海色少女と転校生 ~二人で奏でる音色~ 作:橋本プレコ
「はぁ…二度寝出来るって最高…」
今日は学校も飛び込みの練習もない日。私は静かな時間をゆっくりと楽しんでいました。
「まだ10時か…もっかい寝よ…」
まだまだ時間に余裕があることを確認して私は再びベットに潜り込んだ。このままもう一回夢の世界へ…が、そんな私の時間は一本の電話でお預けとなってしまった。
「…ん?電話だ…千歌ちゃんから?」
携帯を手に取って通話ボタンを押すと千歌ちゃんの元気な声が聞こえてきました。
「曜ちゃん、おはよ!久しぶりに果南ちゃんのところに行こーよ!」
「果南ちゃんとこ?いいけど何か用事でもあるの?」
「最近学校であったこととか伝えなきゃなーって思ったんだ。曜ちゃんも行こ!」
「いいよ!準備するから待っててね!」
私はすぐさまベッドから飛び起きて身支度を始めた。
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千歌ちゃんと合流し、私達は果南ちゃんの家に行くために淡島行きの船に乗っていた。
「果南ちゃん、元気にしてるといいね!」
「仕事で忙しくて体調崩してる暇もないんじゃない?ほら!今もあそこで準備してるし!」
千歌ちゃんが指差す方を見ると果南ちゃんがお店の仕事をしているのが見えた。私達は船をおりるとすぐに果南ちゃん家に向かった。
「おーい!果南ちゃーん!」
「ん?この声は…」
この人は私と千歌ちゃんの幼なじみの果南ちゃん。年齢は一つ上で、一人っ子の私は果南ちゃんのことを姉のように思って過ごしてきました。
「千歌に曜じゃん!どうしたの?」
「えへへ、久しぶりに遊びに来たよ!学校の方にはそろそろ戻れそう?」
「うーん…お父さんの怪我が完治してないからまだ戻れそうにないなぁ」
果南ちゃんはお父さんの怪我の影響でしばらく学校を休学して家のダイビングショップの手伝いをしている。
「そっかぁ…じゃあスクールアイドルを再開するのももう少し先になるね」
「あとは鞠莉が帰国してくるのを待つだけ。私もダイヤもずっと待ってたんだから」
「そろそろだよね。鞠莉ちゃんが留学から戻ってくるの…」
千歌ちゃんと果南ちゃんは学校を盛り上げるためにスクールアイドルを始めている。とは言ってもうちの学校に元々あったスクールアイドルは現在は休止中で二人は活動再開のために頑張っているのだ。
「で、どうするの?転校してきた子がピアノ出来るから作曲のために誘いたいって言ってた話。無理に誘わなくても私達が三人だった時に作詞作曲は一通りやってたから任せてくれてもいいんだよ?」
「…私はね、あの子と一緒にスクールアイドルがやりたいの。作曲が出来るからって理由だけじゃないからね」
「そっか。なら頑張らないとね!」
こういう時は年上らしく私達にアドバイスをくれたり気を使ってくれる優しい果南ちゃん、早く学校に戻ってきて欲しいなぁ…
「うん!それにいざとなったら曜ちゃんも誘ってみるし…えへへ!」
「いやいやいや!私には飛び込みの練習があるし…それにこんな私にアイドルなんて…」
「忙しいのは仕方ないけど曜ちゃんはとっても可愛いし私より運動神経いいんだからダンスだってすぐに上手くなるよ!」
スクールアイドルか。千歌ちゃんが誘ってくれるのはとっても嬉しいけどやっぱりこんな私にはオシャレなアイドルなんて向いてないよね…
「千歌、強引に誘っちゃダメでしょ?転校生に対してもこんな感じなの?」
「あはは、ごめんね曜ちゃん…」
「ううん。全然気にしなくていいよ。それに…誘ってくれてありがと!」
「あ、そろそろ仕事に戻らなきゃいけないなぁ…また遊びにおいでよ」
「はーい、また来るね」
「うん!またね!」
果南ちゃん達とお話するのはとても楽しかったけど新しく出来た胸のつかえの正体がわからないまま終わった。
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「いやー果南ちゃんも元気そうでよかったね。お父さんの怪我も良くなってたみたいで安心したよ!」
「このままだと来月には復学できるかもって言ってたね。また学校で果南ちゃんと会いたいなぁ…」
果南ちゃんの家からの帰り道、私たちは他愛のない話をしながら海岸通りをのんびりと歩いていた。
「あれ?あの後ろ姿はもしかして…あ!やっぱり梨子ちゃんだ!」
「千歌ちゃん?」
誰かの後ろ姿を見つけて走り出した千歌ちゃん。その相手は最近私達の学校に転校してきた桜内さんでした。
「千歌ちゃんと…渡辺さんだったかな?二人でお出かけしてるの?」
「うん!梨子ちゃんは?」
「私はこの周辺を散歩してたの。引っ越してきたばかりだから近くに何があるのかな知りたくて。ここは海も景色も綺麗でとてもいい場所だね」
「えへへ、私にとっても自慢の町なんだ。特に目立ったものはないけどね」
笑顔で話しを続ける千歌ちゃんと桜内さんはとても楽しそうだった。
「そういえば二人って下の名前で呼ぶようになったんだね」
「うん。いつまでもさん付けで呼んでたら距離があるみたいで嫌だなって…」
なんか千歌ちゃんだけ桜内さんと仲良くなってる感じでちょっと悔しいな。こうなったら…
「…よかったら私も千歌ちゃんと同じように下の名前で読んでほしいなって…ダメかな?」
「もちろんだよ!曜ちゃん!」
「…ッ///」
…何でだろう?梨子ちゃんの笑顔を見てるだけなのに心臓がドキドキして顔が熱くなるのも感じる…どうしちゃったんだろ私…?
「曜ちゃん?どうしたの?」
「あ…ううん、なんでもないよ。これからもよろしくね!梨子ちゃん!」
「うん!」
この不思議な気持ちの正体はまだわかりそうもないけど私はこれから始まる新しい日々への期待に胸を膨らませていました。
これからの私達に起こる出来事が楽しく、希望に満ちていきますように…
To be contenuid…
それではまた。