この素晴らしい中二病に祝福を!   作:アホを極めたらこうなる

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雪原の王者に敵対を!

冬将軍が、ゆっくりと俺達に近づいてくる。

 

そんな状況で、カズマが。

 

「なあ、思うんだけどさ」

 

「な、なんだ?」

 

「こいつさ、走っても逃げ切れないんだよね」

 

「じ、じゃあどうすんだよ」

 

「土下座だ」

 

「土下座!?」

 

 意味分からないことを言い出した。

 

「アクア曰く、冬将軍は寛大な心をもってるから土下座すれば見逃してくれるんだとよ」

 

「で、でもカズマ死んだって」

 

「ああ……ま、まあいろいろあったんだよいろいろ」

 

 そんな会話をしながらも、ふと後ろが気になって振り返ると。

 

 アクアさんが。

 

 あのアクアさんがだ。

 

 もはや全世界人のお手本と言えるような、きれいな土下座を敢行していた。

 

「………………」

 

 しかも片方の手で、いやがるダクネスさんを押さえつけながらだ。

 

 ……いや、うん。アクアさんってすごいなって。

 

 と、とにかくアクアさんがあんなことをしているということは、さっきカズマが言ってたことは本当だということだ。

 

「な、なあカズマ、土下座したほうが……って!?」

 

 と、カズマのほうへ振り返ると。

 

カズマもまた、アクアさんに負けづ劣らずのきれいな土下座を敢行していた。

 

「………………」

 

 …………土下座しよう。

 

 冷たい雪の上に額を押し付ける。

 

 こ、これでいいんだよな? 土下座ってこうだよな?

 

 こんなので冬将軍が許してくれるのだろうか……? 雪精の長って言ってたし、出てきた原因は雪精を討伐してしまったことだよな……。

 

 そう簡単にゆるしてはくれないでしょ……。

 

 と、ふと六花のことが脳裏に浮かぶ。

 

 めぐみんさんと一緒にいるし、大丈夫だよな……?

 

 いや、ちょっと待て。

 

 あの中二病の六花が。最強と自負する邪王真眼を持つ六花が、土下座すると思うか?

 

 ……否。断じて否だ。

 

 するわけがない。ていうか、逆に攻撃しそうな勢いだ。

 

 ……いいや、何を考えているんだ俺は!

 

 大丈夫だ、六花を信じるんだ! 彼氏が彼女を信じられなくてどうする!

 

 信じろ! 自分の彼女を! 六花を信じるんだ!

 

「我は邪王真眼!」

 

 ………………。

 

「貴様のすべてを破壊しつくすため参上した!」

 

 ……いやあ、ね。そんな気はしてましたよ。ええ、してましたとも。

 

 …………いやいやいやいや! まずいでしょこれ!? かなりやばいでしょ!

 

 カズマもぷるぷる震えてるし! かなりの緊急事態だよね!?

 

「いざ尋常に、勝負!!」

 

 ま、まずい、本気でまずい!

 

 と、冬将軍の方向から、刀を抜いたような金属音は響いてくる。

 

 ど、どうする? なにか逃げる手段はないか!?

 

 ……そ、そうだ! テレポートを使えばいいじゃん!

 

 よし、善は急げだはやく魔法を使って!

 

 と、勢いよく立ちあがって。

 

「テレポート!!」

 

 そう唱えると、俺達の足元に、以前のような魔法陣が展開される。

 

 よし、これで……!

 

 ……だが。

 

 残念ながら何も起きなかった。

 

 …………いやいやいや! なんで!? どうして魔法が発動しないんだ!?

 

 焦っている俺に、冷たい目を向ける冬将軍。

 

 と、一瞬視界から消えて。

 

 気づいた時には、目の前に居た。

 

「なっ」

 

 冬将軍が俺に向かって、その巨体に見合った大きな刀を振り下ろす。

 

 思わず目を瞑る。

 

 ――――――ドスッ。

 

 鈍い音とともに、俺の体は……。

 

 ……あれ? なにも感じない……。

 

 驚いて目を開けると。

 

「ここは私が食い止める! 先に逃げてくれ!」

 

 そこには、刀を全身で受け止めたダクネスさんがいた。

 

「だ、ダクネスさん!?」

 

「いいから早く行け!」

 

 普段の表情からは想像もできないような真面目な顔で叫ぶダクネスさん。

 

 だ、ダクネスさんかっこいい……。

 

「ふ、ふふふ」

 

 ……?

 

「ふふふ、いい攻撃だ。久々にこんなのを受け止めたぞ」

 

 あれ? ダクネスさん……顔赤くないですか?

 

「小さな夢がかなったぞ……さあ! もっと攻撃を!」

 

 …………期待を裏切らないクオリティ。これがダクネスさんだ。

 

「ダクネスが受け止めてる間に俺達は逃げるぞ!」

 

 と、勢いよく走りだすカズマ。

 

 それと同時に走り出すアクアさん。

 

 …………やっぱり息ぴったりだな。あの二人。

 

 い、いやそんなことを考えてる場合じゃない! 俺達も逃げないと!

 

「六花俺達も逃げるぞ!」

 

 そう六花に声を掛けると。

 

 なぜか六花は、眼帯に手を掛けて。

 

「爆ぜろリアル」

 

「お、おい六花?」

 

「弾けろシナプス!」

 

「り、六花!?」

 

 俺の悲痛な叫びを無残に切り捨てた六花は、勢いよく眼帯を外して。

 

「バニッシュメント、ディス、ワールドッ!!!!」

 

 そう叫びながら、金色の目を露わにした。

 

 いつも目にしている金色の目に、魔法陣が映し出される。

 

 途端に周りが暗くなっていく。

 

 空には月が登って、まるで……。

 

 そう、まるで六花が想像していた世界の様だ。

 

 そんな状況で六花は……いや、邪王真眼は。

 

 空に浮かんでいる月をみて満足そうにうなずくと。

 

「わが名は邪王真眼!」

 

 冬将軍に挑発的な目を向けて。

 

「お前を……倒す!」

 

 そう高らかに宣言した。




ここまで読んで頂き、ありがとうございます。

次回も読んで頂ければ幸いです。
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