テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
人とは何者だろうか。
太古から紡がれてきた歴史で進化してきた最果ての霊長類か。
あるいは神が作り出した自らの分身か。
それともただなんの意味もなく現れた偶然の産物か。
いずれにせよ答えなど何者が持っていようか。
彼らが何者なのかは彼ら自信も知らないのだから…。
僕の名前はカオス=バルツィエ。
この星デリス・カーラーン、マテオ王国の東の果ての小さな村に住む農民だ。
現状王国は海を跨いで隣にあるダレイオス帝国と数百年に及ぶ領土争いで険悪な仲にあり、ある程度はおさまったが今もお互いの大陸の何処かで小規模な小競り合いが頻繁に起こっている……らしい。
らしいというのは僕の住む村が敵国どころか自国の王国、いや近くの村ですら滅多に交流がないというほど秘境の地にあり外の情報は全くと言っていいほど入ってこない。恐らく最後に交流があったのはほんの
そんなわけで僕の村は農業で自活していけるため何処かで戦がおころうとも「それがどうした?」を貫き通している。一応○○王国の領土圏内の村ではあるが何代目かの村長が税としてお金と育てた作物を無駄に徴収していく王国騎士を毛嫌いして勝手に人里離れた誰も寄り付かない山奥の秘境の地に村人ごと引っ越ししてしまった。
当時はもぬけの殻になった村を見て徴収しに来た騎士達も驚いていたようだ。
その騎士達も手ぶらでは帰れぬと思い消えた農民達を探すが一人も見つからず、代わりに廃墟の村のエサを漁るモンスターの群れと遭遇してしまう。
不意をつかれた騎士達は隊列もうまく組ませてもらえずにモンスターの餌食になり逃げおおせたのは当時の隊長だったものだけ。
土地勘のない隊長は三日三晩闇雲に走り続けてとうとう疲労で力尽き倒れてしまう。
そこへ廃墟の村に忘れ物を取りに行った村人に見つけられ隊長は保護される。
………話が長くなったな。なにを隠そう、モンスターに襲われて村人に助けられたその情けない隊長こそ僕の祖父だよ!堅苦しい家名も祖父譲りさ!
祖父は村人達が移り住んだこの村で保護されてから無断で騎士を辞めて農民として生活している。
祖父いわく「王国はもう部隊と村は盗賊かモンスターに襲われて全滅した、と判断しているだろうから今更帰っても俺の席ねーよ」とのこと。
…随分と自分勝手なもんだな。それでも元隊長かよ。
まぁ、なんだかんだ言って僕も祖父が嫌いにはなれない訳でむしろ幼いときから聞かされてきた王国の話を聞いて騎士だった祖父に強い憧れをいだいていた。今となっては祖父よりも騎士だが。
何一つ変わらず作物を育てて生きるだけの退屈なこの村では聴くことの出来ない世界の話はとても冒険心を掻き立てられる。
王国にいた頃の簡単な任務の話や敵国との会談ときに戦闘、教皇カタス様の神木収集、巨大モンスターの討伐、闘技場挑戦、盗賊団アジト襲撃、オルウェイ医師の特別依頼…。
数々の思出話を聞かされたけど中でも王女様誘拐事件の話が一番好きだ。
戦いが好きって訳ではないけど誰かを守るために体を張れるのはなんかカッコいい。そんな場面一度でいいから経験してみたい。そして本当の騎士になるんだ!
税の徴収は置いといて。
「いつか、いつか絶対そんな世界に行ってみたい」
言葉にしてみたら自分の心にしっくりくるようでこれが自分の夢なんだと自覚出来る。
この想いが僕の気持ちだ、道だ、全てなんだ!
この胸の高鳴りは何があってももう止められないところまで来てる!
「騎士になりたいっていうけどお前魔術使えんの?」
胸の高鳴りが止み代わりに痛みが走る。
「騎士ってのはまず単純に強さがあるやつがなれる職業じゃねぇの?」
村に住む同い年か若干年上かもなザックがからかうようにそう指摘してきた。
そんなことは百も承知だ。
「うっせぇなぁ、だからこうして毎日畑仕事しながら剣術磨いてんだろ!」
「ンッフフ、剣術磨いてるって、ただ鉈を振り回してるだけじゃねぇか。」
「村の大人達も刃物振り回す頭のオカシー奴だから相手すんなって言ってるぞ。」
ザックと一緒にからかいに来たその回りの連中が笑いだす。
………腹がたって集中出来ない。
「笑いに来ただけならどっか行けよ!あとこれは振り回してるんじゃなくて素振りしてんだよ!いつか騎士にスカウトされるために!」
「だからぁ!おめぇは魔術使えるのかって聞いてんだよ!」
またそこを衝かれる。
「………!」
「普通、魔術くらい使えるだろ!人【エルフ】ならよぉ!」
「体の中にあるマナを大気中の五大元素にに干渉させて起こす術だよ!」
「こんなん俺らより下のガキどもでも出来るぜ!?おめぇ本当は亜人【ドワーフ】なんじゃねぇのか?」
「ガキどころか世界中の人からモンスターまで少なくとも一つくらいは扱えるはずだぜ!ドワーフは使わねぇだけだろ。」
そう、このムカつく連中の言う通り僕は
別に先天的になかった訳ではない。
もう記憶の切れ端程度だが物心つく辺りで魔術を使えたような………願望だったかな?思い出せない。それほど昔ということだ……うん。
冒頭で村が秘境の地に引っ越してきたと言っていたけど、当時の村長はただ見つかりにくいだけでここを選んだ訳じゃない。ここには、
“殺生石”がある。
文字通り触れた生き物を殺す石である。石なんて言ってるが実際は三階建の家くらいはある大きな岩だ。
この岩の数㎞周辺には野生の生き物やモンスターは近寄ってこない。
触れるとどうなるか?触ると生物が生きていく上で水や空気、熱よりも大切な“
僕は昔これに触ったらしい…。
当然意識を失い、気付いた村のみんなは僕の運命に悲観していたがその後奇跡的に目覚め、触れしものを殺す石に初の例外が現れた瞬間だった。
そんな大したことのない奇跡の話もここまで、今ではただの障害者だ。
当たり前のことが当たり前に出来ない欠陥をかかえた人生。
他の人は簡単に出来るのに僕はどう頑張っても出来ない。
治す方法を探して歴史上の最高の人体学者オルウェイの医学の本を読んだよ、今自分がどういう状況下にあるかを。
それによると先天的に体内のマナが稀にごく僅かしかない状態で生まれる人がいるらしい。
その人は魔法も使えず20歳前後辺りまでは普通に成長するけどそこから10倍のペースで成長し寿命も
さて、困ったことに先天的か後天的かの違いがあるがどうやら僕はこの症状が最も近いようだ。
多分僕のマナはもう寿命手前のよぼよぼしたお爺ちゃんくらいしか残ってないんだろうね。
今年で10歳、後10年前後で僕は周りよりも早くに成長し始める。短いんだろうなぁ、人生。
そんなわけで僕は魔術が使えない。使わなくても生きていけるが多分長生きはできないだろう。症例あるし。
「聞いてんのか?このゾンビ!」
おっと悪口に反応してしまった。せっかく自分の世界に籠っていたのに。
「おめぇが騎士になって剣振ったところで敵を斬る前に精々ウィンドカッターでひき肉になるだけだよ!」
「ファイヤーボールで焼肉になるかもよ?」
「敵に近寄れずにライトニングで一発だろ!」
「そしたら俺がストーンブラストで墓石建ててやるよ」
「ハハッ、じゃあ命日にはその墓石にアクアエッジで水ぶっかけにいってやんよ!」
………このクソどもは本当に言いたい放題だな!
閉鎖的な村のスペース上他に娯楽がないのも仕方ないがだからといってこうイジッ……いや遊びの相手をしてほしいなんて!なんて構ってちゃんなんだろう!
うんうん優しいカッコいい騎士道な僕もそろそろ本格的に人が斬りたくなってきたよ。おいおい人が必死に耐えてる間に随分と笑ってくれるねぇ。こちとら好きでこんな体質してんじゃねえぞ!ガキィッそこんとこ配慮できねぇのか!おっ!丁度いぃぃぃぃところに鉈があるじゃないか!最近素振りだけじゃなんか物足りなくなってきたからなぁ!いっぺん赤い血が流れるとこッ…ってまだ悪口続けてん#%@◯∞&▽↑↓←→♂♀……!!!!!
「ウルセェェェ!!!テメェーらにカン、ケーねェーだろ黙ってロォォォォ!!!!!!!!!!」
目の前が真っ赤に染まる。もう止められない、もう許さない、この沸騰した熱はコイツラをヤらないと治まらない!
騎士見習いカオス!ここで悪を討つ!
心の楔を解放した僕は手元にあった鉈を持ち一直線にザックに突進する!
「ウワッ!っなんだこいつ!マジか!!」
「ザック逃げろ!」
「やっぱりアブねーやつじゃんかぁ!」
「バラけろ!散れ!」
ハハッ今頃そんなことに気づいてももう遅い。ガキどもめッ!最初から狙いは大将だって決まってんだよ!!!
「おいおいおい!止めろぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!」
「死ねェェェェェェ!!!ザックゥゥゥゥゥ!!!!!!!」
初投稿です。優しい目で見てくれたら嬉しいです。暴走しすぎて書いてる間に主人公がとんでもないことになってしまいました。
この作品は登場した用語で分かる通りあるテイルズオブシリーズに関係した物語をイメージして書きました。