スナックワールド トレジャラーズ エメラルド   作:アメデス

4 / 5
第4話 石化する兵士

 「申し訳ないけど、今は2人だけにしておいてくれないかな…あぁ!ジュリエット…!」

 「ごめんなさい…今は2人だけの時間なの…おぉ…ロミオぉ…!」

 見つめ合うロミオとジュリエット。変なところに迷い込んでしまったらしい。あ、私、お邪魔虫ですね。ごめんなさーい。私は黙ってその服屋を後にした。

 

 お城に行くのは一本道のはずなんだけど…、服屋を見かけて入った所中は異次元空間だった。異次元?超次元の間違いかも。

 小高い丘を越えて、北の方に目をやるとお城の屋根が見えた。あった。お城だ。やっとお城に行ける…。

 

 「お待ちしておりました。ささ、こちらへ。」

 王宮の兵士が大きな門を開けてくれて、謁見の間に通される。うー、緊張するなぁ…。

 

 「来たわね〜」

 そう声がすると、絶世の美女と呼ぶにふさわしい女性が、こちらを見つめていた。わ、わ、なんて綺麗な人なんだろう?長くてウェービーな小豆色の髪、翡翠色の薔薇の髪飾り、大きな紫色の瞳、完璧なプロポーション。桃のような甘い香りがする。…もしかしてこの人が王様?王様っていうより、女王様?

 「ホッホ。来たの」

 …その女性の横に小さく王座に座っている、白いふわふわのヒゲをしたおじさんが喋った。王冠を被っている。おっとこれは早とちり。多分、こっちのおじさんが王様なんだろうな。マントも羽織っているし、いかにも、王様だった。王様にしては、困り顔で、ちょっと情けない顔をしていた。

 

 「シンデレラくんが見つけた謎の人物とは、お前で間違いないな?」

 は、はい。と返す。シンデレラ?あの金髪の女の子の名前か。

 「ふむ、悪い病気も持って居なさそうじゃし…もう具合は良いのだな?」

 おかげさまで。

 「して、名前はなんという?どこから来たのじゃ?」

 「ミノリと申します。どこから来たかは…、わかりません。記憶を失ってしまって、何も思い出せないのです。」

 「ミノリ、ふむ、良い名じゃが…なんと…。名以外何も覚えてないと申すか…。」

 困惑する王様と横で聞いていた護衛の王宮兵士たち。そうだよね。私自身、全然実感が湧かないよ。

 

 「まあ…記憶がないなら、記憶がないなりに頑張るしかないのう。」

 …う、うん。そうだよね。現にこうやって生きてるわけだし…。

 「お前のようなどこから来たかわからない、どこのものかわからない奴は何か物を頼むのに丁度良いしの!」

 えっ…?頼むって、一体何を…?

 「メローラ、お前はどう思う?」

 メローラ、と呼ばれたさっきの絶世の美女は、王様の顔をみた。メローラ…王様の娘さんなのかな?ってことは、この国のお姫様?

 「パパ〜〜ねえ〜、私、”パープルアイ”が欲しい〜」

 猫撫で声でメローラ姫はそう言った。…って私の話は!?

 「メローラよ…もうこの者への興味が薄れてしまったというのか。」

 「ん?パパ〜とにかく私、”パープルアイ”が欲しいの〜!姫としての風格とか、威厳のためにも、ねっねっ?パパならわかるでしょ〜?」

 はあ、パープルアイ…、それにしても「欲しい」って言ってるメローラ姫、ちょっとかわいいな…じゃなくて。

 

 「王様ーー!!」

 と、突然男性の、大きな声が王宮に響く。

 「その声は、クルトン兵士長!戻ったのか!」

 クルトンと呼ばれた男性が走り込んで来た。

 「王様!メデューサが…!」

 「ついに倒されたのじゃな!?」

 と、王様が聞くや否や、クルトンは見る見るうちに足元から石へと変わっていき、果ては全身が石になってしまった。

 

 「こ…これは?」

 あまりの恐ろしい出来事に、私は王様に聞かでは居られなかった。

 「う、うーむ…」

 「ねえねえ〜パパ〜”パープルアイ”が欲しいの〜」

 石になっても”パープルアイ”がどうというメローラ姫…実は血も涙も無いのだろうか…?それはそれで…。

 

 「実は、「邪悪神殿」ヘビーテンプラーの奥地に「メデューサ」という怪物がいてな、このように、メデューサの目を見たものは、石に変えられてしまうのじゃ」

 へ、へーえ。

 「その「メデューサ」が持つ目玉が、「パープルアイ」と言って、今女性に大人気のマストアイテム…」

 「”パープルアイ”が欲しいの〜」

 「…というわけじゃ、ミノリ!初の依頼は、メデューサ討伐、そしてパープルアイの獲得じゃ!頼んだぞ!」

 

 え、え、ええええ〜〜〜!!!???

 

 「もちろんタダでとは言わん。褒美はたっぷりつかわそう。」

 タダでなくとも、それって命の危険が…。えーい、ままよ!どうせ、ここでじっとして居ても、何にもならないし!私は、はい!と強く返事をした。

 「その意気じゃ、ミノリ」

 

 「ただ…突然メデューサの元へ行っても石にされて終わりじゃ。レクチャーをつけてもらう教官に連絡をしておいた。城から出て、フェアリポンに地図を送っておいた。表示されている場所に行くといい。」

 王様が勝手にスナライン登録されていて、地図が送られていた。スナライン…離れた人とフェアリポンで連絡が取れる便利なアプリだ。

 これなら多分迷わないでいける…はず。

 

 それじゃあ、その地図の場所に行ってみるか。




結局ロミジュリの所寄っちゃった。
やっとパープルアイの話まで来れたよ〜。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。