ちゅぐみです
暗い 暗い闇の中で声が聞こえる。
(は......さ....!!)
誰だろう、よく聞こえないよ。私は声のする方を頼りに暗闇を走る。
だがその声は次第に小さくなる。
「待って!!待ってよ!!!」
私は無我夢中で叫んだ。何故かはわからない、でも追いかけなきゃいけない気がした。
「お願い!!待って!!!」
目から涙を流しながら私は追いかける。すると目の前が急に暗転した。
「え...!?」
気づくと私はスタジオに一人で立っていた。楽器は置いてあるが私以外は誰もいない。
「ら、蘭ちゃん...?ひまりちゃん...?」
名前を呼んでみるが辺りは静まり返っていて音1つしない。
私はスタジオを出て入口の所まで行ってみた。
「あら?つぐみちゃん?どうしたの、今日は1人?」
受付にはまりなさんが立っていた。私はホッと胸を撫で下ろした。
「その、蘭ちゃん達見ませんでしたか?」
「美竹さん達?今日は来てないわよ」
「そ、そうですか...ありがとうございます」
私は一礼すると外へ出ようとした。すると、
「あ、つぐみちゃん」
まりなさんが私の腕を取って引き止めた。いつの間に受付のカウンターから来たのだろうか。
「つぐみちゃん、何かあったら私に頼ってね、きっと力になるから」
まりなさんは意味深な発言をしてまたカウンターの方へ戻った。
「それはどういう...」
私はまりなさんにどういう事なのか聞こうとしたがまた暗転して次はいつの間にか学校の教室へと場面が変わった。
「え...?どういう事なの...?」
全く状況が飲み込めない。そこへ誰かが入ってきた。
「あー、疲れたー。巴は相変わらず運動得意だよねー」
「そんなことは無いさ。ひまりも頑張ってたじゃないか」
巴ちゃんやひまりちゃん、それに他のクラスのみんなも入ってきた。体育から帰ってきたらしくみんな体操服姿だ。
しかし私が見えていないのか誰も声をかけるどころか気づいてすらいない様だった。更にこのクラスにいるはずの私の姿も無い。
「何...これ...?」
自分の机の方をふと見てみるとそこには花が入れてある花瓶がぽつんと置かれていた。私はこれが何を意味するのか直感的に悟った。
「死ん...だ?私...?え...?」
頭の中が真っ白になった。それと同時に体験したことのないような寒気と恐怖感が私を襲う。
「やだ...やだよ...」
震えが止まらない。受け入れたくないのに、無情にも現実は目の前に突きつけられる。
「つぐみも...この間まではここにいたのにね...」
蘭ちゃんの声が聞こえてきた。私は話を聞きたくなくてサッと目を伏せて耳を塞ぐが声は耳元で聞こえてくる。
「蘭...ダメだよ。つぐの話はしない約束でしょ」
モカちゃんの声も聞こえてきた。その声は震えているようにも感じる。
「だ...だって...」
蘭ちゃんの声は明らかに泣いているような声だった。私はハッと蘭ちゃんの席の方を見た。
しかし、
教室の中には誰もいなかった。それどころかさっきまであったはずの机や椅子すら何も無い。まるで私だけ別の次元に切り離されたような感じがした。
私は怖くなって教室を出た。もう心の中がめちゃくちゃだ。助けてほしい。会いたい、抱きしめてもらいたい、泣きたい、会いたい、会いたい、会いたい....
誰に?
私は、誰に会いたいのだろう?
その人のことを思い出せない
何でだろう 忘れちゃいけない人なのに
大切な人のはずなのに
まるで思い出が塗り潰されたかのように 思い出すことができない
『つぐみ、もういいんだよ』
違う
『よく頑張ってたじゃないか、もう、苦しむ必要は無いよ』
そうじゃない
『〇〇ちゃん達に後は任せなさーい』
お願い
『だから、つぐは休んでて』
偽物は消えて!!!!!
「羽沢さん、こっちよ」
ハッと気がつくと私は白い、何も無い空間に立っていた。
辺りを見回してみても何も無い、ずっと白い空間が続いているだけだ。
「こっち」
声が聞こえた。だがどこかはわからない。
「こっちに、まりなさんがいるわ」
声が聞こえた方を頼りに私は走る。不思議と怖いという思いは無い。何か、懐かしい声だ。
「おーーーい!!」
遠くの方でまりなさんが手を振っているのが見えた。私が駆け寄るとまりなさんは言った。
「つぐみちゃん、あそこに貴女の求める人がいるわ」
その方を見ると、1人の女性が立っていた。
「行ってらっしゃい、そして、幸せになってきなさい」
まりなさんは背中を押して促した。
私は1歩、足を踏み出した。だが、そこから動くことはない。
「違う...」
ポツリと呟いた。まりなさんの不審そうな声が聞こえてきた。
「どうしたの?貴女の大切な人でしょう?早く行ってあげなさい」
その声に反するかのように私は振り返った。
まりなさんを見ると私は言った。
「違います。確かに...あれは友希那さんかもしれない、けど、違います!私の生きる場所は...私と、友希那が生きる場所は!ここじゃ無い!!」
そう叫ぶように言うとまりなさんは満足そうな顔を見せた。
「いいのね?ここじゃなくて、ここなら一生楽できて、苦しいこともなくて、死ぬこともない」
「嫌です。私は...友希那と、生きたい!!」
そう叫ぶと一瞬にして私の意識は現実の世界へと引っ張られた。
夢の世界から出ていく瞬間、私の耳元で確かに、大切で、大好きな人の声が聞こえた。
「×××××」
もう一度同じことを書くモチベが何故か無かったので別のを挟むことにしました。 しばらくつぐ出てなかった気もするしちょうど良かったかな