「ちょっと見た!? これがダークネスなんちゃらの力だって! プークスクス!」
「ふ、ふふふ、あははははは!!」
「おい笑うなって、勇太が……あははは!!」
あああああやっちまったああああ!! めっちゃ恥ずかしいいいいい!
速くここから逃げよう。今すぐ逃げよう。
「テレポート!」
「あ! 勇太が逃げるわよ!」
「まあいいじゃないか、勇太だって恥ずかしいんだ……フフッ」
「俺はもう寝ます! お休みなさあああい!!」
と、叫んでテレポートする俺。
また光に包まれて、自分の部屋に着く。
「はあ……」
思わずため息が出た……なんか本当に疲れた……。
テレポートを何回も使ったせいなのか、結構体がだるい……。早く寝よう。
あ、でもベットには六花が寝てるんだった……。
しょうがない、床に毛布敷いて寝るか……。
と、置いてあった毛布を敷いて、そこに寝そべる。
はあ、やっと休める……。
ってか今思い返してみると、本当に意味わかんない一日だったな……。
最近のライトノベルの主人公みたいだ。かっこいい。
と、自然に瞼が重くなってくる。
明日は何をしようかな……異世界の定番の、ギルドとかあったりするのかな……。
そんなことを考えながら、俺は眠りにつくのだった。
俺は、不思議な世界にいる。
ふわふわして、それでいてどっしりした感覚がある世界。
そんな明るい世界に、一本の暗い光が差してくる。
ぐるぐると渦巻いて、さながら竜のような光。
それは俺を取り囲んで、真っ暗な世界に塗り替えた。
何かの声が聞こえる。
我の力を使いこなせるのか? と聞いてくる。
それは、何度も聞いたことがある声。俺が想像し、創造し、夢想したもの。
それは俺に力を与えてくれたもの。俺に勇気をくれたもの。
竜。黒い竜。暗い竜。炎の竜。暗炎竜。
俺は答える。使いこなせる、と。なぜか自信を持てる。
そうか、と暗炎竜は静かに答える。なぜか笑っている気がした。
なんとなく、分かる。笑ってしまう気持ちが。
ああ……夢みたいだ。まさかお前と喋れる日が来るなんて。
暗炎竜は言った。目を覚ませ、と。我はすぐそばにいる。我は貴様の力である、と。
じゃあな、と俺が言うと、世界が崩れていく。
この暗い世界が、きっと俺の故郷なんだろうな。
そんな気がした。
「ん……うう……」
あー、よく寝た……。
変な夢見たな。なんの夢だっけ? よく覚えてないし、そこまで面白い夢じゃなかったんだな。
今何時なんだろ……? 明るさ的に、まだ朝だと思うんだけど。
六花は……いない? 起きて下に降りたんだろうか?
ま、とりあえず俺も下に降りるかな……。
ってか服が欲しい。この服だけじゃ生活が厳しいからな……。
服ぐらいは売ってるよな……? いやちょっと待て、そもそもお金がない。
あれ? お金どうすんだ? もしかして……働くの?
いや異世界だし、なにかクエストとかあるのか?
ま、あとでカズマに聞いておこう。
と、階段を下りていくと。
「にゃー」
「お、猫がいる」
真っ黒い猫がいた。すっごい可愛い。やばい。
撫でると「なー」と甘えた声を出してくる。くそ、撫でるのをやめられない!
「あ、ちょむすけこんなところに居たんですね」
「あ、めぐみんさんおはようございます」
「おはようございます。ほーらちょむすけ、ご飯の時間ですよー」
「そのちょむすけって、この子の名前ですか?」
「はい! すっごく可愛い名前でしょう?」
「可愛いですね……癒されます」
「ふふふ、勇太もちょむすけのとりこになったようですね……」
と、二人でちょむすけを撫でまくっていると。
奥から、なんかひよこが出てきた。ちょこちょこ歩いてて可愛い。
「あ、ゼル帝もいたんですね」
「……ゼル帝?」
「はい。まあ本名の省略ですが」
「本名の……省略?」
なんでこのひよこにそんな大層な名前が付いてるんだ?
……まさかこの世界のひよこはとてつもない魔力を秘めているとか……?
「本名はキングスフォード・ゼルトマンです」
「でえええええ!?」
やっば! 名前やっば!! やっぱりさっきの俺の予想は合ってるんじゃ……?
「将来的にはドラゴンの帝王になるらしいですよ」
「ひいいいいい!?」
あってるわ! 俺の予想確実にあってるわこりゃ!
「二人とも起きていたんだな」
「あ、ダクネスさんおはようございます」
「おはよう。朝食を作るから、少し待っていてくれ」
「ありがとうございます」
と、ダクネスさんが厨房に向かっていく。
こんな美人な人なのにドMだとは……世の中いろいろあるなあ。
と、次の瞬間。
「めぐみん! 今日こそ決着をつけるわよ! あ、勝手に入ってきちゃってすみません……」
なんか律儀なのか破天荒なのか、よくわかんない人が入ってきた。
かなりの美人。この屋敷に入ってきたって言うことは、おそらくカズマの知り合いなんだろう……。
……カズマ、かなりすごい生活を送ってるみたいだ。
「あ、あれ? お客さんがいたの? すみません、お邪魔しました……」
「あ、別に大丈夫ですよ」
「そ、そうですか? それでは……」
と、めぐみんさんのほうを向いて。
「さあめぐみん! 今日こそ決着を!」
なんか勝負をしたいらしい。
「ではじゃんけんをしましょうじゃーんけーん」
「えっえっ!?」
「「ぽい」」
「私の勝ちですね」
「ずるいわよおおおお!」
どうやら決着がついたらしい。……めぐみんさん、それはずるいですよ……。
「うう……いいもんいいもん! 私のほうが胸大きいし!」
「なっ!? なんで今その話をするんですか!?」
「背も私のほうが大きいもん!」
「こ、この……」
ん? 悪い予感がするぞ?
「ふふ……ふふふ……いいでしょう、私の全力を持ってあなたを倒して見せましょう……」
「め、めぐみん? なんで杖を持って詠唱してるの?」
「ちょ!? めぐみんさん!? やめてください、屋敷が吹き飛びますよ!?」
「ゼンブユンユンガワルイノデスワタシノムネガ」
「ああああああなんか壊れてるうううう!?」
「おいめぐみん! やめろ! 打つんなら私に!」
「なにドM発動させてるんですか!? 速く逃げないと!?」
「あ、ゆうたおはよう」
「あ、六花おはよう。……じゃなくて! やばいって! 俺達吹き飛ぶって!!」
「ゆうた、次生まれ変わっても一緒だよ……」
「あきらめんなよ!? いや一緒にはいるけど! いるけどそれは今言うことじゃない!」
「ゆ、ゆうた……」
「なに照れてんだよそんな暇ねえよ!?」
ああやばいぞ、本当に吹き飛ぶ……! どうにかしないと!
ダークフレイムマスターでどうにかできないか? なんかこう、魔法無効化の術とかあったような……?
ええい物は試しだ! いくぞ!
「魔法無効化!」
直後、展開されていた魔法陣がしゅるしゅると小さくなっていく。
「あ、あれ? なんで魔法陣が……?」
「あっぶね……」
なんとかセーフ……。本当に能力あってよかった……。
まあこの場は何とか守ったのだが。
めっちゃ怒ってるカズマからめぐみんさんを守ることは、俺にはできなかった……。
ここまで読んで頂き、ありがとうございます。
どうでもいいことなんですが、本棚を組み立てるのに三時間かかりました。ニトリのやつです。めっちゃ簡単なやつです。友達君にバカにされました。悲しいです。
それでは、次回も読んで頂ければ幸いです。