ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
ついに、三大勢力会談の日がやってきた。
会談場所は駒王学園。
魔王の妹に伝説の聖剣に堕天使の幹部という、三大勢力の各重要ファクターが集まったこの場所で、ついに会談がスタートする。
速読を活かして覚えた悪魔知識でいろいろと調べてみたが、この会談は非常に注目が集まっている。
元魔王はこの会談で和平を結ぶつもりであることは既に悪魔社会全体に表明されている。
それに対する反対意見もあるようだが、その勢いは弱い。
悪魔社会自体が、戦争継続を困難と判断して種の繁栄へと意識をシフトしている。その状況下での戦争継続を意識させる発言を会談でするというのは、今後のことをかんがえればリスクが大きいとの判断があるようだ。
教会側はイッセーにアスカロンを渡した際に、天使長ミカエル自信が和平を結ぶつもりだということをイッセーに言っているらしい。
まあ、神がいなくなったことで増えることがなくなった天使にしてみれば、不用意に数を減らすようなまねはできるわけがないのだろう。
そして堕天使側も、小雪の言うことが本当ならアザゼルは和平を結ぶつもりだというそうだ。
実際、戦争継続派のコカビエルはアザゼルをこきおろしていたそうだし、これは信用できるのかもしれない。
となれば、和平設立そのものは結ばれる可能性はある。
実際、賭け事サイトでは問題なく和平成立が最も確率が高い。俺も願賭けも兼ねて、思いっきり大金を投入している。具体的には200万ほどかけている。
だが、今回の選択肢は非常に広かった。
誰のせいで会談が物別れに終わるかという選択肢はもちろん、和平そのものは成立するが悪魔側に不利な条約になるというのもある。
中には、和平阻止を狙ったテロが勃発し、指導者側に被害が出かけるほどだという内容もあった。まあ、その倍率は非常に高く、半ば冗談みたいな内容だったが。
だが、その可能性は決して否定できない。
前世足した俺の人生をはるかに超越するほど長いあいだ戦ってきた三大勢力。その憎悪や怨恨は非常に根深いだろう。
コカビエルのような実力者の和平反対派だって少なからず存在するだろう。
実際、会談の護衛のために来た三大勢力の兵たちは、非常にピリピリしたムードだという。
悪魔然り天使然り堕天使然り、悪魔側の人間やはぐれ含む悪魔祓いも、相当に緊張感あふれる状態だ。木場も様子を見てきたし、俺も使い魔を使って確認したから間違いない。
会談が決裂すれば当然戦闘が勃発するだろう。その場合、会談そのものに出席する俺達が被害を受ける可能性は非常に高い。
それに、会談が決裂しなければいいというわけでもない。内容が不平等だった場合小競り合いが勃発する可能性はある。さらにひどければ、それが着火剤になって結局戦争勃発もあり得る。
そもそも会談の途中で一部が暴走して暴れだすという可能性だって、決して否定できないのだ。
「と、言うわけでお願いします。自腹切って精神安定剤買って来たんですから、絶対に安定剤入りのお茶を悪魔の方々にふるまっておいてくださいお願いします!」
「え、えっと・・・」
「おやめなさい兵夜。係の方も戸惑っているでしょう」
部長に肩を掴まれて、俺は下げた頭を体ごと持ち上げられた。
後ろを見れば、ほとんどのメンバーがドン引きしている。
「しかし部長。一勢力の連中がキレただけなら、運が良ければ他の二大勢力で責任を追及して譲歩を引き出す程度にできるかもしれない。とはいえ、それがこっちで起これば今後が大変です!」
「だからって警護の者に薬を盛ってどうするのよ。彼らもちゃんと分別はあるんだから信じなさい」
部長はため息をついて額に手を当てる。
現在、俺達オカルト研究部は部室で待機していた。
なにぶん当事者なため、この会談においてコカビエル襲来の騒ぎについて説明するように言われているのだ。
ちなみに、会議そのものは新校舎の職員会議室で行われるとのこと。
確かに会談だから会議室で行うのは当然だが、まさかそんなところまでいちいち気にしてセッティングするとは思わなかった。
「いや宮白。お前、ちょっと本気出して警戒しすぎじゃないか?」
イッセーはそういうが、俺はこの程度では足りないとすら考えている。
はっきりって朝になるまで一睡もせず、新校舎に侵入者がいたりしないか見回りしまくっているぐらいだ。それでも不安は尽きないぞ。
「つったって、こんな前代未聞な会談、トラブルが起きる方が自然だろうが。警戒のために使い魔は学園中に放っているから監視はできるが、俺は一人しかいないんだから警戒網だって限度があるぞ」
「本気度が恐ろしいよお前!!」
なぜツッコミを入れられなきゃならないんだ。
さすがに文句を言われるわけにはいかないから、会議室には仕掛けこそしていない。それが不安で仕方がない。
この会談が決裂した場合、一番危険なのは魔王級が勢ぞろいしている会議室にいる俺たちなんだぞ?
外側から何かあるなら逆に安全かもしれないが、内側から起こった場合どうなるか分かったもんじゃない。
「しかたねえな。・・・とりあえずアーシアちゃん、宝石魔術の粋を集めた防御アイテムを渡しておくから、何かあったら回復よろしく」
攻撃面はともかく、防御面は徹底的に備えておかなくては。
本当なら重装甲で身を包んでおきたいぐらいだが、それやると心象悪くなるし、逃げるとき遅くなるからなくなく断念。
金は非常にかかるが、魔力に反応する仕組みで防御魔術を発動させる宝石魔術を利用した防御アイテムは調達済みだ。
・・・おかげで貯金が底を尽きかけた。実証実験までしたのはやりすぎだったか。
「さすがに人数分はそろえられませんでしたが、部長とイッセーの分は大丈夫。・・・さ、部長もお付けください」
「・・・魔術はあまり公開してはいけなかったのでしょう。私は大丈夫だからあなたが付けてなさい」
「っていうか、俺が付けるのはちょっとずうずうしいだろ。・・・ナツミちゃんがつけな」
「え、ホント? ・・・うわぁ、すっごいキレイ!」
・・・ぶぅ。
仕方ないので俺とナツミが付けることになった。
これが無駄に終わればいいんだがな。一応倍率は低いとはいえ賭けてるし、そうすれば金銭的な被害は多少は取り戻せる。
「ぶ、部長! 頑張ってくださぁあああい!!」
段ボール箱の中から、ギャスパーの声が響いてきた。
もちろん、我らが段ボールヴァンパイア、ギャスパー・ウラディだ。
今回の会談に招かれた俺達オカルト研究部だが、目の制御ができないギャスパーは参加ができない。
万が一にも指導者クラスを停止させた場合、会談決裂の恐れもあるからだ。
残念だが、魔眼封じは完成しなかった。
まず、魔眼に対する効果に干渉するところから大変だ。作ったこと自体ないので完璧に躓いている。
これが終わったら魔眼作ろう。まずはそこからだ。
「ギャスパー。俺のゲーム機貸してやるし、お菓子もたくさん置いておくから、それでヒマつぶしとけよ。紙袋も置いておくから、さびしくなったら被ってな」
そういうと、イッセーはギャスパーに紙袋を渡した。
・・・冗談交じりでイッセーがかぶせてみたところ、ギャスパーが気に入ってしまったのだ。
うん、俺もそうだが変人の割合が多くないか、グレモリー眷属。
「待っててねギャスパー。これが終わったら、皆でお茶にしましょう」
そう優しく言うと、部長は立ちあがって俺達を見回した。
「・・・さあ、行くわよ!」
さて、役には立たないが正念場だ。
会議室は、まるで異世界のような雰囲気だった。
家具類はこのためにわざわざ持ちこんだ特別製の高級品に変更されている。それを囲むのも、特別なお偉いさんなのだから緊張感が全然違う。
まず悪魔側。
魔王専用なのか落ち着いているが豪華な衣装に身を包んだサーゼクスさまとセラフォルーさま。そのそばにはグレイフィアさんが給仕係としてそこにたたずんでいる。
堕天使側。
さすがにスーツに変更しているアザゼルが、イッセーをみて愉快そうな表情を浮かべている。
その後ろには、小雪、ヴァーリ、フィフスの三人がそれぞれ壁際に立っていた。
フィフスって奴も来てるのか・・・。なんか嫌な予感がするな。
そして天使側だが、そのメンツを見てちょっと驚いた。
金色の羽をもった天使が椅子に座っている。おそらく、彼が大天使ミカエルなのだろう。
その後ろには、秘書役なのか天使が一人。こちらは白い羽根を持っているところから見て、あくまで通常の天使のようだ。
そして驚いたのはさらに後ろに立っている二人の人物。
・・・ベルと、イリナだ。
今回の一件、悪魔側だけじゃなく天使側からも証言者を用意したということか。
それとも戦闘のための護衛か? いや、それだけなら天使を呼べば事足りるし、やはりそれ以上の意味があるのだろう。
「・・・君達三人は知っているだろうが、私の妹とその眷属だ」
「コカビエル襲撃のときは大活躍だったのよ☆」
サーゼクスさまとセラフォルーさまが紹介してくれている。
「報告は受けています。その時は、本当にありがとうございました」
「俺のところのコカビエルが迷惑かけたな。悪かった悪かった」
大天使ミカエルと総督アザゼルの対象的な対応。
・・・これが天使と堕天使の基本的な差なのだろうか。あ、部長も口元ひくつかせてる。
「そこの席に座りなさい」
サーゼクスさまの指示を受け、壁際の椅子へと座る。
そこには既に会長も座っていた。その隣には、久遠の姿もあり、あいつは俺の方を向くと真面目な顔でうなづいた。
分かってるよ。この会談、下手すると俺たち転生者にとっても重要になる。
「全員がそろったところで、会談の前提条件をひとつ。この場にいる者たちは
サーゼクスさまの言葉をうけ、俺は視線を会長のほうへと向ける。
特に動揺はしていないし、どうやら本当にご存じのようだ。
ベル達の方にも視線を向けるが、こちらはイリナの顔色が青くなってこそいるものの、やはり態度は一見平然としている。
あの後、この会談のために報告を受けていたということか。ベルたちの気づかいが無駄になった気もするが、会談に呼ばれた以上やむを得ないだろう。
一応グレイフィアさんの方もみてみるが、さすがに魔王直属の女王は最初から知っているようで、こちらも動揺する様子はない。
「では、それを知っているものとしてこの会談を始めようか」