テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
カーラーン教会で教皇カタスティアからそれぞれが抱える問題の解決案を提示された三人はそのまま居座ることになったが…。
王都レサリナス 東北部 カーラーン教会 地下倉庫
「「「………」」」
「ウルゴスの本は全部まとめてここに置いてあるから好きに使ってね。」
「分かりました………。
けどこれって………。」
「悪いわねぇ、
前にも話してたと思うけどこの本たちは易々と人に見せるわけにはいかなかったの。
私一人で管理しなくちゃいけなかったから余り整理はされてなくてね。
………それでね。
………後は頑張ってね?」ガチャン!タッタッタッ
「「「………」」」
「………さて、何処から手を付けようか。」
「その前に先ずは分類訳をするべきでは?」
「そうしよっか………。」
「先が長そうです………。」
本×数千冊………
「これは………料理本?」
「こっちにはコレクター図鑑がありますよ。」
「これは何でしょう…?
!?
こっ………これはッ!?」
「?
どうしたんですかアローネさん。
何の本ですか?
それは。」
「!!
いけませんッ!
子供にはまだ早いです!!
見てはダメですよ!?」サッ
「?」
「こっ…こっちにはないようですね!
私はあっちの方を整理してきます!」タタタッ
「…何だったんだろう?
急に大声で…。」
「あの様子…。
もしかすると………。」
「もしかすると?」
「ウルゴスの極秘事項でも記載していた本を見付けてしまったのかもしれませんね。」
「ウルゴスの極秘事項!?」
「これだけ多くの本があるんです。
一冊混じっててもおかしくはありませんよ。」
「何が書いてあったのかな?」
「さぁ………
でもあの慌て様からすると一般の人には見せられない黒い何かが…。」
「流石にそれは考えすぎじゃないか?
ウルゴスはもうないんだぞ?
カタスさんの倉庫に未だに見せられないようなものがあるなんて…。」
「カタスさんも王族だったんですよ?
トップシークレットの一つや二つあってもいいくらいです。」
「こら!
あんまり本人のいないところで悪口言うなよ。
今だって俺達あの人に世話になってるんだから。
この倉庫だってそのうちの一つなんだぞ?」
「スミマセン、
軽薄でした。」
「全く…、
まぁ、そういうのがあったとしてもアローネが見ちゃいけないものは判断してくれるだろうから何か重要そうなのがあったらアローネにパスしようか。」
「そうですね。
それで。」チラッ
「(こんな………こんな破廉恥なものがカタスの本の中にあるなんて………王族として許されることではありません!
………これは私が責任を持って処理しなければ!)」ゴソゴソ
「………見間違えでしょうか。
アローネさんがさっきの本を懐に仕舞いこんでいるようにみえるのですが…。」
「………」
「………」ポキポキ
「お疲れのようですね。
骨などならして肩がこりますか?」
「この間から本を読む作業ばかりだからね。
こう続くと体が鈍りそうだよ。」
「図書館の本は種別に分かれていましたから探すのも楽でしたけどここの本は全部調べないといけませんね。」
「一日じゃあ終わらないだろうなこれは…。
どのくらいかかることやら。」
「砂漠の一粒の砂から公園の砂場の一粒に変わっただけマシとしましょう。」
「………そうだね。
カタスさんの好意で使わせてもらってるんだから張り切って探そうか。」
「でもその前に一旦休憩してからにしませんか?
もうそろそろお昼頃ですよ。」
「そうだね。
ご飯を食べてからもう一回探そうか。」
「はい、
では上に上がりましょう。」
王都レサリナス 東北部 カーラーン教会
「………なので。」
「そうでございまするか…。
久し振りに語り合いたかったのでござるが…。」
「申し訳ないわねぇ。
私も多忙なものでね………。」
「ではまた今度にしておくでござるよ。」
「?
誰かお客さんが来てるようだね。」
「カタスの同業者の方でしょうか?」
「…いえ、あの格好はどう見ても違いますよ?
この街の人ではあると思いますけど。」
「!
そっ、そこの御人はもしや…!?」
「「「!?」」」
「(不味い気付いたのか!?)」
「(髪留めはしてあ………作業で汗をかいて前髪がおりている!?)」
「(安全地帯で正体が発覚するなんて不覚にも程がッ…!!)」
「ムムムッ!?
…少し前に話題になったカオス様にそっくりな牧師殿でござるなぁ!
いやぁ実に似ているでござる!
新しい牧師でござるか?
カタスティア同志?」
「「「………」」」
「………フフフフフ!
そうなの!
貴方にはまだ会わせたことはなかったわね。」
「我輩もここへ来るのは久方ぶりでありますからなぁ!
これはお初にお目にかかりまする!
我輩の名はトーマスといいまする。
以後お見知りおきを!」
「は、はぁ……。
俺はカオ………じゃなくてサタンと言います。」
「私はアルキメデスです。」
「………タレスです。」
「サタン殿にアルキメデス殿にタレス殿…。
よい名前でござるなぁ!
今後ともよろしくでござる!」
「こちらこそ…?
…カタスさんこちらの方は一体…?」
「彼はトーマス、
この王都で薬剤師をしてる方なの。」
「ヤクザイシ…?」
「薬を扱っている人のことですよ。」
「薬を………?
ってことは!?」
「お察しの通りよ。
はいこれ。」トサッ
「これが………欠損症の薬…?」
「そうでござる!
特に危険な成分は検出されなかったでござるよ!」
「本当はもっと早くに出来ていたのだけれど私も初めて調合したからね。
トーマスに安全かどうか検査を頼んだの。」
「そうだったんですか。
トーマスさん、有り難うございます!」
「なぁにこれくらい日頃お世話になっているカタスティア同志の為ならどうってことありませぬよ!」
「カタスティア…同志?」
「そこはどうでも「何もご存知ないでござるか?」」
「カタスティア同志は我々『バルツィエファンクラブ』の会員なのでござるよ!」
「バルツィエファンクラブ……!?」
「バルツィエですって…?」
「あいや!?
誤解なさるな!
我々はバルツィエ本家のファンなどではござらん!
我々はかの英雄アルバート様のファンクラブなのでありまする!」
「「「!」」」
「少し前までは『アルバート様ファンクラブ』という名称を最近になって『バルツィエファンクラブ』変更したのでござる!
決してバルツィエ本家とは無関係でござるゆえ…!」
「カタスさん…?」
「…バレてしまっては仕方ないわね。
そうよ、私もそのクラブの会員なの。」
「会員とは謙遜を!
カタスティア同志は二代目会長だったではありませんか!」
「「「………」」」
「このア………トーマスお黙りなさい。
人のことをべらべら喋るものではありませんよ。」
「何を隠す必要がありまするか!
カタスティア同志は我等の憧れの的でしたぞ?
アルバート様が当時カタスティア同志と会合なされたときどれ程の羨望と嫉妬を集めたことやら………。
おのれぇ……!!」ギリッ
「ただの公務の打ち合わせだったのよ!」
「だまらっしゃい!!
職権乱用、越権行為でござったぞ!!」
「越権はしていないつもりだったのだけど…。」
「グヌヌ………!
フッ、フン!
だがこうしてアルバート様が復活なさったのだ!
我もこうして家業を継いだ以上いづれアルバート様のお力になれるよう新薬開発には御協力なさろう!」
「おじ…アルバートが復活………!?」
「何ですかその話は…?」
「………トーマスはあの手配書のカオス=バルツィエをアルバート本人だと思ってるのよ。」
「「「………は?」」」
「フフフ…!
とうとう我輩にも付きがまわってきたのだ!
カタスティア同志!
御自分だけがアルバート様の隣に立ったなどと愉悦に浸れるのもこれまで!
ソナタの時代は終わるのだ!!
これからは我輩が天に立とうぞ!!」
「………どうしてアルバートが復活したなんて…?」
「そんなものはファンにならば推測に難しくないでござるよ!
先日に触れ回った手配書の相貌………微妙に顔を変えてはいるでござるが間違いなくアルバート様のお顔!!
そして百年前にアルバート様が消えたとされる村にて目撃されたという!
これは間違いなくかの御方に違いはない!」
「そんなものはただの偶然でしかないわよ。」
「それだけではない!
目撃されてからアローネ婦女を騎士団から守るために応戦したという!
恐らくこのアローネ婦女は何かの手違いで巻き込まれただけのそこらの村娘であろうな。
実に過去の我輩と同じである!」
「トーマスさんと同じ?」
「…彼、最初はバルツィエ嫌いだったのだけれど昔他のバルツィエや騎士団に街中で絡まれてるところをアルバートに助けられたことがあるのよ。
それ以来彼に盲信してるの。」
「あの時のアルバート様はなんと誇り高き騎士の鑑たるや……!
我はあの時のご恩を生涯忘れたりはせぬ!」
「そんなことがあったんですか…。
それでここまで熱く…。」
「更にアルバート様と思われる点は他にもござるぞ!?
つい最近のことイクアダ砦のバルツィエが敗れたのである!
これはもう間違いない!!
こんな諸行はあの御方にしか出来ない!
まさしくアルバート様御本人であるという何よりの証拠!!!」
「………」
「全く何度言えば分かるのかしら…。
あのバルツィエはまだ子供で未熟だから一度くらいそういうこともあるわよ。
期待しすぎだわ。」
「いいぃやぁ!!
それだけではござらん!!
この時期!このタイミングで現れたのも確証的でござる!!
このマテオがダレイオスとの戦争を始めようと準備している今!!
この状勢で名乗りを挙げたことが動かぬ証拠ォォォッ!」
「いい加減教会の中でそんな大声を出すのは大変遺憾なのだけど?
このバ………トーマス。」
「カタス?
それでは名前で罵倒しているように聞こえますよ?」
「………失礼した。
ついアルバート様のことになると咽に力が入ってしまうでござる。」
「分かればいいのよ。」
「………アルバート様は昔から戦争には反対的であった。
戦争を始めるくらいなら講話でケリをつけようとそういう御方であった。
ヴェノム騒ぎで戦争どころではなくなったアルバート様は一旦かの秘境にて修業に入ることにしたのでござる。
『再び戦乱の世が訪れたときのために俺は力に磨きをかける!』
そして公には死亡したことにし身を隠したのでござるよ。」
「憶測が過ぎるわよ。
アルバートはそんな人じゃないわ。」
「だがこうして秘境の地から王都までお越しなさっているではござらんか。
目撃のあった地では特に窃盗行為や国民への暴力行為もない。
敵対していたのは全て王国の騎士団関係だけですぞ?
これはつまりこの国の調子に乗ったバルツィエをお仕置きしに戻ってきたとした思えぬでござる。
『俺がいない間にまた腐りやがってからに………
俺がいねぇと駄目みたいだなぁ、この国はよぉ。』
まさしくその通りでござるゥゥゥゥゥ!!!」
「今のは貴方の妄言じゃない…。」
「以上のことからしてこの手配書のカオス=バルツィエはアルバート=ディラン・バルツィエ様御本人と裏付けできるのでござる!!」
「声が大きい!
このバッ………アッ………ボケェッ!!」
「とうとう取り繕わずに言いきりましたね…。」
「フヒヒヒ…!
カタスティア同志の罵声はいつも冴え渡って気持ちいいでござる。」
「日常茶飯事なんですね…。」
「…ゴホフッ…!
エフッエフッ………!」
「わざわざ喘息なのにかっこつけて一息つけようとして咳き込むなんて無様ねトーマス。」
「もう流れるように貶している…。」
「こっ、こんな苦しみももうじきアルバート様、改めカオス様が終わらせてくれる!
文字通り!『バルツィエを混沌』へと誘っ「ナイトメア。」スピー………」
「そんなに苦しいのなら私が止めてあげるわ。」