ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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ちなみに、この章は合計的にちょっと短めになる予定です。


そっくりさん、現れました!?

 

「・・・と、いうことがあったんだがどう思うよ?」

 

 学校で、俺は先日起こった謎の事件について、たまたま出くわした匙に相談していた。

 

「つーかさ、なんで宮白が指名されたんだよ? 桜花から聞いたことあるけど、お前懲らしめるの専門じゃなかったか?」

 

「いや、不良間でのトラブルの仲裁もたまにやってて」

 

 顔が広いのがこういうとき役に立った。

 

 基本的に公正に判断しているので感想はさまざまだが、これがまた意外と多い。

 

 何でももめごとが起きたらチラシを使えとかいう噂まで出てきた様子だ。

 

 俺は本当にそういったのが多い。

 

 少なくともグレモリー眷属はいい加減方向性というものが定まってきているが、俺は不良関係が専門になってしまったようだ。

 

 今までの経験を生かせる内容だとは思うが、物騒な専門家になったなあとためいきをついてしまう。

 

「しっかしトリプルテールってあまり見ない髪型だよな? 他に特徴はなかったのか?」

 

「あいにく暗がりでなにもわからなかった。・・・が、一つだけ分かったことがある」

 

 そう、これは珍しいことだが、珍しくないことだった。

 

「同様の事件がここ最近頻発している。・・・怪我のレベルがレベルだったので警察とか病院とかには報告が行かないが、既に何件が起こってる」

 

 今回ので五回目ぐらいだったろうか?

 

 トリプルテールの女の子が不良のたまり場に現れ、喧嘩をして圧勝する。

 

 内容が沽券にかかわるためあまり広まってはいないが、確実に数回にわたって起こっていた。

 

 情報が少ないがあの惨状から見て、ほとんど状況に変化はないだろう。

 

 ・・・何者だ?

 

 禍の団の関係者だとは思えない。

 

 挑発にしては遠回りすぎるからだ。

 

「不良ばっか狙うって大変だな。・・・お前そっち方面に顔がきくんだろ? 動くことになるんじゃないか?」

 

「それはあり得るんだよなぁ。最近動いてないとはいえ、下の奴が襲われたらさすがに黙っているわけにはいかねえし」

 

 そこが心配だ。

 

 そういえば悪魔家業が忙しすぎるうえにパワーアップ等も考えなきゃいけなかったので、最近そっち方面を考えていなかった気がする。

 

 ・・・どうしたもんかねぇ?

 

「あ、兵夜くんだー。元ちゃんもいっしょだねー」

 

 と、廊下の向こう側から久遠がやってきていた。

 

「よぅ桜花。お前も授業終わりか?」

 

 そう言って匙が手を上げるが、それよりも早く一人の影が俺たちを通り越した。

 

 あれは・・・イッセー?

 

 いや、違う!!

 

「肩の力の入り方から視線の入れ方まで微妙に違う! 何者だテメエ!!」

 

「お前キモいぞ!?」

 

 匙の奴が何やら失礼なことを行ってくるが、自分でもわかってるからあえてなにも言わない。

 

 そのイッセーもどきは後ろからでもわかるぐらい常軌を逸した勢いで久遠にせまり―

 

「そりゃー!?」

 

「グフォ!? お、おっぱ・・・い」

 

 股を蹴り飛ばされてこっち吹っ飛んできた。

 

 ・・・おい、ちょっと待て。

 

「「オイ大丈夫か!? お前何やってんだよ!?」」

 

「え、いや、いきなりだったからとっさに迎撃をー」

 

 つぶれたんじゃ、ないか?

 

 もどきとはいえイッセーそっくりの奴がそんな目にあうのはさすがにまずい!!

 

「オイイッセーもどき! しっかりし―」

 

「おっぱい、み、見た・・・い」

 

 イッセーもどきは痙攣を続け―

 

「おっぱ・・・い」

 

 消えていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「部長!? イッセーのそっくりさんが現れては消えるという怪現象が勃発してるんですが!?」

 

 俺は速攻で部室に突貫すると、いの一番に叫んだ。

 

 この珍妙な現象がどういう理由で起きたのかはわからんが、どうもヤバい気がする。

 

 普段のイッセーも基本的に欲望に忠実すぎる面はたっぷりとあるにはあるが、それを踏まえてもアレは暴走気味な気がした。

 

 もしあれが一般生徒の前に現れれば大変だ。

 

 普段よりもスケベで自制心がないから間違いなく危害を加えるだろう。しかも、そっくりだから女子たちは高確率でそれをイッセーを誤認してしまうだろう。

 

 イッセーの社会的な生命が非常に危険だ!!

 

「・・・どういうことかしら?」

 

「いや、俺も正直ちんぷんかんぷんなんですけどマジなんですって!!」

 

 駄目だ!

 

 現象が現象だから理解してもらえない!

 

 このままだともう一人でもいたら被害が続出してどうしようもないことになりかねないぞ!!

 

 最悪俺が暗示をかければ何の問題もないだろうが、そうじゃなければマジでヤバいことに―

 

―あ、聞こえるー?―

 

 突然、頭の中にテレパシーが響いた。

 

―あ、これパクティオーの機能の一つで、カードを利用した通信能力みたいな奴なんだよー―

 

 久遠か? えっと、カードカードって俺の場合常時義手にしてるから義手を当てればいいのか?

 

―緊急事態ー。かるく100人は超える数のイッセーくんもどきが学校中で女子を裸に剥きまくってるよ―ー

 

 ・・・・・・はい?

 

 いま、なんつった?

 

「うわぁあああああああん!!!!!」

 

 叫び声と共に、ナツミが部室に乱入してきた。

 

 そのカッコは・・・全裸!?

 

「どうしたナツミ!? は、まさかイッセーもどき!?」

 

 まさか、洋服崩壊を使えるのかあのもどきは!!

 

「イッセーが分身しながら出てきていきなり洋服崩壊つかって来たんだよぉ!!」

 

 とてつもないことを言いながら泣き叫ぶナツミい、俺はどうしたものか考えてしまった。

 

 どういう状況でそんな意味不明の事態が乱発したんだ!?

 

 意味不明というか全てが不明な状況な気がしてきた。あり得ないだろどう考えても!!

 

「っていうか見るなぁあああああ!!!」

 

「フブゴ!?」

 

 い、痛い・・・。

 

 しまった! 状況が混沌すぎて混乱して、ナツミに服を着せるのを忘れていた!!

 

「ご、ゴメン。悪かったから追撃、やめろ。・・・はいコート」

 

「変態見たいだから他のにしなさい」

 

 部長が俺を押しとどめて、部室からシーツを取り出してナツミに渡した。

 

 ・・・しかし待てよ?

 

 洋服崩壊を使えるイッセーもどきが、少なくとも百人以上いるわけだろ?

 

 学校、ヤバすぎないか?

 

「いやぁまいったまいった! ちょっと不味いことになっちまったなぁ」

 

 そんなことを言いながら、アザゼルが部室に入ってきた。

 

 なんかすすけてるんだが、何があった?

 

「悪ぃ、ちょっとミスって大惨事起こしちまった」

 

 いい笑顔でそんなことを行ってくるアザゼル。

 

 ・・・ま、まさか!

 

「お前の仕業かぁあああああああ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 オカルト研究部による緊急会議。俺たちはこの非常時に全員集まっていた。

 

 イッセーはなんかアザゼルなみにすすけた姿で立っており、アーシアちゃんやゼノヴィア、あと朱乃さんに例の偽物を連れて参上した。

 

 つぅかアーシアちゃんとゼノヴィアは既に被害にあっていたらしく、予想以上にヤバい展開になっているのが嫌でも理解できてしまう。

 

「イッセーのドッペルゲンガーが300人!?」

 

 部室に集まったオカ研メンバーは、アザゼルのそんなとんでもない発言に度肝を抜かれた。

 

 使い魔を放って視界を共有している俺の目には、イッセーの集団による連続強制脱衣事件が連発されていた。

 

 ・・・眼福眼福とか言ってる場合じゃねえ!?

 

 悪魔化したことによる高い身体能力を全力で駆使して、イッセーの偽物が女子たちを裸にしていく。

 

 男子はその光景に目を奪われるばかりで一切役に立たず、抵抗する女子もイッセーの前には肩なしだった。

 

 ・・・悪魔の身体能力マジすげえ。武道経験者も片手であしらわれてるよ。

 

 悪魔化した恩恵は俺もちゃんと受けてはいたが、まさかここまでブーストがかかるとは思わなかった。こんな形で実感するとは思わなかったがな!

 

 皆も旧校舎の窓から双眼鏡でその様子をうかがっている。

 

 そして小猫ちゃんからは間違いなく強大な殺気があふれ出ていてマジで怖いんだけど!!

 

「ここに向かう途中で私も襲われました。・・・とりあえず殴って倒しておきましたが」

 

 戦車の握力で双眼鏡が粉砕される。

 

 それ、ちょっとしたブラックジャックの代わりになるようにかなり重くて頑丈な素材で作られてるんだけど!? あと高かったから壊さないでくれない!?

 

「お、おっぱい! おっぱいが見たい!! おっぱいぃいいいい!!」

 

 一応織の中に閉じ込めておいた偽イッセーが暴走している。

 

 ・・・ヤバい。色んな意味でヤバい。

 

 こんなのが300人もいるって、お前。もし一人でも町中に出るようなことがあれば・・・。

 

「アーチャー!! アーチャーさん!! とりあえず学校に障壁はって!!」

 

「はいはい。私は外側から見張ってるわね」

 

 アーチャーも状況は理解しているのか、外に出て行ってくれた。

 

 よし! これで被害は何とか学校内にとどめることができるはずだ!!。

 

「イッセーのコピーは普段より欲望が強くなってるからな。女子はうかつに近づくんじゃねえぞ」

 

 アザゼルがもう分りきっていることを行ってくる。

 

 いわれなくてもわかってるよ。これ、どう考えても一大事じゃねえか。

 

「オイ、アザゼル! お前イッセーでなにしでかしたんだよ!! 大惨事じゃねえか!!」

 

「あなたはなんということをしたんですか!! イッセーくんはただの変態じゃないんですよ! それが300人もいるだなんて、この学校を絶望の海へと沈める気ですか!」

 

「・・・どスケベが増殖するなんて悪夢。なにをしでかしてるんですかこの堕総督」

 

 俺、木場、小猫ちゃんの集中砲火が放たれるが、アザゼルの奴はどこ吹く風だった。

 

「いや、まさかうっかりミスるとは思えなくってなぁ。おかげで性欲が増大したイッセーがまるまるコピーで増殖しちまった」

 

「なにがまるまるコピーだ。劣化品以外の何物でもないだろうが」

 

 俺はツッコミを入れざるを得なかった。

 

「首の傾け方や女性に対する視線の向け方、挙句走るときのフォームもコピーごとにまちまちだし、何より胸に対するガっつき方が勢いだけで繊細さが足りん。これでイッセーのコピーだと? 寝言は永眠してから言えマッド総督」

 

 失礼極まりない奴だ。

 

 どうせコピーするならもうちょっとコピーぐらいを整えてもらいたい。

 

 俺は同意の視線を仲間たちへと求め・・・。

 

「・・・ホモ臭いですよ宮白先輩」

 

「僕のこと悪く言えないんじゃないかい?」

 

「キモいぞ。際限なくキモいぞ宮白」

 

「ひぃいいいい! もしかして、宮白先輩も偽物ですかぁああああ!!」

 

「キモいよご主人」

 

 小猫ちゃん、木場、イッセー、ギャスパー、ナツミからは総出でドン引きされた。

 

「・・・思わぬところにライバルがいたわね」

 

「私も負けてられません! 主よ、どうかお力添えを!!」

 

 部長とアーシアちゃんはなんか気合が入っていた。

 

 俺が、何をした?

 

「なるほど、あれがイッセーの親友か。私も偽物にだまされるようではまだまだだということなのか」

 

「あらあら。兵夜くんは本当にイッセーくんのことが大好きですのね」

 

 ゼノヴィアと朱乃さんだけ変なことを言ってこないが、俺はそれだけ変なことを言ったか?

 

 親友に対してこれぐらいは当然だと思いたいんだが、あれ?

 

「まあ、このままだと被害甚大だしな。よ・・・っと」

 

 アザゼルがなんか魔法陣を展開して操作する。

 

 とたんに、生徒たちが倒れたかと思ったら、女子の周りに光るドームのようなものが展開される。

 

「とりあえず生徒たちは眠らせて、イッセーどもが近付けないように結界も張った。これでこれ以上の被害は出てこねえよ」

 

 さすが堕天使総督! できればもっと早くやってほしかったけどな!

 

「偽イッセーはダメージを与えれば消えるから、後は全滅させればいいだけだ」

 

 良し! それなら簡単だ!

 

 コピーなだけあって再生かい人のごとき弱さを発揮している以上、倒すことはたやすいはずだ。

 

 ただ、微妙に害虫みたいな言い方なのは気になるがな。

 

「300人のイッセーなんぞ害虫も同じだ。とっと駆除せんと後が大変だぞ」

 

「思ってたこと本当に言われたよ! 酷いよこの人!!」

 

 アザゼルのあんまりなものいいにイッセーが泣いた。

 

 ・・・うん。これは後で考えた方がいいな。

 

「私のイッセーは一人いれば十分だわ。全部倒しましょう」

 

「そうですわね。私のイッセーくんは一人いれば十分ですわ」

 

 二大お姉さまがそう言って、静かに同時ににらみ合いを始める。

 

 お姉さま方落ち着いてください。今はそれどころじゃありません。つか、それならあそこのイッセー一人ずつ確保すれば良いだけでは?

 

「300人もいれば害になるね。全部葬り去らないと」

 

「・・・最低すぎる現象です。女性の敵ですので潰しましょう」

 

 やる気出しすぎだよ木場に小猫ちゃん。

 

 確かに洋服崩壊で手当たり次第に女子を丸裸にしていく存在なんで、害以外の何でもないとは思うけどさ? オリジナルが目の前にいるんだからもう少しオブラートに包んであげない?

 

「裸にされたもん・・・! 絶対許さない!!」

 

 ナツミにいたってはマルショキアスを発動させかねない勢いで殺意のオーラがダダ漏れになっている。

 

 俺は静かに頭をなでながら、それがイッセーに向けられないことを切に願うしかなかった。真正面からぶつかったら勝てないもん。

 

 どいつもこいつも元凶がアザゼルなことを忘れてはいないだろうか?

 

 いや、今はアザゼルの処分よりコピーの処理の方が急務なのはわかるんだが、イッセーの扱いが悪い気がする。

 

「よっしゃ! 堕天使の科学力を見せてやる!! 行くぞ、お前ら!!」

 

 こうして、イッセーダミー殲滅大作戦の火ぶたが切って落とされた。

 


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