恋愛小話   作:粒餡

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九重 春人
年齢:二十二歳
職業:探偵
備考:(器用)貧乏 祖父と父のいいとこ取り


犬山 信保
年齢:十六歳
職業:高校生
備考:わんこ系女子


おひるね

「はっる兄ー! 私だよー! 愛しの信保ちゃんが遊びにきたよー・・・って、あれ?」

とある昼下がり、私はいつもどおり春兄の事務所に遊びに来た、というか本当に春兄の事務所人こないな・・・私以外の人見たことないよ。そして、そんな春兄だが。

「すぅ・・・すぅ・・・」

私が春兄の気配が感じる方に慎重に近寄ると、春兄はソファの上で毛布を被って寝ていた。珍しいこともあるものだ、人一倍防犯に気を使っている(主に私のせいで)春兄が鍵もかけず、しかもソファで寝るなんて。私はゆっくりその場でしゃがみ、滅多に見ることがない春兄の寝顔を観察する。

「・・・はるにー・・・はるにー・・・? 本当にぐっすりみたいだね、そんなに眠かったのかな・・・何やってたんだろ・・・が、これはチャンスですな・・・! ただでさえ私の前では警戒して寝ない春兄の寝顔の激写チャンス!」

そんな独り言を呟きながら(もちろん小声でだが)私はポケットからスマホを取り出し、カメラ機能を使って春兄の寝顔を撮ろうとするが。

「・・・んにゅ」

「!?」

「すぅ・・・すぅ・・・」

「・・・ま、まあこのまま観察するのも悪くはないよね、うん」

私はスマホの電源を切り、ポケットに入れる。ていうかあれだね、一瞬だけど意識飛んだね、かわいすぎるでしょ春兄・・・!

「うぇへへ・・・こんな春兄初めて見るから、写真として残せないならせめて記憶にしっかり焼き付けておかないと・・・いや、待てよ・・・?」

そんなことをしてる私の脳内に電流走る。

「確か春兄は寝るまでが時間かかるけど、一度寝てしまったらちょっとやそっとのことじゃ起きないはず・・・ということは・・・憧れのあれをできるはず!」

私は急いでその準備に取り掛かる、と言ってもソファの後ろに立ち、春兄の頭を持ち上げそこに私が無理やり入るだけだけど、こういう時だけは私の低身長というか、細い体が役に立つ。

「よいしょ・・・よいしょ・・・出来た! むふふ、憧れの彼氏に膝枕をしてあげるという行為・・・! まあ、まだ彼氏ではないけどいずれ付き合う予定だし何ら問題はないね! えへへ、春兄~」

私は春兄の頭を、なるべく起こさないように撫でる、まあ本当に揺さぶりでもしない限り起きはしないだろうけど、念のためね。

「いやー、憧れが一つ叶った叶った。さて、じゃあ春兄が起きる前に抜けだ・・・」

そこで、私は重大な事実に気づいてしまった。

「・・・ど、どうやって抜ければいいんだ!?」

や、やばい! 何とか春兄が起きる前に抜け出さなければ一週間お昼ご飯がドギーマンの製品になってしまう! まずい、それだけは絶対に避けなきゃ。

「だけど・・・どうすればいいの!?」

 

・・・OK、現状確認だ、落ち着け俺、クールになれ、クールになるんだ。まずなんでこんな状況になっている? 息苦しいから起きたら、何か柔らかいものに挟まれてました、そしてあのアホ特有の無駄に甘い匂いがするのでこの俺を挟んでるものは恐らく信保のものだろうということが推測できる。ふむ、なるほど。

なるほどじゃねえよ! クソが!何でこんなことになってるんだ!? 何が悪かった!? 徹夜で推理小説を一気に読んだことか!? 鍵をかけ忘れたことか!? 恐らくこいつが無理やり俺に膝枕しようとした時に起きなかったときか!? 全部だよちくしょう!

「すぅ・・・すぅ・・・えへへ、くすぐったいよ春兄・・・」

しかもこいつ結構な頻度で揺れて折角なるべく動かないようにして感触をわからないようにしてんのにその努力も無に帰す! クソ、こうなったら無理矢理にでもどけるしかねえか・・・

 

「・・・以外に何とかなったな」

「むにゃむにゃ・・・」

こいつ全然起きねえな・・・誰に似たんだ全く・・・

「おい信保起き・・・」

「うにゅ・・・」

「・・・今回だけだからな」

無理にでも起こしてやろうと思ったが、まあ、今回のことは俺にも非があるしな、うん、しょうがないからベッドに運んでやろう、決してこいつの寝顔を見て考え直したわけではない、断じて。

「たっく、世話が焼ける妹だよ・・・」

そう、俺にとってこいつはただの妹分なのだ、こいつがいつものように俺に愛を語りかけようが、告白してこようが知ったこっちゃない、何せ妹と恋愛などすることはありえないからだ、たまにそんな作品があるのは俺も知ってるがそれはただの異常なので気にしない方向で。

「よっと・・・あー、いつの間にか結構な重さになりやがって・・・」

「うぇへへ・・・はるにぃ」

「・・・はいはい、兄ちゃんはここですよ」

・・・本当に、世話が焼ける妹だ。

「よっし、ついた、じゃあこいつを下ろしてと・・・あ・・・」

やばいこれやばいやつだこれさからえないねむけのやつだやばいやばいこの状態で倒れたら――

 

ど、どうしてこんな状態になってるの!? ソファで春兄に膝枕してあげてたらどうやらいつの間にか眠っていたようで、目覚めたら春兄の顔が目の前にあった、びっくりして離れようとしたけど背中に春兄の腕を回されてるようで、全く動くことすらできなかった。

こ、これはあれだよね? おっけーってことだよね? 私との交際をおっけーしてくれたってことでいいんだよね!? そういうことなら私は手加減しないからね! 仮にこれが何らかの事故でこうなってしまったとしても私にはなんも関係がないもんね! じゃ、じゃじゃじゃじゃあまずは――

 

「・・・ん、ん・・・あー、眠ってた、のか?」

俺は目を覚まし、あたりを見回してみると、何故だか顔を真っ赤にして寝ている信保が近くにいて、窓の外はだいぶ暗かった。

「あちゃー・・・こりゃまずいな、とりあえず信保の両親に連絡とって送ってやるか・・・しょうがねえな」

俺は携帯を取り出し信保の父親に電話をかける・・・しかし、何か唇が若干潤ってる気がするのは気のせいか?




信保が何をやったのかは各々で妄想して、どうぞ。
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