過保護な兄   作:かるな

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お久しぶりです!




第2話

帰りの電車に乗り、大学であれ程いじっていたスマホには手も触れずに揺られること数分。

 

目的の駅まで来た二人はそのままとある場所へと向った。それはCIRCLEと言うライブハウスである。中にはスタジオがあり、ライブに向けての練習が出来る。

 

真琴の妹達も、よく此処で練習しているのだ。

 

店に入り妹達が練習しているスタジオへ向かう。楽器の音が聞こえてこないので恐らく休憩中だろう。ドアを開け、中にいるであろう彼女達に声をかける。

 

 

「巴、お疲れ様~」

 

「こら真琴、ちゃんと皆を労いなさいよ」

 

 

菜々香のツッコミを貰いつつ中を見渡すが、そこには本来5人居るはずの女の子達が3人しか居なかった。

 

 

「あ、真琴さんに菜々香さん!」

 

「おー、'琴'さんと'菜ー'さんだ~」

 

「げ、菜々香さ...「らーんちゃーん!!」...ひっ!」

 

 

中に居た3人がそれぞれ反応を見せてくれた。1人目は上原ひまり、ピンクの髪で、女の子としてはかなりの大玉を持っている子。

 

2人目は青葉モカ、髪が灰色で、ゆったりとした喋り方が特徴である。

 

3人目は美竹蘭、黒髪に1部赤いメッシュが入っており、かなり気の強い女の子だが今は菜々香に揉みくちゃにされている。

 

 

「あれ、巴は?」

 

「つぐの事も聞いてあげようよ琴さん~。今は2人で飲み物買いに行ってるよ~」

 

「じゃあ2人が戻ってくるまでゆっくりしてようかな」

 

「丁度休憩に入った所なので大丈夫ですよ!」

 

 

そう言うと、ひまりは近くにあった椅子を真琴のすぐ側まで持ってきた。

 

あまり長居するつもりも無いので真琴は遠慮したのだが、ひまりがどうしてもと言うので座ることにした。

 

ふと3人居るはずなのに先程から1名声が聞こえないのを不思議に思い、彼女がいる方を見ると何とも歪んだ光景が広がっていた。

 

 

「ぐへへ、らんちゃ~ん」

 

「.........。」

 

 

そこには丸椅子に座った蘭と、それを後ろから抱き締めて頬擦りをしている同級生の姿があった。

 

いつも気が強く、皆を纏めている女の子が猛獣の餌食となっている。

 

 

「菜々香さんって、ホントに蘭のこと好きだよねー」

 

「だってこんなに可愛いんだよ!?しかもお人形さんみたいに髪に艶があるし、お肌もスベスベで気持ちいいの!これを抱き締めて頬擦りするなって言う方が無理だよ!!これでも我慢してるんだよ?」

 

「真琴、助けて.........」

 

「ごめん蘭ちゃん。その状態の菜々香を止める手段を僕は持ってない」

 

 

いくら同性とは言え年上の人に抱き着かれ、さらにはそこそこ過剰なスキンシップをされている蘭の顔は、恥ずかしさから真っ赤に染まっていた。

 

真琴は蘭に多少の申し訳なさを感じながら、それを紛らわすようにひまりと談笑を始めた。

 

 

「最近大学はどうですか?彼女出来ました?!」

 

「ひまりちゃん、会うたびそれ聞いてくるね」

 

「だって気になるんですもん!真琴さんは知らないかもしれないですけど、うちの学年では結構有名なんですよ?」

 

「まさかの一年生?悪い気はしないけど、流石に接点が無さすぎる言うか、そもそも母校ですらないし......痛っ」

 

 

ひまりに言葉に少々考え込んでいると、謎の衝撃が後頭部を襲った。

 

感触的に中身の入ったペットボトルだろう。しかも満タンの。痛む後頭部を擦りつつ、犯人がいるであろう後ろを振り返ると......

 

 

「よぉ、兄さん」

 

「巴、会ってすぐ殴るなんて、いつからそんな暴力的に.........痛い!凄く痛い!待って、僕の頭はドラムじゃないよ!!」

 

「安心しろ、和太鼓のつもりで打ってる」

 

「全然安心出来ない!ストップ、巴ストォップ!!」

 

 

真琴の必死の叫びにより、巴の演奏が終了した。

 

彼は先程よりも酷く痛む頭を擦りながら、涙目で巴という少女に向かって抗議を始めた。

 

 

「巴、僕が何したって言うんだよ......」

 

 

真琴の目の前に立っているのは'宇田川 巴'。紅色のロングヘアーとスレンダーな体型の持ち主で、真琴の妹である。

 

巴は座っている真琴の前に立ち、腕を組んで真琴を見下ろしていた。

 

 

「なぁ兄さん、妹のL〇NEを無視するなんて酷くないか?折角兄さんに普段じゃ出来ないような相談を持ち掛けたってのに」

 

「巴、嘘はいけないよ?僕が最後に見たのは「今日は練習に来ないでくれ」という連絡で、それ以降は着信音が無かったから届いてないし、そもそもそのメッセージを通知で見ただけだから既読は付けてない。だから僕は巴からのメッセージを見ていなかったことになる。兄として妹からの連絡に直ぐ返せなかったのは切腹ものだけど、さっきだけは開いちゃいけないような、そんな気がしたんだ。やはり人間というものは罪深い。大事な人よりも、本能を優先してしまうなんて......」

 

「ならその本能で、ここに来たら後でどうなるのかまでは察せなかったのか?」

 

「練習中の巴に会いたいって欲が抑えきれなかっ............」

 

 

真琴の言葉は、再び頭部に向かって振り下ろされたペットボトルにより遮られてしまった。

 

その後練習を再開するからと部屋を追い出された真琴と菜々香はまだ帰るには早いと感じ、2人でコンビニへと寄ることにした。

 

 

「ねぇ真琴。何で巴ちゃんに来るなって言われてたの?」

 

「通しで練習するから、セトリがバレるのが嫌なんだって」

 

「成る程ねぇ。あ、そうだ!アフグロのライブっていつ?」

 

 

真琴はポケットからスマホを取り出してカレンダーアプリを開く。びっしりと予定が書き込まれている中から、赤く色付けされている部分を見て、今日の日付と照らし合わせた。

 

 

「来週の土曜だね」

 

「え、来週!?えっと、えっーと......あ、ああぁぁぁっ!!バ、バイトだぁ......ごめんね、蘭ちゃん」

 

 

アフグロのライブとバイトの日が被ってしまった菜々香は、がっくりと項垂れた。

 

そんな彼女の肩にポンッと手を置いた真琴は一言。

 

 

「ドンマイ」

 

「もっと早くに教えなさいよこのバカぁ!!!」

 

 

その直後、菜々香の右ストレートが真琴の頬に直撃していた。

 




パステルライフ最高です。


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