ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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感想はフィフスの正体に注目が集まっているようでなによりです。

・・・・・・単独で首脳陣軒並み戦闘不能にした手腕も見てほしかった・・・(涙


後輩、助けます!

 

イッセーSIDE

 

 ・・・なんかどたばたしていたが、転移には成功した。

 

 目がなれた瞬間には、俺達の前にはローブ姿の見るからに魔女っぽい姿と、やけにあやしい雰囲気の男が一人。

 

 そして、ギャスパーはその真ん中あたりで椅子にくくりつけられていた。

 

 おおおおおい! なんで敵のまん前なの!? 

 

 できればもうちょっと心の準備的な余裕がある場所に移動してほしかったです!

 

「バカな!? 悪魔だと!!」

 

「どうやって転移した!?」

 

 動揺する魔女たちをしり目に、よくわからない男は俺たちを観察するみたいないやな視線を向けてくる。

 

「転移は封じたつもりだったが、やはり何らかの対抗手段はあるということか」

 

 辞書ぐらいの分厚い本を読んでいたその男は、本を閉じると、静かに立ちあがった。

 

「まあ、ここはありきたりなセリフを言わせてもらうよ。・・・人質の命が惜しければ動かないように」

 

 そういうと、男はナイフを取り出して、ギャスパーに突きつけた。

 

 あの野郎! 俺の後輩になにしやがる。

 

 だけど、ギャスパーが人質にとられていては俺たちもうかつに動けないし、どうすりゃいいんだ!

 

「まあ、僕らとしてもこの子の命を奪うと後がややこしいので避けたいが、それでも腕一本ぐらいは平気に切り落とせるよ? わかったら動かないように―」

 

「・・・殺してください」

 

 男の言葉を遮って、ギャスパーの涙まじりの声が届いた。

 

「もういやです。このままじゃ皆大変なことになっちゃう・・・。僕は、死んだ方がいいんです」

 

「バカなことは言わないで。私はあなたを見捨てたりなんてしないわ」

 

 涙をぽろぽろ流すギャスパーに部長はほほ笑むが、それを見た男がゆっくりと頭を横に振った。

 

「感動的な場面と言えばいいのだろうが、僕が言う言葉じゃないけどこの子の言うとおりだよ。・・・この状況下、この子を殺すだけであらゆる問題が解決すると思うけどね?」

 

 なんて奴だ!

 

 部長がせっかくギャスパーを励ましてるって言うのに! このクソ野郎が!

 

「うっせえ! 俺たちはギャスパーを助けてお前らをぶっ飛ばすって決まってんだよ! とっととギャスパーを離しやがれ!!」

 

 俺は部長の前にでて睨みつける。

 

 それを、男は真正面から受け止めた。

 

「まっすぐないい表情だ。君みたいな少年は好感が持てるが・・・状況はこっちが有利だよ?」

 

 全く動揺していない男は、平然ととんでもないことを告げた。

 

「今頃、フィフスが秘密兵器を使って魔王や大天使を無力化しているころだろう。・・・はたして、この場を切り抜けたとしても勝ち目があるのかね」

 

 ・・・とんでもないことを言わなかったか?

 

「フィフス・・・。フィフス・エリクシルのこと!? あの男が内通者だったということなのね!」

 

「彼の本質を見抜けなかったアザゼルの落ち度だ。・・・確か、この会談終了後に対抗策ごと渡す予定だった対悪魔・天使用鎮圧ガスを改良して使用するそうだよ?」

 

 なんだって!?

 

 そんな物騒なもん持ちこんでやがるのかよあいつら!?

 

 あの野郎! 裏切り者の上にとんでもないことたくらんでやがったのか!!

 

 驚く俺達の姿に、魔女たちは嘲笑っているが男は無表情だ。

 

「情愛が深いのも考えものだな。それがわかっても人質がいる以上うかつに動けず、かといって見捨てるという選択肢がないのは問題だよ」

 

 冷静に、俺たちが負けると言わんばかりのその言葉。

 

 ああ、確かにヤバい事態なのは俺でもわかる。

 

 だが、俺はつい笑い声を洩らしそうになった。

 

 それに気付いたのか、男の表情が少しだけ変化した。

 

「・・・どうかしたのかね? いくらなんでも、気がふれるにしては早すぎると思うが?」

 

「いや、こんな時になんだけど、俺ってやつは本当にあいつのことを信じてると思ってな」

 

 ああ、俺は本当に簡単なことに思いいたっていた。

 

「俺の親友はこういうとき本当に活躍するからよ! もしかしたらなんとかしてそうだと思うとあんまし慌てられないんだよ」

 

「それはまあ構わないよ。・・・ただし、この状況をどうにかできない時点で詰んでるんだけどね」

 

 男はためらうことなくナイフを突き付けたままだ。

 

 ・・・さぁて、どうしたもんかね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・無傷?

 

 確かに手榴弾が爆発し、俺は対応できなかったはずなんだが・・・。

 

「大丈夫かね?」

 

 サーゼクスさまの声が聞こえ、俺は首をそちらに向けた。

 

 サーゼクスさまは手を突き出しており、そこから俺では出せないほどの魔力があふれている。

 

「かろうじて結界が間にあった。大丈夫なようで何よりだ」

 

「いや、自分の身を心配してください。顔色真っ青ですよ」

 

 ガスがなくなったおかげでよくわかるが、ものすごい顔色だ。

 

 まさか白龍皇の同僚だったとはいえ、単独でこれだけの首脳陣をここまで追い込むとは・・・。

 

 奴は危険だ。ここで倒せるならなんとしても倒す。

 

「あの少女は既に外で戦闘を行っている。・・・私達はまだ戦闘を行える状況ではない。済まないが、頼んでいいかね」

 

「もちろんです! とにかくサーゼクスさまたちは休んでいてください」

 

 俺は会議室を飛び出しながら、ガスマスクを引っぺがす。

 

 外で大暴れする分なら水流を使った高速移動でガスの範囲から逃れればいい。

 

 なら、視界を狭めるガスマスクは余計なひと手間になる。

 

 今は小雪の援護とフィフスの始末だ!

 

「フィフス・エリクシルッ!」

 

 叫びながら光の槍を生みだし、奴の姿を探す。

 

 ・・・いた。

 

 既にフィフスは小雪の銃撃にさらされながらも、拳で器用に迎撃していた。

 

 その拳には籠手が装着されており、多少削れながらも光の弾丸を防いでいた。

 

 錬金術で強化しているようだな。・・・さすがに戦闘準備ぐらいはしてから来てるか。

 

「このファック野郎が! さっさとぶちのめして軍法会議にかけてやる!!」

 

 既に手に持っているのは拳銃じゃなくてサブマシンガン。威力は低下しているようだがその分数がすごいことになっている。

 

 だが、それでもしのいでいる。

 

「あまりなめないでもらいたいなこれが!」

 

 一見すると不利なように見えるが、それでもしのいでいることは確かだ。

 

 ・・・そろそろ俺も参加するか。

 

「援護するぜ青野小雪!」

 

 射線上に小雪が入らないように援護射撃。

 

 フィフスはそれに気付いたのか後退するが、さすがにそこまでしている状況下でこれ以上の戦闘はきついはずだ。

 

「アインツベルンは戦下手で有名。・・・それがここまでやれるのは驚きだな。警戒はしておく必要があるか」

 

 ・・・とりあえず、同志討ちを避けるためにも接近戦は避けるとしようか。

 

「ファック! 別に来てくれなんてたのんでねーよ」

 

「あいにくそうもいかなくてな。とりあえず落ち着けファック中毒」

 

 これで状況は二対一。後はどうやって片付けるかだな。

 

 だが、フィフスは決して動じなかった。

 

「なかなか面白いことを考えてくれるようだが、お前らちょっとなめすぎだなこれが」

 

 奴はそういうと、両手を鳴らしながら腰を深く落とす。

 

「アインツベルンは戦下手。聖杯戦争において、そのセンスのなさはもはや致命的と言ってもいい」

 

 それについては聞いている。

 

「最強戦力をかき集めることにこだわって、それが成功するかとか、そもそもどう運用するかという視点が致命的に欠けているから、いい線行くことはあっても最終的な勝利からは遠かったんだこれが」

 

 それは自嘲かそれとも自虐か。

 

 だが、少なくとも隙はなかった。

 

「そんな状況下で単独で聖杯戦争を起こし、自分が勝ち上がるにはどうすればいいと思うよ?」

 

 奴は拳を構え直すと―

 

「・・・手段を選ばず、強さを求めることさ」

 

 ―一瞬で俺の懐に潜り込んだ!?

 

 早い! 水流で防壁・・・間にあわない―ッ!?

 

「こんな風になぁ!!」

 

 魔術礼装による防御が発動したが、それでも効果はあまりなかった。

 

 気付いた時には、俺は思いっきり吹き飛ばされていた。

 

「ガ―ッ!?」

 

 なんだこの威力!? 礼装がなければ一撃で戦闘不能もあり得るぞ!!

 

「とりあえず、体術は一通り習得した。体力が付くと無理もしやすいし、何よりリフレッシュできるからむしろ研究も進んだなこれが」

 

 首を鳴らしながら、面白そうに自分を評価している。

 

 ちょっと待て、俺も体術は相当に鍛えてきたぞ・・・? 悪魔化した状態でろくに動きが見えないって、どういう速さだ!?

 

「宮白兵夜!? ファック! てめえ、そこまで強いなんて聞いてねえぞ!?」

 

「そりゃぁ見せてねえからな。そしてもう一つは強化武装だ!!」

 

 小雪が構えようとしていた銃に、ワイヤーらしきものがからみつく。

 

「・・・アザゼルが作った失敗作の人工神器!? そんなファックな代物でなにする気だ?」

 

「ああ、この人工神器黒金の道(スティール・ロード)は針金を無尽蔵に生み出し続けるだけの、三流通り越して五流の失敗作だ」

 

 人工神器なんてもんをつくっていたことには驚いたが、そんなもん作ってどうするつもりだ?

 

 ・・・まて、針金?

 

「・・・銃を捨てて逃げろ小雪!! 奴は針金を簡易的なホムンクルスに変えるつもりだ!!」

 

「遅いなこれが」

 

 俺が叫ぶよりも僅かに早く、針金が変形して腕の形をとったかと思うと、そのまま銃を奪い取った。

 

 そこに突きだされるフィフスの手には何もないが、明らかに隙ができた小雪は強張る。

 

「・・・お前の神器、引き寄せる門(アポーツ・ゲート)は―」

 

「そう、前もって指定した物体を手元に召喚する」

 

 次の瞬間、握られていたライフルが火を噴いた。

 

 が、それは遅い。

 

「・・・っぶねえ!? 何やらかしてんだ四次元ポケット男!!」

 

 ギリギリセーフ。何とか接近して蹴りで射線をそらすことができた。

 

 とはいえ今の一撃は結構効いた。痛覚を切っているとかばう場所が分からないので出遅れただろうし、かといって痛覚ありではまだ悶絶してる自身がある。

 

 実感を麻痺させる俺だからこそ、ギリギリで間にあった。

 

「打たれ強いな。まあいい、それから忘れていたが、俺は既に禁手状態だ。能力名は引き寄せ送り出す門(アポーツ・テレポーツ・ゲート)。能力はもちろん」

 

 瞬間、フィフスの手元にいくつもの手榴弾が呼び出され―。

 

「呼び出した物体を自在に転移できるってか!?」

 

 とっさに小雪を抱えて高速移動。

 

 まさにそのタイミングで、ありとあらゆる場所に手榴弾が転送された。

 

「お、お前! 離せファック!!」

 

「言ってる場合か! 舌かむぞ!!」

 

 乱れ撃つかのように転移される手榴弾から、全力でジグザグ移動をすることで何とかはなれる。

 

 連続で爆発して炎や破片が襲いかかるが、何とか水流でガードして防ぎきる。

 

 さらに、その煙を貫通して光の槍が襲いかかる。

 

 ちょっと多すぎるぞ!?

 

「頭下げろ!!」

 

 小雪の声に反射的に従うのとほぼ同時に、小雪の手から光の槍が放たれる。

 

 それは明らかに威力の小さなものだったが、軌道をそらすことには成功して何とか回避できた。

 

「いっそふっ飛ばしてくれてもよかったんだけどな、いやマジで」

 

「あー、それは・・・」

 

「残念だがそれは無理だこれが」

 

 煙の中からフィフスが現れる。

 

 針金の腕は四本に増えており、さらにそれらすべてにショットガンが構えられていた。

 

 どんだけ重武装だよ、オイ。

 

「そいつの光力そのものは下級堕天使レベル。腐っても中級レベルの俺相手じゃ勝ち目がない」

 

 下級堕天使?

 

 いや、白龍皇のチームメイトがそれは弱すぎじゃないか? あ、それは中級レベルのフィフスもそうか。

 

「いわゆるスウィッチングバックの強化版ともいえる、人間社会レベルでしか通用しないはずの神器、解放の契約(リベレーター・ギアス)。小雪はそれを利用して威力の底上げしてるのさ」

 

 余裕があるのか、一歩一歩歩いて近づいてくるフィフスは、何がそんなに楽しいのか説明口調のまま俺たちを嘲笑う。

 

「条件を付けることで光力を強化し、銃の種類まで細かく設定することで、用途に応じた光力攻撃を実現。・・・上手く考えたもんだと思うぜ?」

 

 そう言いながら、しかし隙だけは見せずに構えてくる。

 

「舐めてくれるな。そんなに説明するのが楽しいか、解説堕天使」

 

「ああ楽しい! 自分が知ってる情報自慢げに話すのはホント楽しいこれが!!」

 

 ものすごいキラキラした目で答えられたよ。

 

「・・・しかたねえ、イッセーが来るまで何とか頑張るとするか」

 

 何とかイッセーが来てくれれば、こちらとしても逆転の目はある。

 

 なにせギャスパーを救出てきたということなんだ、時間停止の被害は停止されるし、その上戦力は上昇する。

 

 だが、そんな俺を嘲笑うように首を横に振る。

 

「あいにくだが、向こう側には俺のコネで余剰戦力を送っておいた。・・・奴ならちゃんと人質作戦をとるだろうし、不意打ちの一つでやられるほど雑魚じゃねえよ」

 

「ファック! キャスリングも想定範囲内かよ!!」

 

 小雪が舌打ちするのも当然の情報だろう。

 

 だが、おかげで少しわかったことがある。

 

「なるほど分かった。・・・結局、お前ら俺らを舐めてるな?」

 

「・・・あん?」

 

 その言葉に、フィフスは始めて動揺の色を見せた。

 

 ああ、その顔は実に気分がいい。

 

「・・・俺が、その辺の対策を準備してなかったと思ってたのか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イッセーSIDE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・ギャスパーは返してもらうわ」

 

 謎の男に臆すことなく、部長は毅然と言いきった。

 

「貴様、私たちを無視するな!」

 

「悪魔の分際で・・・!」

 

 魔女たちが睨みつけるが、部長はいにも介さなかった。

 

「その子にはね、これからいっぱい迷惑をかけてもらわなきゃならないのよ」

 

「・・・すまないが、それはいいのかね?」

 

 ツッコミ入れてんじゃねえよ!

 

 今はなぁ、部長がいいこと言っているタイミングなんだよ!!

 

「そうよ。そしてわたしは何度もその子を叱ってあげる。慰めてあげる。・・・決してその子を離しはしないわ!!」

 

「部長・・・部長・・・っ!」

 

 優しさあふれる部長のお言葉に、ギャスパーは感極まって涙を流し始める。

 

 ああ、気持ちはすっげえよくわかる。俺だってこんな状況じゃなければ号泣してたね。

 

「なるほど立派だ。だが、こちらも油断しているわけではないのでね。・・・下手な動きはしないでもらおう」

 

 男は油断せずに、静かにギャスパーにナイフを突き付けたままだ。

 

 ・・・ヤバい。俺でもわかるぐらい隙がない。

 

 ちょっと思いついたことがあるけど、これじゃあどうしようもないし・・・。

 

「・・・じゃあ、これなら?」

 

 突如、下から声が聞こえた。

 

 え? ここ一階だよな!? この下に地下室ってあったっけ?

 

 ・・・その瞬間だった。

 

 ましたから突きあげら得た拳が、男を殴り飛ばした。

 

 あれは、ナツミちゃん!!

 

「兵夜に言われて地下から参上! 使い魔ナツミただいま見参!」

 

 腕をモグラの形にしたナツミちゃんが、地面から飛び上がって俺達を助けてくれた!

 

 宮白の奴が指示したのか! アイツ本当に抜け目がねえ!! 俺たちだけじゃなく保険までしっかりかけてやがったのか!!

 

「・・・なめないでもらおう!!」

 

 男もとっさに対応した。

 

 背中が膨らんだかと思うと、やけに不気味な色の肌をした腕が生えて、ナツミちゃんを殴り飛ばす。

 

 ナツミちゃんもカウンターも叩きこんだが、それでお互いが一気に弾き飛ばされる。

 

「クソ! 動くな貴様ら!!」

 

「私達を忘れてもらっては困る!」

 

 あわてた魔女たちがギャスパーに刃物を突きつけるが、隙だらけだ、怖くない!

 

「アスカロン!」

 

『Blade!』

 

 ブーステッド・ギアからアスカロンの刃を呼び出す。

 

 ほら、一瞬だけどあわてて隙ができる!

 

 俺はアスカロンで腕を切ると、そのまま血を刃につける。

 

 そしてそのままギャスパーの顔ギリギリにまで一気に伸ばした。

 

「ギャスパーァアアアッ! 逃げるな、恐れるな! 怖がるな!! お前も男なら根性見せやがれ!!」

 

 勢いにのっかって、俺の血がギャスパーの口に飛ぶ。

 

 そうさ、アザゼルは言っていた。

 

 ギャスパーの神器を強化するなら、俺の血を飲ませるのが手っ取り早いって!

 

「赤龍帝からのプレゼントだ。ほら、やってみなギャスパー」

 

「・・・ハイ! イッセー先輩!!」

 

 一瞬だった。

 

 気付いた時には、ギャスパーの姿がかき消えていた。

 

 え、これってどういうことだ!?

 

 その瞬間には、俺たちの目の前で蝙蝠が待っていた。

 

 変化したのか、蝙蝠に!

 

『もうあなた達の好きにはさせません! 僕もグレモリー眷属の男です!!』

 

 さらに黒い触手がどこからともなく現れ、魔女たちを一斉に拘束する。

 

 すげえ! これがギャスパーの本気なのか!?

 

 魔女たちは反撃のために魔術の球を放つが、それらはすべて空中で止まっていく。

 

 蝙蝠の視界全てで停止の力が発動してるのか? ギャスパーの能力と停止世界の邪眼の相性が抜群すぎる!!

 

『無駄ですよ。あなた方の動きはすべてみています。それらすべてを僕が止める!!』

 

 蝙蝠の目が一斉に輝き、魔女たちはあっという間に停止していった。

 

『イッセー先輩、トドメです!!』

 

「おうよ! うなれ俺の夢パワー!!」

 

 膨れ上がる俺のポテンシャルが身体能力をあげてくれるのか、あっという間に全ての魔女にタッチする。

 

 魂の赴くままにカッコよくポーズを決めて、最後の仕掛けを発動する。

 

洋服崩壊(ドレス・ブレイク)!」

 

 合図とともに、広がる俺の夢世界!

 

 全裸の女性の見本市だ!!

 

「ひゃっほう!」

 

「やりましたねイッセー先輩!」

 

 いつの間にか人型に戻っていたギャスパーが俺の隣に立っていた。

 

 ・・・やったんだな俺達。まさに無敵の光景が広がっているんだ。

 

 ギャスパーがとめ、俺が脱がす! 宮白と木場の護衛がなかったとはいえ、そこはナツミちゃんがカバーしてくれた!!

 

「ギャスパー、イエーイ!!」

 

「い、イエーイ!」

 

 二人でハイタッチする。

 

 ああ、今俺たちは夢の世界を生みだしたんだ!

 

「そうじゃないでしょ?」

 

 ポカリ。

 

 あう、部長に小突かれちゃいました。世の中上手くいかないものです!

 

「堪能している暇はないわ。早くナツミの援護をしないと!」

 

 ・・・・・・あ、忘れてた。

 

 そうだよ! ナツミちゃんだ!

 

 真下から登場して、一番厄介そうな奴を一人で相手してくれてるんだ!

 

「早く来てぇええええ! マルショキアスはできれば避けたいのぉおおお!!」

 

 悪趣味な色の腕をさばきながら、ナツミちゃんが絶叫を上げる。

 

 おっしゃあ! 今助けに行くぜ!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE OUT


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