沙条愛歌といくオーバーロード   作:ヴィヴィオ

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第5話

 

 

 

 

 私、沙条アビゲイル。小学4年生。今年で10歳になります。今日も学校で授業を受け、お友達のララちゃんと一緒に楽しいお話をしたり、ご飯を一緒に食べたりし、授業が終わってからユグドラシルで会う約束をして校門で別れます。

 

「アビー」

「うん。ユグドラシルで会いましょう」

「……わかった。何時ものところで待ち合わせ……」

「楽しみだわ」

 

 お友達のララちゃんと別れて駐車場に移動すると、大きなバイクが停まっていて、そこにメイドさんが待っている。

 

「お勤めご苦労様だ」

「お勤めじゃないのだわ、おば様」

「そうか。まあ、どちらでもいい。そちらも護衛ご苦労様だ」

「うむ」

 

 私の背後から滲み出るようにしてお爺様がでてくる。お爺様は私を持ち上げてバイクに乗せ、ヘルメットを被せてくれる。おば様は口に咥えていたアイスを私の口に入れてから、バイクにまたがってヘルメットも付けずに発進する。お爺様は姿を消して普通に走ってついてくる。

 

 自宅に到着すると、お爺様が私を降ろしてくれる。そのまま玄関を通っていくと、沢山いるメイドさん達が出迎えてくれるので、挨拶を交わしながら庭にある温室に入る。

 

「お父様っ! ただいま~!」

「お帰り、アビー」

 

 お父様は椅子に座りながら紅茶を飲んでいる。何時も、この時間はここにいるからわかりやすい。私はお父様に抱き着いて膝の上に乗って、今日あったことを楽しく話していく。

 

「楽しかったようで良かったよ」

「えへへ~あっ、忘れてた。んっ」

 

 お父様に抱き着いたままキスをして、舌を絡める。そのまま楽しんでいると、お父様が私を離してくる。唾液の橋がもったいなくて、舌で絡めて口の中に迎え入れる。

 

「駄目だと言っているだろう」

「だって、舌を入れるのは気持ちいいもの。それにアビーはお父様のお嫁さんになるのだから問題ないの」

「まったく……」

 

 お父様は私達、娘にもお母様にも弱い。甘えれば本当に悪い事以外は許してくれる。これは悪い事じゃない。ただのスキンシップなのよ。お父様、嫌いっていう最強の言葉もあるから、これぐらいは受け入れてくれている。もっと成長して

 

「「パパっ、姉様っ」」

 

 声に振り向くと、お母様が手にケーキを持って、妹達を連れてこちらにやってきていた。

 

「ただいま、イリヤ、ジル」

「おかえりなさい」

「おかえり~!」

 

 妹は双子で、二人共銀色の髪の毛をしている。生まれた時は白色だったけれど、お母様がなにかしたのか、綺麗な銀色の髪の毛になったのよ。イリヤはイリヤスフィールっていって、ジルはそのままジルなのよ。イリヤは髪の毛を伸ばしていて、活発なジルはお母様と同じ短くしている。私が伸ばしているからかもしれないけれど。

 

「アビー、降りなさい」

「はーい」

 

 私は素直に降りる。降りると、二人が抱き着いてくるので私も抱きしめ返してキスをする。振り返れば、お母様がケーキをテーブルに置いて、お父様が紅茶を入れていく。いつの間にかメイド服を着たおば様も座ってお父様が入れた紅茶を採点している。普通は逆なのだけど、おば様はお父様のお姉様だから問題ないらしいわ。

 私達が座り、それぞれ紅茶とケーキを食べはじめる。紅茶を入れ終わったお父様が座ると、その上にお母様が座ってイチャイチャしだす。娘の前だというのに一切気にしていないわ。

 

「失礼します」

 

 黒い肌に青い髪の毛をした女の子が現れた。彼女はフードに手袋、ストッキングとかで全身の肌を隠している。でている部分は顔くらい。

 

「静謐、どうしたの?」

「欧州に送った手の者から連絡がありました。アーコロジー間で紛争が発展した事後処理です」

「ネオナチスだったかしら」

「はい。アーサー様とアルトリア様で解決なされた件です」

「そうね……」

「ふむ。アレは楽しかった。またやりたいぞ」

「ライダー? 俺は御免だ。何が好き好んでミサイルや砲弾が降り注ぐ場所に単身で突撃して、殲滅しなくてはいけないんだ」

「おや、子供達には人気だぞ」

「かっこよかったのだわ!」

「パパ、凄かった!」

 

 紛争が勃発して、狙いがお母様の会社が持つ技術だとわかったため、おば様がお父様を連れ出して戦場を二人で散歩してきたらしいの。二人だけで戦場を蹂躙して、虐殺している姿が静謐達、ハサン達が撮ってきてくれた。その後、お母様が大激怒してお母様とおば様が戦って、お父様がとりなして事なきを得た。

 

「まだ怒っているのだけれど……」

「ふん。アレは必要なことだった。ここ数年でアーサーは私の剣技を吸収し、飛躍的に強くなった。私と引き分ける程度にはだ。銃とバイクがアリなら負けぬが」

「それをいうなら、宝具ありなら負けないな」

「ほう、言ったな。いいだろう」

「はいはい、そこまでよ」

 

 お父様達は毎朝戦っている。この頃、お爺様に二人がかりで挑んで負けているらしい。おば様とお父様の勝率はお父様の方が負け越してはいるみたい。

 

「処理はこちらでやっておくわ」

「そうか。それとアビー。そろそろ時間ではないかな?」

「あ、いってきま~す」

「お姉ちゃん、私達もいくよ!」

「はい」

「二人は私達と行きましょうね」

「は~い」

 

 私は部屋に戻ってVR装置をかぶってIDとパスワードを入れて、ユグドラシルの世界へとログインする。妹達と違って、私は成長しているので一人でも大丈夫。

 

 

 ユグドラシルの私はアビー。最上位クラスの異界召喚士をしている。種族も人だったのが魔女になっちゃった。アビーの現在のステータスはこんな感じ。

 

 

【名前】

 アビー 

【レベル】64

 種族・災厄の魔女レベル15

【クラス】

 異界召喚士レベル15

 ジェネラルレベル10

 エンチャンターレベル10

 インマスターレベル10

 魔導図書館レベル4

 

 災厄の魔女は伝説や神話級の魔導書を沢山持っていて、それを使って沢山の人やモンスターを殺したりして、災厄を引き起こしたら得られるの。私は友達が異形種狩りに襲われて殺されたから、報復にその人達がいる街とギルドを徹底的に破壊してあげたら、なっちゃった。ちょっとナコト写本とセラエノ断章、ルルイエ異本、エイボンの書を使って課金アイテムをふんだんに使って本気の召喚しただけなんだよ。お小遣いが全部消えちゃったけど。

 でも、ヨグ=ソトース、ツァトゥグァ、ツァトゥグァ、ウボ=サスラ、アザトース、ファロールとかでてきて、とっても楽しかったわ。私の大事なラヴィを殺した馬鹿共を踏み潰す感じがとても素敵。相手の人達デスペナルティでレベルダウンさせまくってあげたけど、その代償は結構大きい。

 クトゥルフ神話の魔導書は神様を呼び出すのは使い捨てなの。それもこちらの言う事なんて聞いてくれないし、喜んでこちらを攻撃してくるわ。このレイドボス、倒したら召喚師に神話知識とか、色々と入ってくる。その時に精神攻撃を受けて死ぬとレベルが初期に戻される。それでも神話知識はレベルダウンが起きずに蓄積される。レイドボスを倒せなかったら、神話知識はレベルダウンする。

 精神攻撃に耐えきって、生き残ることができたら、神話知識はたっぷりと貰える。神話知識が一定レベルに達するとようやく契約する可能性が生まれてくる。精神系スペルキャスターのインマスターを取ることで精神耐性を得られるから、頑張ってとってみた。

 

「アビー」

「ラヴィ!」

 

 待ち合わせのカフェで座っていると、ラヴィが来たのでステータスを閉じる。ラヴィは角が二本生えていて、肌も青白い。その上から拘束具をつけてローブを着ている。ラヴィは鬼と不死者のハーフで、クラスはアルケミスト(ジーニアス)とネクロマンサー、カースメイカーとかを習得している。今の格好はお父様いわく、世界樹の迷宮にでてくるカス子の衣装みたい。ラヴィはラヴィニアといって、リアルの名前はララ。お父様にお願いして、ララの誕生日にユグドラシルの装置を買ってもらって、プレゼントしたの。その設定の時に悩んでいたらラヴィニアという名前を進めてもらったの。

 

「……今日は何処にいく……?」

 

 反対側の席について、注文をしてすぐにでてきたジュースを飲みながら、ラヴィが質問してくる。

 

「クトゥルフ神話の魔導書がまだ欲しいけれど、ずっと行ってたから今日はラヴィの行きたいところでいいのよ」

「……クトゥルフ神話のとこでいい。デスナイトを改造したから、そっちで大丈夫……」

「ありがとう!」

「アビーのためじゃない。私が行きたいところだから」

「それでもなのよ」

 

 ラヴィに抱き着きながら考える。どう考えても戦力がたりない。フレンドリストを見てみると、お父様とお母様。それにジャック・ザ・リッパー、シトナイがログインしてきたのがわかった。ジャックはジルで、シトナイはイリヤなの。

 

「お父様や妹達がきたから、誘ってみる。ラヴィも皆なら大丈夫よね?」

「……お願い」

 

 ラヴィは人見知りだから仕方ない。私がしっかりとしないと駄目なの。

 

 

 

 連絡を取れた私達は海底に沈むルルイエにやってきた。そこで封印を解いて、ダンジョンを攻略する。このダンジョンは浮上していき、完全に浮上するとクトゥルフが復活してくる。レイドボスのため、とっても大変なことになる。

 

「前衛は二人、中衛が一人、後衛が三人ね」

 

 お父様とジャックが前衛で、シトナイが中衛。残りは後衛となる。まあ、壁は私が用意するので問題ないと思う。それにお父様は前衛職としてすごく強いから、大丈夫。

 実際、でてくる敵はお父様達と一緒に軽く蹴散らしていく。お父様が剣ではじいて盾となり、ジャックとシトナイが攻撃する。私達も援護していけば簡単。お母様はスペルキャスターとしてかなり強いし、シトナイが回復やバフをしてくれる。ラヴィがデバフをするし。私は蜂を召喚して索敵を担当する。

 

「アーサー、次のアップデートでフィールドが買えるようになるみたいなの」

「それはいいが、どういうことなんだ?」

「フィールドを買って拠点にできるのよ。ダンジョンも変わらないみたいよ」

「だったら、私は遊園地が欲しい!」

「え~遊園地より、私は動物園がいい! 現実にないし」

「動物園なんて、お姉ちゃんに頼めば一発じゃない」

「それもそっか」

 

 私の召喚獣達を動物といいきるのはどうかと思うの。でも、もふもふで最高の遊び相手になる子達もちゃんといる。

 

「どちらも却下よ。欲しいのなら、現実で作ってあげるから。それよりも、狙っている場所があるの」

「どこだ?」

「世界そのもの。買い叩いてみない?」

「それはとても面白そうだ」

 

 お父様とお母様が楽しそうに世界一つを手に入れるみたい。

 実際、二年後にお母様達はえげつない方法で九つある世界の一つ、アースガルズの世界を手に入れた。そこを支配していた天空城を持つギルドを倒したの。

 お母様達はアルバイトを雇って人数を増やしたし、おば様やハサン達も投入していた。その人達で複数のギルドを作らせ、一つ一つのダンジョンを購入して課金をいっぱいしてアースガルズを強化したの。そして、最後にはおっきくなった異形種のギルド、アインズ・ウール・ゴウンと戦わせて消耗したところで、全てを統合して天空城に攻め込んでギルドを潰し、天空城すらも手に入れた。

 私はお母様達が落としたあと、アースガルズ中にクトゥルフ神話や、課金のモンスターたちを放ってレイドモンスターによる防衛網を構築した。戻ってきた人達は呆然としていたのが印象に残っている。

 こうして、世界一つを支配する巨大ギルド、エデンが結成された。ここは私達の楽園であり、邪魔する者は存在しない。各拠点は転移できるし、別の世界にいく門の前にはレイドモンスターがいっぱい待ち構えているのでエデンの人以外は誰もこない。私達は別の転移門があるので、そっちを使えばいいだけだから問題ないの。

 

 

 

 

 

 

 


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