恋愛小話   作:粒餡

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九重 春人
年齢:二十二歳
職業:探偵
備考:(器用)貧乏 祖父と父のいいとこ取り

犬山 信保
年齢:十六歳
職業:高校生
備考:わんこ系女子

柏 加奈
年齢:八歳
職業:小学生
備考:わんこの友達


わんこの友達

「ねえねえデートしようよデート!」

「うるせえよ勝手に一人で行ってろよ」

「一人じゃデートはできないもん!」

とある昼下がり、いつもどおりこいつは俺の事務所に来て、こうしてわがままを言っている、何でも高校でクラスメイトが彼氏とデートしたと自慢されたそうで、知らねえよそんなの。

「じゃあそこらへんのおっさん誘ってデートでもしろよ、お前がデートしたいって言えば一発だぞ~、良かったな、デートできて」

「やだよそのへんの禿げたおっさんなんて! 春兄がいいの! 私は春兄とデートしたいのー!」

めんどくさいやつだな・・・ていうか勝手にハゲだって確定すんなよもしかするとハゲてないおっさんかもしれねえじゃねえか。だから外でくしゃみが聞こえたのは多分気のせいだ。

「あーはいはい、分かった」

「本当!?」

「ただし条件がある」

「条件?」

「そう、デートというのは所謂お付き合いをしてる男女がするものだよな?」

「うん・・・っは、まさかこれは・・・告白!?」

「なわけねえだろアホ」

「アホって言ったー!」

「だが、俺たちは付き合ってない、だからデートはすることはできない」

「うう・・・そんな細かいことどうでもいいじゃん・・・」

「どうでもよくないさ、だから、お前のその特徴を使うのさ」

「・・・特徴?」

「そう、特徴」

「・・・可愛いところとか?」

「お前のその自信満々に言うところはすごいとは思うがちげえよアホが、お前の特徴、それは十人に聞いたら十一人が答えるレベルではっきりと分かりきったことじゃないか・・・」

「・・・優しいところ?」

「言ってろアホが、お前の最大の特徴、それは・・・わんこだ」

「・・・は?」

「つまり、俺が提示する条件は・・・」

 

「・・・」

「・・・まさか本当に了承するとは思わなんだ」

「うう・・・春兄のバカ・・・」

今の俺たちの状況を説明しよう、まず信保は首輪をつけている。そして俺はその首輪につけたリードの先を持っている。異常、間違えた、以上。

「こんなとこ友達に見られたらどうすんのさあ! 私学校行けなくなっちゃうよ!」

「まあ俺は別に行ってるわけじゃない関係ないし・・・」

「春兄だっていいの!? 今の春兄美少女女子高生に首輪つけて散歩させてる変態なんだよ!? 自分の状況わかってるの!?」

「まあ、別にいいかなって・・・」

「まさか春兄そういう趣味・・・?」

「ちげえよアホ、とりあえずお前の言ったとおり出かけてやってんだから適当に散歩して帰るぞ、等価交換ってやつだ」

「絶対違う・・・とりあえず、どこ行くの? 出来れば人目がつかないところがいいんだけど・・・」

「公園」

「公園!?」

俺が行き先を告げたら信保のやつは”何故か”驚愕の表情を浮かべている。

「バカなの春兄!? 私人目がつかない場所って言ったよね!?」

「誰が採用すると言った? さー行くぞー! 公園はきっと楽しいぞ信保!」

「楽しんでるよね!? 絶対春兄楽しんでるよね!? お願い待って! 公園は! 公園は勘弁して! そこ以外だったらどこでも行くから公園だけはー!」

こちとら一日中ゴロゴロしようと思ってた予定を潰されたんだ、こんぐらい我慢してもらわねえとなあ?

 

「視線が・・・視線が痛い・・・もう私この公園来れない・・・」

「良かったな、クラスメイトいなくて」

「いやもうそういう問題じゃないんだけど・・・」

「あ、信保、ほらあそこにお前の仲間が集まってるぞ? 行ってきたらどうだ?」

「私にはただ犬が集まってるようにしか見えないんだけど・・・」

「仲間じゃん、同族じゃん」

「違うよ! ねえ春兄、本当に帰ろうよ・・・もういいから、散歩もデートもしないでいいから帰ろ、ね?」

上目遣いでこっちを見てひたすら帰ろうと懇願する信保、なるほど。

「だが断る」

「なんでさ!?」

「俺の優雅な午後タイムを潰したバツだ、まあ我慢しろ三十分したら帰るからさ」

「どうせ暇じゃん!」

「え? 一時間散歩したいって?」

「何でもないです・・・うぅ・・・」

「とりあえずあそこのベンチにでも座ろうぜ、立ちっぱなしはきつい」

「・・・私は地面だよね」

「何言ってんのお前、普通にベンチに座れよ」

「!、ほ、本当に?・・・」

「むしろ何でダメだと思ったんだお前は」

「ありがとう春兄! やっぱり春兄は私のことを愛してくれてるんだね・・・えへへ・・・」

何故だか知らないけどこいつのチョロ度(どれだけちょろいかを表した数値、常人は50ぐらいだが信保は150ぐらいある)が上がってる気がする、なんでだろう。

ベンチに座る俺たち、そこに一人の幼女が近づいてくる。勇気あるなこの幼女。

「あ、加奈ちゃん!」

「・・・信保お姉ちゃん、こんにちは」

「こんにちは!」

「・・・誰?」

「私の友達! 柏加奈ちゃんっていっていつも遊んでるんだ!」

・・・この子どっからどう見ても小学生ぐらいだよなあ。

「・・・なんで信保お姉ちゃん首輪してるの?」

「え? あ、いや、これはね?」

「信保お姉ちゃんはねえ、今お友達との勝負に負けてバツゲームで」

「そっちには聞いてない」

「・・・」

「そ、そうなの! 今私はバツゲーム執行中でさあ! あはは!」

「そうなんだ・・・かわいそう、信保お姉ちゃん、私が代わってあげようか?」

「いやいや! 流石に小学生に首輪つけるのはやばいよ!」

「いや持つ方・・・」

「持つ方!? そっちはそっちで私がやばいよ!?」

「大丈夫、ちゃんと世話するから、ちゃんと毎日散歩に連れてくし毎日お風呂で洗ってあげるから・・・!」

「加奈ちゃん!? 何の話ししてるの!?」

「・・・お前変な友達持って」

「私は今信保お姉ちゃんと話してるんだけど」

「・・・」

初めてだ・・・こんなに小学生を殴りたくなったのは初めてだよ・・・!

「あ、加奈ちゃん、この人は九重春人さんって言ってね、すごい探偵さんなんで、私の彼氏な」

「は?」

「え?」

「は?」

「え、いや、加奈ちゃん・・・?」

「彼氏・・・?何言ってるの信保お姉ちゃん、信保お姉ちゃんは私と付き合ってるんでしょ・・・?」

「いやそんなことないけど・・・」

「あの夜ベッドで囁いてくれた言葉はウソだったの・・・?」

「え、お前・・・」

「違うから! 私何もしてないから! ていうか加奈ちゃんそんな言葉どっから覚えてくるの!?」

「ドラマ・・・」

「そんなドラマは見ちゃいけません! まだ早い!」

「むう・・・」

「とりあえずさ、ほら、加奈ちゃん。お友達と遊んできたら? 私は今バツゲーム中だからさ」

「・・・分かった、じゃあ、今度また遊ぼうね」

「うん、またね」

別れの言葉を言い合い、加奈ちゃんは去っていく。去り際にすごい顔で俺の方を睨んできたのは気のせいだと信じたい。

「・・・良かったのか? 別に加奈ちゃんと遊ぶんなら首輪外してやっても良かったが」

「それ先言ってよ・・・まあ、別にいいや、加奈ちゃんとはいつでも遊べるけど、こうして春兄と散歩できるのは本当にたまにしかないからさ・・・」

「・・・こんなの付けられても?」

「こんなの付けられても、だってさ、春兄は私のことにかまってくれるからこうしてちょっかいかけてくれるんでしょ? 最悪、私はそれだけで十分だからさ、好きの反対は無関心って言うでしょ? 私、春兄に何をされてもいいけどさ、だけど・・・」

こちらを向いて話していた信保は急に顔をこちらに近づけてくる。信保の方を向いて話を聞いてた俺と必然的に距離が近づいてしまう。

「絶対に、無視だけはやめてね?」

「・・・はいはい、分かったよ」

「えへへ、ありがと、じゃあ後もうちょっとゆっくりしてよっか」

・・・こういうとこ、計算なしでやってるから質が悪いんだ。

「・・・はぁ」

「え、ちょ、春兄、何するき!? だ、ダメだよこんなところでキスなんて大胆な・・・あれ?」

「馬鹿かお前、首輪外しただけだよ、ほら、どこ行きたいんだ? 行ってみろ」

「え、でも・・・」

「早く言え、俺の気が変わる前に」

「・・・じゃ、じゃあさ! ここらへんに最近カフェができたんだって! そこ行こ! 今ならカップル割引やってるんだって!」

「なんで最近出来たカフェでカップル割引何かやってるんだよ・・・」

「なんか店長さんが相当の色ボケなんだって」

「何そのお店・・・」

「早く早く!」

「わかったから引っ張んなって」

俺の手を引っ張て早くいこうと笑顔でしゃべる信保、そんなこいつを見て、俺の頬も緩む。

 

まあ後ろから刺さるすごい視線に気づくまでの間の少しの間だったけど。




どうやらダイス神様は信保ちゃん押しのようで。
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