ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
短編などの話を組み合わせて、ちょっと兵夜について掘り下げていく話になります。
英霊のいる、毎日です
悪魔の生活は割と本気で忙しい。
特に、トレーニングが厳しいと俺は思ったりする。
禍の団によるテロを警戒するのはもちろんのこと、レーティングゲームも視野に入れなければいけないからだ。
前回の一件で痛感したが、俺はまだまだ弱い。
今後フィフスと戦うことは、聖杯戦争に参戦した以上避けられないだろう。翻って、マスター同士の戦いぐらいは互角にこなせるようにならなければ、アーチャーに悪すぎる。
と、言うことでトレーニングは今までよりもハードにしている。
ランニングはペースアップすると同時に重りを追加して全体的にハードルを大きく上げる。
ウェイトトレーニングもちょっと無理して重さを上昇させる。
極めつけに食生活もちょっと見直す。
日々の栄養バランスを考慮して、毎食必ず動物性蛋白質と野菜を追加するようにしたのだ。
もちろん、強化はそれだけではない。
俺のサーヴァントはアーチャーのクラスで召喚されたが、本質的にはキャスターのサーヴァントだ。
それすなわち、優れた魔術の師匠ができたということである。
当然、魔術の勉強も再開できるということだ。
ただし、そうなると生活は必然的に時間が圧迫されるわけであり・・・。
「兵夜! 今日の朝ごはんまだー?」
「マスター? やっぱり私の分の朝ごはんまで用意するのは無理があるのではなくて?」
「うっせえちょっと黙ってろ! あ、目玉焼きが焦げる!?」
朝は最近忙しくなってきている。
面倒だからトースト一枚ですましたこともあるがもう無理だ。
今の俺には日常の栄養バランスが必要不可欠。強くなるには食事も気をつけなければいけないからだ。
栄養をたくさん取るのは当然。各種栄養を必要な分は最低でもとらなければならないのだから、必然的に考えるのは面倒になる。
今日は朝からご飯に味噌汁に漬物に目玉焼きとバランス抜群の食事を用意するので本当に疲れた。
早朝トレーニングの前にチーズと野菜ジュースを取っていなければとても体力が持たなかっただろう。
朝飯をつくるために先にメシ食っていけないといけないとはコレどうよ?
「ほらできたぞ居候ども! 今日の朝飯だ!!」
「やたー! 言っただききまァッす!!」
「・・・おいしい! ちょっとマスター、お代わりしていい!?」
テンションが上昇する居候二人。
使い魔のナツミは毎回おいしく残さず食べてくれるので食わせるこっちとしても気分がいい。
アーチャーも普段の様子とはまた違う。やはり太古の人間なためか現代の食事は刺激的なようだ。無邪気な子供のような反応をしてくれるからこれはこれで見てて楽しい。
これが数か月前なら、トレーニングもろくにせずに一人でもそもそと食べていたわけだから、雲泥の差という奴だ。
ちなみに、これが終わったら朝のシャワーを浴びて汗を流し、制服に着替えて学校へと登校することになる。
おかげで最近は早寝早起きの習慣ができて、健康的な生活をおくれている。
これが、転生悪魔宮白兵夜の、日常の生活だ。
さて、そんな朝を過ごし、学校の授業をまあ真面目に聞き終えれば、続いて始まるのは悪魔家業だ。
「・・・さすがに最近呼び出しが少なくなってきたな」
「確かにね。まあ、宮白くんの場合だとリピーターが出てくるわけにはいかないからね」
少し悩む俺に、木場が同情の声をかける。
俺の悪魔家業の基本パターンはいわば対不良戦と言っても過言ではない。
そんなもんでリピーターができるってどう考えてもおかしいのは普通である。
さてどうしたもんかね?
「そういう木場は今でも人気に衰えがないし羨ましいよ」
「そうかい? まあ、確かに物騒な依頼は少ないけどね」
「それって結構重大だからな? あぁ、俺にももっと平和な依頼がいっぱい来てほしいよ」
それに関してはマジでそう思う。
確かに俺は対不良に置いてスペシャリストと言っても過言ではない実力を持っているから、そういう依頼が向いているのは基本的に当然だといってもいい。
「宮白はそういった依頼が多いのか。私もやはり実力行使できる方が手っ取り早いし、そういった依頼もいいかもしれないな」
「今度依頼があった時はぜひ協力してくれ。・・・ああいう連中は女に負けたという事実が非常に心に残るから」
ゼノヴィアも今回は暇なのか、俺に付き合ってくれている。
で、仕事が来ないからって俺が何をしているのかというと・・・。
「そういうことだからもっと刃を相手に当てることを意識して! 刀剣類はそれができるかどうかが大きいんだから」
「あともう少し深く切り込むようにしろ。棒を叩きつけるのと違って、刃物の場合は深く入れた時の威力の差が大きいぞ」
「うぅっす!! ちっくしょお大変だなオイ!!」
剣の修行の真っ最中だ。
せっかく聖剣が使えるようになったというのに、剣が使えないのでは意味がない。
これまでは棒を叩きつけるなどといった鈍器による戦闘になれていたので、剣の基本を一から鍛えようと頑張っているのである。
棒だと遠心力を最大に生かして先端部分を当てるやり方でも十分だったが、刃物の場合少し深く入れた方が深くキレるので威力も大きい。
剣は刀身で切るわけだから、ある程度長く切っ先が入らなければ傷が浅くなってしまう。
かといって深く入れ過ぎると逆に切りにくい。両断できればそれが一番だが、それは剣と技量の二つが良くて初めてできることだ。
この辺が重要だな。リーチ重視であまり深く当ててなかったのがここにきて裏目に出てしまった。
一方、アーチャーはアーチャーで動いていた。
サーヴァントは死亡し、そして完成された存在。追加でいえばクラスという枠にはめ、そのクラスという側面を呼び出すことで人が呼び出せるレベルに落としこんだ存在だ。
それゆえに、サーヴァントは自身の修行で成長はせず、マスターがよりその力を再現できるようになって強くなる。
裏技として、魂喰らいをして魔力をためることで最大出力を維持しつつづけることができるようになるが、それはさすがに外道行為なのでできないだろう。
つまりどういうことかというと。
「ほら、しっかりなさい。まだ一つ目の結界すら壊せてないわよ?」
「情けないわね。あの子たちの主である私がこの体たらくとは・・・」
「あらあら。やはり同姓相手では責められても嬉しくありませんわ」
大絶賛部長と朱乃さんの修行中だった!
アーチャーが生み出した魔術による障壁に、部長達が魔力を全力で叩きこんで壊そうというものだ。
いわば魔力によるサンドバッグ。ただし、頑丈さはちょっと洒落にならないもので全然壊れない!
ちなみに、旧校舎そのものがアーチャーの手で魔術師のアジト兼研究所兼侵入者の処刑場と言うべき工房というものに化しており、対魔術防壁を張っているのでかなり頑丈になっている。
そこにさらに魔術で防御網を張っており、今部長達がぶつけている障壁を凌駕するほど頑丈なので、余波の心配はゼロだ。
逆にそれを負担する俺の魔力が大変だけどね!
まあ、サーヴァントの魔力消費というのは坂道に樽を転がして落とすようなものであり、その落とすまでの労力が魔術師の負担なのでまだましな方だ。
分かりやすく言うとエンジンのスターターを動かすのがマスターの魔力と言ってもいい。
もしくは機関車に石炭を入れる人間の労力か? あ、これが一番近いかも!!
マジで全部負担していたら確実に死ぬ! ああ、マジで冗談抜きな話だとも!!
正直このトレーニングは過酷だが、戦闘なんて絶好調な時ばっかりじゃないからこれも修行の一環だ。
地力だけで鍛えるというのもいいものだし、俺は結構乗り気でこの修行をしている。
まさか木場やゼノヴィアクラスの腕前になるとは思えないしそのつもりもないが、剣技を身につければできることは増える。
フィフスと戦うためにも、やれることはやっておかないとな!
「頑張ってますね。実質、見ていて気持ちがいいトレーニングですよ。あ、これ差し入れです」
「おーおー頑張ってるじゃねーか。朱乃、ジュース持ってきたから少し休めよ」
「兵夜ぁ! おにぎり作ってみたんだけど食べて食べて!!」
ベル達もお土産片手によくこっちに来てくれる。
これが、最近の俺達の夜の日常だったりする。
毎回毎回ベルは美味い差し入れを持ってきてくれる。美味いもの巡りが趣味なのかと思うぐらいあたりが多い。
小雪は飲み物が中心だ。以前大量に酒を持ってきたことがあったが会長に発見されて説教喰らって以来ノンアルコールを徹底している。
ナツミは最近料理に目覚めていた。まだまだできは甘いがなかなか食べられるので美味い。
自分で言うのもなんだが、いい日常を送れている気がしてくるものだ。
美味い飯に美味い酒、そしてつるんで楽しい仲間達。
これだけあれば十分すぎるほどの生活ができているわけで・・・。
「・・・あら? 兵夜に呼び出しね」
・・・タイミングが悪い。
「しゃぁない。ちょっくら行ってくるとしますわ」
俺は差し入れを少しつまんでから、すっくと立ち上がる。
内容次第ではすぐに帰れることもあるし、何よりこれは悪魔の仕事だ。悪魔として呼ばれた以上行かないわけにはいかない。
しかも俺の仕事は基本的に切羽詰まっているやつが非常に多い。遅れたらそれだけで大変なことになる可能性もあり得るかもしれないからな。
「んじゃ、行ってきます」
「・・・・・・」
目の前で、とんでもない光景があった。
具体的には、死屍累々の状態だった。
より詳しく説明するならば、廃工場らしき場所でボコボコにされたと思しき不良たちの姿があった。
なんだ、これ?
とりあえずいろいろとあたりと見回してみれば、チラシを持った不良が一人、ものすごい震えながらこっちを見ていた。
「えっと、アンタが依頼主でいいか?」
「は、はひ! た、たしゅけ、助けてくれ!!」
ものすごいガクブル状態でろれつも回ってない。
なにがあったらここまで心をボコボコにできる?
「とりあえず落ち着け。・・・何があった? 依頼は何だ?」
「俺を助けてくれ!! ま、まだあの女がいたらと思うと、怖くて動けねえ!!」
・・・本当にどういうことだかわからんが、とりあえずこの状況下を整理しよう。
ここはおそらく不良のたまり場。こいつらはそこで騒いでいた不良ども。
そして、何者かによってフルボッコにされている。
で、その下手人は女だろう。
そして、不良・女・死屍累々。
これだけのキーワードで思い浮かぶ流れというと・・・。
「女無理やり連れこんで返り討ちにあったのか。・・・帰っていいか? ウチ、基本的に善玉なんで死人が出ない範囲なら自業自得にまで関わるのはちょっと」
「してない! 少なくとも俺が入ってからは一切してない!! 濡れ衣だ!!」
・・・この状況下で嘘をつく可能性は普通にあるな。
とりあえず暗示の魔術で嘘をつけないようにして・・・。
「本当に何もしてないか?」
「ああ! 本当だ! いきなりあいつがやってきて、そしてフルボッコにしてきやがったんだ!!」
嘘はついていないようだ。
とはいえ相手は不良だしな。さてどうしたものか・・・。
とりあえず倒れている連中を軽く診察。
喧嘩慣れしているのはだてじゃあない。それなりの怪我ならだいたいの感じは把握できる程度に怪我については詳しいつもりだ。
・・・的確に病院送りにならない範囲でボコボコにしてやがる。
これは明らかにスペシャリストの犯行だ。俺でもここまでギリギリのラインでボコボコにすることはできない。
「とりあえず経緯を話せ。まずはそこからだ」
「俺もわからねえんだよ!! 酒飲んだりヤニ吸ったりして騒いでたら、いきなりこぉ髪の毛三つぐらいにこのへんで束ねてた女が現れて!」
いわゆるトリプルテールか。珍しい髪がたしてる奴もいたな。
・・・いや、これはまさか。
「そいつの特徴は他にわかるか?」
「い、いや、なんかそこばっか目立ってから・・・」
なかなか考えたな。
人は特徴で相手を判断する。逆に言うと派手な特徴があるとそこに集中してしまう。
俺も相手に恨みを買いそうな行動をするときよく使う手だ。鼻に絆創膏とかどっかの詐欺師がやってたのをドラマで見て参考にしてみました。
・・・いやそんなことを考えている場合ではない。
とりあえずこのまま怪我人を放置するのも何なので、治癒魔術をかけながらさらに周りを見る。
・・・なんか紙包みを発見。
近づいて解析の魔術をかけてみるが特に危険そうな感じはしない。
手に持って慎重に包みをほどくと・・・。
―治療費です。お釣りはとっといてください。
などと書かれた札束があった。
・・・なんだか珍妙な出来事が起きたな。
これが余計な出来事にならなければいいのだがと、俺はたぶん起きると思いながらも願わずにはいられらなかった。
現在に置いて、アーチャーの戦力はオカルト研究部員が束になってもかないません。
イッセーが禁手にいたれば話は別ですが、そこまで規格外の化け物なのがサーヴァントということで設定しています