個性豊かな5人組が異世界最強!?   作:キバリン

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ちょっと5人組パーティー組む前提のステータスになっちゃったか…?


ステータスプレート

翌日、戦闘訓練と座学が始まった。

 

今の時間を説明すると、昨日の召喚から一夜明けている。

 

オレ達勇者一行に、一人一人部屋が与えられ天幕付きのベッドまであった。

 

更にはこの国の【ハイリヒ王国】の王様や王妃様にも会ったのだが、その話は割愛するとしよう。

 

 

 集まった生徒達に十二センチ×七センチ位の銀色のプレートが配られた。不思議そうに配られたプレートを見る生徒達に、騎士団長メルド・ロギンスが直々に説明を始めた。

 

「よし、全員に配り終わったな? このプレートは、ステータスプレートと呼ばれている。文字通り、自分の客観的なステータスを数値化して示してくれるものだ。最も信頼のある身分証明書でもある。これがあれば迷子になっても平気だからな、失くすなよ?」

 

 非常に気楽な喋り方をするメルド。彼は豪放磊落な性格で、「これから戦友になろうってのに何時までも他人行儀に話せるか!」と、他の騎士団員達にも普通に接するように忠告するくらいだ。

 

「プレートの一面に魔法陣が刻まれているだろう。そこに、一緒に渡した針で指に傷を作って魔法陣に血を一滴垂らしてくれ。それで所持者が登録される。 “ステータスオープン”と言えば表に自分のステータスが表示されるはずだ。ああ、原理とか聞くなよ? そんなもん知らないからな。神代のアーティファクトの類だ」

 

「アーティファクト?」

 

 アーティファクトという聞き慣れない単語に光輝が質問をする。

 

「アーティファクトって言うのはな、現代じゃ再現できない強力な力を持った魔法の道具のことだ。まだ神やその眷属達が地上にいた神代に創られたと言われている。そのステータスプレートもその一つでな、複製するアーティファクトと一緒に、昔からこの世界に普及しているものとしては唯一のアーティファクトだ。普通は、アーティファクトと言えば国宝になるもんなんだが、これは一般市民にも流通している。身分証に便利だからな」

 

 なるほど、と頷き生徒達は、顔を顰めながら指先に針をチョンと刺し、プクと浮き上がった血を魔法陣に擦りつけた。すると、魔法陣が一瞬淡く輝いた。由良達5人も同じように血を擦りつけ表を見る。

 

すると・・・・・・

 

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平沢 由良 17歳 男 レベル:1

天職:錬成師

筋力:10

体力:30

耐性:10

敏捷:100

魔力:50

魔耐:10

技能:錬成・絆の誓[+Rose]・言語理解

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野田 一久 17歳 男 レベル:1

天職:守護者

筋力:50

体力:100

耐性:30

敏捷:10

魔力:10

魔耐:10

技能:挑発・物理耐性・全属性耐性・絆の誓[+Rose]・言語理解

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松村 剛 17歳 男 レベル:1

天職:剣聖

筋力:100

体力:50

耐性:10

敏捷:40

魔力:10

魔耐:10

技能:剣術・縮地・限界突破・絆の誓[+Rose]・言語理解

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平野 尚 17歳 男 レベル:1

天職:黒魔道士

筋力:10

体力:10

耐性:30

敏捷:10

魔力:100

魔耐:50

技能:魔力感知・弱体魔法・複合攻撃魔法・絆の誓[+Rose]・言語理解

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鈴木 真子 17歳 男 レベル:1

天職:白魔道士

筋力:10

体力:10

耐性:30

敏捷:10

魔力:50

魔耐:100

技能:魔力感知・治癒魔法・支援魔法・絆の誓[+Rose]・言語理解

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表示された。

 

「まるでゲームみたいだな…」

 

「そうだねぇ〜…」

 

「天職が上手い具合に別れてるぞ」

 

なんやかんやお互いのプレートを見せ合い話しているとメルド団長がステータスの話を話し始めた。

 

「全員見れたか? 説明するぞ? まず、最初に“レベル”があるだろう? それは各ステータスの上昇と共に上がる。上限は100でそれがその人間の限界を示す。つまりレベルは、その人間が到達できる領域の現在値を示していると思ってくれ。レベル100ということは、人間としての潜在能力を全て発揮した極地ということだからな。そんな奴はそうそういない」

 

 どうやらゲームのようにレベルが上がるからステータスが上がる訳ではないらしい。

 

「ステータスは日々の鍛錬で当然上昇するし、魔法や魔法具で上昇させることもできる。また、魔力の高い者は自然と他のステータスも高くなる。詳しいことはわかっていないが、魔力が身体のスペックを無意識に補助しているのではないかと考えられている。それと、後で、お前等用に装備を選んでもらうから楽しみにしておけ。何せ救国の勇者御一行だからな。国の宝物庫大解放だぞ!」

 

 メルド団長の言葉から推測すると、魔物を倒しただけでステータスが一気に上昇するということはないらしい。地道に腕を磨かなければならないようだ。

 

「次に“天職”ってのがあるだろう? それは言うなれば“才能”だ。末尾にある“技能”と連動していて、その天職の領分においては無類の才能を発揮する。天職持ちは少ない。戦闘系天職と非戦系天職に分類されるんだが、戦闘系は千人に一人、ものによっちゃあ万人に一人の割合だ。非戦系も少ないと言えば少ないが……百人に一人はいるな。十人に一人という珍しくないものも結構ある。生産職は持っている奴が多いな」

 

5人も各々のステータスの天職を見てみる。

 

「オレは練成師だな」

 

「俺は守護者」

 

「僕は白魔道士ですね」

 

「ボクは黒魔道士〜」

 

「…俺は剣聖だ」

 

 

「─つまりオレ以外は戦闘職でオレは生産職なのか……」

 

「まぁまぁ・・・」

 

「生産職が弱いってわけじゃないよ〜」

 

「…こっちの世界の常識で生産職なだけでやりようはある」

 

オレが1人項垂れているとみんなが優しく声をかけてくれる。なんて友達思いな奴らなんだお前らは…。

 

嬉しさを噛み締めているとメルド団長が再度話始める。

 

「後は……各ステータスは見たままだ。大体レベル1の平均は10くらいだな。まぁ、お前達ならその数倍から数十倍は高いだろうがな! 全く羨ましい限りだ! あ、ステータスプレートの内容は報告してくれ。訓練内容の参考にしなきゃならんからな」

 

「平均が10か…」

 

「ボク達はそこそこなのかもね〜」

 

 メルド団長の呼び掛けに、早速、光輝がステータスの報告をしに前へ出た。そのステータスは……

 

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天之河光輝 17歳 男 レベル:1

天職:勇者 

筋力:100

体力:100

耐性:100

敏捷:100

魔力:100

魔耐:100

技能:全属性適性・全属性耐性・物理耐性・複合魔法・剣術・剛力・縮地・先読・高速魔力回復・気配感知・魔力感知・限界突破・言語理解

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 まさにチートの権化だった。

 

「ほお~、流石勇者様だな。レベル1で既に三桁か……技能も普通は二つ三つなんだがな……規格外な奴め! 頼もしい限りだ!」

「いや~、あはは……」

 

 団長の称賛に照れたように頭を掻く光輝。ちなみに団長のレベルは62。ステータス平均は300前後、この世界でもトップレベルの強さだ。しかし、光輝はレベル1で既に三分の一に迫っている。成長率次第では、あっさり追い抜きそうだ。

 

 ちなみに、技能=才能である以上、先天的なものなので増えたりはしないらしい。唯一の例外が“派生技能”だ。

 

 これは一つの技能を長年磨き続けた末に、いわゆる“壁を越える”に至った者が取得する後天的技能である。簡単に言えば今まで出来なかったことが、ある日突然、コツを掴んで猛烈な勢いで熟練度を増すということだ。

 

光輝の次に今度は俺達が見せに行った。

 

「ほう…。5人ともそれぞれの項目1つが3桁と飛び抜けてイイな。守護者は前衛の盾役、剣聖は剣技においてなら勇者に勝るかもしれん。白魔道士に黒魔道士はお互いの欠点を補える、ペアを組んで損は無いだろう。

…だが、練成師か……。」

 

一久、剛、真子、尚と賞賛の言葉を貰っていくが、オレの時だけ言葉が歯切れ悪くなる。

 

「あの、練成師ってそんなにダメなんですか?」

 

「ダメ…という訳では無いのだが、10人に1人はもっている天職だ。国お抱えの職人なら誰でも持っているな。」

 

「そ、そうですか…。」

 

「まぁ、そのなんだ。努力次第では腕のいい鍛治職人になれるかもしれん。なんて言ったって、お前達は勇者だからな。」

 

「は、はぁ…ありがとうございます。」

 

(気遣われる様に言葉をもらうが少し胸に刺さったな……)

 

その場の空気が沈みオレ達が離れると剛がメルド団長に話しかける。

 

「…団長、ひとついいですか?」

 

「ん、どうした?」

 

「…この、"絆の誓[+Rose]"って技能分かりますか?」

 

「いや、俺も初めて見た。これがどうかしたのか?」

 

「…これ、俺たち5人だけ持ってるんです」

 

「…なに?それは妙だな。天職が違うならそれぞれ持っている技能も違ってくる。それが当たり前だ。

だが…現に起きているわけだしな…。わかった、これに関しては俺の方からも調べてみよう」

 

「…お願いします。

(…もしかしたら向こうの世界でのアレかもしれないが…だとしたら俺たち5人は一緒のパーティーの方がいいな…」

 

剛がメルド団長と話終えると次々とステータスの報告へ行く。最後にハジメが報告しに行くと、団長の顔が笑顔のまま固まっていた。

 

「…まさか、2人目の練成師がいるとは…。まぁ、なんだ、先程同じ練成師の由良にも説明したと思うが、鍛治職だ。」

 

 歯切れ悪くハジメの天職を説明するメルド団長。

 

 その様子にハジメを目の敵にしている男子達が食いつかないはずがない。鍛治職ということは明らかに非戦系天職だ。クラスメイト達のほぼ全員が戦闘系天職を持ち、これから戦いが待っている状況では役立たずの可能性が大きい。

 

 檜山大介が、ニヤニヤとしながら声を張り上げる。

 

「おいおい、南雲~。お前、そんなんで鍛治職で戦えるわけ?」

 

 檜山が、実にウザイ感じでハジメと肩を組む。見渡せば、周りの生徒達――特に男子はニヤニヤと嗤っている。

 

「さぁ、やってみないと分からないかな」

 

「じゃあさ、ちょっとステータス見せてみろよ。天職がショボイ分ステータスは高いんだよなぁ~?

由良の奴は高かったぞ〜?それも俊敏は勇者の光輝並になぁ〜?」

 

 メルド団長の表情から内容を察しているだろうに、わざわざ執拗に聞く檜山。本当に嫌な性格をしている。取り巻きの三人もはやし立てる。強い者には媚び、弱い者には強く出る典型的な小物の行動だ。事実、香織や雫などは不快げに眉を顰めている。

 

 香織に惚れているくせに、何故それに気がつかないのか。そんなことを考えながら、ハジメは投げやり気味にプレートを渡す。

 

 ハジメのプレートの内容を見て、檜山は爆笑した。そして、斎藤達取り巻きに投げ渡し内容を見た他の連中も爆笑なり失笑なりをしていく。

 

「ぶっはははっ~、何だこれ! 完全に一般人じゃねぇか!」

「ぎゃははは~、むしろ平均が10なんだから、場合によっちゃその辺の子供より弱いかもな~」

「ヒァハハハ~、無理無理! 直ぐ死ぬってコイツ! 肉壁にもならねぇよ!」

 

「…アイツら…ッ!」

 

 次々と笑い出す生徒に香織と由良が憤然と動き出す。しかし、その前にウガーと怒りの声を発する人がいた。愛子先生だ。

 

「こらー! 何を笑っているんですか! 仲間を笑うなんて先生許しませんよ! ええ、先生は絶対許しません! 早くプレートを南雲君に返しなさい!」

 

 ちっこい体で精一杯怒りを表現する愛子先生。その姿に毒気を抜かれたのかプレートがハジメに返される。

 

 愛子先生はハジメに向き直ると励ますように肩を叩いた。

 

「南雲君、気にすることはありませんよ! 先生だって非戦系? とかいう天職ですし、ステータスだってほとんど平均です。南雲君は一人じゃありませんからね!」

 

 そう言って「ほらっ」と愛子先生はハジメに自分のステータスを見せた。

 

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畑山愛子 25歳 女 レベル:1

天職:作農師 

筋力:5

体力:10

耐性:10

敏捷:5

魔力:100

魔耐:10

技能:土壌管理・土壌回復・範囲耕作・成長促進・品種改良・植物系鑑定・肥料生成・混在育成・自動収穫・発酵操作・範囲温度調整・農場結界・豊穣天雨・言語理解

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 ハジメは死んだ魚のような目をして遠くを見だした。

 

「あれっ、どうしたんですか! 南雲君!」とハジメをガクガク揺さぶる愛子先生。確かに全体のステータスは低いし、非戦系天職だろうことは一目でわかるのだが……魔力だけなら勇者に匹敵しており、技能数なら超えている。糧食問題は戦争には付きものだ。ハジメの様にいくらでも優秀な代わりのいる職業ではないのだ。つまり、愛子先生も十二分にチートだった。

 

 ちょっと、一人じゃないかもと期待したハジメのダメージは深い。

 

「あらあら、愛ちゃんったら止め刺しちゃったわね……」

 

「な、南雲くん! 大丈夫!?」

 

「愛子先生…地雷原踏み抜いたな……」

 

 反応がなくなったハジメを見て雫が苦笑いし、香織が心配そうに駆け寄り、由良はいつもの事に呆れ返っている。愛子先生は「あれぇ~?」と首を傾げている。相変わらず一生懸命だが空回る愛子先生にほっこりするクラスメイト達。

 

 ハジメに対する嘲笑を止めるという目的自体は達成したものの、上げて落とす的な気遣いと、これからの前途多難さに、ハジメは乾いた笑みを浮かべるのだった。

 

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