「おーい六花、大丈夫かー?」
爆風が止んだ後、六花がいたほうに声を掛ける。
返事が返ってこない。まさか吹っ飛んでたりしないよな?
「六花―!?」
やっべ、めっちゃ心配になってきた……。
「すごい! かっこいい! さすが紅魔族!」
前言撤回、ぴんぴんしてた。むしろぴょんぴょん跳ねながら喜んでる。
「燃え尽きろ……紅蓮の中で……」
と、倒れるめぐみんさん。
「大丈夫ですか!?」
「ああ、めぐみんは一発爆裂魔法を打つとぶっ倒れるんだよ。めぐみん、おんぶいるかー?」
「お願いしまーす……」
よいしょとめぐみんを背負うカズマ。慣れてる……いつものことなんだろうか?
「ゆうた、すごかった!」
「俺もびっくりしたよ……さすが異世界」
あんな魔法があるなんて、コロッと死んでしまうんじゃないかと心配になる……いやそれはない。そう信じよう。
「なんかいろいろあったけど、とりあえず俺の家に案内するよ」
「ああ、そういえばそうだったな」
所期の目的をすっかり忘れてた……まあしょうがないよな、インパクトやばかったもんな。
「おいダクネス、喜んでないで行くぞ」
「喜んでなんか……! いや、私は喜んで……」
「悩んでないで早くいくぞ……」
うん、ダクネスさんはやばい気がする。要注意人物認定。
と、俺達が歩き出そうとしたとき。
「うお!? 地面揺れてんだけど!?」
地震!? うおおお揺れるううう!
と、ここでカズマが、
「あやっべ、これは……」
と、それはそれは立派なフラグを立ててくれた。
「ねえカズマ、これって……」
「ああ、これは……」
「「カエルだ」」
「カエル!?」
と、地面から何かがうごめきながら生えてきた。
「マジでカエルなのかよ!?」
「ゆうた、腕が鳴る」
「なに言ってんだ!? ぱくっていかれるぞ!?」
「安心して、邪王真眼は最強」
「全然安心できねえ! 早く逃げるぞ!」
「めぐみんがあんなところで爆裂魔法撃つから!」
「爆裂魔法を打ちたい衝動を我慢できるでしょうか? いいえ、できません!」
「アホか! おい背中で暴れんな、ここに置いてくぞ!」
「カズマ後ろ! 後ろ!」
「うわあああああ逃げろおおおおお!!」
「六花も早く!」
「ふふふ……邪王真眼の力、今見せてやる!」
「アホおおお! はよ行くぞおおお!!」
「あうううう!」
ひいいいいい! なんで異世界に来てこんなことしなきゃいけないんだよ!
「カズマさんカズマさん、また三体ぐらいこんにちはしましたけど?」
「んなこと言ってる場合か! とにかく街のほうに走れえええええ!」
と、そんな状況でもダクネスさんは。
「さあ、私をおとりに逃げてくれ! ふふ、カエルに食べられるとどんな感じなのだろうか……!」
ひたすらにドMでした。
「ぬめぬめしてて生暖かいだけだよ! はよ逃げろって!」
「クルセイダーは背に誰かをかばっているときは引くことはできない!」
「じゃあ攻撃すんのか!? お前攻撃当たらないじゃねえか!」
「い、いうなあ!」
攻撃が当たらないクルセイダーというもう意味わからんことが明らかになったところで、俺達はそろそろ限界が来ていた。
「はあ、はあ、はあ……もう走れないんですけど!」
「んなこと言われても走れとしか言うことねえよ!」
「くっ、こうなったら……」
と、アクアさんがカエルのほうを向いたかと思うと。
「ちょ!? アクア何する気だ!?」
「逃げられないなら倒すだけ! 行くわよ!」
「食われるだけだからやめろおおおおお!!」
「はあああああ! ゴッドブロオオオオオ!!」
ぽよんっとお腹に攻撃するアクアさん……ぽよん!?
「えーっと……カエルも可愛いと思う」
話の途中で食べられるアクアさ……アクアさあああああん!?
「アクアあああああ!? くっ、いい奴だったよ」
「あきらめるなよカズマ!? 助けないと!」
「んじゃ俺が攻撃しに行くから、ちょっと待っててくれ!」
と、めぐみんさんをおろして剣を構えて走り出すカズマ。
「ああカズマ、そっちにもカエルが!」
「あっぶね! 食われるところだった!」
「ああ、これじゃアクアは助からないかもしれないですね……」
「なに遠い目してるんですかめぐみんさん!?」
「私もいってくりゅううう!」
「ダクネスさんはそこで静かにしててください! 食われるだけですよ!?」
「おあずけプレイか……くっ、勇太もいい趣味をしている……!」
「ああもうちげよおおおおお!?」
「あ、勇太がおかしくなりましたね」
この人達と一緒にいると正気を保てる気がしないんだが!? ああもう、カズマも苦戦してるしどうすれば……。
と、俺が焦っていると六花が。
「邪王真眼とダークフレイムマスターがある。最強」
「こんな時に何言って……」
いや、そういえばエリス様に能力貰ってたよな……?
そうじゃん! 能力使えばよかったじゃん!
「エリス様から現実世界でも使用可能にしてもらった能力、今こそ見せるとき!」
「……そうだな、やってやろうじゃねえか!」
と、もう吹っ切れた俺は右手を前に出して。
「闇の炎に抱かれて消えろ!」
と叫んだ。すると、俺の手から黒い炎が……出なかった。
あれ? 使えるんじゃなかったの!? エリス様―!? どういうことなんですかー!?
と、六花が。
「だめ。忘れてる」
「忘れてる? 何を?」
「これ」
と、六花が右目の眼帯に手を掛けると。
「邪王真眼! 解放!!」
と、六花の右目が本当に金色に輝いて、魔法陣が展開されたかと思うと。
「シュバルツシルト!」
と、本当にシュバルツシルトを取り出してカエルに向かっていく。
「はああああああ!!」
ドスッと何回か突いたかと思うと、カエルが倒れていく。突いたといっても、ぶっさしてるわけじゃなく、鈍器で叩いてるような感じだった。
「すっごいな……」
「ふふふ、これが邪王真眼の力」
うん、すごい。まさに邪王真眼、最強の力って感じだ。かっけえ!
横を見ると、めぐみんさんが「ほおお! 邪王真眼もかっこいいじゃないですか!」と呟いている。まあやっぱり中二病だった。
「ゆうた、忘れてること分かった?」
「ああ、なんとなく……」
俺に足りなかったもの。それは、あのポーズだ。例えば六花なら眼帯を外してたり。魔法の詠唱って感じかな?
まあ詰まる所、俺は中二病にならなければいけないわけだ。うん、恥ずかしい。
いやでも、この状況でそんなこと言ってられないし……。
もういいや! 異世界だし! なんでもありだよな!
と、もうなに言ってるかわからないけど自分を無理やり納得させて、俺は中二病スイッチを入れる。
右手を顔に当て、左手を腰に。いつぞやの間隔を思い出しながら、心を籠めて呟く。
「わが名はダークフレイムマスター」
と、全身が黒い炎に包まれたかと思うと。
あの懐かしい中二衣装に身を包んでいた。
「うおお! すっげえ、本当に使えた!」
「さすがゆうた、気を感じる」
「気!? ……まあなんでもいいや、とにかくカエルを倒さないと」
「ゆうた、そっちのカエルをお願い」
「ああ……もういいや、やってやるよおらあああああ!」
何度言ったかわからないもういいやとともに、俺は覚悟を決めるのであった。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
今回は少し長くなってしまいました。かなりの駄文な気がする今回の話ですが、多少のミスやら気持ち悪い文やらには目を瞑っていただけると嬉しいです…。
では、次回も読んで頂ければ幸いです。