早めに投稿するべく、文字数が少なくなりました。完結後に結合したいと思います。
母熊の爪が立てられ、我が子を殺そうとする少年に向かってその腕を振り下ろしたその時。
少年の周りにあった白いもやの濃度が上がり、それは人の形をした煙になった。
チキル少年の目の前で煙人形は腕を頭の上でクロスさせ、強烈な熊の一撃を防いだ。
「えっ・・・何、これ?」
「無事か、ボウズ?」
山道を歩いてきたのは、巨大なキセルを肩に乗せた、サングラスの大男だった。
いつのまにか子熊はチキルの手を離れ、母グマの元へ帰って行った。
母グマはなおも報復しようとするが、大男がキセルを勢いよく地面に振り下ろして威嚇すると、踵を返していった。
「だ、誰?」
大男はチキルにつかつかと歩み寄ると、その手で思いきり(少年の目からすると)ビンタした。
「バカヤロウ!死にたくなきゃクマの子に手ェ出すもんじゃねえよ!」
「ご、ごめんなさい・・・」
チキルは痛む頰をさすりながら立ち上がった。
「強くなりたかったんだろう?なら、こんなところで死ぬようなマネすんじゃねえよ。あぁ、俺はモラウ。お前がチキル=ハーブだな?」
「どうして僕の名前を?」
「お前をさらっていったあいつのことを探していたからだよ」
ネテロはザバン市近郊で起きた事件、事故をどんな小さなことでも報告させていた。
その時、警察署の事情聴取はドンピシャだった。
すぐに詳細を調べるべく、ハンター協会に召集させていたところ、奴にさらわれた。
それを知ったネテロは同じく召集していたモラウに連絡を取り、モラウがすぐさま自身の念能力の
ザバン市上空に
山に降り立ったのを確認したのでモラウは登山を開始、見事チキルを守ることに成功したのだ。
「あいつって、シャメイマル=アヤのこと?」
「!?その名前は誰かから聞いたのか?」
「その人が教えてくれたんだ」
チキルはモラウに射命丸文との空の旅の中での会話を教えた。
天狗という妖怪であること。
畏れを得るという目的。
親から見捨てられた子供が連れ去られるというターゲットの共通性と理由。
それが死活問題ということ。
「シャメイマルは1週間後まで生きていたらけいこをつけてくれるって言ってた。ここで待ってたら来てくれるかな?」
「それは
「うわっ!」
そう言うと、モラウはチキルを米俵を扱うかのように抱えて下山した。
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モラウは念のためチキルを暗黒大陸からの帰還者用の診察室にぶち込み、ハンター協会でチキルとの会話内容をネテロとジンに伝えた。
「なるほど、シャメイマル=アヤと名乗る、天狗の妖怪?心当たりはあるかの、ジン?」
「妖怪ってのはジャポンにで語り継がれているバケモンの伝承だな。天狗ってのはよくわからねえが。畏れを得て生きているってあたりは間違いねえと思うぜ」
「畏れたぁ恐怖とは違うのか?」
モラウはその時はわかったふりをしていたが、正直に言えば話半分に聞いた内容をそのまま話しただけだ。
「似たようなものだが、厳密には違う。恐怖のほうの恐れは、自分の命の脅威に対して逃げ出したいとか、対処したいと思える気持ちだ。それに対して畏れは、脅威に対して抱く気持ちには変わりないが、そこには敬う気持ちもある。自分にはその脅威が襲って来て欲しくないが、世の中には欲しい啓蒙活動、みたいな感情か。だれが言い出したか知らねえが、かなりあやふやな意味の上、今じゃ使われない言葉だからな」
現代ジャポンには純粋に妖怪と呼ばれる存在はいない。伝承に残っている限りで、すでに忘れ去られてしまったものだ。
妖怪と称されるものはいても、人間に認知されなければ生きていけないような不安定な存在は、科学の発達した現代ではナンセンスだった。
多くの弱小妖怪は大人から子供に、「悪いことしたら妖怪◯◯に食べられちゃうよ」「夜更かししたら・・・」「人のものを盗んだら・・・」のように、教育的な一面を持っていた。そういったたとえ話で教育する時代が過ぎ去ったが故に、消えてしまったのだ。
「教育にいい奴ってことか。じゃあ奴、シャメイマル=アヤは放っておいてもいい奴なのか?」
「言いにくいからアヤにしよう。ちなみにジャポンでは姓を前に、名を後ろに言う。妖怪にもいい奴もいれば、悪いことしかしない奴もいるって話だ。それにアヤが伝承通りの妖怪とも限らねえ。なんせ暗黒大陸からやってきた化け物だし、念能力みたいな力を使う。さすがにハンターとして放置とはいかねえな」
鬼などは退治されるための存在と言われるだけあって、その思想や行動は悪そのものだ。天狗がそれに連なるものの可能性はある。
それに文が言った、親に見捨てられた子供を連れ去るのを繰り返されれば、孤児が生き残ることができなくなるし、どんな行動が「子供を見捨てる」と判断されるかわからない以上、そんな町に移住する大人もいなくなるだろう。
「何にしても、ひとまずは会ってみるのが一番じゃな。幸運にもアヤが理性的な存在ということは確認できたから、ジャポンから来た妖怪と同じなのかも含めて事情を聞き、交渉して代替案があるかどうか、無いとしてもどこまでがアヤが人をさらう基準になるかぐらいははっきりさせておいたほうがいいじゃろ」
「それで終わりか、ジジイ?」
ネテロが締めようとした時、ジンが口出しして来た。
「ここは密室だ、言いにくいことも言っちまっていいんだぜ?
「・・・まあお前らなら言ってもいいか。いずれアヤが暗黒大陸からやって来たことはバレるだろう。そうすれば他国からの干渉は逃れられん。場合によってはその場でアヤを殺すことももちろん考えておる。奴と会って、あまりにもリスクがでかいか、リターンがまるでないか、かつ、殺せるようなヤツじゃったらな。もしワシより強いってんなら、隠居して貰うしかないじゃろ」
殺す分には手はないことはない。人類最強最悪の武器として、
「話は脱線したが、後は会う方法だな。アヤはあの山とは別の山にいるって言っていた。俺の念能力、
「お主の
「餌って言えば奴が言ってた、親に見捨てられた子どもか。俺には心当たりねえが、なんか考えてるか、ジン?」
その言葉にジンは「一応な」と言って、ハンター協会のデータベースにアクセスし、今回のハンター試験に応募している名簿を呼び出し、年齢でソートした。
15歳以下の「子供」と言えるような志望者はいないと思えたが、確かに存在した。その中には、ある名前が存在した。
「俺はゴン=フリークスを親として見捨てる。あいつを俺の子として認めねえ」
これでオリモブキャラの出番は終わりです。
ようやく原作勢と文ちゃんを絡ませられる。