テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
殺生石のことを調べようとカタスティアの書庫に行くとそこでウルゴスのアルバムを見つける。
それには幸せそうな日々のアローネの家族の写真があった………。
王都レサリナス 東北部 カーラーン教会
「ここが最後かな?
………これは。」
「姉の葬儀の時の写真ですね。」
「この辺りは………。」
「気を使ってもらわなくてもいいですよ?
姉のことはもうこの頃から受け止めてはいましたので。」
「………」
「姉は最期まで幸せだったんです。
それなら私はそれをおくってあげられればそれでいいです。」
「そっか………、
………?
また新しい子が出てきたね。
このアローネよりも小さいこの子は?」
「それはサタン義兄様とメデス姉様の娘のメルクリウスです。
私はメルと呼んでいました。」
「二人の子供ってことは…
ハーフエルフになるのかな?」
「いえ、彼女の場合ですとエルフ寄りの『クォーターエルフ』になりますね。」
「クォーターエルフかぁ、
この後の写真はないみたいだけどこの子もアローネ達と一緒に家族として暮らしてたんだよね?
奴隷としてではなく。」
「そうですけど?」
「それからどう育ったの?」
「………」
「?」
「分かりません。」
「分からない?」
「私はここより先の記憶が途絶えていてこの先どうなったかは。
メルが姉と同じで体が病弱だったのは思い出せるのですが…。」
「メルちゃんも同じ病気を?」
「いえ、同じ様で別のものらしかったです。
エルフとハーフエルフ、クォーターエルフでは体の遺伝子構造が根本から違うようでしてエルフに効く薬もハーフエルフ、クォーターエルフには効果が薄いようでした。
当時はハーフエルフ自体がいつ死んでしまってもよかったというような時代…。
そんな時代にハーフエルフに効く薬の処方などはなくサタン義兄様は一からハーフエルフとクォーターエルフの医学を研究しました。
その間にもメルはいろんな合併症を引き起こしたりして………、
魔力欠損症も発症した時がありましたがそこだけはエルフと同じくアイオニトスで完治しました。」
「それでアローネがやたらとそういう話に詳しかったんだね。」
「身近な存在にそういった人がいますと私の耳にも話が伝わるので。
それから彼女がどうなったかは………。
メルの治療を行っている際に世界にヴェノムが現れたので………。」
「そこから先は思い出せないんだね。」
「残念ながら………。」
「結構長く見ていたね。
殺生石のことも調べないといけないのに。」
「カタスが私の家のアルバムを持っていたことには驚きました。
きっとここにある本も含めて王家で管理してくれていたのですね。
それがカタスが眠りについたタイムカプセルと一緒に保管されていたのでしょう。」
「久々に家族の顔を見れてよかったね。
今日これを見るまで家族と一度も会えなかったんだし。」
「そうですね。
言われてみればそうなりますね。
私は家族と一度も………。
一度も………」ツー
「!!」
「スッ、スミマセン!
なんだか家族の写真を見ていると涙が出てきてしまって…!」
「そ、そりゃあアローネの事情なら泣いても仕方ないよね!
だってもう一月以上は会ってないんだし!」
「いえ…。
そうではありません。
…このアルバムを見てたら懐かしさと寂しさの他にも………、
私が本当にウルゴスで生まれたのだと思いまして…。」グスッ
「?
アローネはウルゴス出身なんでしょ?」
「そうですけど…
今まで私を証明してくれるものはこの王都に来てカタス以外にはありませんでした。
カタスがいたことが勿論証明にもなりますけども…
このアルバムのように私自身の過去が実在したことを証明するものはこれの他にはありません。
………私は本当に人だったんですね…。」
「そこが不安だったんだ…。」
「そうですよ。
私はこのマテオで私の常識が通じないことにずっと恐怖していたのですから…。」
「じょあ…
これでその恐怖もなくなった?」
「はい、
私はこれでようやく私自身になれたのですから。」
「ここに来て正解だったわけか。」
「あの時カオスが一緒に王都へと付いてきてくれて本当に良かったです。」
「俺もアローネがここに来て良かったんならそれでいいさ。」
「カオス………、
この街に連れてきて下さって有り難うございます。」
「………お二人とも、ボクにだけ作業させてたら終わりませんよ?」
「………ここにある本は凄いですね。」
「?
どうしたのタレス。」
「ここの本に書かれていることはマテオでもダレイオスでも見たことも聞いたこともない技術や魔術などが載っています。
このデリス=カーラーンに実在するものと比べ全ての文明レベルが遥かに上です。」
「そうなのですか?
私にはそこまで違いが分かりませんけど?」
「例えばこの魔術本…
基本六元素の魔術…
どうやらこれよりも更に上の術があるようなんです。」
「ウインドカッターやアクアエッジの上があるのですか?」
「そのようです。
カタスさんが言っていた追撃はあくまで応用、
その上の術はそれよりも更に先に行った魔術のようです。」
「そのなものがあるなど私も知りませんでした。
ウルゴスでも聞いたことありませんよ?」
「この本達は………
本当にウルゴスだけの本なんでしょうか?」
「?
ダンダルクの本もあったの?」
「アローネさんはこの本の文字に見覚えありますか?」
「ダンダルクの文字ですか?
私も多少見たことはありますけど読めるかどうかは……
…………………………。」
「………?
どうしたの?」
「この文字は………
私も見たことがありません。
ダンダルクの文字はこの字ではありませんよ…。」
「………アインスでは他に文字の種類は?」
「私もアインスの全てを把握は出来ていませんが少なくとも私の知る限りでは他には………。」
「ここにある本は他にもいくつかの言語文字が使われている本がありました。
ボクが数えただけでも十程………。」
「どう言うことでしょうか?
カタスが目覚めたのは二百年前………
その時からこのデリス=カーラーンにあった他の国の本も集めてここに保管していたのでしょうか? 」
「その線は無さそうです。
どの本も読めはしませんがこの時代のものとは思えないレベルの本ばかりでした。」
「そんな本が何故ここに…?」
「………多分カタスさんのことだからアインス以外にも技術の進んだ時代の本があってそれを集めてるんだよ。」
「カタスが?」
「この間の話を聞くとあまり一つの場所で力が大きくなるのはまずいんでしょ?
だったらそうならないようにカタスさんが見付けだしてここに持ってきたんだよ。」
「それではアインスからデリス=カーラーンに移る際の時間の中に他にも高度な文明が存在していたと?」
「そうなるんじゃないかな。
カタスさん達が眠っていたのは数奥年以上なんでしょ?
その中にも出来ては滅んだいくつかの時代があったんだよ。」
「それではこの言語文字の本はその時の?」
「多分ね。」
「何故その時はアインスの文字と重ならなかったのでしょうか?」
「………アインスとデリス=カーラーンの発展の仕方が同じで、それ以外の時代がそうじゃなかったとか。
星の記憶ってのも完全に一致する訳じゃないんだと思うよ。
過去と未來でたまたま同じになることもあれば違うときもある。
そんな感じなんじゃない?」
「………辻褄が合いますかね?」
「星の記憶ってのも俺達は完璧には理解出来てないだろ?
本当にそんなものがあるのか。
けどアローネと俺達は同じエルフだし同じ言葉を使っている。
それに漆黒の翼だってアインスにもデリス=カーラーンにもいたんだ。
理解は出来なくてもそういうものがあるってことは確かだろ。」
「………ボクには何か………
どこかがおかしいように思えます。」
「………まぁ、俺もなんかしっくりこないとこはあるよ。
でもカタスさんの言うことだし…。」
「その星の記憶というものがあるのは分かりますが同じ環境ですから同じ人種が誕生することはあるとは思いますが流石に言語まで同じというのは話が出来すぎなのではないですか?
この本達もアインスの次に出来た文明の本だというのは問題ないでしょう…。
………ですがそこから色々あってからのデリス=カーラーンになるとしたらアインスの文字に戻ってはこれないでしょう。」
「それは………『バタフライエフェクト』があるからですか?」
「バタフライエフェクト?」
「物事の原点は同じでもそこから始める角度が少しでも違ったら最終的な結末が大きく変化してしまう現象のことです。」
「………ウルゴスとマテオの言葉が同じなのは単なる偶然なのでしょうか?
それとも星の記憶が関係して…。」
「…もしくはこのマテオが誕生したとき意図的に言語と文字をアインスから引っ張ってきた人物がいるか、です。」
「「!?」」
「何の目的でアインスと同じ言語に設定したかは分かりませんが可能性があるとしたらこのマテオに最初に文字の概念を作った人………。
アローネさんやカタスさんよりも前に他にもアインス人がいたのかもしれません。」
「私やカタスの他のアインス人………。
一体誰が………。」
「カタスさんの話では二百年前に目覚めてからずっと一人だったようですがもしかしたらこのデリス=カーラーンには歴史のどこかにアインスの人達が複数はいるんじゃないでしょうか。」
「その人達がタイムカプセルから出てきてこの世界の基礎を作ったってこと?」
「ボクはそう思います。
カタスさんは星の記憶と言っていましたがいくらなんでも数億年の時を越えて言葉が完全に同じだというのは無理な話ですよ。
それよりかは誰かがアインスの知識を流した人がいたと言った方が話は通ります。」
「………もしそれが本当なのなら私は………、」
「アローネ?」
「………私は………その方にお会いしたいです。」
「同じアインス人だから…?」
「その気持ちもありますけどアインスでは私達王族貴族はその方をヴェノムから守りきることが出来なかったのですから今も生きているのならその方達にお会いして謝罪がしたいのです。」
「…それは仕方ないよ。
今ですらヴェノムは普通の人には倒せないんだから。
アローネ達が責任を感じることなんて…。
それにアローネはタイムカプセルに入ったことだって記憶にないんでしょ?」
「そうですけども…。」
「その人達も納得した上で入ったんだと思うしアインスの知識があったんならそれを利用して普通の暮らしくらいは出来てたんじゃない?」
「アローネさんはアインスの平民前提にしてますけどその人達は同じ守る立場の貴族かもしれませんよ。」
「…例え平民だろうと貴族だろうと私はその方にお会いしてみたいです。」
「と言ってもマテオが出来るよりも大昔の話じゃあ今はもう生きては………。」
「カタスは………私達は不老になったと仰っていました。」
「「…!」」
「それなら今でもその方が生きている可能性もありますよね…?」
「…その人も不老になってるならそうだけど…。」
「…私、カタスの仕事をお手伝いする合間にその方達を探します!
他にまだタイムカプセルで眠る方々を探すと同時に!」
「…大変だよ?
こんな広い世界で探すのは。
時間だってかかるし。」
「いいのですよ。
私は目覚めたばかりで不老になっているのかは分かりませんがカタスがいますから。
それに私にも会いたい人達がいますから…。」
「アローネの家族…?」
「はい、
私は家族を…
まだ眠り続けているかもしれない両親と義兄と姪を探します。
あの人達も私を待っているかもしれませんから。」
「………分かったよ。
なら俺も協力する。」
「カオス?
けど貴方には殺生石の件を解決してミストに戻るのでは…?」
「そうする予定だったけどアローネには助けられてばかりだしね。
ここまで一緒にやって来たんだから放っておけないよ。」
「………」
「今更俺一人だ目的を達成して帰るなんて出来ないよ。
またミシガンに怒られちゃうよ。」
「お姉さんは既に怒ってらっしゃいますよ?」
「なら全部終わらせてからまとめて怒られようか。」
「…有り難うございますカオス。」