テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
カーラーン教会で匿われていることになったカオスはカタスティアからバルツィエの原点を知ることになる。
王都レサリナス 東北部 カーラーン教会
「………あれから十日、街の様子もすっかり落ち着いてきましたね。」
「もう俺達を探している人はいなくなってるかな。」
「油断は出来ませんがそろそろこの街を出る準備はしていた方がいいでしょうね。
バルツィエの縄張りで彷徨いているのが知られたら奴等どんな凶行に出るか………。」
「………そのことについてなんだけど…。」
「「?」」
「カタスがそのようなことを?」
「うん、この喧騒が修まったら王様に俺達の誤解を説いてもらえるらしいんだ。」
「………交渉の上手いカタスならこの騒動もなんとか鎮めていただけそうですね。」
「交渉?」
「カタスは昔から他国の大使との講話の席にはいつも呼ばれていましたから。
カタスは人の心を掴むのが上手で話し合いはいつもカタスの進める通りいってたんですよ。」
「確かに…。
話を聞いてるとなんか安心感があるからね。」
「カタスに任せるのなら手配書のことも解決できるでしょうね。」
「………そううまくことが運ぶでしょうか…。」
「カタスを信じてあげてくださいタレス。
カタスはやるときは必ずやってくれる人ですよ。」
「いえ、その事ではなくバルツィエの動向についてです。」
「バルツィエ?」
「カタスさんとバルツィエの関係には驚きましたがそのことについてはおいておきましょう。
恨むべきはバルツィエですから。
………ですがボクが遭遇したあのフェデールは手配書が無くなったくらいでそう易々とボクらを見逃してくれるでしょうか…?」
「手配書が無くなったら俺達を狙う理由は無くなるんじゃないのか…?」
「フェデールのあの口ぶりですと何か別の思惑のもと動いているように感じました。
ボク達がまだ知らない何か別の組織の企みがあるようで…。」
「それって………?」
「…考えてみれば手配書の件も不自然ですよね。
額の高さが異常に高かったですし、唐突にダレイオスのスパイ扱いさていますしそれに………手配書は騎士団から発行されているものですよね?
バルツィエを通して発行されているのならニコライトが私達を襲ってきたとき殺すつもりで襲ってきたのは何故でしょうか?
手配書には生け捕りと記載されていました。
最初から殺すつもりならわざわざ生け捕りと記載する必要がないと思いますが…。」
「あの時のニコライトは他のバルツィエから言われて攻撃をしてきたようだったね。」
「騎士団の中で何か食い違いが発生していますね…。」
「騎士団が俺達を捕まえるように手配書を作ったのにバルツィエは俺達を捕まえずに殺そうとした………?」
「ボクらを狙っているのがバルツィエの他にもいるのだとしたらその敵の狙いが分からない以上この街に留まるのは得策とは言えません。」
「そうだけど出るとしたらカタスさんには一言声をかけてからでないと心配させることになるよ。」
「………この街を出るのですか?」
「アローネさんには申し訳ないですけど手配書がそう簡単に無くなるとは思えません…。
待つだけ待って出来ないようなら今のうちに脱出した方がいいですよ。」
「ですが………。」
「………アローネさんはこの街に残りたいんですか?」
「それは………。」
「今思えばウルゴスがこの世界から無くなってしまったのならアローネさんが旅をする理由がありませんね。
このままカタスさんと一緒にいるのがいいのでしょう。」
「タレス、
私は………。」
「カオスさんはどうですか?」
「俺?」
「アローネさんの目的はウルゴスを見つけることだった筈、
その目的を失った今、アローネさんはここに残してボク達だけで殺生石のことを調べませんか?」
「………タレスはもういいの?」
「ボクの目的は…
今だからお話ししますが本当ならこの街でバルツィエに一矢むくいる覚悟でした。
…ですがそれもあのフェデールに会って無意味なことだと悟りました。
バルツィエにはどうあがいても勝てない。
だからボクはいっそダレイオスへと渡るのがいいと思います。」
「!
ダレイオスへ…!?」
「…!」
「ここから北西に向かえばマテオとダレイオスが陸づたいに繋がる細い海道があります。
今日まででボクは図書館に通い詰めてましたが殺生石を記述する資料は見つけ出せませんでした。
それなら一度ダレイオスも調べに行くことを提案します。」
「ダレイオス………、
だけど………。」
「?
まぁ、マテオの民ならダレイオスに渡るのは抵抗あると思いますがボクが一緒ならどうになかなると思います。」
「………それは「今慌てて出ていくことはありませんよ。」」
「話の途中口を挟んで悪いわね。
けど貴方達は考えが浅いわよ。」
「カタスさん。」
「こんにちは…。」
「こんにちは、
………で?
貴方達は今後のことを話していたのよね?」
「………そうです。
ここにいてもいつ敵が襲いにくるか分かりません。
そうなった時カタスさん達にはご迷惑をお掛けしてしまうので早々にここを離れようかと。」
「そう、
これからのことを話し合うのは大切よね。
ここに来て各々目的を果たしたり果たせなかったりしたのだからそうするわよね。
でもね、
その話し合いの前にこれをご覧なさい。」ピラッ
【王都に出没した賞金首カオス=バルツィエ、アローネ=リム・クラウディア
ダレイオスへと逃亡】
「これは………朝刊ですか?」
「!?
この内容はッ!?
こんなこと今朝は何も…!」
「私とカオスがダレイオスへ?」
「知らないのも無理はないわ。
これは明日配られる予定のものだもの。
報道に問い合わせていただいてきたのよ。」
「報道へ直接掛け合ってきたんですか。
でもこれってどういうことですか?」
「ウフフ、
私は貴方達がここで過ごしているうちにいろいろとしてきたのよ。
これでもう貴方達が街の人に付け狙われる心配はないわ。
この国にはいない手配犯を探し回る人なんていないもの。
手配書の方は撤回は出来なかったけど後は貴方達の服飾を変えればそうそう気付くことはないと思うわ。
この教会にも修道用の服もあるから今度からそれを着なさい。」
「こんなことしたら………、
これでカタスさんは完全に俺達の共犯関係になりますよ?」
「そんなの今更じゃない。
覚悟の上だわ。」
「…どうしてそこまでしてくれるんですか?」
「それは………、
貴方達が私と同じだからよ。」
「同じ?」
「…私はね。
長い間この世界で孤独だったの。
目覚めたはいいものの私の知る人達は誰もいない…。
目覚めてから変わってしまった世界、滅びてなくなってしまった故郷、
そして………私の体に起こった異変も………。」
「異変………?」
「…カタスは私やカオスと同じでヴェノムを浄化する力を持っているんです。」
「「!」」
「この力がなんなのか貴方達が来るまで分からなかった…。
周りの人と違う力…。
私だけがヴェノムによって死ぬことはない…。
私だけが周りから仲間はずれ…。
私だけがヴェノムすらも越えた別の怪物に変化してしまったようで怖かった…。」
「「!」」
「そう感じても仕方ないでしょう?
こんな能力前例がないのだから。
私だけがヴェノムによって死ぬことはない。
私だけが生き残る力…。
私だけが周りに置いていかれる………。」
「………私もこの世界のカオス以外の人を知ったときはそう思いました。
カオスの事情を聞き私とは違うことを知ってからはますますそう思い込むようになり、この世界での私は一体何者なのか?
どうして自分にこういう変化が起こったのか不安でした。
カタスは私と同じだったのです。」
「アローネが私のもとへ来てくれて心が軽くなったわ。。
他のウルゴスの生き残り………そして私以外の例に出会えたこと。
…恐らく私達は永き時を渡ったことにより体質が変化してしまったのでしょうね。」
「体質の変化? 」
「ヴェノムはとても強いウイルス………アインスでは世界中に蔓延してしまい何処に避難しても危険な状況だったわ。
基本的には接触感染だったけどヴェノムが自然消滅する際に放たれる障気を体の中に取り込んでしまったせいで永い時の中でこのように体の組織が変化………いえ進化したのでしょうね。
アローネと私が同じ時代に目覚めたからこそこの事実が分かったわ。
それまでの私はこの秘密を一人で抱えながら生きてきたの。
………後この体質のことなんだけど…。」
「?
何か他にもあるのですか?」
「私の体は………
成長が非常に緩やかに変化しているわ。」
「成長が…?」
「私は目覚めてから二百年はたつわ。
それなのに肉体はアインスで眠りについた時からあまり変わっていない。
………いえ、変わったわね。
私の体はむしろ前よりも若返っているわ。
一億を越える時を眠っていたのに活動を開始してからリハビリもなしに私の肉体は動かせた。
そんなこと普通ではありえない。
アブソリュートに入るとき次の世界では戦争のない世界を願っていたわ。
けど入るとき不安もあった。
そんな果てしない時間の先に自分が本当に生きられるのか…。
人は数日動かないだけでも体がいうことを聞かなくなる。
これから眠った先、目覚めたら私の体はどうなってしまうのか…。
そんなことを考えたりもしてそれでも入ったけど目覚めたときの私は…。」
「カタスさんの話ではマテオ建国から既に目覚めていたんですよね?」
「そうよ、その時から私の体は異常だったの。」
「その時からずっと一人で…。」
「…貴方達に必要以上に構ってしまうのは善意だけじゃない。
私がまた一人にならないように繋ぎ止めておきたい私の我儘からなの。
せっかく………この二百年ずっと待ち続けたかつての同胞がどこかへ行ってしまわないためのね…。」