鬼の一人旅   作:波美

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プロローグ
1話


ああ、これはきっと罰なのだ。

親友を、仲間を、自らの手で作った子供のような彼らを、大切で愛しい存在と交わした約束を破り裏切った愚かな罪人への罰なのだ。

果てしなく続く荒野の中、その身を異形へと変貌させた一人の男が誰に聞かれる事もなく静かに、しかし身を震わせる程の深い慟哭を零した。

 

 

 

* * *

 

 

 

ユグドラシル、というゲームがある。DMMO-RPGという仮想世界で現実にいるが如く遊べる、体験型ゲームのひとつであり最も人気であったものだ。広大な世界、膨大な職業、幾らでも弄れそうな外装…など、プレイヤーの自由度が異様な程広かった。

そう、空想と妄想を膨らませたような魔法だって、神話のような能力と威力を持つ武器だって、人外である容姿と類まれなる力を持つ異形の存在にだってなれる、そんな世界。

 

その世界で俺は人間や森妖精のような人間種でもなく、小鬼や豚鬼のような亜人種でもなく、鬼と呼ばれる異形種を選んでプレイヤーとして在った。その中でも上位種である鬼神である。その存在になるためにレベル上げや特定のレイドボスの撃破や取得アイテムや能力等条件をクリアし…まぁ細かいことはいいか。とにもかくにも、親友である男から誘われるままにこのゲームを始め、ユグドラシルでのプレイヤー名を『鬼神経津主』とする俺はとあるギルドに所属していた。ギルド名は『アインズ・ウール・ゴウン』。

そのギルドはプレイヤーが社会人である事と異形種である事を条件としている。まぁ、異形種の集団な訳だから他プレイヤーからはよく思われていない上によくPKに合う。やってる事が悪役染みてるのも敵視されるひとつだろうけど。それでも上位ランカーとして君臨していた実力者集団だ。俺も42人のその1人であったし、仲間と共に敵を返り討ちにしたり素材集めをしたり武器作成に勤しんだりと様々な事をやってきた。

 

ああ、こんな話は今はいいな。いや、でも"俺"という存在を忘れない為にもこれは重要な事だ。

楽しかった日々、掛け替えの無い仲間、自身の誇る強さと武器……どれもこれも大切なものだ。なのに……掌から零れ落ちる砂のように、ひとつふたつと消えてしまったのは何故だろう。あんなにも大切だと思っていたものが色褪せてしまったのは何故だろう。いつの間にか失っていたものを嘆いて、縋って、取り戻すべく彼の場所から背を向けたことがいけなかったのだろう。結局、俺は全てを失ってしまったのだから。

 

 

仲間を

居場所を

親友を

約束を

……命を

 

 

なのに俺は"俺"としてこの世界に生きて存在している。現実(リアル)でもユグドラシル(ゲーム)でもない全く知らない異世界に。誰もいないこの世界に。

あの日、俺は死んで……そしてこの世界で目覚めた。現実では確かに人間であった俺は、ユグドラシルでは鬼神として在った姿形と能力、装備を以てしてこの世界を生きている。

 




唐突な主人公語り!
種族の鬼についてはオリジナルです。参考は他作品ですが転スラをイメージしてます。
大まかな進化としては小鬼(ゴブリン)<大鬼(オーガ)→鬼人(キジン)→妖鬼≠悪鬼(オニ)→鬼神(キジン)みたいな?適当なのでふわっと流してください……(汗)

死んだ原因や親友、作ったNPCなどについては追々……。
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