抱きつくとわんわん泣きだした。

 

 天国のおじい様。今、俺の目の前で親友が魔王を懐柔いたしました。

 

 最近ハイスペックに磨きがかかっていた親友ですが、末恐ろしくて正直引いています。

 

「ああ、お姉さまがこれからは普通の服を着て町中を歩いてくださるのですね・・・」

 

「会長? 泣いてるんですか、会長!?」

 

「魔法少女コスプレに付き合ったのはおもしろかったけどー、これからはなくなるのかー。兵夜くんってホントにすごいねー」

 

 生徒会組の反応をしり目に、俺はとんでもないものを見た気がした。

 

 その後も見事な会話を繰り広げて方向を修正することに成功した宮白は、額をぬぐいながらいい仕事をした職人みたいな表情でこっちに戻ってきた。

 

「終わった終わった。待たせたな皆」

 

「宮白・・・。俺、お前を敵に回さなくて本当によかった」

 

 こんなすごいのが俺の親友なのか・・・。

 

 俺、本当にこいつの親友でいいのか?

 

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