テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
カーラーン教会にて調べものの最中にトーマスという薬剤師と出会う。
その薬剤師が言うには祖父アルバートが明明後日の開戦宣言に現れるというが…。
王都レサリナス 東北部 カーラーン教会 地下倉庫
「………」ボー
「カオス?
手が止まってますよ?」
「………」ボー
「カオス?」ポンッ
「………!
うわっとアローネ!
いつの間に!?
どうしたの!?」
「…カオスがボーっとしてたので声をお掛けしたのですが…。
どうかなさったのですか?
集中出来てないようですが?」
「………何だろう…。
………本当に何なんだろうね………。
何でかな?
ちょっと自分でも分からないや。」
「何ですかそれは?」
「気分でも悪いのかな?
あんまり目や頭を使うような作業はしてこなかったから頭の中がパンクしてるのかもね………。」
「はぁ………?
今日はこのあとダニエル君にお薬を届けることになってますがカオスの方が調子が悪そうですね?」
「大丈夫だよこれくらい。
平気平気!
イケるイケる!」
「とてもそうとは思えませんが…。」
「カオスさん用事なら早めに済ませてきた方が良いですよ?
『二兎追うものは一兎も得ず』
………どこかの国で使われている格言だかがあるくらいですから。」
「………そうだね、先ず追いかけるのなら一つに絞らないとね。」
「ボクは特に孤児院には用事もないのでここでカオスさんの資料を探しておきます。」
「………うんありがと。」
「………」
「それでは一言カタスに言ってから向かいましょう…。」
「………そうしようか。」
「孤児院に向かうの?
そう…、
ダニエルのことをよろしくね?」
「はい………。」
「?
何か浮かない顔ね?
どこか調子でも悪くしたのかしら?」
「…得にそういったことはないですよ。」
「…昨日からカオスがこの調子なのです。」
「………なるほどあの時からね。
全くトーマスには困ったものね。
本人を前にしてあんな妄想を垂れ流して………。」
「トーマスは悪くありませんよ…。
言い出せない俺が悪いんですから…。」
「貴方は騎士団の誤解を受けた被害者でしょう?
ここまで話が膨れ上がったのも騎士団せいよ。
貴方は一切被を認めることはないわ。」
「………俺が軽はずみなことをしたせいで話がこんなにも大事になったんですよ?
多少なりとも責任はありますよ。」
「カオスは知らなかったのでしょう?
ファンクラブが言う戯れ言なんて放っておきなさい。
貴方は………
貴方を真に見てくれる人のところに向かうべきよ。」
王都レサリナス 南東部 孤児院
「あっ!
カオ……
サタンさん!アローネ!
お久し振りです!」
「お久し振りですメルザさん。」
「お久し振りです…。」
「今日はどのようなご用件ですか?
お二人は………あまり出歩くのは控えないといけないのに。
もしかしてカタス様のお使いか何かですか?
あの人もお二人のことを分かっている筈なのに何を考えているんだか…。」
「いえ、今回はそうではないのですよ。」
「え?
じゃあ…、
私のお手伝いに来てくれたんですか!?
子供達が気になったんでしょう?
最近は外も空気が張りつめてますからねぇ。
明後日のことで街も慌ただしいすし。」
「明後日というとやはり…? 」
「私は事情を知ってますからそこまでは興味ありませんけど今バルツィエファンクラブでは明後日の件で話が持ちきりですよ?
明後日の王城にカオスさんが現れるのか、本当にアルバート様が現れるのかって…。
………そんなことはあり得ないんですけどね。」
「………」
「メルザさんもファンクラブの人なんですか?」
「それはそうですよ。
大好きなカタス様がよく話してくれますからねぇ。
昔話を聞くうちに私も好きになっちゃいましたよぉ!
お伽噺のような騎士様で…。
その騎士様は既に売約済みなんですけどね…。」
「…スミマセン。
生まれてきて…。」
「そ、そんな意味で言ったんじゃないですよ!?
私こそ空気が読めなくてスミマセン! 」
「いいんですよ…。
メルザさんには助けられている身の上ですから。」
「………でも本当にどうなっちゃうんでしょうかねぇ?
マテオは。
このまま本当に戦争が始まっちゃうんですかねぇ…。」
「それは…
私達にはなんとも…。」
「会員達の話では明後日の会合に救世主が現れるなんて話にはなってますけど私はお兄ちゃん………
ここ最近顔を見せないうちのダリントンが現れると思うんですよ…。」
「お兄ちゃん?」
「…私も実はもともとはここの孤児院に拾われて育っててダリントンもここの出身ですから私にはお兄ちゃんのような人なんです。
クソ真面目で会う度に小言を言ってきますけどね。
………粛清されたなんて話も聞きますけど私はお兄ちゃんは今もどこかで生きてて…
明後日の会合ではお兄ちゃんがアルバート様の変わりにバルツィエの暴走を止めてくれると信じています。
あれでもお兄ちゃんは王アレックス様と同じバスターズの一人ですから…。
アルバート様がいない今アレックス様を止められるのはかつての友の………お兄ちゃんしかいないと思うんです。」
「(この人はそのダリントンさんのことを………。)」
「ダリントンさんは………生きていますよきっと。」
「…そうですよ。
あんなんでもこの王都では『希望の星』なんです。
他のバスターズがいなくなった今アレックス様を止められるのはお兄ちゃんだけ…。
暫く見ないのも明後日の為に何か準備をしていてそれで姿を隠しているだけなんです…。
お兄ちゃんの部隊はバルツィエが何か悪さをする都度止めに入るアルバート様の意思を継いだ騎士団の良心部隊ですから。」
「………」
「…なんだか湿っぽくなっちゃいましたね。
今日は…何でしたっけ?」
「今日は………ダニエル君に会いに来たんですよ。」
「ダニエル君に?
あの子なら図書館に行ってますよ?」
「そういえば始めにあったときからあそこにいましたね。」
「…未だにここの子達とは馴染めなくて…。
あの子にはいくつかの障害がありますから。
元々はバルツィエの部隊にいたお父さんと………
彼の体質が…。」
「ダニエル君のお父様はバルツィエの隊に所属なさってたのですか? 」
「そうですよ。
バルツィエは気性が荒い部隊ですけどそれと同時にずば抜けた医療技術のある隊ですからお父さんもダニエル君をバルツィエなら治せるのかもと入隊したんです。」
「そんな目的の人が不正を働くなど考えられませんね…。」
「私もそう思いますよ。
それでもバルツィエは彼のお父さんを…。」
「それなら…
彼のお父様の無念を晴らすためにも私達がダニエル君を治さないといけませんね。」
「!?
と言いますと薬が出来たんですね!?」
「はい、
トーマスさんと言う方にも安全性を確かめてもらったので問題ないそうですよ。
今日はこの薬を届けに来たのです。」
「そうですか!
なら中の方へどうぞ!
ダニエルが帰ってきたら渡してあげてくださいよ!」
「あ、あの私達は薬を届けに来ただけで…。」
「薬を持ってきてくれた本人が薬だけ渡して帰るなんて水臭いですよ!
ここでゆっくり子供達と遊んでいってください!
話したいこともまだまだ沢山あるんですから!
カタス様のこととか!」グイグイ
「あ、あのぅ…!」
「…アローネはここにいてよ。
俺が直接薬を渡しに行ってくるよ。」
「カ、カオス!?」
「ならアローネさんだけでも頂いていきまよ!
今日は私一人で忙しくて大変なんです!」
「そ、それが本命なのでは…!?」
「それじゃあ…帰り道だし俺は行くね………。」ザッ
「カ、カオス~~~!」
「街中でそんなに叫んでは他の人達に気付かれちゃいますよ!
早く中に入って!」