暗黒文花帖   作:ヲリア

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エンディングです。
軽めにさらりとお茶漬け風味。


Ending. 勝った負けたは無粋の極み

ネテロの正拳突きを下駄で受け、反動で大きく空を飛ぶ文。

そのまま着地しようとするも、足に力が入らず、尻もちをついてしまった。

 

「あやや・・・もう力が入りません。私の負けですね」

「ふぅー、強者との闘いは心が踊るが・・・もうおヌシとはやりたくはないのぅ」

 

規格外の物量、本人の機動力、トドメにワンオフの具現化系を殺すカメラだ。

部位欠損以外の怪我・・・切断されたものが残っていれば治せるが・・・ならどんと来いだが、覚悟していたとはいえやはり百式観音が直らないのは痛い。

それでも、何も得られなかったわけではない。この闘いで得た経験はさらなる修行に活かせる。まだまだ強くなれるという実感をネテロは久々に得た。

 

「さて、ワシは帰るが、おヌシに帰る場所はあるのかね?」

「幻想郷に帰れればそれが一番ですが、そんなこと言っていられませんし、適当に山の中ですごしますよ」

「ふむ・・・おヌシが良ければワシらの所に来んか?歓迎するぞい」

文の力は人間にとって脅威だ。手元において置けるのならそれが一番だ。

 

「遠慮しておきます。人間社会に入れ込むつもりはないです」

「まあそう言うと思っとったわい。あとはあまり大事をおこさんようにな。いつの時代も上はうるさいもんじゃ」

「では、悪いことをする前には許可を取ることにしましょう。突撃取材もそれはそれで面白いのですが」

 

文はバサッと翼を広げ、宙に浮く。

「それでは私も療養するとしますか。ごきげんよう」

そう言うと文は、そのまま山の奥へと飛んでいった。

 

 

「・・・会長の立場としては来てほしくなかったが、まあ、正直に言えば楽しかったよ」

 

 

 

 

 

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後日、ハンター協会会長室。

 

『それで?例の妖怪騒ぎは解決したのかね?』

「私が出て対処しました。大きな危害を起こさないと約束させました」

ネテロは政府からの電話対応をしていた。

 

『約束?それではハンター協会は()()を排除できなかったと?それはそちらの力不足ということでよろしいのか?』

「この状態が最善だと判断したまでです。悪意を持たれて消息を絶たれるのだけはどうしても避けたかった」

『最善とは脅威が起こらないように無力化したことを言うのではないのかね?貴方の言い様はどうにも消極的に思える』

「ザバン市に出没した時点で対象がどの程度の能力を持っているかよくわからなかったのです。もちろん容易に対処できるものなら立会の最中に処理しておりました」

『それこそ蒸し返すことになるが、そちらの実力不足ということでしょう。会長でも厳しいのであれば、数を揃えてみてはどうですか?必要であれば我々の持つハンターに依頼しますが』

 

ハンターの中でも協会や政府からの依頼を専門に受ける、協会の斡旋専門、通称協専ハンターと呼ばれる者たちがいる。彼らもまたプロハンターであり、一定の実力を有しているものの、風評でも能力的にも、その評価は悪い。

依頼を勝ち取る能力がない時点でハンターとしては二流以下とされているからだ。

 

「お気持ちはありがたいのですが、総力戦に出たと判断された時点で逃げられてしまうでしょう。瞬発力や限定条件下ならまだしも、恒常的に対象に追いつける速さをもつハンターはおりません。また、耐久力も私の一撃を何度も耐えるほどです。拘束能力を試すにも、妖怪という種族にはまだまだ理解が足りていない。一か八かということでもよろしいのであれば今からでも実行しますが」

『我々はそんなことを言った覚えはないよ?まあそちらの事情はわかった。まだ()()が甚大な被害を及ぼしたわけでもないし、これから起こすわけでもないのなら強硬策を取らなくてもいい。ただ、約束を守らなくなった場合や、そもそも()()が日常的に摂取する食料が、我々が許容する範囲を超えているのなら、貴方がたの考える強硬策よりも良い策はある。そのときは・・・協力して頂けるかね?』

 

「・・・もちろん協力します。ですが、そんなときが来ないことを祈っております」

『であれば、次に先程話した被害の許容範囲についてだが・・・』

 

 

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「やぁーっと終わったわい」

「お疲れ様です、会長」

 

武において最強たる会長でも、こと政治関係は弱いらしい。

だが、有力なハンターを犠牲にしてまで文を討伐する強硬策に至らなかったのは、ひとえに彼女の性質に依るところが大きい。

彼女の腹を満たすのには人間が必要だが、別に食人に至る必要はなく、精神的なもの、畏れを得られればそれで充分。

多少の無為な犠牲を伴うものの、それを咎めるには多大なる犠牲が必要。それを主張するだけで、現状維持を推し進められた。

 

「それで?今話題の彼女は何処におるのかな?」

「どうやら療養は終わったようですね。今はハンター試験を合格したゴンさんに接触しているようです」

「全く、妖怪の回復力は凄まじいもんじゃ。念能力者でも全治2週間はかかるものを」

 

ちなみに勝手にゴンを取引材料に仕立てたジンは別の仕事に行ってしまった。

さらに言えば、とうのゴン本人はこのことを知らない。まあゴンも嫌などころか嬉しいほどなので、誰も損はしていないのだが。

 

 

 

 

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「えーっ!文ってネテロ会長と手合わせしたんだ!オレたちもハンター試験で会長とゲームしたんだけどさ、結局右腕を使わせるところまでしか行けなくてさ、文はどうだった?」

「ええ、私はやんごとなき事情であの人と試合しましたが、久しぶりに人間に負けを認めてしまいました。とても強い方でしたよ」

 

あの手合わせの際に申し訳程度に立場を隠していたが、文が出会った相手を特に調べないままにするはずもなく、その情報を集めた。その結果、ハンター協会会長であること、この世界の個の極地と呼べる実力の持ち主であることがわかった。

彼が人類の頂点だとしたら、おおよそ殆どの人間に対して勝てると考えられるが、得意な能力を持つ人間が跋扈するこの世界で事を起こすのは相応のリスクを伴う。

まあ、戦争を起こさずとも文は食料には困らないので、大事を起こす気はネテロに言われるまでもなくない。

 

「すごいなー!それってやっぱり文が妖怪だから?」

「ええそうです。まあゴンくんが天狗になったとして、あの人の域に達するには数十年はかかるでしょうがね」

「そんなー。でもオレ頑張るよ!」

「やっぱり今からでも妖怪になる修行始めませんか?」

「ううん、オレはジンに認められるような立派なハンターになってからでいいよ。それよりキルアはどうしたの?あんまり話したくないの?」

「・・・いや、その話だとあのジジイといい線いったってことだろ?感心してただけだよ」

 

内心キルアはビビっていた。ゾルディック家の教育によって自身より実力の高い者には手を出さないようにしつけられており、その差は到底埋められないものだと感じていた。

よって彼からはなるべく彼女を刺激しないように努めていたが、彼女からの誘いを突っぱねる親友の言動に、いつしかこちらにも敵意を向けられないだろうかと思っていた。

 

「(いいですねえ、この畏れ。強さを知って平伏するのは私にとって都合がいいです。ゴンくんについていって本当に正解でした)それで、今度はどちらに行くんですか?」

「えーっとね、ここ。天空闘技場って言うんだけど・・・」

 

彼らの旅は、一人の少女を加えて続いていく・・・・




これにて完結です。
感想をくれた方、誤字報告して頂いた方、
そしてここまで見て頂いた方々、本当にありがとうございました!
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