ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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諸悪の根源、お仕置きします!

 

 エロ本アタックとバニー&エロ下着によってドッペルゲンガーの数もかなり減っていった。

 

 爆弾も完全に使いきり、残る偽物は二桁程度。

 

 作戦も最終段階だ。

 

 さすがに、ここまでやって残っている相手は一筋縄ではいかないだろう。

 

 元々エロがからむととんでもないスペックを発揮するイッセーのドッペルゲンガーはさらにエロに忠実になっている。

 

 下手に追い込んだ以上どんな爆発的なパワーアップを果たすか想像もつかない。

 

 そこでアザゼルはこれまでとは違った変化球な作戦を立てた。

 

 それは・・・

 

「フハハハハハハハハハハハハハハハハ!! さあ見るがいい愚かなイッセーども!!」

 

 見るからに悪役な衣装を着たアザゼルが、旧校舎の屋上で高笑いを上げている。

 

 その背には12の黒翼が展開されており、なんというかある意味本気モードだった。

 

 これまでとは趣向が違ったこの状況に、イッセーのドッペルゲンガーも様子をうかがっていることだろう。

 

「さあ、これを見ろ!!」

 

 アザゼルの横にドレス姿の部長の姿が現れる。

 

 さすがはお姫様。ドレス姿が本気で似合っている。

 

「・・・すげえ酷い作戦だな」

 

 そう、最後の作戦は人質作戦である。

 

 アザゼルと部長が芝居をうって、イッセーの偽物をおびき寄せるのだ。

 

 イッセーの性格なら思いっきり引っ掛かって助けに来るとは思うが、これまでの作戦とは違う意味でひどい。

 

 もうちょっと人道的な作戦を立てた方がいいんじゃないだろうかと思う俺は間違っているのか?

 

「実質、性質の悪い作戦ですね。もう少しまっとうな案はなかったのですか」

 

 ベルも頭を抱えているが、そういうセリフは服を着てから言ってくれ。

 

 なんで下着のままなんだよ。

 

「さあドッペルゲンガー! このまま助けに来ないようなら・・・」

 

 アザゼルはそこで言葉を切ると、両手を開いてわしわしを動かす。

 

 なんだその何かをもむような動きは―

 

「リアスの胸を鷲掴みで揉むぞ!! どうだ、うらやましいだろう!!」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・。

 

「帰りたい」

 

 俺はそう呟く。

 

 なんだこの展開、なんだこの展開!

 

 なんでこうなった! なんでこんな悲しい展開になってしまったんだ。

 

 俺の目の前では、あまりの事態に突撃してきたイッセーダミーが吹き飛ばされていく。

 

「うわぁああああ!?」

 

「ふはははははは! 見ろ! イッセーがゴミのようだ!!」

 

 なんか悪役に酔っているアザゼルの高笑いが響き渡る。

 

 そんな圧倒的な状況にも負けず、偽イッセーは立ちあがってアザゼルへと向かって行った。

 

「部長を・・・部長を助けるんだ!!」

 

 ボロボロになりながらも立ち上がる偽イッセー。

 

 だがアザゼルは、それを見てまさに悪役な表情を浮かべるのみだ。

 

「バカめ! 堕天使総督に勝てるとでも思ったか! さあ消し飛べ!!」

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・完璧に悪役だな。

 

 待てよ? そういえば・・・。

 

「あ、ヤベ」

 

 俺は大事なことに気が付いた。

 

 今すぐ動く必要があるかもしれない。俺は身をひるがえしてその場から駆けだした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

祐斗SIDE

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 なんでだろう。

 

 僕たちは、目の前の光景から目を話すことができなかった。

 

 この学園を暗黒の闇へと落としかねなかった僕らの天敵。イッセーくんのドッペルゲンガー。

 

 だが、今では彼らの姿に憐憫の情すら浮かんでくる。

 

 アザゼルの光線によって一人一人吹き飛ばされ、そうでなくても余波によって地面へと叩きつけられていくドッペルゲンガー達。

 

 だが、彼らは今まで見せていたスケベな表情を捨て去り、まるで戦場へと向かう英雄のような真剣な表情を浮かべていた。

 

 なんでだろう。彼らの見ていると何か大事なことを忘れている気がしてくる。

 

「なんででしょう。あのドッペルゲンガーさん、すごい必死です」

 

 アーシアさんもそう思っていたのか、そう呟いている。

 

 僕らは、何かとんでもないことをしているんじゃないのか?

 

「ふっふっふ。雑魚にしてはまあ頑張った方だがここまでだ。消し飛ばしてやろう」

 

 心の奥底から楽しんでいるのか、アザゼル先生は余裕の表情すら浮かべてそんなドッペルゲンガーを嘲笑う。

 

 そう、この戦いは誰が見ても勝ちが決まっているほどのワンサイドゲームだ。

 

 なのに、なんでだろう。

 

 彼が負けるところを、僕は見たくない・・・!

 

「立てよ、俺のドッペルゲンガー!」

 

 気づけば、イッセーくんが自分のドッペルゲンガーに手を貸していた。

 

 まさか助けられるとは思っていなかったのか、ドッペルゲンガーも怪訝な表情を浮かべている。

 

 そんなドッペルゲンガーを正面から見返して、イッセーくんはアザゼル先生を指差した。

 

「すっかり忘れてたけどもとはと言えばアザゼル先生が一番悪いんじゃねえか! 行こう、俺達で部長を助けるんだ!!」

 

 ・・・っ!

 

 そうだ、何をやっていたんだ僕たちは!

 

 そもそもこの事態が起きたのはアザゼル先生がイッセーくんを無理やり実験の材料にしたから起きたことじゃないか!

 

 それなのに、僕たちはアザゼル先生の言うがままに被害者の1人ともいえるドッペルゲンガーたちをただ暴行するばかりだった。

 

 なんてことだ、なんてことなんだ!

 

 僕たちは目先の緊急事態にとらわれて、忘れてはいけない大事なことを完全に忘却していた。

 

「そういえばそうだな。そのせいでアーシアは裸に剥かれ、私は裸にされただけで手もだされないという屈辱を受けてしまっていたのだ」

 

 隣に立つゼノヴィアも茫然とそう呟く。

 

「そうだよ、裸にされたのってアザゼルのせいじゃん! ひどい!」

 

 ナツミちゃんにいたっては被害を受けた時のことを思い出したのか半泣きだった。

 

 そうだね。普通裸にされれば泣きたくもなるぐらいショックにも成るよね!

 

 そんな僕たちの目の前で、イッセーくん達が握手を交わして同時に走り出した。

 

 ああ、イッセーくん!

 

 君は僕たちの心にいつも大事な何かをともしてくれるんだ!

 

「「うぉおおおおおおお!!」」

 

「なに手を組んでやがるんだよ! まあいい、だったらまとめてぶっ飛ばすか!」

 

 戸惑いながらもアザゼル先生が光を放ってイッセーくん達を倒そうとする。

 

 そうはさせない。

 

 僕たちは元凶を倒すことを思い出したんだ。このままにさせるわけがない!

 

「ゼノヴィア」

 

「ああ!!」

 

 僕は聖魔剣を生みだしながら、ゼノヴィアを促して走り出す。

 

 光がイッセーくん達に直撃するより早く間に割って入り、デュランダルと共に光を迎撃する!!

 

「大事なことを思い出させてくれてありがとう。僕も一緒に戦わせてくれ!!」

 

「木場! お前ってやつは!!」

 

 ああ、分かっているよイッセーくん!

 

 今なら分かる、僕たちが最初にするべきだった大事なことが!!

 

 それは、アザゼル先生を懲らしめることだ!

 

「ああ。私もいるぞイッセー。デュランダルの力はこういうことをするためにあるはずだったな」

 

 ゼノヴィアもデュランダルを構え直してそう言ってくれる。

 

「お二人を見ていたら、なんだか熱いものがこみ上げてきました」

 

 アーシアさんがボロボロのイッセーくん達を癒す。

 

 そして、その後ろから朱乃さんに小猫ちゃん、ギャスパーくんが歩み寄ってきた。

 

「そうですわね。冷静によーく考えればアザゼル先生が元凶でしたわね」

 

「・・・変態を生みだした諸悪の根源は懲らしめないと」

 

「び、微力ながらあたって砕けろの精神で頑張りますうううううう!!」

 

 そんな僕たちを見回して、二人のイッセーくんは泣きだす寸前の表情で腕を天に突きだした!

 

「「行こう! 先生を倒すために!!」」

 

『おう!』

 

 もう僕たちは迷わない。

 

 諸悪の根源、アザゼル先生! 覚悟!!

 

「な、なんでお前ら手を組んでんだよ! 俺か? 俺が悪いのか!?」

 

「それは当然でしょう。誰が300人もイッセーを生みだしたのかしら? 少し懲りるべきだわ」

 

 目をむいて驚くアザゼル先生に、辛辣な口調で部長がツッコミを入れる。

 

 ですよね! もっと早く気づくべきでした!!

 

「チッ! 仕方ねえからとりあえずとんずら―」

 

「あーざーぜーるー?」

 

 飛び上がろうとするアザゼルの手を、羽毛と毛皮に包まれた手がつかむ。

 

「よ・く・も! 裸にしちゃったよねぇ? 本気でショックだったんだからね!!」

 

 マルショキアス状態のナツミちゃんが、オーラを纏ってアザゼル先生を睨んでいた!!

 

 その後ろではベルさんがためいきをついていた。

 

「べ、ベル! ちょっとこいつ何とかしろ!!」

 

「実質あなたが元凶ですし、しっかり懲らしめられてください」

 

 あなたはやっぱり分かってくれている! その通りです!!

 

「アザゼル先生、覚悟ぉおおおおお!!!!!」

 

「ば、バカな! この俺が・・・ぎゃあああああああああああああああ!!!!!」

 

 イッセーくんを筆頭に突撃する僕たちの手によって、元凶の断末魔が響き渡った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE OUT

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が戻ってきたときには、何やら不思議な展開が起こっていた。

 

 ・・・具体的には、オカ研メンバーによってアザゼルがフルボッコにされていた。

 

「いったい何があった? いや、アザゼルがぼこられるのは当然ではあるけど」

 

「なんでだぁあああああ!? と、とりあえずお前だけでもいいから助けてくれ!!」

 

 集中攻撃を受けながらもアザゼルが助けを求めている。

 

 なんか割とマジで助けを求めているようだ。相手は下級悪魔がほとんどのはずだぞ? どうやればそこまでダメージを受ける?

 

 と、思った瞬間にアザゼルの頭が踏みつけられて地面に押さえつけられた。

 

 ・・・もしかして、溜めに溜めた一撃をくらわされているのか?

 

「あーとー十回! あ、兵夜! どしたの?」

 

「とりあえずお前だけは止めた方がいいと思うんだけどなぁ俺!!」

 

 ナツミがマルショキアス状態でいい笑顔を浮かべてたよ。

 

 うん、それは助けを求める。

 

 あのコカビエルとすら渡り合った超絶反則能力はさすがにきつい。

 

 たぶんだが、こいつがコカビエルと戦ってた時にイッセーの赤龍帝の鎧と俺の外装の聖剣をまとめて発動していたら、聖剣壊さずに勝てたんじゃなかろうか?

 

 とりあえず、俺は両手を鳴らして注目を集めることにした。

 

 うん、これ以上はさすがにまずいだろう。

 

「はいはい全員終了ー! 仮にも顧問を集団フルボッコとかニュースになるってマジで」

 

「えぇ? いや、この人もうちょっと反省させた方がいいって」

 

「っていうかもうヤっちゃわない?」

 

 特に被害が大きかったイッセーとナツミが不満たらたらだったが、とりあえず集団攻撃は終了した。

 

 っていうか、今気付いたらなぜかドッペルゲンガーも一緒になっていた。ドレス姿の部長がいるにもかかわらず暴走していないドッペルゲンガー。何があったんだろう。

 

 まあ、もう暴走する様子もないし大丈夫だろうか?

 

 見ればドッペルゲンガーはいい表情をしていた。どうやら部長の胸をアザゼルから守ることができて満足なようだ。

 

「頑張ったみたいじゃねえか。・・・やるじゃねえか」

 

 あえて、イッセーのドッペルゲンガーとは言わなかった。

 

 それをいうと、なんか台無しになる気がしたからだ。

 

「お前らなぁ。人のこと大勢でイジめておきながらいうことがそれか?」

 

「無理やり教え子を実験台にした揚句失敗して女子を大量に裸にした元凶がそれを言うな」

 

 涙目のアザゼルの反論は切って捨てる。

 

 こいつは一度反省するべきだろう。・・・今後同じことがあるようなら、物理的に殲滅することも視野に入れるべきだ。

 

 ・・・赤龍帝の鎧とマルショキアスとアーチャーのトリオならいけるか? いや、あの黄金の槍を視野に入れるとしのがれる可能性も十分にある。もう一つ切り札を用意しておきたいところだが・・・。

 

「あ、イッセー先輩のドッペルゲンガーが!」

 

 ギャスパーの声に我を取り戻して見てみれば、イッセーのドッペルゲンガーが光に包まれて消えていくところだった。

 

 時間制限があったのか。・・・だったら安全確保だけしてほおっておくのも手だったような気がする。

 

 イッセーとドッペルゲンガーは向かい合うと敬礼をしあった。

 

 ・・・何やら通じ合うものがあったらしい。ゼノヴィアたちも敬礼を送っている。

 

 なんか良い光景に思えてきた。

 

「散々な一日だった気もするが、なんか最終的には良い一日だった気がするから不思議だな」

 

「そうだね。・・・すがすがしい気分になったよ」

 

 俺のつぶやきに木場が同意してくる。

 

 なんというか、最終的にハッピーエンドになったのだろうか。

 

 だが部長は何やら考え込むと、少しため息をついた。

 

「そう言いたいところだけど、問題が一つ残ってるわ」

 

「そうですわね。ドッペルゲンガーに裸にされた生徒たちが起きたら、どんな混乱が起こるかわかりませんわ」

 

 ああ、それか。

 

「そこは問題ねえよ。ちゃんとやっといたから安心しろ」

 

 アザゼルが絆創膏を貼りながらそう言い切る。

 

 ああ。確かに、お前はちゃんと記憶を操作していたな。

 

 そのあっさりとした言い方はむしろ安心させるだろう。実際イッセーは涙すら浮かべて安心している。

 

「そうなんすか! よかった! 俺が変態扱いされて酷いことになりそうでホント危なかった―」

 

「いや、記憶を完全に操作すると悪影響がたっぷりだからドッペルゲンガーの部分だけ消した」

 

 沈黙。

 

 イッセーがぎこちなく首を動かして、アザゼルを見た。

 

「・・・ドウイウコト?」

 

「ああ、つまりイッセーに服をバラバラにされて、全裸にされたってことになってるわけだ」

 

「・・・・・・見つけたぁ!!」

 

 アザゼルの言葉を裏付けるように、鬼気迫る表情で女子生徒たちが屋上へと参上してきた。

 

 イッセーの表情がひどいことになる。

 

 まあ、どう考えても集中攻撃を受けるような状況下になれば成るだろう。

 

「し、し、死んだぁあああああああ!?」

 

「ああ、まああいつらの間では死んだようなもんだな」

 

 俺は正直ためいきをついた。

 

 うん、危なかった。

 

「やっぱりひどいことになってる!! ってことは・・・」

 

 だが、女子の視線は一瞥しただけで終了して、アザゼルへと非難の視線が向けられる。

 

「アザゼル先生!! よくもやってくれたわね!!」

 

「エロ兵藤はどうでもいいけど、なんてことしてくれるのよ!!」

 

「女の敵!! 許さない!!」

 

 続々と集められる狂暴な視線。

 

 ・・・まあ、こうなるよなぁ。

 

「お、おいおいおいおいどういうことだ!? なんでイッセーじゃなくて俺が狙われてるんだ!?」

 

「そりゃお前のせいだからだろ。二重の意味で」

 

 動揺するアザゼルに俺は種ばらしをすることにした。

 

「いや、記憶処理のことに気付いたからちょっとアーチャーと一緒に出張ったんだがな、お前のせいでマジ大変だったんだぞアザゼル。・・・あ、このへんの会話のシャットアウト可能かアーチャー」

 

「ええ、まったくね」

 

 ためいきをつきながら、アーチャーもこっちに来てくれた。

 

「なにもしないでいてくれれば制服の修復したうえで特に後遺症もなくすっかり忘れて気絶していたことにも違和感を覚えさせずになかったことにできたのに、誰かがひどいことをしてくれたせいで微調整しかできなかったわ」

 

 ああ、まさかなにもしなければそこまで完全に記憶を誤魔化せるとは俺も思わなかった。

 

「その辺はマジお疲れさん。ま、そういうわけでもっと事実に忠実に記憶を書き換えるしかなかったわけだ」

 

「な、ど、どういう風に書き換えた!?」

 

 既に思い当ったのか、アザゼルが狼狽して後ろに下がり始めている。

 

 まあ、言ってやるのが情けか。

 

「アザゼルが作った新薬を飲んだイッセーが暴走して凶行に及んだ感じだ。・・・ああ、念のため数時間の間彼女たちはイッセーがキカイ○ー見たいな半分で赤青しっかり分けられた酷い顔色で目が紫色に濁った状態で泡吹いて痙攣しているように見えるようにしたからさすがに死体に鞭打つ真似はしないだろ」

 

 うん、用意周到。

 

 それにしたってイッセーはどうでもいいとかちょっと酷い気がする。

 

 現実にいれば即救急車を呼ぶぐらいのレベルだから、後で気づいて別の意味で警戒していたんだがなぁ。ちょっと君たち冷血すぎやしない?

 

「追加でいえば私達の会話は当分の間意識できないように調整済みよ。兵夜がボロをださずにネタばらしできるように頼んできたからそれぐらいわねぇ」

 

「サーヴァントパネェ!? ど、どこが弓兵(アーチャー)だ!!」

 

 アザゼルが目をむいて大声を張り上げるが、俺は遠い目をしているだろうな。

 

「本当に同感だよ。アーチャーとして召喚された以上、魔術師としてではなく遠距離攻撃者としての能力がメインとなって再現されるはずだからな」

 

 それでここまでの暗示魔術の行使とか、チートにも程がある。

 

「く、クソが!! 宮白! お前俺に何の恨みがある!!」

 

「恨み? なにを言ってんだお前」

 

 そんなことをいまさら言われても困る。

 

「イッセーを無理やり実験台にしたうえにこの仕打ち。イッセーの守護神である俺が見逃すと思ってるのか?」

 

「さっき俺を助けてくれたのはなんだったんだ! 裏切ったな!!」

 

 いや、あれはそういう意図があったんじゃなくて。

 

「ちゃんと被害者(女子たち)の分も残しとかないとかわいそうだと思ったんだよ。ほら、殴るに殴れないってかわいそうじゃん?」

 

「俺に! お・れ・に! 俺に気を使えよ!!」

 

「だが断る」

 

 諸悪の根源にはしっかり被害を受けてもらわないとな。

 

「まったくだなぁ? ファックな総督はちゃんとファックな目にあってもらわなくっちゃなぁ?」

 

 ・・・なんだ、この殺意は!?

 

 俺としたことが鳥肌が立ちやがった! 後ろを見ればイッセーも蒼い顔をしている。ギャスパーにいたっては目が虚ろになっているし、コレもう気絶してるんじゃないか?

 

 

 カツ・・・カツ・・・カツ

 

 そんな擬音を響かせながら、人影が新たに屋上へとやってくる。

 

「人が目を離している隙になーにやらかしてんだぁ? ア・ザ・ゼ・ル?」

 

 額に青筋を浮かべた小雪が、ものすごいオーラを放ちながら俺達の目の前に現れる。

 

 ・・・これ、ヤバくないか?

 

「ほらお前ら。アザゼルをボコるならこれ使え」

 

 そう言って放り投げるのはメイスにモーニングスターに錘に狼牙棒と凶悪な鈍器の数々!?

 

 分からない武器の名前はネットで調べてくれ! とりあえず凶悪な鈍器の数々だと思えばそれで十分だぞ!

 

「ちょ、ちょっと待て!? お前それ明らかに凶器!?」

 

「ああ、安心しろ。これは特別製で百回ぐらい叩きつけてもアザゼルは死なないから」

 

 ビビりまくるアザゼルをあっさり無視して、女子たちを鼓舞するかのように宣言する小雪。

 

 まあ、最上級堕天使ならたかが一般人の女子が凶器使ってぼこった程度で死ぬわけがない。そういう意味では嘘は一つたりともついていないな。

 

 しかも暗示の影響で判断能力が少し低下しているはずだし、女子たちは躊躇うことなくそれを使うだろう。

 

「少しだけゴメン。頑張って生きろアザゼル」

 

「全力で謝れ! これ俺どうなるんだよ!? クソッ! こうなったら全力で逃げてやる!!」

 

 さすがにヤバいと判断したアザゼルが身をひるがえして逃げだそうとするが、その襟をナツミがしっかりとつかんだ。

 

「ダメ、ボク、キサマ、ニガス、ナイ」

 

「な、なんで片言に・・・ぎゃぁあああああああああああああああああああ!?」

 

 夕暮れの校舎に、諸悪の根源の悲鳴が響き渡った。

 

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