ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
「クッククククククククククククク……クハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!! ざまあみやがれ!!」
俺は我慢する事ができず、心からの嘲笑をコカビエルにぶつける。
つい先ほどまで、この駒王町は滅亡の危機に瀕していた。
三大勢力が一角、堕天使を統べる組織。
三大勢力でもかなり強い組に属するこの男が、戦争を起こす為にこの駒王町を吹き飛ばそうとしたのだ。それも、エクスカリバーを融合させる術式に余波を使って。
この駒王町は四大魔王の妹が担当を務めている土地で、エクスカリバーは教会の宝物にして最高レベルの兵器の一角。
三大勢力の重要要素が集まりまくっているコカビエルの計画が遂行されれば、間違いなく三大勢力の戦争は再開されていただろう。
しかも俺が来た時には爆発が起きるまで数十分もないという非常事態。流石にこれは想定外だった。
だが、アドリブは成功した。
エクスカリバー融合の余力をもってして駒王町を吹き飛ばすところまでは把握していたので、その対策はきっちり要していた。
なにせ、この世界の異能は
如何に大容量のエネルギーといえど、それをかなり簡単に組み上げる事が出来るのだ。
ゆえに、必要なのはそのエネルギーを安全に消耗させる術式。其れさえ発動する事ができれば、後は増援が来るまでの時間稼ぎに集中できる。
そして、俺の知識にはそれだけのエネルギーをもってしてもまだ足りない術式があった。
英霊召喚。
神話や歴史に名を残し、その分身を現実に呼び出す大魔術。
本来は、彼等を贄にする事で願いを叶えたり、アカシックレコード的なものに接触したりする魔術の為の下準備だが、しかしこれがまた莫大なエネルギーを利用するのだ。
なにせ俺達の居た世界でとはいえ、その気になれば全人類絶滅だって叶えられるかもしれない術式だ。町一つを吹き飛ばす程度では欠片も足りない。全く足りない。
ゆえに、この術式を発動させれば間違いなく爆発まではどうにかなると思っていたが、成功だった。
ありがとな、ナツミ。お前がコカビエルを抑え込んでいてくれたから、何とか成功した。
「残念だったな、コカビエル。お前の目論見はご破算だ、ざまぁ」
俺は心の奥底から嫌味をぶっ放す。
久遠のおかげで都合よく代用品が手に入ったとはいえ、左腕を吹き飛ばされてるんだから、これぐらいの嫌味は言っても問題ないだろう。
「まあ、サーヴァントが本当に召喚されるわけがないんだろうが、しかしこれで後は増援が来るまで持ち堪えるのみ。そして俺達が死力を尽くすのみだ!!」
俺はそう言って指を突き付ける。
雑魚相手に無双したがゆえに傷一つない手の甲が視界に移り―
「………あれ?」
その右手の甲に、赤い三角の刻印が刻まれていた。
「あれ? 宮白、そんなところにタトゥーなんて入れてたっけ?」
「あれー?
イッセーと久遠が首を傾げるが、これは断じて入れ墨ではない。
……これ、令呪だ。
「せ、成功しているぅうううううううううううううっ!?」
う、う、嘘だ!! そんな事はあり得ない!!
たかが地方都市を吹き飛ばす程度のエネルギーで、サーヴァントが召喚されるなんてありえない!!
それに、第一英霊っていうのは聖杯に願いがあるから召喚されるものだ。
なのに召喚されたって事は、つまり詐欺!!
………あ、これはつまり、そういう事だろう。
「イッセー、ナツミ、久遠。……俺、これが終わったら切腹するから誰か介錯してくれないか?」
「なんでだよ!?」
全く状況が分かってないイッセーが、渾身のツッコミを入れる。
イッセー。確かにツッコミを入れる気持ちはよく分かる。
だが、これは必要経費だ。
「だ、だってここには聖杯がないんだぞ!? それなのにサーヴァントが来たら駄目だろ? つまりこれ、詐欺じゃん?」
「兵夜君ー!? 詐欺は死刑になるほどの罪じゃないと思うんだけどー!?」
いや、久遠。そういうわけにはいかない。
「上位存在相手にこんな不敬ぶちかまして、ただで済むとは思えない。召喚されたのが反英霊だったら、逆にそいつによって駒王町が滅びるかもしれないんだ。誠意を見せないとまずい」
ふっ。どうせ偶然手に入れた命。捨てる時は思い切って捨てようとは思っていたが、まさかこんな形で捨てる事になるとは。
だが、これは間違いなく駄目だ。絶対にアウトだ。
召喚されたサーヴァント次第では、殺される事もありうる。そして文句も言えない。
「すいませぇえええええん!! 誰だか知らなけどマジですいませぇええええええん!!! 本当に俺の首で勘弁してくださぁああああああああああい!!」
俺は、どこにいるのかも分からないサーヴァントに向かって声を張り上げる。
いや、本当に俺の命でどうにかできるなら躊躇なく差し出すぞ。本当に。
ふ、一度は亡くなったこの命。使い潰す時が来たようだ。
「ちょっと待っていろコカビエル。今から俺は切腹を敢行する」
「いや、勝手に減ってくれるなら好都合だが、お前はそれでいいのか?」
もの凄い呆れた表情をコカビエルは浮かべているが、しかし何を言っているのか。
これは正当な謝罪である。死とは生命体の終焉であり、それゆえに大きな意味を持つ。
若くして命をあえて差し出すという献身は、何が何であろうとそれなりの重みがあるのだ。余程の覚悟がなければ死ぬ事は困難だ。
少なくともそれ相応の重みというものは理解してくれるはずだ。
半端に生きて償いますとかいうよりかは、いっそこちらの方が潔いだろう。これからの可能性を全て投げ捨てるんだから。
とはいえ、二度も生き返っているような俺の死では納得しない可能性もある。
ええい、どうすればいい!!
―いいから、少し落ち着きなさい
そんな声が、空の上から降りてきたのはその時だった。
「……事情はよく分からないけど、流石に殺しはしないわよ。面倒くさいマスターを引き当てたわね、私」
ため息交じりにそう言うのは、紫色のローブを纏った、これぞ魔法使いといった感じの女性だった。
外見イメージは二十代後半。ぶっちゃけ美人だ。
「お、おお!! すっげえ美人!!」
その美しさにイッセーが見惚れる中、しかし女性は静かにコカビエルを見据える。
「私も、必要となれば手段は選ばない方だから何も言わないけれど、とりあえずあなたは倒させてもらおうかしら」
「……ほぅ。口だけではなさそうだな」
コカビエルはそう面白そうに唇を歪めると、物は試しと光の槍を放つ。
………すいませんでかいんですが。
あんなのが当たったら、俺達まとめて消滅!?
「下がってなさい」
そして、その言葉と共に魔方陣が展開されて槍が受け止められた。
それを見て、コカビエルが楽しそうに笑う。
「よく分からんが、とりあえず腕が立つ奴が来てくれたようだ。……前哨戦にはもってこいだな」
「悪いけど、こちらも状況が分かってないの。……邪魔するなら殺すわよ」
棘のある言葉が投げかけられ―
その直後、激戦が勃発した。