暗黒文花帖   作:ヲリア

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VR復刻版ゼノブレイド2転生INオーバーロードとか、あべこべ世界R18とか書きたくなったんですが、こちらがかけたので投稿します。

どう落ちをつけるか思いつかなかったので、次回の投稿は未定です。


Extra Stage. 幻の影をみた旅団

「まったく、あまりパソコンの前から2週間も離れさせてほしくないもんだね」

 

「あそこの鍵を開けるにはパスワードを見つけるか、ハッキングするか、物理的に打ち破るかしかなかったんだ。繊細な宝物で、壁をぶっ壊すときの衝撃で価値がなくなりかねないものだった。それはわかっていたことだろう?」

 

「わかってるよ。これはただの愚痴。誰かさんがうっかりアクティブな監視カメラの前に躍り出ちゃったせいで画像消去にずいぶんと手間取っちゃってねー。めぼしいものが先に取られちゃったらどうしようかと思っただけだよ」

 

 

「悪かったって言ってんだろ。そんなに離れたくないんだったら、その携帯で情報を受け取れるようにすればよかったじゃねえか。できんだろ?」

 

「できるにはできるけど、あまり機密情報を抜き取るパソコンに繋がってる端末を増やすと、位場所を逆探知されるかもしれないから、セキュリティ上やらなかっただけ」

 

「時間が惜しい思ているならととと作業するね」

 

「そーゆー言い方するんだー。今度携帯壊したときに直してやんないよ?」

とある廃墟にて、彼らは仕事からの帰還を果たしていた。

鍵を開けるとかぶっ壊すとか言う内容から察するに、まともな仕事ではないが。

 

彼らは幻影旅団と呼ばれている者たち。

猛者がはびこる裏社会の中でもトップクラスの念能力者によって構成される盗賊団である。

 

「うへー、2週間も処理してなかったせいでボックスの中がいっぱいだ。全部処理するなら今日のところはこれだけで1日潰れそうだ」

パソコンを弄っているのは情報担当のシャルナーク。

流星街出身でありながら最新の情報機器をも取り扱うことのできる能力はどこで手にしたのかわからない。

 

「おぉー、500件もあんのか。見出しだけ見て適当に処理しちまえばいいんじゃねえか?たぶんこれ定時連絡がほとんどだろ?」

着物姿で腰帯に刀を差しているのはノブナガ。

常は特攻役を任されているあたり、頭の出来は後方支援役と比べればあまり良くない。

 

「よくわかったねノブナガ。だからちょいとこのボックス全体にこの自作プログラムをかませると・・・」

時系列順に煩雑になっていた情報に星マークがつけられる。

常日頃、同じ時間に同じ内容でやり取りされている連絡は星が少なく、テンプレートを使わない、臨時連絡は星が多くなっている。

 

「すげえなこりゃ。どうなってんだ?」

 

「なぁに、過去に蓄積されたデータから似通った内容と時間に送信された情報は優先度を低く、真新しいものとか簡潔すぎる文章は優先度を高くするようにコンピュータに学習させたのさ。結構苦労したんだぜ?」

 

「何やてるか全くわからないね。まあシャルが楽できてるならそれでいいね」

特徴的な喋り方をしているのはフェイタン。

拷問が趣味なだけあって、知ることへの拒否反応がないあたり伸びる余地はあるが、さすがに専門外だったようだ。

 

「それでシャルナーク、とりあえずその星が一番多いやつを見せてくれないか?それが終わったらこの盗んだグラスとワインで乾杯といこうじゃないか」

そして幻影旅団のまとめ役、団長ことクロロ。

読書好き(ビブリオマニア)なだけあって、その知識量、頭の回転率は群を抜いている。

 

「そいつは楽しみだねっと。なになに、これは通話履歴か。一方がハンター協会会長室、もう一方が・・・海の上・・・船かな?」

 

「世界地図の端っこじゃねえか。なんだってそんな所に?探検隊か?」

 

「おおよそその認識で合っているだろう。ノブナガは世界地図を見たことはあっても、その外側のことは知らないようだな」

 

「団長は知ってんのか?」

 

「そうだ。前人未到の地、あまりの危険さ故に探索が進んでおらず、地図に書くことも許されず、ある一定の地位にある者のみが知ることができる、通称「暗黒大陸」。一般常識として知られていないのはその危険度だけではなく、その地を踏破した人が得られるリターンが飛び抜けてでかいから、無断でそれを奪われると国のパワーバランスが崩壊すると言われているからだろうな」

 

「そいつはすげえな。で、その探検隊はなんて言ってんだ?」

 

「さすがに会話情報まではセキュリティレベルが高くて盗めなかったみたいだ。でも、同時に何かしらの数値データがハンター協会に送られたみたいだ。これは・・・位置座標と時間か。それも2つ」

その座標データを世界地図に写すと、1つ目は地図の外側、2つ目は船を通り過ぎる形で陸へと向かっていた。

 

「これはどういうことね?救難信号でも受信したか?」

 

「なるほど・・・航海の途中、暗黒大陸から何かしらの物体が飛来、それを目にした船員は会長室へ報告を開始した。これを用いておおよその到着位置や時刻を割り出すために送られたと考えるのが自然か」

 

「さすが団長話が早い。画像データが送られた形跡があるけど、その物体を捉えたものと考えていいかも」

クロロの予想は完全に的中していた。

その位置情報は、文が魚に擬態した調査隊の船の上を通り過ぎたときに送られたものであった。

 

「てゆーかこれ、ちょうど俺たちが外出したときと同じ日付じゃねーか。タイミング悪いな」

 

「それにこれが同じペースで移動するとしたら、10日前にはこの国に着いているって計算じゃないか?」

 

「宝石をくくりつけた渡り鳥でもない限り、我々の獲物ではないね。お宝と結びついていないならそのプログラムは欠陥品ね」

 

「いや、そうとも限らない。先程言ったとおり、暗黒大陸には莫大なリターンが存在すると言われている。それは何も資源に限らず、その地に生きるもの全てがリスクでありリターンになり得ると考えてもいい。記録から見るにすでに"収穫"は終わって徒労に終わる可能性は高いが、何も知らないのはそれはそれでリスクだ。調べる価値はあると思うぞ」

 

「わかった。それじゃみんなが来るまでの間にネットで調べられるところまで調べてみるよ」

 

 

 

--------

 

 

 

「ということで、その後対象が着陸してからのハンター協会の動向を探って見たけど、手がかりなし。周辺地区の新聞やゴシップ誌まで調べたけど、これと言ったものはオレには見つけられなかった。以上」

時間差でアジトまで戻り、全員集合した幻影旅団。

暗黒大陸より飛来した謎の物体への対応は全員で議論すべき案件として、シャルナークが簡単なプレゼンテーションをした。

 

「一応聞いておくがシャルナーク、ハンター協会へのハッキングをやってるなんて俺は初めて知った。専門的なところはよくわからないが、相手はしっかりと情報閉鎖して来ているあたり、手慣れている。足はついていないだろうな?」

そう警鐘を鳴らすのはフランクリン。

性格は冷静沈着。熱くなる場面でも第三者視点で考えることができる。

 

「今回外出するにあたって情報はオフラインに蓄える設定にしていた。その中からあさっただけだから調べ物をする段階では危険は少ないんだ」

 

「この場合、シャルナークが嘘の情報を掴まされたという危険を想定する方がいいだろう。暗黒大陸からの飛来物という限られた者しかその価値を見いだせない情報であるが、凄腕のハッカーであれば知っているという前提で流されたとすれば説明はつく」

シャルナークの説明にクロロが補足を入れる。

 

「嘘だかなんだか知らねえが、調べるべきではあるんだろ?だったら調べて、やぶ蛇だったら殴り通す。俺たちだったら簡単だろ?」

脳筋の模範とも言える回答をしたのはウボォーギン。

ただし、並大抵の相手なら幻影旅団は暴力で解決できるため、タチが悪い。

 

「話が早くて助かるぜ。リスクリターンなんて考えるの面倒くせえからな」

ウボォーギンに同調するのは同じ強化系のフィンクス。

同じ初期メンバーとしてもやはり気が合うらしい。

 

「あまり驕るな・・・と言いたいところだが、あながち間違いではないのは頭が痛いところだ」

全身に包帯を巻いた男、ボノレノフ。

脳筋と同じ考えに至ったのがなんとも悔しいのだろうか。

 

「対象がお宝なのか調べるかどうか決めるところから、と言ったわね。私もこの強化系共に賛成よ。調べるリスクよりも調べないリスクのほうが大きいと思う。皆も同意見だと考えていいかしら?」

他人の嘘を見抜く、貴重な特質系の能力を持つパクノダ。

例え調査活動にカウンターを仕掛けてきたとしても、一人でも鹵獲できれば彼女の能力で確実に情報を得ることができる。

 

彼女の言葉に全員が肯定の意を示した。

 

「調べることで全員賛成、だな。なにか言いたいことがあるやつはいるか?」

 

「せっかく旅団全員が集まっているんだ。ここまでの話を聞いて何か心当たりがある者がいれば話を聞きたいな」

 

「心当たりがあるって言ったって、そいつの着陸予定日に俺たちは盗みに入っていて・・・あ。」

 

「この中でヒソカはハンター試験を受ける予定で不参加だったな。しかも試験会場は着陸予定場所近辺。すでに接触している可能性も高い」

 

 

「まだ何も話していないのにナチュラルにボクが嘘をつく前提で話を振られても困るんだけど♣」

道化師の格好をした奇術師の男、ヒソカ。

団長クロロと戦うために入団したという経緯を隠さなかったことで、団員からの信用は地に落ちている。

 

「何も知らないなんて言ったら私が触る。というか何言っても読ませてもらうわよ」

 

「ここまで嫌われると悲しさすら感じてしまうね・・・♥今回は素直に話させてもらうよ♠」

 

「今回は、とかいうところが嫌われる原因よ」

 

 

 

--------

 

 

ここは天空闘技場、200階。

「見知った顔がいると思ったら、ゴンくんとキルアくんじゃないですか」

 

「あっ、アヤだ!」

 

「げっ」

 

「なんだいキミは♣人の会話に割り込まないでほしいね♦」

 

ヒソカの目に見えたのは、ゴンの後ろにつく一人の少女。

初見では特に思うことのない、ただの一般人であった。

彼ほどの念能力の達人ともなれば、意識せずとも"凝"を使っており、そのオーラ総量を常に確認している。

念能力者であればごく少量であってもオーラを"纏"っている。彼女には何も見えなかった。

 

「ッ♠」

 

だが、ヒソカは確かな違和感を感じていた。

数々の戦闘によって彼の観察眼は優れている。どれくらい眼の前の相手が力を込めているか、どれくらいの力を込めればどのくらいの速度で動くことができるか、熟知している。

そんな彼から言わせてもらえば、目の前の彼女は"浮いて"いた。

まるで体重を持たないかのように、歩行の際に筋肉の収縮が見られない。

今一度オーラを纏っていないか確認しても何も見えなかった。

 

「・・・♥」

 

短いスカートから伸びる太ももを凝視する様は変態であった。

 

 

「(なんかゾワってした)今気づいたんですが、そこの道化師はお知り合いですか?」

 

「こんな存在感あるやつ相手に無視決め込むとかすげーなって思ってたけど、ホントに気づいてなかったのかよ」

 

「汗ぐっしょりですよ。拭うものぐらい用意してから運動したらどうですか」

 

「ちげーよッ!?・・・えっ?アヤは平気なのか?」

今なおヒソカからは200階に上がるゴンたちへ"洗礼"として、念能力に依る気当てをしていた。

 

「なんということもないです。彼のように影に生きる方の気は当たりなれています」

 

「へぇ・・・♦じゃあこれ、見える?」

そう言うとヒソカは人差し指を立てる。

その意図は簡単。念能力者が持つ技術の一つ、"凝"を使えるかどうかだ。

ヒソカの"凝"では彼女のオーラを見ることができなかったが、それは彼女が常に自身のオーラを隠している可能性があるからだ。

その事実は彼女が格上である可能性を秘めているが、彼はそれを考慮に入れるどころか、考え付きもしない。

彼は自身を最強だと自負しているからだ。

せいぜいが「うまく隠せているか、隠すための発を開発したか」と思う程度だ。

 

「視力検査ですか?1本みえますよ。これでも鳥目ではないと思いますが」

 

ヒソカは伸縮自在の愛(バンジーガム)をノーモーションで射出する。

"凝"から見えなくする"隠"は使っていない。だが、念能力に覚醒していない者には見えない攻撃だ。

 

粘着性を持った弾が目の前に迫る・・・だが、寸前で首をかしげることでその攻撃を避けた。

 

「見えてるじゃないか♠」

「不意打ちとは感心しませんね。ですがこう見えて動体視力はいいんですよ。やり合うならもっと広い場所のほうがいいでしょう?」

 

一触即発の危機の中、手が上がったのは意外な人物。

 

「アヤ。ヒソカとはオレがやりたいんだ。だから先に手を出さないで」

ゴンが文の手を引いた。

 

「・・・今、貴方は手も足も出ていないじゃないですか。それでもなお彼と闘いたいと?」

 

「うん。ハンター試験で借りを作られたんだ。だから、それをここで返したい。だから!オレはもっと強くなってヒソカに挑むんだ!

 

「強くなれる、と。彼にだって勝ってみせると、言ってるんですね?」

 

「当たり前だ!」

 

眼の前で啖呵を切られた文は眩しいものをみたかのように目を細め、ヒソカはゾクゾクと背筋を震わせた。

 

「で、あれば、私が勝手に手を出すのは無粋の極みというもの。おとなしく手を引くことにしましょう。さあさ、強くなりたいんだったらこんな薄気味悪い場所にいつまでもいるもんじゃありません。でてったでてった」

そういうと文はしっしっと手をふり、ゴンたちを追い払う。

 

「アヤは一緒に来ないの?」

 

「珍しいものを見たので少しばかり話を聞いてから行きます」

 

「わかった。またね、アヤ!キルア、行くよ?」

キルアは「あ、あぁ」と未だに茫然自失した顔つきでゴンと一緒に下に降りていった。

 

 

「はじめまして、ヒソカさん、でしょうか。私は射命丸文と申します」

 

「はじめまして♥ ヒソカ=モロウだよ♠ それで、話って?♦」

 

「大した話ではありません。少しばかり昔に地獄の妖精に"ぴえろ"なる者の話を聞きましてね。もう少しおどけたような方らしいのですが、あれは嘘だったのかどうか知りたくて」

 

「それは数あるピエロの顔の一つに過ぎない♥ おどけるピエロは奇抜な格好をしている♦ それを見たときに恐怖を感じる人がいたからこそ、恐怖の象徴としての道化師が生まれた♠」

 

「なるほど、地獄の妖精が嘘をついたわけではないと。ご協力感謝します」

文はメモを残してゴンたちの後を追うべく、きびすを返した。

 

「ボクからも質問いいかな♣」

 

「なんでしょう、手短に頼みますよ」

 

「ボクの見立てだと、キミ、人間じゃないだろ?♠ 見た目の体重の割に筋肉の運動量が少なすぎる♦ 最初は念を巧妙に隠しているのかと思ったけど、そういう反応でもなかった♥」

 

文の目つきが鋭くなった。

 

「あの目つきはただの変態ではなかったということですか」

 

「否定はしないんだね♥ まあボクとしてはキミが人間だろうがバケモノだろうがなんの関係もない♠ 等しく、ボクが闘いたいと思うか否かだ♣」

 

「そうであっても、"この世界"の醜い化け物共と一緒にしてほしくはありません。私は醜きを捨て可愛さを得た妖怪、清く正しい射命丸文です」

 

「そして今ボクは先約がある♥ キミにも約束があるだろうから、今回は手を引こう♠ ボクが手を出すまでその美しい花を散らさないようにね♥」

 

「だれが散らすか!あ、いや、貴方に手を出してほしいわけではありませんから、勘違いしないように!」

 

 




「ということがあったんだ♣」

「サイテーだな」

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