戦士と召喚士、魔術師となった俺達は戦闘をするために外に出た。一緒に歩いていると周りの視線が集まってくる。どうみても幼女二人を連れている青年にしかみえないからな。
「じゃあ、パーティーを組んで適当に倒すか」
「狙いは牛と兎か」
「うさぎさんと遊びたいの!」
「じゃあ、ここでみているから遊んでおいで」
「うん!」
アビーが遊びにいったので、俺達は遠くから見ながらゆっくりとする。二人でアビーを見守っていると、近くに猪がポップしたのでやってみよう。
「危なくなったら頼む」
「ええ、頑張ってね」
愛歌が見守ってくれるので、剣を引き抜いてイノシシに向かう。相手もこちらに気付いたのか、威嚇してから突撃してくる。その速度はかなり遅く感じる。横に避けながら剣を猪の進行方向におきながらタイミングをみて踏み込みながら振りぬく。さらに身体を回しながら背後から斬りつける。
すると相手は簡単に消滅してしまった。確か、オーバーロードでユグドラシルの前衛職は現実の反射神経などが影響するとはいっていたが……余裕そうだな。
「アーサー、かっこよかったわ」
「そ、そうか……」
嬉しそうにしている愛歌。俺は愛歌の隣に座ってアビーを見守ることにする。隣の愛歌が俺にもたれかかろうとして、止めてメニューを操作しだした。
アビーは兎と戦っている。ただ、抱き上げてすりすりしているだけだ。向こうじゃ動物は飼えないからな。
「そういえばこのゲーム、課金ができるのよね」
「ああ、そのはずだ」
「じゃあ、やってみようかしら?」
「いいかもしれないな……」
話していると、アビーが兎を絞め殺してからこっちにやってきた。やはり愛歌の娘なだけあるな。
「お父様、お母様、召喚術が使えないの?」
「どうしたんだ?」
「モンスターがないの。兎さんも駄目だったから、殺したんだけど……」
「どれどれ……」
愛歌と一緒にアビーのをみると納得した。契約したモンスターがいないのだ。何体も倒さないと契約とかもできないみたいだ。入手方法にガチャと書かれていた。
「ガチャだな」
「お小遣い欲しいの」
「いいわよ。とりあえず100万渡すわね」
とりあえずのレベルじゃないんだが、あっさりと俺達のところに課金してコインを購入した。アビーはそれを使ってガチャをしていくので、俺もやっていく。目当てのものはレアなモンスターや課金のレア装備だ。ちょうどサービス開始のイベントをやっているので。
「まあ、当たらないよな」
ユグドラシルの武装は宿したデータ容量の大きさによって区分される。最下級から始まり、下級、中級、上級、最上級、
「う~当たらないの」
「私に任せて」
愛歌がリズムに乗りつつか、何度か隙間をあけながらガチャをすると
「とりあえず装備はこれね。モンスターは好きなのを……全部使ったらいいわ」
「お母様、ありがとう~」
俺は倉庫とかを最大まで拡張しておく。三人で最大まで拡張したら愛歌はガチャででてきた魔法書を使っていく。俺は鎧とかを変えてから、剣を引き抜く。明らかに初期装備の武器とはレベルが違う。ただ、装備してもレベルが低いからか、ペナルティーがついてまともに使えない。ただ、それを解除する薬もガチャからでる。一定時間だけだが。
「使えそうかしら?」
「問題ない。むしろ丁度いいくらいか」
どうせペナルティーはシステムアシストやスキル技が使えない程度の物。ならば剣術だけで対応すればいい。
「それならよかったわ」
「愛歌はどうだ?」
「私は支援魔法とか色々と覚えたわ。アビーは……」
アビーの方に視線をやると強力なモンスターのクリスタルを使って呼び出していた。大きな熊と大きな黒いうさぎ。
「ねえ、危なくないかしら?」
「だな」
立ち上がって全力で走って二匹の拳が振り下ろされる前にアビーを抱えて避ける。そのまま走ってアビーを置いて二匹に走る。
「アビーは愛歌と一緒に後ろから援護してくれ。俺に回復アイテムを使ってくれればいいから」
「はい、お父様!」
「援護するわ」
愛歌の援護を受けて二匹に攻撃しつつ、ヘイトを稼いでいく。さすがに二匹の相手はきついので被ダメージを受けるが、可愛い愛娘がポーションを投げたり、ガチャ産の使い捨ての支援アイテムを使ってくれる。愛歌は魔法を放ってヘイトコントロールを自分でしてくれるのでかなり楽だ。
課金アイテムを湯水のように使って一時間ぐらい戦ってようやく二匹は倒れてくれた。経験値やドロップアイテムはなく、ただアビーの召喚術にウォーラビットとウォーベアの二匹が登録された。
「これで召喚術が使えるのだわ」
アビーの二匹を可愛らしいデフォルメしたぬいぐるみみたいなのを召喚した。どうやら子供用にデフォルメされた奴みたいだ。抱き上げてアビーが顔を埋めてもふもふしている。
「よかったわね。でも、ちょっと貸してくれるかしら?」
「はい、お母様」
愛歌がぬいぐるみを借りてもふもふしだした。いや、二匹はバタバタと手を振っている。というか、二人共無茶苦茶可愛くてほっこりする。
草原で二人が座ってゆっくりと、そこだけ世界が違うようにしている。しばらく日向ぼっこをしていると、流石に時間がきたので愛歌がログアウトする。食事を作ってくれるからだ。
俺とアビーは二人で色々とまわっていく。お父様呼びに色々視線が集まるが、流石に子供に手を出してくるのはいない。
「お父様、肩車して欲しいわ」
「いいぞ」
肩車をして進んでいくと、召喚獣に戦わせていく。子供フィルターをかけているからこそできる。ちなみにこのフィルター、買う時に指定できる奴なので、購入時に身分証明書を出しているからできるらしい。
遊んでいるとリアルから呼ばれたので、現実世界に戻って愛歌が作ってくれた食事を行う。アビーはぱくぱくと食べてすぐにゲームに戻っていった。まあ、子供フィルターがかかっている人はPKとかもできないから安心だ。
俺と愛歌は一緒に食器を洗ってから、アビーがいないうちに楽しむ。一、二時間経ってからログインするとアビーがセクハラされていた。
「そこのピンク肉棒……」
「あれ? 知り合い?」
「お父様とお母様ですわ」
「え、母親!?」
「そうよ」
「それで、娘の教育に……」
「? 私、もう知ってるよ? お父様とお母様がしてるのみてるもの」
色々とやばいことになっているようだ。まあ、一緒に寝ているし、寝ているアビーの隣でやったりもしているし、仕方ないな。