一通り二人の身の上話を聞いたあと、彼女達をどうするか考えてみる。正直養うとなるとかなりキツい。むしろ不可能だ。そうなると、2人も塔に入って戦ってもらうことになりそうだ。しかし、戦闘能力やその補助という面では申し分ない二人だが、紛れもなく女性であり、そんな彼女たちを危険に晒すことに抵抗も感じている。
とりあえず、2人に聞いてみることにする。
「イヴ、レイ、聞いてくれ。言い難いことだが、正直俺一人で奴隷を2人養うなんて到底無理だ。だから、どっちか出来ればどっちも、『…End』に入って戦って、お金を稼いでほしい。」
資金稼ぎについてはこれまたゲームの『…End』とは違う仕様だが、分かりやすいものだ。
モンスターを倒すとお金と素材が手に入る。素材は売ればお金になる。まぁ、よくあるゲームと同じだ。
関係ないがゲームでは、イグの洞窟でも2つの階に別れており、1階をクリアすると一定数のGと、回復薬やモンスター素材などのアイテムが手にはいる。モンスター素材はどこぞのモン〇ンのように集めて武器や防具にすることが多い。(仕様の都合上売れない。)
希に、一定数の素材を持ってこいと言われることもある。いわゆる、クエストだとか依頼ってやつだ。
話がそれた…
「一緒に戦ってくれるか?」
2人は答えない。拒否だろうか…?イマイチ反応が掴みにくいが、2人の様々な気持ちを孕んでいるであろう視線を、じっくりと受けながら、小さい少女─レイであっているはず─は、その小さく柔らかそうな唇を開く。
「私はイヴ姉と一緒ならどこでもいい…です。」
うまく敬語を使いこなせていないような言葉を聞いて判断を任せられたイヴは気まずそうに目を泳がせる。
「た…戦います。私も戦わせてください!」
彼女の中でどんな葛藤がありどんな結論を持って答えを出したかは分からないが、やると言ったからにはきっちり準備をさせなくてはいけない。
役所で『…End』に入る為の許可証を貰い、武器を整える。幸い神の餞別とやらがあるので、そこまで金に困っている訳では無い。と言っても、雀の涙程だが…。
「2人のジョブって何?」
これを聞かないことには武器選びなんて始められない。
「えっと、私たちは亜人な上呪い子だったんです。」
呪い子?ゲームでは欠片ほども聞かなかった言葉だ。
説明を求めると、
「呪い子は、
「あー、そういえば、ジョブってどこで就けるんだっけ?ド忘れしちやったわ」
「えーと、普通は神殿ですけど、最近は最寄りのコンビニでも変更出来るようになったらしいので、就くことも可能なんじゃないでしょうか?」
コンビニで出来んのかよ!公共料金じゃあるまいし、なんで出来ちゃうんだよ!
「あ、でも、ジョブの進化は未だに神殿だけらしいですね。」
あ、そう…
コンビニにて…
「いらっしゃっせー」
そんなふうにやる気のない声とともにコンビニに入る。まさか異世界に来てまでコンビニを利用するとは思わなかった。コンビニさまさまだ。
「すいません、ジョブに就きたいんですけど…」
「あー、店長呼んできますね。…店長ー!司祭の仕事でーす!」
「あ、はーい!いらっしゃっせー。変更ですか?あー新規ですねー。こちらへどうぞー」
コンビニらしいやる気のない声とともに案内される。こんなやつが司祭で大丈夫なのか?
新規の場合はこれといってアイテムを使わないらしく、チートがあるせいで就けるジョブもほぼ強制で決まっているらしい。
「イヴさん出来ましたよー?あなたのジョブはアルティメットワイズマンです!」
「ブーッ!」
俺はコンビニで買ったコーヒーを思い切り吹き出した。それもそうだ、なんせいきなり究極職になれるなんて。
ソードマンやアーチャー、ソーサラーなんかは初級職と呼ぶ。これは基本中の基本。
次にソードナイトやスナイパー、ウォーロックと呼ばれるものが中級職だ。これは少し進化したものだ。
そしてソードマスターやホークスナイパー、ワイズマンと言うのが上級職であり、普通は最終ジョブである。
しかし、ゲームでもシリーズによっては究極職というものがある。上級職の前にアルティメットという修飾語がつく形だ。これは一定の条件を満たさないとなれない上なかなかなれないレアなジョブである。
俺はゲームで、全解放したから知ってるけど…。
とりあえず、ここでチートのことを聞くのは無神経だから帰ったら聞くとしよう。
「レイさんは…はッ!?何にでもなれる?」
おいおいまじか…超バランスのいいパーティの出来上がりかよ!
というわけでレイにはハンターになってもらう。やっぱり遊撃手がいる方がいいからさ…。
武器を買って(お陰ですかんぴんになった。)服を買って、必要なものを一通り揃えたので、家に戻る。
この研究所は見覚えがあるようなないような、そんな気がするが、まぁ、気にしないでおこう。
とりあえず、寝よう。そして明日から本気出す…
続く
次は戦うよ!