「ねぇ鮮花ー、外出てる間になにかあったの……?」
ルームメイトの瀬尾静音がガヤガヤ言っているが無視することにした。確か彼女は何日か前に私になんか良くないことがあったかを聞いていた気がする。私の未来でも見ていたというのだろうか。
翌日、私は礼園に戻る前に伽藍の堂へ向かった。
そこにはちゃんと橙子師がいた。
橙子師は自分の結界内に魔術師が来ているのに気付きとりあえずの措置として自分の形をした人形を置いたようだ。とりあえず大方は理解出来たというかなんというか。
しかしやはり解せないところがある。
橙子師の事ではない、兄のことだ。
兄は操作が解除された時私に気付かなかったのだ!
やはり私は式の事をライバル視してある。どう考えても兄のことでなのだが。
その兄はまず最初に式に気付き、私には気付かなかったのだ!
それだけが解せない……
静音は諦めず私に色々と聞いてくる。
そんな静音は無視する。
こういう事は寝て忘れるに限る。
ゆっくりと意識を沈めていく。
さて、おやすみ。
〈操作誘拐・結(偽) 了〉
「ねぇ式、僕は結局どうなっていたの?」
私の家に押し掛けてきた幹也は私にずっとその事を問うてくる。
別にいいじゃないか、終わった事だし。そう毎日のように思う訳だがこの質問も終わりにしよう。
「お前は魔術師に操作されてたんだ。自分の身くらい自分で守れ。」
「そうは言われても僕は乱暴なこと出来ないし……」
弱気になる幹也。
そういえばと思い出し橙子から貰った石を出す。
ルーン文字が刻まれている石。これはどんな効果なのだろうか。
「なぁ、これどういう意味か分かるか?」
こういうのはトウコに聞くのが一番なのだが今は幹也しかいない。ダメ元で聞いてみる。
「これは、鮮花が魔術を使う時に書いてる文字だ。多分火が関わる文字じゃないかな?でもなんでそんなもの式は持ってるんだい?」
「いやちょっとトウコに貰ってな。」
これは後から聞いた話なのだが魔術師は弱体化系のルーン文字が刻まれている石を渡すはずだったのだがそれを操作されていないトウコがすり替えたらしい。
今回の事件はトウコの能力に軍配があがったということだ。本当に
「恐ろしい人形師だよな。お前が惹かれたのもなんとなく納得できるよ。」
「ん?今なんか言った式?」
「何でもないよ、ちょっと独り言。」
独り言なんて珍しくないねと彼が笑う。
今日は夜の散歩は急遽中止だ。
代わりに家で彼とずっと話していよう。
だって最近ずっと彼とまともに話せなかったんだから。
〈操作誘拐・結(真) 了〉
実はこれが初めて長編で書き終えた作品です。
駄文ながらここまで読んで頂き本当に感謝しかありません。
これからの作品もよろしくお願いします!