テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
カーラーン教会で殺生石について調べているとトーマスと言う人物に出会う。
トーマスの話ではカオスの祖父アルバートが未だに信仰されているらしいが…。
王都レサリナス 東北部 カーラーン教会
「救世主アルバート様と聞いて!!」バッ
「「!?」」ビクッ
「カタスティア同志!
やはりソナタもアルバート様の御帰還を信じているのでござるな!?
それならそうと何故我輩達に「ナイトメア」スピー…」
「やだわ、最近起きるのが早くなってきて困るわ。
抵抗でもできてるかしら?」
「「………」」
「………」
「そんな訳で今この街はこのトーマスのような御花畑の住人や戦争が始まるかもしれないと不安と恐怖にかられてピリピリしている人が多いのよ。
トーマスは薬を届けに来てくれただけだったけどその他にもここへやって来る方は多いわ。
この礼拝堂へと入る場合は慎重に行動なさい。」
「「はい…。」」
「………」
「カオス?
返事は?」
「…はい。」
「どうしたんですか?
カオス。」
「………先程の話の時から大人しかったわね。
アルバートの生存説辺りからかしら?」
「………皆が俺をおじいちゃんだと勘違いしてる………。
皆が大好きだったおじいちゃんはもういないのに…
俺はミストでも嫌われものの人殺しなのに…。
それを打ち明けられないし打ち明けたところで俺はおじいちゃん程の期待をかけられるような存在じゃない…。
俺には時間が経っても忘れられずに待ち続けてくれる人なんて……」
「カオス………
カオスは「カオスはカオスじゃない。」」
「貴方はカオス…。
それだけでいいじゃない。
周りが何て言おうが気にすることはないわ。
アルバートは実績でいろんなことを言われてきたけどそれはどれも本人の中身を知らずに想像で語った薄っぺらいものよ。
本当のことを言っている人なんて少ないわ。」
「…前にも言いましたよね。
カオスは称号や職業で人を判断しないと。
今のカオスはその時に戻ってますよ。
肩書き等で人の中身は計れない。
貴方は貴方を本当に見てくれる人に対してもそうした態度で臨むつもりですか?」
「アローネは………いいよね。
最初からアローネとして出てて…。
俺は………俺の筈なのに俺じゃない………。
なのに、俺じゃないのに期待だけは本物で………。
あの日の王都が俺にそんなに注目していたなんて…。」
「カオス………。
そこまで落ち込まなくても………。」
「……
つまりはそういうことなのね?
カオス。」
「「?」」
「そういうことを気にしているのなら貴方は明日その薬を届けに行くといいわ。
明日なら明明後日の準備で騎士団も暇して外を出歩いてないでしょうし。」
「?
カタスさんは一緒に行かないんですか…?」
「私は明後日の準備をしないといけないから忙しくてね。
貴方が用意したものなんだから貴方が届けてちょうだい。」
「でも薬を作ったのはカタスさんだし…。」
「私が一緒に行くと私の功績になりそうじゃない?
一番頑張ったのは貴方達なんだからその努力の恩恵は貴方達が受けるべきよ。」
「………分かりました。」
「子供に会いに行くのに大勢は必要ないでしょう。
あの子のところに行くのならカオスさんかアローネさんお願いします。」
「タレス………
やはり元貴族でも嫌なんですね。
相手は子供ですよ?」
「子供もいつかは大人になります。
貴族のまま育っていたらダニエル君のご両親の道を辿って成長しダニエル君のご両親の後を継いでマテオの貴族に………ゆくゆくはダレイオスの敵になってたでしょう。
…ボクはダレイオスの敵になってたかもしれない子を助けるようなことはしたくありません。」
「タレスはもう………。」
「タレスさんは早熟と言ってもまだ幼いわ。
そういうことを考えてしまうのも頷けるわね。
なら明日はカオスとアローネで行ってらっしゃい。」
「…はい。」
「そうしますか…。」
「それでは我輩はこれで………
カタスティア同志………少しは加減してくだされェ…。
我輩夜眠れなくなってしまうでござるぅ…。」
「トーマスが静かに話すことを覚えたら考えてもいいわ。」
「我輩もそこは重々承知しているでござるぅ…。
でありますがアルバート様の話をしているとどうにも口が「なら喋らなければいいのよ。」カタスティア同志ィ………。」
「あのぅ…
トーマスさんはどうしてそういう口調なのですか?」
「…昔私がアルバートに本を貸したらそれに影響されてね。
その本の登場人物の口調を真似していた時期があったの。
トーマスはその時期のアルバートに助けられてからこうなったわ。
余程その時のアルバートが彼にとってはヒーロー的だったのでしょう。」
「本?
………このような特徴的な口調の本など思い当たりませんね。
どこの本なのですか?
ダレイオス?」
「いえダレイオスでも聞いたことない口調ですよ。
マテオなのでは?」
「マテオでもダレイオスでもないわよ。
あの本は確かジ………ッ!」
「「ジ?」」
「………いえ忘れてしまったわね。
この二百年の間にも色々と国が出来ては無くなったりしたから。」
「そうですか………。
その本はまだありますか?」
「ごめんなさい、あの時から色々とあって今はどこにあるのか分からなくなってしまったの。」
「そうなんですか………。
読んでみたかったです…。」
「今度もし見つけたら貴方達にも見せてあげるわ。
とっても面白い話なのよ?」
「へぇ~、どのようなことが書かれている本なのですか?」
「それは……、
内容を披露すると面白さが半減してしまうわ。
あの本は真っ白な状態で見た方が面白いから今ここでは言わないでおいた方がいいわよ。」
「………それもそうですね。
それでは見付かったときのお楽しみに取っておきましょう。」
「そうしてちょうだいね。
それではトーマス、貴方も早く帰りなさい。
今日は十分貴方の談義を聞かせてもらったわ。
おかげでこの子達も良い話が聞けて喜んでるわよ。」
「そうでござったか!
我輩もアルバート様を暑く語れて楽しかったでござるよ!
これも何かの縁!
どうでござるか!?
サタン殿!アローネ殿!タレス殿!
我輩が所属するバルツィエファングラブに入会なされないか!?
今ですと動き出す歴史の最初の入会者として名を残せるでござるよ!?」
「動き出す歴史?」
「明明後日にある王城前での会合の話………。
どうもきな臭いのでござる!
王達は再戦宣言の他にも何かよからぬことを企んでると見た!
その企みを実行に移す段階に至ったので再戦宣言に出るのであろう!」
「再戦の他にも何か計画があると?」
「そうでござる!
そうでなければわざわざ騎士団だけでなく国民までよんで開戦するなどと意味のないことはせんでござるよ!」
「トーマスの言う通りだわ。
私もその可能性に同意なの。
明明後日の集会では王都で任務についている騎士達を全て集めて開かれる予定らしいの。
それも明明後日だけは外壁の見張りすらその日は無人になるのよ。
これから戦争をしようって国が敵が侵入してくるかもしれないのに見張りを無くすなんて油断もいいとこだわ。
余程攻め混まれても追い返す自信があるのか………戦争よりも何か重大なことを発表するのか………。」
「確かに怪しいですね…それは。」
「ダレイオスを舐めているとしか思えませんがヴェノムに逐われている以上それでいいのかもしれません。」
「王様達の企みは長年この国に住んでいる私にも分からないわ。
無闇に行動するのは危険よ。
貴方達は当日はここで本でも読んで大人しくしてなさい。
いいわね?」
「は、はぁ………、
ですがトーマスさんはその騎士団の企みについて歴史の最初の入会者になると仰られたのですか?」
「とんでもござらん!!
我輩はアルバート様がいない騎士団などなんの興味も湧かない!!
騎士団が我輩の知らぬところでおかしなことをするのであればどうぞご勝手に!でござる!」
「それでは何があるのですか?」
「よくぞ聞いてくれた!
我輩は断言しよう!
明明後日の会合で騎士団達は必ずや何かこの国にとってよからぬ政策を立ち上げるであろう!!
税収を上げる政策か都民を戦場へと送り出すような政策か………
一体何が起こるのかは我輩にも分からぬ…!
だがそんな我輩にも一つだけ分かることがある!!
宣言しよう!
それは………!
その明明後日の会合にてアルバート様が颯爽と現れ!軍を率いてマテオ騎士団を一網打尽にするのである!!」
「「!?」」
「そんな訳ないでしょう?
カオス=バルツィエはダレイオスに渡ったとされているのよ?
そんな彼がどうして都合よくその会合に現れるのよ?
あくまでも明明後日の集会で招集されているのは王都の中だけの話なのよ?
ダレイオス軍が攻めて来たら他の騎士団が応戦して王都へなんて辿り着けないわよ。
戦場の戦いって結構長引くものなのよ?
明明後日の集会にダレイオス軍が来たいのならもう既に海上での戦闘が始まっている筈だわ。
第一、彼がダレイオスに渡った後に明明後日の集会があると公表したのよ?
どうやってそんなことがあるって分かるのよ?」
「甘いなぁカタスティア同志………!
アルバート様………もといカオス様は事前にこの日を察知して動き出したのでござる!
カオス様には何もかもお見通しなのであろう!
『弟アレックスの考えなど兄には筒抜けよ…!
何年兄弟してると思ってんだ…?』
そう!
カオス様は全てをお知りなのだ!
なんという御方だ!?
この日のために全てが繋がっていたのでござるか!?」
「貴方の中のカオス=バルツィエは凄い能力の持ち主なのね。
未来予知なんてどう修行したら身に付けられるのかしら?」
「そんなものはアルバート様にとっては赤子の手を捻るよりも簡単なことよ!
アルバート様の観察眼は百年前でもモンスターに猛威を振るっていたでござろう!?
とうとうアルバート様はその域を越えて未来を見る力を得たのだ!
アルバート様ならそれも可能なのであろう!
多分!」
「多分…(汗)」
「トーマスさんはいなくなった人にここまで御執心でいられるんですね。」
「トーマスにとってアルバートは神様のようなものなのよ。
現に昔はいたのだからトーマスにとってはアルバートがどんなことを成し遂げてくれると疑わないのでしょうね…。」
「………」
………何が未来予知だ。
何が神様だ。
おじいちゃんは………普通の人だったんだぞ?
それをこんな風に何でもできる見たいに言われて………
そんな訳ないだろう…
おじいちゃんだってレイディーさんの言う通り逃げ出したくもなるよ………。
それでか………。
おじいちゃんがミストに来たのはこういう人達がいたからミストに逃げたんだね。
人が背負える物なんて限度があるのにこういう人に理想を押し付ける人達はおじいちゃんに無限に理想を背負わせる………。
それはおじいちゃんも逃げ出すさ。
こんな風にまるで人扱いされてないのなら…。
これなら始めから腫れ物扱いされた方がマシじゃないか?
こんな風に神格化したイメージを持たれてもどうせ後になって失望させてしまうのは分かりきってる………。
期待してもらえるのは嬉しいことだろうけど度が過ぎるのはただの無理難題の押し付けにしかならない…。
おじいちゃんは………ずっとそれに応え続けてきたんだろうなぁ………。
人の想像はどこまでも大きくなって雲の上の見えないところにまで登っていくのに………。
おじいちゃんはそのことに……後から気付いたのかな?
………それなら未来予知なんて能力はおじいちゃんにはないだろうな。
ただその時その時を全力だっただけ………。
おじいちゃんも俺も皆の中の人物とは別人の中身は普通の人なのに………。