この素晴らしい中二病に祝福を!   作:アホを極めたらこうなる

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暴走列車にブレーキを!

「……ゆうた?」

 

 冬将軍を倒したゆうたに、私は声を掛ける。

 

 反応がない。直立不動で突っ立ったまま動かない。

 

 ……反動で動けなくなったの?

 

 十分にあり得ることだ。私が戦った時とは段違いの威力の魔法を放っているのだから、余裕がなくても仕方がないことだ。

 

「ゆうた、よくやった」

 

 そう言いながらゆうたの方へと近づく。

 

「さすがダークフレイムマスター、あんな魔法を使えたなんて……」

 

 言っている途中にゆうたが振り返る。

 

 私はそのままゆうたを褒め称えてあげようとしたのだが。

 

 ……おかしい。ゆうたが何も反応してくれない。いつもなら笑いながらなにか言ってくるのに。

 

「ゆうた、どこか悪い?」

 

 怪我でもしたのだろうかと心配する。代償として腕を破壊される、とかだったりするとかっこよさは増すけどかなり痛いかも。

 

「……り……か」

 

「え?」

 

 ゆうたが何か言っている。あまりにも小さい声だったせいで聞き取れなかったので、もっと近づいて行く。

 

「どうかした?」

 

「……ガアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!」

 

 ゆうたが叫びながら右手を私に向けて、魔弾を放ってくる。

 

「っ!?」

 

 反射的に右に飛んで避けると、ゆうたが殴りで追撃してくる。

 

「ゆ、ゆうた!?」

 

「ガアアッ!!」

 

 すさまじい連撃。どうにか私も拳で対抗するも、パワーはゆうたのほうが――いや、ダークフレイムマスターのほうが上の様で押し切られそうになる。

 

「ぐうっ!」

 

 後ろに跳躍して距離を話す。幸い詰めてこなさそうなのでよかった。

 

「お、おい、勇太!? お前何してんだよ!」

 

 カズマが叫ぶ。

 

 もちろんダークフレイムマスターからの反応はない。

 

「おい、どういうつもりだ?」

 

 ダクネスが私と並んで前に出る。剣を構えて、完全に戦闘をする様子だ。

 

「ゆ、ゆうた……?」

 

 いつもの優しいゆうたの表情は、今は私たち全員を敵として見る暗い表情になっている。

 

 おかしい。ゆうたはこんなことはしない。ましてやこんな状況なのに。

 

「……呑まれた……?」

 

 口を突いて出た言葉。

 

「ダークフレイムマスターには設定がある。自分の力を制御できないっていう設定が……」

 

「おいおい、まさかその設定を今忠実に再現したとかじゃねえよな? やめてくれよほんとに……」

 

 カズマが剣を構えながらそう言う。

 

「……そして、抑えるには倒すかゆうたが自力で抑え込むしかない」

 

「でも、勇太の行動から察するに後者は無いと考えていいな」

 

「となると、俺達は勇太をぶった押さなきゃいけないわけだ」

 

 カズマが苦い表情を浮かべながら前に出てくる。

 

 とてもじゃないけど無理だ、と言わなくても声色と表情がしっかりと語ってくれていた。

 

「大丈夫。私が倒す」

 

 邪王真眼もまだ解放中だし余裕。

 

「……出来るのか? お前の彼氏なんだろう?」

 

「かれっ! ……ごほん、ゆうたは私の片腕。だから私が倒して抑えなきゃいけない」

 

「そうか。盾役は任せろ」

 

 ダクネスがダークフレイムマスターへと剣先を向けながら、覚悟したように表情を固める。

 

「私はめぐみんが一人じゃ危ないから一緒にいるわ! ええ、それが一番よね!」

 

「この駄女神が! 囮にでもなって攻撃を分散しろよ!」

 

「いやよ! だって怖いし! 怖いし!」

 

 あまりにも必死なアクアの声にカズマが本気で引いている。

 

「……はあ、しょうがない。俺達で行くぞ!」

 

「分かった! とりゃああああ!!」

 

「えええええええええええええ!?」

 

 カズマの叫び声をバックにダークフレイムマスターに詰め寄る。

 

「はあっ!」

 

 横なぎに蹴りを入れると、ダークフレイムマスターは上空に飛びながら魔弾を打ち込んでくる。

 

「邪王封陣円!」

 

 すぐさまバリアを展開し魔弾をすべて防ぐ。

 

「ガアアアアアア!!」

 

 今度ダークフレイムマスターから突っ込んでくる。いつのまにか右手には竜の爪のようなものが装着されていた。

 

「シュバルツシルト!」

 

 これもまたバリアで防ぐと、ゆうたが後ろに跳躍して距離を取られる。

 

 丁度いい、ここで私の本気を見せてあげようじゃないか。

 

「シュバルツゼクスプロトタイプマークII!!」

 

 魔法陣から巨大な武器を取り出す。これが主力にして至高の武器! 邪王真眼の力、うけてみるがいい!

 

「アバロンスマッシャー!」

 

 武器の先端からエネルギー弾を射出してけん制してから駆け出す。

 

 が、いとも簡単にエネルギー弾を殴り壊して、私の方へ右手を向ける。

 

「魔神鑑《マシンガン》!」

 

 さっきまでのただ吠えているだけの様子からは想像できないほど流暢に呪文を唱えてエネルギー弾をばらまく。まさにマシンガン、これをまともに喰らったらかなりまずいだろう。

 

 が、あいにく邪王真眼にとっては無力!

 

 左手を前にだし叫ぶ。

 

「邪王烈風弾!」

 

 かまいたちのような風の刃を飛ばし魔神鑑を相殺する。

 

 まだこちらに対応はできないはず、と一気に距離を詰めてとどめを刺しに行く。

 

「これで終わり! ラプラス……うわあっ!?」

 

 隙があったはずのダークフレイムマスターが一瞬で持ち直し、爪で切り裂きにくる。

 

「やらせん!」

 

 と、ダクネスが前に出てきて攻撃を受け止めた。

 

「まったく、急に飛び出して……!」

 

「ありがとうダクネス。この恩は必ず返す!」

 

 爪を受け止め、なおかつそのまま動けないように腕を捕まえている。

 

 ふふふふっ! この状況、動けないなら確実に当たり、なおかつ拘束できる技がある!

 

「ブラッティプリズンッッ!!」

 

 魔法陣から鎖が射出され、ゆうたの体を拘束する。

 

「ガアアアアアアアアアッッッ!?」

 

「もう動けないし力も吸い取られる。これで終わり」

 

 突然体の自由を奪われたダークフレイムマスターがもがくが、その程度ではブラッティプリズンは破れない。

 

「よし、これであとは……」

 

 ……あとは?

 

「えっと、どうすればいい?」

 

「いや俺に聞かないで?」

 

 カズマが本気でツッコんでくる。

 

「私がいうのもあれだけど、これは倒していることにはならない。ただ拘束してぐったりさせているだけ」

 

「……じゃあどうすんだよ」

 

 顔をしかめる。邪王真眼は神のような封印から正気に戻す魔法なんてものは持っていない。闇の者には聖なる力は使えないのだ。

 

「その様子じゃ策はないみたいだな……うーん、アクアならいけるか? おーいアクアー!」

 

 カズマがアクアを呼ぶと、アクアがその場から動かずに返事をする。

 

「無理よー! 私ができるのはアンデットの除去か回復か水魔法だけよー!」

 

「ちっ、使えねえ」

 

「ねえ今なんて言った!? この私を使えないって言った!?」

 

 ……地獄耳?

 

カズマが呆れてダークフレイムマスターに向き直る。

 

「はあ、どうする? 八方ふさがりな気がしてきたんだが」

 

「ここは邪王真眼の力を使って気分をクリーンにする魔法、ファブ・リーズを!」

 

「危ないからやめてくんない?」

 

 カズマのキレのあるツッコミを受ける。なにが危ないのかは分からないが、その血気迫る表情を見ているとなにか危ないような気がしたのでやめておこう。

 

「はあ……まあ、どうしようもないなら一旦拘束したまま連れて帰ってなにか考えてもいいけど」

 

「危険じゃないか? 鎖を千切って暴れだす可能性もゼロではない」

 

「まあそれはそうなんだけど……」

 

 全員が一斉に黙り込む。

 

 私も邪王真眼の総力を挙げて元に元に戻したいけど、そんな魔法はデータベースには存在しない。禁じられた大魔法でもない限りこれはどうにも……

 

「なあ、こうなったのって正気がどっかにいったからだったよな」

 

 ダクネスが私に問う。

 

「そう。ダークフレイムマスターは普段は力を抑えているけど、一旦暴走すると手が付けられなくなる。以前も七宮が――」

 

「分かった分かった。ふむ、とにかく正気に戻せばいいんだな」

 

 にこっと笑って私の方をみるダクネス。

 

「な、なに?」

 

「二人はキスをしたことはあるか?」

 

「なあっ!?」

 

 へ、へえっ!? き、キスぅ!?

 

「ああ、なるほどな」

 

 何を納得している、カズマ!

 

「どうなんだ?」

 

 なおも聞いてくるダクネスに、仕方なく答える。

 

「…………だ」

 

「ん?」

 

「まだって言ってるだろ!?」

 

「なんかキャラ崩壊してるぞ!?」

 

 してないわい! じゃじゃ、じゃおうしんがんはいつも冷静沈着! ふー、ふーっ。

 

「落ちついたか?」

 

「……問題ない。それよりもなぜそんな質問をしたのかの説明を求める」

 

 ダクネスに向かって問うと、

 

「ああ。要するに、めちゃくちゃ驚くようなことをして意識をぐいっと引き戻せばいいんじゃないかと思ったわけだ」

 

「見ていた感じ二人は初心だろうしな。勇太も六花のことをかなり愛しているようだったし割と効果てきめんじゃないのかと」

 

 と、二人が返答する。

 

「へ、へえー! なるほどなー!」

 

「またキャラ崩壊してるぞ……」

 

 してない! だいたいキャラとか意味わかんない……。

 

「まあ、そういうわけだ。よろしく」

 

「へあっ!? ほんとにやるの!?」

 

「そりゃあやるしかないだろ」

 

 ゆ、ゆうたにキス……!? しかも自分から……。

 

「あうぅ……」

 

「なにオーバーヒートしてんだよ、これでダメだったらまた別の方法考えなきゃいけないからはやくしてくれ」

 

 …………。

 

「うああああ! やればいいんでしょやればああああああ!」

 

「あ、ぶっ壊れた」

 

 拘束され、力を吸い取られて無抵抗で転がっているゆうたを捕まえて顔を見る。

 

 目には光がなく、私を敵視するあまり殺気を飛ばしていた。

 

 ……ゆうたは、こんなのじゃない。

 

 そうはっきりと思った。ゆうたはこんな暗い人じゃない。もっと明るくて、優しくて、か、か……かっこいい……から。

 

 覚悟を決めてゆうたに顔を近づける。

 

「うあー!」

 

 邪王真眼の意地いいいいいい!!

 

 うおおおおおおおおおお!!!




最後の更新が三か月前…!?
本当にすみませんでした。
正直、ここまで書くのに手間取るとは思いませんでした。
自分自身これがほぼ処女作みたいなものでしたので、やはり書いていないとどんどんレベルが下がっていくな、と。
プロットも存在しないため、ここからどう進めればいいのか分からないという無計画さ。笑えよベジータ…。
恐らく更新ペースは亀よりも遅いと思いますが、どうかのんびりと見て行ってくれると嬉しいです。
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