加蓮中間3位!!
奏Co5位!!
まだいけます! 二人そろっての総選挙CD出演、その夢が見えてきた!!
「みんな! 今日は来てくれてありがとう!!」
「まだまだこれからよ!! 私たち二人が、夢の世界に誘ってあげる!!」
明るく夢を広げる加蓮と、怪しく夢へと堕とす奏。アンバランスな二人による、不思議な調和によって成り立つライブステージ。
軽快な音楽と、突き抜ける歌声が会場中に満ちていく。
今日はダンスに力を入れているので、二人とも動きやすい衣装。パンツスタイルの奏と加蓮はお姫様というよりも、クールな踊り子。特に加蓮は普段、激しいダンスを中心にするのは珍しいからか、私としても新鮮な感想を抱く。
そんな二人に合わせて、観客が激しい歌に合わせてコールとサイリウムで盛り上げる。いつも思うことだが、彼らの存在というものは大きい。
私のいる少し離れた場所から見るサイリウムは、星々が輝いているようで。これほど美しいものがあるのか、と思わず目を奪われる。それはステージの二人も同じなのだろう会場のボルテージが上がるごとに、二人も目に見えて楽しんでいる様子が伝わってくる。
「それじゃあ、今日のラスト! いくわよ!!」
「最後までついてきてね!!」
二人の渾身の声。
そうして、今日もライブが終わる。きっと、私と同じように、今日の日を観客は忘れることはないだろう。
私たちの事務所は定期的に大型ライブを行っているが、それとは別にユニットライブも活発に行っている。今日は後者の方で、ファンクラブの会員を中心に行なったライブハウスでのイベントだった。
観客たちの満足げな顔を見届けて。私はいくつかの差し入れをもって控室へと向かう。入って言うのはいつもと同じ言葉だ。
「お疲れ!! 最高だった!!」
「もう! Pさん、いつも同じこと言ってるじゃない」
と笑っていう加蓮。そうは言ってもだな。どれだけ言葉を尽くしても、この言葉を超えることはないだろう。君たちのライブは最高だ。何時だって前回を超えていく。
「ふふ、褒め上手。だけど、たまには言葉だけじゃなくて唇でご褒美くれてもいいんじゃないかしら?」
奏もかなりテンションが上がっているようだ。汗をぬぐいながら、色気を出して唇を指さす。正直、男としては魅力に参ってしまいそうだが、そういう罠にはまってしまうと奏の思うがままなので、必死に目を向けないようにする。
そういうやり取りもいつものこと。
二人と少し談笑しながら、持ってきたペットボトルやら、お菓子やらを机に広げていく。
すると、楽屋の中に置いてあるいくつもの花束が目に入った。
今日は熱心なファンの方が多く、彼らはありがたいことに、ライブのたびに花束やフラワースタンドを送ってくれる。イラストなどの手間と工夫を凝らしてくれたそれらは華やかに部屋を飾ってくれていた。そして、そこには
「やっぱりユリの花が多いな」
モノクロームリリィ。言うまでもなくリリィはユリの花だ。手紙もそうだが、ユニットでのライブではその花を模した贈り物が多い。
「おお、青いユリだ」
その中の一つに、白と青のユリの花束が存在した。思わずそれを手に取ってみてみる。青は食紅を使ったのだろうか、とても鮮やかなそれは一際目を引いた。
「いつも送ってくれる方から。綺麗でしょ? 自然界ではあり得ない色。人が心を配らないと実現しない、想いの結晶」
奏はその青が気にいったようで、そっと一房をなでる。紫やそれに近い色のユリは品種改良によって存在するが、鮮やかな青というのは珍しい。
「白が加蓮で、青が奏、かな?」
「どうかな? トライアドプリムスだと私も黒だったり、青だったり着るし」
「けれど、私は青か赤が多いもの。きっと、青が私なのでしょうね」
「うーん、私が『純粋』『無垢』ってガラかなぁ」
加蓮はうーんと、腕を抱えて悩む仕草。
白ユリの花言葉は確かにそれである。
「私は加蓮ほど純粋な女の子もいないと思うけどね」
「それ、褒め言葉かな?」
「もちろんよ。それに黒のユリよりも綺麗でアイドルらしい花言葉じゃない? ね、Pさん?」
と、奏は言う。確かに、奏のイメージを黒百合としてしまうと、途端にアイドルらしくなくなってしまうが。
「いや、そんなわけではないぞ? ああ、加蓮が純粋だっていうのはそうだと思うが」
と私が否定する言葉を告げると、珍しく怪訝な顔を奏は浮かべた。
「確かに、色違いのユリって意味でモノクロームリリィってつけたけれどね。
奏は黒百合っていうイメージでつけたわけじゃないさ。元々あの花はユリの仲間ではあるけれど、少し離れた仲間だし」
ユリの学名がLiliumと、私たちがよく知るリリィという名前の元なのに対して、黒百合というものはFritillariaというらしい。形が似ているから混同されがちだが、れっきとした別の植物である。
「へー、Pさん植物にも詳しいんだ」
「ユニット名決めるときにいろいろと調べたからなあ」
二人の看板となる名前だ。よく頭を悩ませたのを覚えている。ロゴにも色違いだが、形は同じユリを採用しているのだ。
「てっきり花嫁衣裳も黒だったから、そうだと思っていたのだけれど」
「奏に『呪い』なんて花言葉は似合わないだろう?」
「『呪い』と『愛』なら、私らしいかなって思っていたわ」
そう言う奏は気を悪くした様子もなく、それでもよかったのだけど、なんて妖艶な笑みを浮かべて見せる。確かに、そんな顔を見ると、少し禁忌や秘密を連想させて。奏にもそれらの言葉を抱くことはできるかもしれない。
けれど。
「奏も加蓮もどちらも純粋で綺麗で、キラキラと輝くアイドルだよ。色は違うけど同じユリ」
だから、モノクロームリリィは対等で、けれど、まったく違うアイドルのユニットなのだ。
と自信満々に言ってみると、二人はぽかんとした表情。
「すごい、Pさんがプロデューサーみたい」
「てっきり語感で決めたとばかり思っていたけれど。そこまで考えていたのね」
「ちょっと私の評価どうなってるの!?」
子どもみたいで、ロマン主義なのにねー等と笑いながら見直した等といってくる二人に少し憤慨する。そんなに普段の私は子供っぽいか!
ごめんね!!
「けれど、うん。いい名前だと思う。改めてだけどね」
「Pさんが私たちどう思ってるかも分かったしね。そっかー、純粋かー」
そう言う二人はどこか嬉しそうで。からかわれがちな私は少し憮然とするも、現金なものだ。二人がそう言って、嬉しそうにしてくれると、何でも許せてしまう。
「純粋」「無垢」そして「高貴」
女性としての美の象徴であるユリの花。
まだまだ先が長いアイドルの道。二人が歩く、その未来でこの名前が彼女たちの忘れられない良い思い出となるように。
「二人とも、話があるんだ」
だから、今日、この喜びを共有できることも、その未来への一歩になればいいと思う。
「総選挙の中間結果、でたよ」
私は二人にその言葉を告げたのだった
モノクロームリリィの名前
最初に名前を聞いたとき、どんな意味だろうと思いました。けれど、不思議と頭に残って、調べてみると、また解釈が難しい。
けれど、とても綺麗な名前だと思うのです。少し不器用で、けれど進む道に純粋なアイドル二人が共に抱く名前。いつか、他の方の解釈も聞けたら、と思っています。
さて、中間発表!! 加蓮と奏、二人とも昨年から大躍進!! 奏が総選挙CDに入るには楓さんと文香、茄子さんを超える必要がありますが、それもまた負けず嫌いの奏らしいですね。
明日は少し頑張って、二話分投稿しようと思っています。奏と加蓮がそれぞれ主役の一話ずつ。
それでは、明日も二人への投票、よろしくお願いいたします。