ハイスクールD×D 転生生徒のケイオスワールド 作:グレン×グレン
サーヴァントを前方に立たせて後退するレイヴン。
聖杯戦争という戦いにおいては間違いなく定石と言える行動だ。基本中の基本といっても過言ではない。
―兵夜、聞こえるかしら?
念話でアーチャーが俺に声をかけてくる。
そういえば近くにいないが、どうしたんだ?
―今は、私とアザゼルが大量にいる連中を相手にしているわ。
なるほど、外側にも何人もいるということか。
今回の和平で悪魔祓いの類はお役目ゴメンになったといってもいいし、相当の人数が協力している可能性は大きいな。
―だけどイッセーにアレを持たせたから使いなさい。どちらにしてもそれが戦闘の基礎になるし、それぐらいはやってもらわないと私が困るわ。
ああ、分かってる。
「イッセー。アーチャーから渡された奴をくれ」
「お、おう。でもこれどうすんだ」
戸惑いながらイッセーが渡してきたものを以って、俺は苦笑する。
それは、明らかに鈍らだとわかる片手剣だった。
装飾は豪華だがその程度で、どう考えても実戦での使用を前提とした武装ではない。
「・・・悪いが、アーチャーを呼び出す隙は与えないよ? セイバー、切れ」
レイヴンがセイバーに指示をだし、剣の英霊はそれに応える。
文字通り目にもとまらぬ速さで切りかかる。
だが遅い。切りかかろうとするより僅かに早く、機動は完了している。
振り下ろされる剣を、青い鎧が迎え撃つ。
「・・・まさか、こんなに早くお披露目するとはな」
受け止めるのは神聖さすら感じさせるほどの聖なるオーラを纏った鎧。
その姿は剣をほうふつとさせ、必然的に防御よりも攻撃に重きをおいた性能を思わせる。
そして何よりもその姿は、グレモリー眷属にとっては見覚えのあるものだろう。実際皆目を丸くしている。
「み、宮白? お前、返却したんじゃなかったのか?」
中でも関係があったゼノヴィアが度肝を抜かれているが、別にこれは本物じゃない。
「安心しな。これは贋作だよ」
正直受け止めながら話すのはおっくうだが、どうせならネタばらしは盛大にいきたいものだ。
そう、かの伝説の聖剣は確かに返却した。だが、それはあくまで核である破片の話であり、崩壊した残りの部分はそのまま遺棄されている。
それを回収して何かに利用できないかと思ってはいたが、アーチャーのおかげで光明が見えた。
破片そのものを統合して再生成することで形を整え、その際にもう一本の破片も混ぜることである意味で元の状態より完成度を整える。
さらに、聖杯戦争というイレギュラーを利用して核の代用として『能力を強化する』悪魔の駒のベースマテリアルを用意してもらって利用。
そして魔術礼装化により強化魔術によるそれぞれの特性再現度を強化できるように調整。
本来キャスターであり、遠距離攻撃に特化した状態で召喚されたアーチャー。その前衛という今後に置いて必須の役割を果たすための魔術礼装・・・!
「対英霊前衛戦闘用魔術礼装、
フルパワーでセイバーを弾き飛ばし、そのまま両腕からブレードを展開して突進する。
「いっくぜぇえええええええ!!」
両腕のブレードとセイバーの剣が真正面からぶつかり合う。
そのまま一時的につばぜり合いを行った後、恐ろしい速度での切り合いを続行する。
天閃の速さで何とか切り結ぶほどの近接戦闘を行っているが、それは時間稼ぎにしかならない。
仮にも相手は剣の腕によって英霊へと昇華された存在。ましてや、セイバーのサーヴァントは他の能力もある程度の高さを必要とされる。
そんな存在を相手に戦って長時間も持つとは最初から考えていない。あくまでこの鎧の主目的は敵をアーチャーに近づけさせないことだ。
そう、これ単体で英霊に勝てるなんて最初から思いあがらない。
頼むぜ皆・・・!
祐斗Side
宮白くんとセイバーの戦いは見ない。
彼は最も危険な戦いを引き受けてくれたのだ。ならもっとやらねばならないことがある。
「・・・やれやれ、まさかあんな奥の手を用意しているとは思わなかった。アーチャーに道具作成のスキルは無いんだけどね」
背中から死体でできた腕を伸ばしつつ、レイヴンが向かい合う。
死体を材料にして魔術に使う品を開発するという死霊魔術師、聞いただけで不愉快になる存在だ。
「悪魔に堕ちた身とはいえ、死を冒涜する所業は神に仕えた物として見過ごせないな。・・・ここで討ち滅ぼしておこうか」
デュランダルのオーラを抑えることなく放出しながら、ゼノヴィアが一歩前に出る。
死体を扱うという時点で、元教会の人間であるゼノヴィアには耐えがたい所業なのだろう。怒りに燃えているのがよくわかる。
「キミらの仲間も心得はあるんだけどねぇ。・・・まあいい。君たちはみな金の卵。・・・いい材料になりそうだ!!」
二対の腕から魔力弾が一斉に放たれる。
僕らは飛び退くようにして回避するが、なんとレイヴンは自分から接近してきた。
予想以上に早い。どうやら肉体も鍛えているようだ。だが・・・!
「これぐらいなら・・・っ!」
腕の一つを聖魔剣で迎撃する。
刃は食い込みこそするが、腕を切断するほどにはいかない。相当改造を施しているようだ。
連続で攻撃を叩きこむが、それらすべてを彼はたった一本の腕で防ぎきる。
禁手にいたってからも剣の修練は欠かさず行ってきた。少なくとも、パワーアップに調子に乗って腕を落とすようなまねはしなかった。
それでこの状況・・・。本気のひとかけらも出せないのか・・・!
「禍の団で聖杯戦争のマスターになるのは一つの条件がある」
すべての攻撃をしのぎながら、レイヴンができの悪い生徒に物を教えるかのような口調で伝える。
「最低でも上級悪魔を打倒できるだけの戦闘を可能とすることだ。下級悪魔に後れをとるわけにはいかないよ、君?」
講釈と共に遊びは終わりだとでもいうのか、さらに一本の腕に力が込められる。
なるほど、確かにそう言われればそうだろう。
ある意味で切り札の一つを馬の骨に与えるわけにはいかないだろう。
だが、甘く見ないでもらおう。
「・・・リアス・グレモリーの騎士は二人いるぞ!!」
僕らは一人じゃない!!
頭上から切りかかるゼノヴィアの攻撃に、レイヴンは攻撃に使用しようとした腕を防御に回す。
圧倒的な破壊力を発揮するデュランダルを、しかしその腕は僅かに切りこまれるだけで防ぎきる。
「今回持ってきているのは、聖剣使いの肉体をベースに開発した、聖剣制御能力を持った腕だよ。・・・グレモリー眷属を相手にする可能性がある以上、当然相応の武装は用意するさ」
得意げに語るレイヴンはさらに残りの二つの腕を広げる。
しかしそれは、挟み撃ちするように放たれた消滅の魔力と雷を防ぐのに使われた。
「人のことを忘れてもらっては困るわね?」
「あらあら、放置プレイとはひどいですわ?」
これで四本全て封じた。
残るは本体のみ!
「・・・終わり」
間を縫うように飛び込んだ小猫ちゃんの蹴りが、レイヴンに叩きこまれる。
レイヴンも自分の腕を使って防ごうとするが、防ぎきれずに壁に叩きつけられる。
そして、それだけの隙ができれば後は止めだ。
今までのすべての時間を攻撃のためのチャージに使っていた、僕らのエースの出番がやってくる。
「喰らいやがれ、ドラゴンショットォオオオ!!」
しっかりチャージされた竜の一撃。下手な上級悪魔をはるかに上回るそれがレイヴンに叩きこまれた。
Side Out
セイバーの攻撃はあまりにも恐ろしかった。
確かにこの鎧によって俺の身体能力ははるかに向上している。構成されている聖剣の中には攻撃力上昇と機動力上昇がある。瞬間的になら、攻撃力と機動力なら最上位の英霊にだって届くだろう。
だが、相手は正真正銘の英霊だった。
その剣術は卓越しており、常に警戒しているはずの俺の、それでも存在する隙を見事についてくる。
既に鎧は何回も破損し修復しているが、このままではとても追いつかない。
ああ、さすがになめてかかっていたか。
両手から別々に繰り出されるこちらの攻撃を剣一つで防いでいるにもかかわらず、さらに反撃するだけの余裕が存在しているのだから。
それも、おそらくは宝具の効果をまだ出していない。
完璧に舐められている。
それだけの超高速剣技を相手にして、しかし俺はあきらめない。
あきらめれば後ろにいるフィネクス卿はもちろん、イッセー達や雪侶にすら危害が及ぶ。
今の俺だけが、奴を抑え込むことができる唯一の切り札だ。
擬態の聖剣を応用して、普通では想定できないだろう背後からも剣戟を走らせてみる。
あっさり見もされずにかわされるが、しかし攻撃の密度は確実に減った。
さて、これでとりあえずもう少し時間はかけられるがどうしたものか・・・。
その瞬間、壁を突き破ってレイヴンが飛び出してきた。
なんかビームっぽいものを浴びていたが、あれか、ドラゴンショットか。
「悪い宮白、そっち言った!!」
イッセーの声が聞こえてくるが、それはいとしてシャットアウトする。
今はセイバー以外にこれ以上意識を差し込むことなどできはしない。
「ふむ、僕も相応の戦闘経験は積んできたが、よもやここまでやれるとわね。・・・これ以上は危険か」
剣戟を繰り返す中、レイヴンの声が聞こえてくる。
「・・・破壊しすぎて材料がなくなると困るから手を抜いていたが、さすがにそういうわけにもいかないね。・・・死んでしまえば研究ができなくなる」
とたん、セイバーの魔力が増大した。
「手加減無用だセイバー。・・・本気でいきたまえ」
セイバーの能力が全て増加し、そのまま一気に俺を押し切り―。
「人のことをあまり忘れないでくれないかね?」
その腕がいきなりつかまれた。
「まさか、片腕を失った程度でレーティングゲーム上位ランカーが黙っていると思ったのか。・・・悪魔を、舐めるな」
アポロベ・フィネクス卿が、その腕をしっかりと止めていた。
そして、それはあまりにも致命的な隙だった。
「
最短記録更新で禁手を発動した状態で神器を強化。
痛覚制御があるので激痛は無視し、全力の一撃を叩きこむ。
拮抗は一瞬。相性次第なら上級悪魔すら一撃で倒せる光の槍が、セイバーの脇腹を大きくえぐりなら後ろの建物にドでかい穴をあける。
そして攻撃はそれでは終わらない。
鎧の形状を強制変化、腕に収束させてさらにその力をすべて
「ぶっ飛べこの野郎!!」
不良相手に鍛えた全力の一撃を叩きこまれ、セイバーは思いっきり吹っ飛んだ。
これでセイバーとレイヴンの距離は大きく離れた。そして聖杯戦争に置いて上手くいけば最も簡単な方法は・・・。
「もう一発!!」
・・・サーヴァントよりはるかに弱いマスターを狙うこと!!
サーヴァントが吹っ飛ばされたことに呆然とするレイヴンを、ためらうことなく殺すために全力で放つ・・・っ!!
セイバーはまだ吹き飛ばされている。レイヴンも気が付いたようだがこれなら間に合わない。
奴が防御しようとするころには、槍は直撃し大きな爆発を起こしていた。
やけにあっさりセイバーをぶった押せたとお思いでしょうが、その理由は大きく分けて二つ。
1 舐め腐っていたレイヴンが、手加減させていた。
2 アーチャーの魔術とアザゼルの技術が融合されて突然変異を起こした。
アーチャーの魔術とアザゼルの技術の奇跡のコラボレーションは、グレモリー陣営に奇跡を起こしてくれる魔法の合言葉です。