過保護な兄   作:かるな

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このクソ熱い中、季節外れの話を書いてる自分はイカれてるんじゃないかと思うこともありましたが、残り数話、頑張ります!




第9話

冬休み前最後の講義を終えた真琴と菜々花は、2人で商店街へと来ていた。両者ともに厚手の手袋とマフラー、コートといった必須アイテムを身に着ており、厳しい寒さに耐えていた。

 

 

「真琴、カイロ」

 

 

真琴の隣を歩く菜々花は、寒さに手をこすり合わせながらカイロを要求する。

 

 

「今日だけで3つも使ってるからダメ」

 

「ちぇー」

 

 

カイロを得られなかった彼女は、コートの両ポケットに入っている使用済みカイロを握りしめ、かすかな温もりで我慢することにした。

 

その後しばらく歩いた2人は、行きつけのスーパーへと入っていった。

 

 

「じゃあ僕は材料を探すから、菜々花は飲み物をお願い」

 

「おっけー」

 

 

二手に分かれ、それぞれ担当の物を集めてからレジで合流した。

 

 

「ねぇ菜々花、何でそっちの籠にお菓子が入ってるの?」

 

「いいじゃない、人数多いんだし。それに割り勘するんだから」

 

「まぁ、残ったらどうせ菜々花が食べるし・・・いてっ」

 

「余計な事言わなくていいから」

 

 

ひとまず真琴が全額支払い、後で菜々花から半額貰うことで話が落ち着き、そのまま2人は帰路に着くことにした。その道中、人の良い八百屋や精肉店などの店長から声を掛けられて買いそうになる真琴を菜々花が引きずり、洋服やアクセショップに目が留まる菜々花を真琴が引きずったりと、そんなやり取りが行われていた。

 

 

 

 

 

 

「おじゃましまーす」

 

「ただいまー」

 

 

玄関ドアの鍵を開け、少し大きめな声で帰宅を知らせる。すると、二階の方からドタドタと足音が聞こえてきた。

 

 

「お兄ちゃんおかえり!あっ、菜々花お姉ちゃんもいる!!」

 

「あこちゃんこんばんわ。遊びに来たよー」

 

 

最初は真琴の方へと駆け寄っていたあこだったが、菜々花を見つけた途端に軌道修正して彼女へ抱き着いた。よしよしとあこの頭を撫でた菜々花は、買い物袋を持ってあこと共にリビングへと向かっていった。

 

 

「あこを・・・菜々花に・・・・・・」

 

 

「そんなに落ち込むなよ兄さん」

 

 

遅れて降りてきた巴が落ち込む真琴の頭をなで、何とか持ちこたえさせていた。

 

 

 

 

 

「はぁ~、やっぱおこたはいいわね~」

 

 

リビングでは真琴、菜々花、巴、あこの4人がこたつで暖を取っていた。

 

 

「菜々花お姉ちゃんは持ってないの?」

 

「実家にはあるんだけどね~」

 

「それにしても、菜々花さんってそんなに緩い雰囲気でしたっけ?」

 

「菜々花は寒いのが苦手なんだよ」

 

 

そう言いながら真琴が菜々花側の毛布を上に持ち上げると、すぐさま彼女に手をはたかれた。その手を摩りながら、巴とあこに「ほらね?」という表情をすると、2人は苦笑いで返した。

 

 

「ねぇ、あこちゃん」

 

「どうしたんですか?」

 

 

先程までこたつでリラックスしていた菜々花が急に意識を覚醒させ、あこを呼びつけた。何事かとあこが彼女の方を向くと、何やら膝元をパンパンと叩いた後に、両手をあこの方にに広げてきた。

 

 

「いいですよ!」

 

 

何のことか察したあこは、菜々花の元まで移動するとそのまま彼女の足の間に体をスッポリと収めた。そしてあこの後ろから菜々花が両腕を回し、しっかりとホールドする。

 

 

「快適だわぁ~」

 

 

小さな子の温もりを感じながら、先程よりもさらにだらけた表情を見せる菜々花。そんな彼女を羨ましそうに見ていた真琴は巴の方を向き、先程菜々花がしていたジェスチャーをした。

 

 

「ア、アタシはやらないからな!!」

 

 

巴が顔を真っ赤にして拒否すると、丁度インターホンが鳴り響いた。

 

 

「あ、もう皆来たから、アタシ出てくる!」

 

 

このままでは真琴に押し切られそうな予感がした巴は、一目散に玄関へと向かった。

 

 

「さてと、菜々花ー。夕飯の支度するよ」

 

「あとちょっとだけ!」

 

「今日はアフグロの忘年会やるんだから、蘭ちゃんたちを待たせることになるよ?」

 

「今すぐ作る」

 

 

蘭というワードに反応した菜々花は先程までの雰囲気から一変、いつもの調子に戻っていた。膝元にいたあこをどけ、真琴と一緒にキッチンへと向かう。今日の夕飯は鍋であるためそんなに時間はかからないが、人数が多いため1人では結構時間がかかってしまうのだ。

 

 

「この時期に忘年会って気が早くない?まだクリスマス前だけど・・・」

 

「練習以外で皆が集まれるのが今日だけみたいだよ。僕らは年末スキーに行っちゃうし、蘭ちゃんは色々忙しいんだって」

 

「成程ねぇ。野菜切り終わったよ・・・あ、真琴。私もスキー行きたい」

 

「じゃあ混ざらないようにボールに入れといて。なら父さんと母さんに相談してみないとね。多分大丈夫だろうけど」

 

 

お互いに口は動かしつつも、手はそれ以上に動かしていた。後は鍋にスープと具材を入れるだけである。

 

 

「あ、でも部屋どうしよう。多分満室だった気がしたけど・・・・・・」

 

「部屋割りどうなってんの?」

 

「父さんと母さん、巴とあこ、最後に僕で、3部屋かな」

 

「アンタは一緒の部屋じゃないんだ?」

 

 

アフグロメンバーが待つテーブルにカセットコンロを設置し、その上に用意した鍋を乗せる。片付けのためにキッチンへと戻る最中、蘭に飛びつきそうになっている菜々花の首根っこを掴み、強制連行した。

 

 

「う~、少しぐらい良いじゃない・・・」

 

「後でなら良いから。話し戻すよ。最初は一緒の部屋で取ろうとしたんだけど、巴が・・・「アニキと一緒は嫌だ」って・・・・・・」

 

「何泣きそうになってんのよ。高校生なら当然の反応じゃない」

 

「昔は喜んでくれたんだけどなぁ。ま、ということで、二人部屋しか残ってなかったから僕が一人でそこを取ってる訳だけど、どう?」

 

 

真琴がそう尋ねると、菜々花は「いいわよ」と即答した。

 

 

「分かった、じゃあ父さんと母さんにはそう伝えと・・・・・・あこ、どうしたの?」

 

 

真琴がすぐそばにいたあこの存在に気付いた。

 

 

「何だか、お兄ちゃんと菜々花お姉ちゃんって恋人みたいだよね!」

 

「こ、恋人?!」

 

 

あこの爆弾発言に顔を真っ赤にしてうろたえる菜々花。隣に居た真琴も表情が固まり、動揺しているのか中々言葉が出てこなかった。

 

 

「えっ!真琴さんと菜々花さんって付き合ってるんですか!?」

 

「お~、これはいいことを聞いた~」

 

「逆に付き合ってなかったのが不思議なぐらいの距離感だと思う・・・」

 

「でもちょっと意外」

 

 

アフグロのメンバーも恋人という単語に反応し、ひまりとモカがキッチンへと詰めかけてきた。それに対してテーブルに残った蘭とつぐみ、巴は一足先に鍋をつつき始めた。

 

 

「巴ちゃんは気にならないの?」

 

 

真っ先に駆け出しそうだった巴が一番落ち着いており、つぐみや蘭にとってはそっちの方が驚きだった。

 

 

「う~ん、菜々花さんだったらアタシはいいかな。それに、そろそろ彼女の一人ぐらいは作ってもらわないとって思ってるからさ。ま、そのままゴールインしてくれた方がアタシとしては嬉しいけど」

 

「なんだかんだお似合いだもんね」

 

 

 

 

 

真琴と菜々花を襲う質問攻めは中々収まらず、最終的には高校時代の恥ずかしい話まで聞き出されたのだった。

 




前書きでも書きましたが、この作品は後3,4話で完結です!
最後までお付き合いお願いします!!


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