恋愛小話   作:粒餡

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篠原 東吾
年齢:十八歳
職業:高校生
趣味:後輩いじり

佐々木 清香
年齢:十七歳
職業:高校生
備考:腹黒系女子


佐々木 清香
『私』


「おお! いいんちょばいばーい! 今日も可愛かったよ!」

「ありがとう、桜咲さん、だけどあなたも十分可愛いわよ?」

『まあ、私の方が可愛いけど』

「ありがとういいんちょ! そんじゃ私部活行くからまたあした!」

「はい、またあした」

『うっさいからさっさとどっかいけ』

 

「委員長ー、この問題分かんねえからちょっと教えてくんねえか?」

「ん? どれどれ・・・ああ、この問題はね、こうやるのよ」

『こんなのも出来ないなんてあんたって本当に馬鹿ね』

「なるほど・・・ありがとな! 委員長!」

「いえ、困ったことがあったらいつでも言ってちょうだい」

『あんたと関わったところで私に何の得もないんだから二度と話しかけんな』

 

「清香、この前のテストの結果、今日帰ってくるんだったわね、見せなさい」

「はい、お母様」

『黙れ、化粧が厚いんだよクソババア』

「全く、言われなくても出しなさい・・・ふむ、まあ佐々木家の人間としては当然の点数ね。じゃあもう部屋に戻っていいわよ、勉強でもしてなさい」

「はい、お母様」

『毎回毎回言うことがバカみてえに一緒だから出さねえんだよ』

 

「いいんちょ!」

「委員長ー」

「佐々木」

「清香」

『うるさい、黙れ、私に関わるな、お前らみたいなバカとは頭の出来が違うんだよ』

 

いつからだろう、他人からの賞賛を素直に受け取れなくなったのは。いつからだろう、他人を見下すようになったのは。いつからだろう、本音を隠すようになったのは。

「・・・」

本音を隠して生きている私には居場所なんて存在しない。それが例え学校でも、昼休みで昼食を食べる時間だったとしても。あいつらがうるさいから私がわざわざ移動しなければならない。

「・・・」

この学校は無駄に教室数が多いから適当な教室でも探し出せば一人で食べれるだろう。まあ友達と一緒に食べるからと言って出てきたのに誰もいない教室で一人食事を進めている私をクラスメイトが見つけたら・・・どうでもいいか、別に。

「・・・ここは」

確か、去年まで存在してた第二軽音楽部・改とかいう部活の部室だったかしら・・・そこの部長が無駄に金持ちだったから防音になっていて一人で食べるには打って付けの場所だ。今はその部長が卒業した直後に解体されどこの部活も使ってない空室だ。ていうかよくそんなふざけた部活許可したなこの学校・・・この学校がだめなのか、金持ちの力なのか・・・多分この学校がダメだから金持ちの力でゴリ押し出来たのでしょうね。

「・・・」

まあそんなことはどうでもいい、いつまでも教室の前で止まってるのもアレなので私はその教室の扉を開けた・・・が、そこにあったのは私が欲していた静寂なんかではなく。

「ああああああ! 粉のようにさらさらした細かい何かとかハートをヨーグルトよりも白くムーミンよりももっと白くしたいとか歌いけど何故か歌えなーい!」

バカがいた。しかも私が今まで見たことないレベルのトップレベルのバカだ。

「・・・おやー? お客さん? 俺の熱血ライブ聞いてく? 金なら取らないよ?」

「あ、いえ、結構です・・・」

そのバカの制服を見て、どうやらこのバカは私の先輩、つまり三年生のようだ。いやまあ私も先客がいるかもしれないとは思ってた。防音がしっかりしていることをいいことに行為に及んでいる猿並の知能を持ったバカとビッチがいるかもしれないとも思った。だけどこんな・・・こんな変人がいるなんてどうやって予想すればいいのよ!

「ふーん、ならなんでこの教室に来たの?」

「その・・・音が聞こえてきたので」

「あらら、まじか、ドアちょっとあきっぱなしだったかなー」

そういって目の前のバカは先程まで曲を流し続けていたスマホを切る。

「そ、それじゃあ私はこの辺で・・・」

「まあまあ、もうちょっとお話しようよ」

「いえ、本当にいいですから・・・」

「まあいいじゃない、佐々木清香さん?」

「・・・なん、で」

「君の名前を知ってるかって?」

「・・・」

気持ち悪い。何だこの男、今までも気持ち悪い奴らには幾度とあってきたがその比ではない。

「君のファンだから・・・なーんちゃって・・・もう、ここ笑うところだよ?」

笑えるわけねえだろこの

「『あんぽんたん!』」

「っ!?」

「なーんて、思ってたりする?」

おめでとう、あんたは気持ち悪いからやばいやつにランクアップだよクソったれ!何だ、何なんだこいつ・・・

「いやーでも、だけどよかったよかった、君が来なかったらどうしようかと思ったよ、苦労して君の周りの人間関係を調節したかいがあったってもんだ」

「・・・なに、言って」

「今日、ちょーっと、ほんのちょびっとだけ、君の友達、いや、クラスメイトからのスキンシップが激しくなかった?」

・・・確かに、いつもより少しだけイラついたかもしれない。

「今日、ここに来るまで嫌な先輩がいたからわざわざ普段は来ないようなこっちまできたんじゃない?」

確かに、避けては来た・・・ああ来たよ、だけど、それが全部・・・

「それが全部俺のせいだとしたら、どうする?」

「・・・そん、なの信じられる、わ、け」

そうだ、そんなこと出来る人間がこの世にいるわけない。つまりそれは周りの人間を使って私をコントロールしたということだ、しかもクラスメイトからは別にいつもと変わらないように喋りかけてきたことから恐らくこいつが直接ではなく間接的にそのクラスメイトの行動をコントロールしたということだ。ありえない、あり得るはずが・・・

「・・・まさか」

私の頭の中では、一人の容疑者が浮かび上がっていた、こんな状況を作れるような人物を。そいつはこのそこそこの歴史を持つ学校始まって以来の天才で変人、やることなすことが意味不明のバカと天才は紙一重を体現したような男で・・・第二軽音楽部・改の元部員。

「・・・篠原、東吾・・・?」

「大当たり~、やっぱり清香ちゃんは頭いいから話が早くて助かるね」

当たって欲しくなかった、できれば別人であって欲しかったけど目の前の男の雰囲気が他人に全く興味がない私でもここまで詳しいレベルの『奇想天災』と呼ばれる篠原東吾だと物語っていた。

「ま、とりあえずそこに座ってよ、君をここまで呼んだ理由を話すから、さ」

「・・・っ!」

「おお、ここで逃げることが出来るなんて驚きだ」

私は目の前にこいつが用意した机と椅子には目もくれず一直線に出口へと走る。誰があんたみたいな変人と話なんてするか。

「まあ、逃すわけないんだけどね」

だが、その逃走すらも『奇想天災』は許さなかった。

「なっ・・・!」

私はあるものを見てしまい即座に扉を閉める、なるべく音を立てないように尚且つ素早く扉を閉めた私は褒められてもいい。扉の外、もっと詳しく言えば私がここまで来た廊下の奥に、クラスメイトたちの姿が見えたからだ。

「・・・」

「・・・とりあえずさ、諦めて座れば?」

「・・・はい」

私は結局目の前のバカが用意した椅子に座ることになってしまった。でも、こんなめちゃくちゃ見せられて諦めるなという方が無茶な話でしょう?




何で若干シリーズ物ぽくなってるんですか、何で小話だって言ってんのに次回に続いてるんですか。勢いって怖い。
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