ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド   作:グレン×グレン

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Ifルート もし兵夜の令呪が定番の右手の甲にあったら。その二

 

 

 俺が呼び出しちゃったサーヴァントと、コカビエルの激突。

 

 放たれる魔力弾と光の槍は、一瞬で雨あられとなって周囲を破壊していく。

 

 や、ヤバイ! コカビエルの奴、ナツミと戦ってた時より本気出してないか!?

 

 弾幕の数が明らかにさっきより増えてる。

 

 そして、其れをサーヴァントは障壁で弾き飛ばすなり撃ち落とすなりして迎撃する。

 

 こっちを庇いながらも高速で飛び回って、コカビエルに狙いを付けさせないようにしながらだ。

 

 アイツ、まだ状況も分かってないのにこっちを庇ってる。

 

 様子を見てたのなら、聖杯は確実に手に入らない事だって分かるだろうに……っ!

 

「イッセー! 場合によってはもう一度禁手に目覚めてもらう! 覚悟だけはしてくれ!!」

 

「お、おう! 最初からなる覚悟はしてたけど―」

 

「なら重畳!」

 

 俺は流れ弾に気を付けながら、Targetの場所に走りこむ。

 

 探すのは、あの戦いで取り落とされたであろうエクスカリバー。そして、幸い無事な姿で確認された。

 

 急いで走って駆け寄ると、俺は懐に入れていた宝石を取り出す。

 

 聖剣使いから引き出した何かを込めた宝石。おそらくこれが聖剣使い量産の種だ。呑んで全身に浸せば聖剣を使えるはず。

 

 リスクはでかい。だがやるしかない。一応一つはいけた。

 

 俺は覚悟を決めて飲み込むと、即座にエクスカリバーを掴む。

 

 発動させるのは擬態の聖剣(エクスカリバー・ミミック)。そして形状を変化させる。

 

 形状を自由自在に変える事が出来るのなら、態々慣れてない剣の形で運用する必要はない。

 

 そして、俺如き下級悪魔の肉体で最上級の堕天使の攻撃を耐えれるわけがない。

 

 なら、答えは一つだ。

 

 全身に纏う鎧にしてカバーする!!

 

 一瞬でそのイメージにエクスカリバーは答えてくれた。

 

 お前もこんな戦争狂に使われてイラついてたか? なら、一回意趣返しでもしてやろうか!

 

「……サーヴァント! たぶんキャスターだろうが、こっからは俺も手伝わせてもらう!!」

 

「アーチャーよ!」

 

 マジか。魔術師的な見た目してたから、キャスターだとばっかり。

 

 まあそんなことは後でいい!!

 

 俺は鎧を纏って駆け出すと、コカビエルに殴り掛かる。

 

 いや、拳の先にブレードを展開してるので突きかかるでもいいけどな!

 

「エクスカリバーを鎧に変化させるか! 面白い発想をする!!」

 

「そりゃどうも!!」

 

 コカビエルに拳は迎撃されるが、しかし注意は一瞬それた。

 

―今のうちに状況を把握してくれ。後ろの赤い髪の女は俺の主だから味方だ

 

―分かったわ。五分頂戴。

 

 五分か。エクスカリバー様、マジで頼むからな。

 

 俺は全身から刃の触手を展開すると、一斉に攻撃を加える。

 

 コカビエルも面白がったのか翼でそれを迎撃しながら、攻防を開始した。

 

「あれが噂のサーヴァントとやらか! あれだけの猛者、グリゴリにもそうはいない」

 

「そりゃ、俺らの世界の人類の最高到達点だからな!!」

 

 人がなれる最高峰の霊的存在。それは人間の一つ上のステージだ。

 

 堕天使如きとまともに戦えないでどうしたもんだって話だからな。

 

 とはいえ、この攻撃を捌くのは流石にキツイ。

 

 既に鎧に何回か攻撃が掠めている。この調子だとパターンを読まれてもろに喰らうのも時間の問題だな。

 

 せめてもう一手欲しいところなんだが―

 

「実質援護します!!」

 

「サポート入るよー!」

 

 と、ベルと久遠が左右からコカビエルを攻める。

 

「先程の乱入者と輝く腕か! 面白い!!」

 

 コカビエルがさらにテンションを上げて、攻撃速度を速める。

 

 んの野郎、まだ手を抜いてやがったのか!!

 

「気合を入れろお前ら! 後で奢ってやる!!」

 

「ありがとうねー。じゃあ、久々に全力で切り刻むよー!!」

 

「食事にはあまり興味はないのですが。でもお気遣いは実質感謝します!!」

 

 どんどん上がる攻撃の密度を、俺達は一斉に死ぬ気で防ぐ!

 

 あ、後一分ぐらいなら何とかなるか? 本当にそれだけでどうにかなるんだろうな!!

 

 くそ、これが堕天使幹部の本気ってやつか。ライザーとは次元が違う……っ。

 

 だが、それでも―

 

「マスターがサーヴァントのサポートもできなくてどうすんだよぉ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ええ、おかげで何とかなったわ」

 

 その瞬間、コカビエルの足元に魔方陣が展開された。

 

「下がりなさい、巻き込まれるわよ!!」

 

 その言葉に俺達はバックステップを入れる。

 

 そしてその直後、コカビエルの動きが止まった。

 

「う……動けん!?」

 

 コカビエルが戸惑う中、アーチャーは息を吐くと微笑を浮かべる。

 

「あなたからの魔力供給が意外と低いので手間取ったわ。でも、これでそいつは動けない」

 

 マジか。すっげえな俺のサーヴァント。

 

「動きを封じた程度で勝てるつもりか!? 俺はまだ光力を放てるぞ!!」

 

 え、そっちはできるのか!?

 

 俺が振り返った時には既に何十本もの光の槍が展開されて今にも放たれそう。

 

 が、その瞬間光の槍を魔力の砲撃が貫いた。

 

「でも、攻撃速度は遅くなるでしょう? それなら撃ち落とす余裕はできるわ。そして―」

 

「―俺も思う存分ぶん殴り放題ってな」

 

 アーチャーの言葉を引き継いで、イッセーがコカビエルの前に立つ。

 

 その目は怒りに燃えていた。

 

「覚悟は良いかよコカビエル」

 

 静かに腰を落とし、渾身の力を込めて殴り飛ばせる状態になる。

 

「幼馴染のイリナをボロボロにして、俺の大好きな町を滅ぼそうとして―」

 

 それは渾身のテレフォンパンチ。本来のコカビエルなら確実にかわせる一撃だ。

 

 だが、今のアイツは動けない。

 

 なら、やるのなら攻撃力重視の一撃に徹するのが最適解。それも他のことは全く考えないのが一番だ。

 

 ゆえに、倍加は完全に高めている。

 

「―俺のダチをくだらないもの扱いして、ただで済むと思ってんのかぁ!!!」

 

 ―ゆえに、叩き込まれたボディーブローはろっ骨を五本はへし折った。

 

 これはキツイ。流石のコカビエルもここまでで―

 

「な……めるなよ、餓鬼ぃ!!」

 

 だが、コカビエルは渾身の力で無理やり右手を動かすと、イッセーの喉を掴む。

 

「ぐぅっ!?」

 

「認めよう、俺の負けだ! だが、せめて冥途の土産に赤龍帝の首は貰って―」

 

「あらあら。鴉風情が何を言ってますの?」

 

「その子は私のものよ。汚い手で触れないで頂戴」

 

 そのイッセーの首の左右から、二人分の綺麗な手が伸びた。

 

 その手からは驚異的な質の魔力と雷が漏れ、しかしそれは本当に余波でしかない。

 

 ………うっわぁ。まず譲渡してから更に殴る分の倍加かけてたのか。

 

「……おのれ、バラキエルとルシファーの娘如きが―」

 

「いいから―」

 

「―消し飛びなさい!!」

 

 そのまま、雷と魔力の二重砲撃がコカビエルを包み込んだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 その戦闘を、終始確認していた勢力がいた。

 

 そのメンバーは三人。

 

 神の子を見張る者(グリゴリ)最強クラスの戦力である、奇跡を体現する存在。魔王の末裔たる白龍皇、ヴァーリ・ルシファー

 

 それを条件次第では一瞬で戦闘不能にする、お目付け役のハーフ堕天使にして転生者。青野小雪。

 

 そして最後の1人。堕天使の研究者にして獅子身中の虫。禍の団(カオス・ブリゲート)の幹部の一人。フィフス・エリクシル。

 

 其の三人は、遥か上空でその戦闘を見物していた。

 

「おい、どうすんだ終わっちまったぞ」

 

 小雪は、素性を朱乃から隠す為につけていたフルフェイスヘルメットを外して、ヴァーリに文句をつける。

 

 本来ならすぐにでも割って入りたかったが、しかしヴァーリが止めに入った所為でこの様だ。

 

 幼馴染である朱乃が無事なのは良かったが、イレギュラーがなければ死者が出ていたかもしれない。

 

 それを阻止する為にもすぐにでも介入しようとしたのだが、コカビエルとグレモリー眷属がどう戦うのか見たがった戦闘狂(ヴァーリ)の所為で介入ができなかった。

 

 即座に戦闘不能にしたいところだが、しかし小雪の本領は暗殺者。

 

 真正面から戦闘という土俵になってしまえば、小雪ではヴァーリは倒せない。

 

 そして、コカビエルを倒せるだけの戦闘能力の持ち主はヴァーリだけだと小雪は認識している。

 

 つまりどうしようもないわけで。

 

 ゆえに、この結果は小雪としては想定外だがラッキーとも言える。

 

 だが、神に子を見張る者としては別だ。

 

 今この状況では介入は困難と言ってもいい。

 

 既に乱入者によってコカビエルは魔法的な何かで拘束され、もうどうしようもない状況に陥っている。

 

 その近くではシスターによって朱乃達が治療されており、かつエクスカリバーを纏った者はリアス・グレモリーに抱きしめられている。

 

 とても介入できる状況ではない。

 

 何より、コカビエルを僅かな時間で無力化した戦力が相手では、ヴァーリですら強引にコカビエルを持って行く事はできないだろう。

 

「さて、フィフスはどうすんだ?」

 

 小雪からの非難の視線を華麗にスルーして、ヴァーリは最後の一人の意見を聞く。

 

「……想定外だな、これが」

 

 フィフスは、そう呟いた。

 

「ああ、確かにファックに想定外だな。あんな実力者がグレモリーの子飼いだなんて聞いてねーぞ」

 

「俺としては一戦交えたいが、そんなことになればアザゼルに怒られる。ここは魔王ルシファーに任せる他ないか」

 

 小雪とヴァーリはやれやれといわんばかりの態度だったが、しかしその言葉はフィフスの耳には入ってこない。

 

(……最悪だ。よりにもよってサーヴァントが召喚されているだと? 奴は御三家の血縁が転生したのか)

 

 フィフスの頭の中では、この状況があまりにも危険であるという事が理解できた。

 

 なにせ、あのサーヴァントが使ったのは彼のよく知る魔術だ。

 

 それも自分の時代の魔術師なら、相当の礼装を用意しなければ放てないような高い質と高い魔力と高い技術を必要とするレベルの代物。断じて速射で放っていいようなものではない。

 

 あれほどの魔術師ならば、何故自分が召喚されたのかという事にも気づく可能性が高い。

 

「………急いで帰るぞ。アザゼルに早く説明した方がいいだろ、これが」

 

 そして、すぐにでも禍の団にも説明しなければならない。

 

 フィフスはそう考え、すぐに踵を返した。




イッセーが疑似禁手に至ることなく難なく撃破。コカビエルざまぁ。

まあ、魔力供給量の問題さえなければ、接近戦に持ち込まれない限りはアーチャーなら勝てたでしょう。それぐらいD×D世界で召喚された彼女は強いです。人間の魔法使いは彼女の戦闘では勝てないぐらいの化け物として設定しております。









そしてフィフス、ガチ焦る。

ざまぁ

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