モノクロームリリィとの日常   作:カサノリ

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うわーっ! 投稿予約が間違っていた! 数分遅れてしまいましたが、29日分です!


4月29日「畳の日」

 小川のせせらぎ、緑の自然、涼しい風に靡く髪。

 

 ちょっと裾から生足を出して、ウィンク。

 

 可愛いい笑顔があふれている加蓮はそんな風にポーズを取りながら、カメラへと目線を送る。

 

 今こうしているだけでも魅力的なのに、プロのカメラを通した写真だと、どれだけ可愛くなるのだろう。

 

 何枚も少しずつ構図を変えながら続く写真撮影。今日もだいぶ時間をとっているが、つらそうな様子も見せず、楽しそうに頑張ってくれている。

 

「はい、今日もよかったよ加蓮ちゃん!」

 

「ありがとうございます!」

 

 事務所でも馴染のカメラマンさんが最後にオッケーを出して、今日の撮影は無事に終わり。世間にお披露目できる日が楽しみだ。

 

 今日は加蓮と共に雑誌のグラビア写真の撮影にやってきていた。場所は都内近郊の里山。まだまだ都心と違って自然が残っている場所だ。厳しくなってきた暑さを避けることもできて一石二鳥のコンディション。古民家カフェを撮影の起点とし、大自然の中で天真爛漫な姿を撮るというのがコンセプトだ。

 

 昨日に引き続き、暑さは厳しいものがある。そんな暑さを軽減してくれる涼やかな小川の水は見ているだけでも温度を下げてくれる。浴衣の衣装に身を包んだ加蓮は、ちょっと水に足先をつけたりして、はしゃぎながら休憩中。

 

「Pさんもちょっと遊ばない?」

 

 なんて楽しそうな提案をしてくれるが、

 

「スーツに水はかけないでくれよー」

 

「あはは! やっぱり引っかかってくれないか」

 

 私の危機察知能力を甘くみないで欲しいものだ。君と奏のおかげで毎日のように鍛えられているのだから。

 

 そう言うと加蓮はにやりと蠱惑な笑顔。

 

「ふふ、そんなこと言っちゃうと、私も奏ももっと本気を出しちゃうよ? Pさん骨抜きにしちゃうかも」

 

 まだ本気じゃなかったのか、と思いつつ、これ以上やられたら冗談抜きで骨抜きだ。

 

 まいった、降参と両手を上げて苦笑いしながら、加蓮の元へと向かう。とりあえず上着は脱いでおいた。キラキラと輝く水面へとゆっくりと手を差し入れる。

 

「うおっ! けっこう冷たいな!」

 

「なんていったってまだ春だもんね。でも、このぐらいの冷たさも気持ちいいよ? ほらっ」

 

「っ!?」

 

 と加蓮は長く浸けていた右手を取り出して、私の首元にタッチ。ひんやりして気持ちいいが、突然だとびっくりとしてしまい、背筋をピンと伸ばした。

 

「かーれーんー!」

 

「やり返してもいいよ? ほら、ここあたり空いてるし」

 

 自分のうなじあたりを指さす加蓮。やり返してあげたいところだが……。そこに手を出す勇気はないのだ。

 

「私が良いって言ってるんだけど……。じゃあ、えいっ、えいっ」

 

「加蓮! やめて、ちょっと、冷たい!?」

 

「乙女心がわかってないPさんにはお仕置き!」

 

 そうやって少しの間、はしゃいで首元がちょっと濡れてしまった私たちは、古民家カフェへと戻っていく。定年後にこの店を開いたという夫妻は水羊羹と抹茶を用意してくれていた。

 

「良いお店ですね」

 

「そうでしょう? 主人と一緒に惚れ込んでしまいまして、定年後はここをカフェにしようってね。最近はこういうお店も流行っているみたいで、お客さんも結構来てくださるの」

 

 眼鏡をかけたご婦人は「こんな可愛いお客さんを呼べて嬉しいわー」なんて。加蓮は結構気にいられているようだ。

 

 カフェは広くゆったりとした木造平屋建て。居心地がよいように控えめながらも飾り付けられた室内には、木造テーブルに加えて、畳敷きのスペースがある。結構広い。

 

 私たちはその畳スペースに座布団を敷いて、そこに座っている。

 

「けっこうフカフカして気持ちいいね」

 

「良い畳ってこうなるみたいだね。うちの実家の畳なんて、もうがっちがっちだったけど」

 

「Pさんのお家って和室があるんだ?」

 

「そんなに立派なものじゃないけど。加蓮の家は全部洋間だっけ?」

 

「そうそう。だから、こういう和室は新鮮! ほら、この間の旅館とかも和室だったじゃない? ベッドじゃなくてお布団敷いたり、皆で並んで寝るのも憧れだったんだ」

 

 そう言うと加蓮はにっこりと笑顔を浮かべる。なるほど、移動教室なんかは行けなかったのだから、そういう経験もなかったのだろう。加蓮が楽しめるなら、もっと、そういう仕事を増やしていこう。

 

「ありがと」

 

「どういたしまして」

 

 私たちは水羊羹をいただくことにした。普通の羊羹と比べて、口当たりがとてもよく、本当になめらか。 

 

 それに合わせてちょっと苦みがあるお抹茶を啜ると、もう極上だ。和の空間に、食事。全身で雰囲気を味わうことができる。

 

 目の前には和服美人もいるし。おしとやかに抹茶を口にしている加蓮は戦国時代の姫みたいにも見える。可愛くなかったことなんてないが、やっぱり何度でも可愛いと思ってしまう。

 

「Pさん、ちょっと見とれてる?」

 

 と着物を見せびらかして、ウィンク。やっぱりばれてしまうみたいだ。ちょっとごまかすために話を変える。

 

「私も甚平でも持って来ればよかったかな? って思った。ほら、こういう和室だとやっぱりスーツは堅苦しいし」

 

 そう言うと、加蓮は思いっきり悩み顔。

 

「……Pさんのスーツ以外の姿、想像できないんだけど」

 

「奏といい、失礼だなあ君たち!」

 

 夏の暑さ軽減のために一応甚平は持っているのだ。流石に部屋着だけど。そう言うと、ごめんごめんとちょっと謝る加蓮。

 

「Pさんももっと色々な服を見せてくれてもいいのにね」

 

 そう言ってくれるのは嬉しいのだけど。

 

「いやいや、君らと違ってお洒落じゃないし」

 

「そのファッションをチェックしてあげるのも楽しいの。ね、今度は私服で来て、約束!」

 

 ほら、指切りなんて小指を出してくる加蓮。そのワクワクした顔に、仕方ないな、なんて同じように指を出し、結ぶ。

 

 うーん、仕事の時は流石にまずいけど、どこかで機会は作れるだろうか?

 

 そんなのんびりした午後の休日。このままお洒落な思い出を作れればよかったのだけれど。

 

「……Pさん、ごめん、立つの手伝って」

 

「……ごめん、今は無理」

 

 正座で足を痺れさせてしまうというオチがついてしまうのは、実に私たちらしい休息であった。




加蓮と和服

夜宴シリーズ、私、結構好きなんです。どんなカードが来るかなって思ったら、まさに可憐な着物姿! どのアイドルも魅力的なカードが多いですけど、やっぱり加蓮のものはお洒落で、かわいらしいものが多いですよね。


気がつけば、ランキング入りしており、淡々とした日常話を書いている身からすれば感謝しかありません。

皆様に奏と加蓮の魅力が少しでも伝わると幸いです。
それでは、明日も二人への総選挙投票、よろしくお願いいたします!!
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