テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

107 / 972
 青年カオスはアローネ、タレスと共に旅をしている。

 カーラーン教会でカタスティアに依頼していた薬が完成しカオスとアローネは孤児院へと届けに行く。

 アローネはメルザに連れていかれ子供達の世話をすることになりカオスは一人で図書館へと向かう。


真実を見抜く目

王都レサリナス 東北部 図書館

 

 

 

「………」

 

 

 

「(いた………)」

 

 

 

「………」ペラペラッ

 

 

 

「(何て声をかけようか…

 ここはあの時からいい思い出がないからなぁ。)」

 

 

 

「………」ペラペラッ

 

 

 

「(………何をあんなに夢中になって読んでいるんだろ?

 本も山積みにして)」ソー

 

 

 

「………」ペラッ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

【格闘技をするのなら】、【剣術本】、【近接格闘術】、【人体の急所】、【魔術の基本】、【コーネリアス枢機卿の修道騎士の心得】………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………ダニエル君はバルツィエと戦うつもりなの?」

 

 

 

「…!

 ………いきなり後ろから話しかけないでよ。

 驚くじゃないか。」

 

「ねぇ………

 どうなの?」

 

「………」

 

「危険だよ?

 あいつらは皆普通の人と比べて桁違いの魔術が使えるし剣術だってそうだ。

 そんなやつらに一人で挑むつもりなの?」

 

「………そうだよ。」

 

「何で?」

 

「二日後の集まりでこの街のバルツィエが皆揃う。

 それを一気にやっつけるチャンスなんだ。

 今のうちに強くなる勉強をしないと。」

 

「それでどうにかなると思ってるの?」

 

「………」

 

「馬鹿な真似はよした方がいい。

 君は魔術も使えない子供じゃないか。

 そんな子が一人で大人に立ち向かったところで誰も止められるとも思ってないし誰も期待もしない………。

 仮に期待されたとしてもそれは本人の能力を見ずに無責任に評価されたりするんだ。

 そんなの実際にされたらたまったもんじゃないよ。

 下手に注目を浴びるような真似は…「さっきからなんなの?」」

 

 

 

「いきなり話しかけてきたと思ったら説教を始めてさ。

 そんなこと最初から分かってるよ。」

 

「………分かってるならどうしてそんな無駄なことをしようとしてるの?」

 

「そんなのやってみないと分からないだろ。」

 

「…?

 勝てないと分かってるのにやってみないと分からない?

 よく理解できないな。

 何がしたいの?」

 

「ぼくは………一人ででもバルツィエと戦いたい。

 でも勝てないってのは分かってるよ。

 でもそんな周りが無理だって言ったことに素直に納得なんて出来ないよ。

 やってもいないのに。」

 

「…周りは自然と分かるんだよ。

 そういうのが、

 客観的に見て勝敗が分かる。

 だから君とバルツィエが戦ったところで君が一方的にやられるのは目に見えている。

 大人しくしているのがいいよ。」

 

「助言のつもり?

 余計なお世話だよ。」

 

「俺は親切のつもりだよ。

 バルツィエの力を間近で見た経験談としてのね。」

 

「だったらいらないお節介だよ。

 ぼくは一人でだってやってやるさ。」

 

「どうしてそこまで拘るの?

 誰も味方なんてしてくれないよ?」

 

「味方なんて必要ないよ。

 ぼくのことを馬鹿にするような味方なんか。」

 

「人の助け合いってのは大切だよ?

 俺も最近はカタスさんにお世話になってるし…。」

 

「ぼくはあんたみたいにはならない。

 あんたみたいにはなりたくない。」

 

「君だって同じようなものじゃないか。

 あの孤児院にいるってことはカタスさんの「そういうことじゃない。」」

 

「あんたみたいに人を気にして生きてるような人にはならないって意味だよ。」

 

「………大人になるとこうなるんだよ。」

 

「あんたはずっと友達がいたからそんな風になったんだ。

 ぼくは友達なんかいなくたっていいさ。

 友達がいるとあんたみたいに弱くなる。」

 

「友達は………関係ないさ。

 俺はずっと俺一人で強くなろうと努力してきた。」

 

「けど今のあんたからはあまり強そうだとは思えないよ。」

 

「…俺は別に強くなんて………。」

 

「まぁそうだろうね。

 そんな風に人ありきでバルツィエにびびっているんなら仕方ないんじゃない。」

 

「………」

 

「ぼくは一人で強くなるんだ。

 強くなってバルツィエを倒して皆に知らしめるんだ。

 弱い出来ないって言ってた連中を見返してやるんだ。」

 

「………結局君も人のことを気にしてるじゃないか。」

 

「いちいち小さいことをうるさいな。

 どうだっていいだろぼくのことなんて。

 それにぼくは一人でも強い人を知ってるよ。」

 

「一人でも強い人?」

 

「あぁ、最近一人でバルツィエに立ち向かって行って剣術だけで勝った人がいるんだよ。

 そんな人がいるんならぼくだって魔術が使えなくても強くなれる筈さ。

 魔術がダメなら他のことで挑めばいいんだよ。」

 

「(………魔術がダメなら………、

 どこかで聞いたことが…。)」

 

「その人は多分凄い努力を積み重ねてきたんだろうなぁ…。

 ぼくも一人になってからは努力をしてきたつもりだけどバルツィエどころか他のやつらの魔術すら避けるのが精一杯だよ。

 普通に魔術を使えそうなあんたにも無理だろうけどね。」

 

「俺もそれくらいなら………。」

 

「出来るの?

 出来たとしても避けるだけで反撃なんて出来ないでしょ?」

 

「君の言うその人ってなんて人なの?

 俺もバルツィエと………バルツィエが戦っているのは見たことあるけど三人くらいで逃げ出すのがやっとだったよ。」

 

「フン、

 偉そうに人に無理だなんて言うわりにはただの傍観者だったんじゃないか。

 そんなんで偉そうに指図するなんて烏滸がましいよ。

 自じゃ何もしないくせに。」

 

「…!

 俺だって………もっと力があれば皆を守れるくらいになって…!」

 

「それじゃあこんなとこにいていいの?

 あんたがダラダラしてるうちにぼくがあんたを追い抜いてバルツィエを倒してるかもしれないよ?」

 

「ダラダラって………、

 別に俺はなにもしてない訳じゃ………。」

 

「大体、図書館に何しに来たの?

 …前は薬を作ってくるとか言ってたくせに…。」

 

「…君を探してたんだよ…。」

 

「ぼくを…?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「薬が出来たの?」

 

「あぁ、

 これがそうだよ。」トサッ

 

「これが………。」

 

「君は精神的な後天性の症状だから治りやすい筈だよ。

 一応薬の効果も実証性あるみたいだし安全も確認されている。

 これを飲めば君も魔術を使えるようになる筈………。」

 

「………」

 

「これでバルツィエに挑むってんなら少しは役に立つさ。

 最も魔術が使えるようになったところで付け焼き刃だからお勧めしないけど。」

 

「……とう。」

 

「?」

 

「ありがとう…。」

 

「………お礼は言えるんだね。」

 

「ぼくもそこまで子供じゃないから。

 あんたにはこれで借りが出来たんだし。

 お礼ぐらい言っとかないとね。」

 

「生意気な子供だな。」

 

「…でもこれでようやく戦える。」

 

「………さっきも言ったけど止めといた方がいいよ。

 君一人じゃどうにもならない。」

 

「………それでもいいさ。

 ぼくはあの人の助けにさえなれればそれで………。」

 

「………さっきから言っている人って誰?

 一人でバルツィエに勝ったなんて聞いたことがないけど。」

 

「聞いたことないの?

 友達のいないぼくですら耳にはいるくらいなのに。」

 

「悪かったな。

 世間に疎くて。」

 

「まぁ、直に知ることになるさ。

 多分その人はぼくと同じ病気だけどそれでもぼくの世界を変えてくれた人だから。」

 

「?

 そんな人の話なんて…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カオス=バルツィエっていうこの間この街のバルツィエに宣戦布告しにきた人さ。」

 

 

 

「………」

 

「あの人はイクアダでバルツィエと戦って勝ったんだ。

 魔術も使わずにね。

 カオスは………ぼくの考えではぼくと同じ病気なんだと思う。」

 

「…自分の都合で考えすぎだろ。

 本人を知りもしないでどうしてそんなことが言えるの?」

 

「分かるよ。

 カオスの記事は少ないけど全部集めたもん。

 手配書とかも見たけど普通賞金首になるとその人が使える魔術とか詳しく載せられちゃうんだよ?」

 

「…!」

 

「それを見ても一切カオスに関しては魔術を使っている話がない。

 使わないんじゃなくて使えないんだよ。

 何か訳があってね。」

 

「…子供にしてはよく調べてるな。」

 

「そうでしょ?」

 

「けど一つ間違いがあるな。

 そのカオスは一人で立ち向かったと言ってたけど彼には二人の仲間がいるって話だよ。

 一人で戦っている訳じゃない。」

 

「………そうだけどこの間のイクアダのバルツィエの戦いでは少なくとも一人で戦っていたのは確実だよ。」

 

「根拠は…?」

 

「カオスが騎士だからさ。」

 

「?

 そんなことどこに書いてあった?」

 

「最初の事件のときに書いてあったじゃないか。

 逮捕しようとした騎士団を一人で倒したって。」

 

「それがなんだって言うんだよ?」

 

「アローネって人を助けようとしたことがこの話の切っ掛けなんだよ?

 カオスはこのあとのカオスの話にも街の人や仲間を守るためだけにしか騎士団と戦っていない。

 そんなのお父さんと同じ本当の騎士そのものじゃないか。」

 

「!」

 

「他の人はアルバートって人って言ってるけど流石にそんな竜を倒すような人ではないよ。

 そんなに強かったら最初の時点で騎士団が殺されちゃってると思うし。」

 

「………」

 

「それにね。

 カオスはこの間リプット鉱山でも一暴れしてきたけど騎士団の人達を気絶させる程度で留めていたようだよ。

 あくまで敵はバルツィエなんだよ。」

 

「君は………バルツィエが嫌いなんじゃないの?

 カオスもバルツィエを名乗っているけど。」

 

「何言ってるんだよ。

 バルツィエと戦っているだけでカオスがバルツィエじゃないのは明白じゃないか。

 本当は別に名前があるんだよ。

 バルツィエを名乗っているのはこの国のバルツィエに堂々とケンカを売るってカオスの覚悟の表れなのさ。」

 

「覚悟………か。

 そんなものがいるなんて思っちゃいなかったんだけどな。」ボソッ

 

「ん?

 何て言ったの?」

 

「いや、何も?

 ………一つ聞かせてくれないかダニエル君。」

 

「何?」

 

「君にとってカオスはどんな存在だと思う?」

 

「カオスが?

 ………そうだね。

 彼は目の前で傷つけられている人を放っておけなくてその人を助けようと戦う人かな。

 でもバルツィエを倒せるくらいには強いけどそこまで極端に強い訳じゃない。

 後、お金はそんなに持ってないんじゃないかな?

 街の噂では南の街では普通にギルド受けてたっていうしね。

 その時は何か別の名前名乗ってたらしいよ?

 何て言ったっけなぁ………。」

 

「……」

 

「とにかくカオスは昔いたアルバートなんかじゃないよ。

 そんなに強かったら逃げ出したりしないで正面から叩き潰すと思うし。

 カオスも完璧じゃないんだよ。

 だからぼくがカオスの助けになりたいんだ。

 明後日は本当に出てくるかわからないけど出てこなかったらぼくが代わりにバルツィエに挑むんだ。

 そしてカオスに伝えるんだよ。

 バルツィエと戦っているのはカオスだけじゃないぼくだっているんだぞって。

 それからカオス一味にスカウトされたいんだよ。

 アローネってのは懸賞金は高いみたいだけど最初の事件で戦いは出来ないみたいだから。

 カオス一味はカオスとぼくで戦っていくんだ。」

 

「………」

 

「ぼくのカオスに対するイメージはこんなとこかな。

 ぼくの中では今一番の注目株だよ。

 あんたもカオスみたいになりなよ?

 ひねくれてばっかりじゃなくてさ。

 見てる人は見てるんだからね。」

 

「………そうだね。

 そうしてみるよ。

 ………そろそろ俺は帰るとするかな。」

 

「そういえばあんた名前なんだっけ?

 もう十日以上くらいたつから忘れちゃったけど…。

 たしか覚えやすい名前だったと思うんだけどなぁ。」

 

「俺は………誰だろうね…?」

 

「何だよそれ。

 教えていけよ。」

 

「大した名じゃないよ。

 むしろ恥ずかしい名前かな。

 俺にはピッタシだけど人に聞かせるには恥ずかしすぎる名前。」

 

「?

 この間は普通に名乗ってなかった?」

 

「そうだったかな…。

 ダニエル君いい話を聞かせてくれてありがとう。

 明後日はどうなるかは分からないけど少なくとも今のこの心の隙間は埋まった気がするよ。」

 

「何であんたが…?」

 

「そういうことだからまたな。

 あと、明後日は本当にバルツィエにケンカなんて吹っ掛けるなよ?」

 

「ちょっと…!

 名前聞いてないんだけど!」

 

 

 

トショカンデハシズカニー!

 

 

 

「ご免なさい!

 ………図書館で怒られるなんて初めてだな。

 こんなに声出るんだなぼく。」

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。