テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ウインドラの訪問でカオスは一人で彼と話をすることになった。
そこで彼の要求を断ると戦闘になり…。
技の王都レサリナス 城東 騎士団修練場 夜
「………何だその光は?」
「これは騎士団では『オーバーリミッツ』と言われている技だ。
この闘気をまとえば身体能力が格段に上がる。
騎士団でも使えるものが少ない技だ。」
「今よりも強くなるのか。
厄介な技を覚えたな。」
「…この技が使えるのもお前のおかげだがな。」
「俺の?」
「俺はあのミストでの災厄の日、お前がヴェノムに放った光を浴びた。
その日から俺の体には異変が起こった。」
「ヴェノムに感染しなくなったとかか?」
「それもある。
それの他に俺のマナはあの時からし通常の人とは比べ物にならないくらいに増幅した。
マジックアイテムになぞ頼らずとも武身技や闘気術を使える。」
「それくらい俺にだって出来るぞ。」
「さっきの魔神剣か…。
バルツィエなら誰でも使える基本技。
出来損ないとはいえお前もバルツィエの一員ということか。
だったら………」ググッ
「…!」
「お前がバルツィエだと言うのなら肩慣らしには丁度いい!!
衝破一文字ッ!!」
ズァァァァァァァァッッッッッ………!!!
「うぐぅっ………!!?」ガガガガッ!!
「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」ズズズズッ!!
「くぅぅぅ………このぉっ!!」ガンッ
「弱い!!へぁぁぁっ!!」バンッ
「うあっ!?」ダンッ………ズザザザザッ…。
「…お前のおかげで俺はここまで強くなれた。
そこだけはカオス、
お前に感謝しておこう。」
「………っててぇ…、
モンスター以外で力負けすることなんてなかったんだけどなぁ…。」
「この十年で振ってきた武器の差が出たな。
腕力では俺に分があるようだ。」
「………なら俺はスピードで戦う。」
「速いだけでは俺には勝てんぞ?
もともと俺は素早いバルツィエと戦うことを想定して訓練を積んできたんだ。」
「バルツィエと…?
同じ騎士団じゃないのかよ?」
「あんな非道な奴等と一緒にするな。
アイツらは俺達ダリントン隊を排除しようと計画している。
俺達がいなくなればこの国は終わりだ。」
「じゃあこんなところで俺とやりあってていいのかよ?
隊長さんは見付かったのか?」
「…隊長は明日の徴集に必ず来る。
問題はない。
それに明日の徴集には
お前も来ることになっている。」
「………?
別にそんな予定はないけど?
俺は大人しくしとくぞ。」
「いや、お前は絶対に明日の徴集に現れる。
そういうことになっているんだ。」
「………じゃあ何で俺を追い出そうとする?
俺が出ていけばその徴集には参加出来ないんじゃないのか?」
「だからだ。
だからお前はこの街にいてはいけないんだ。
お前がいると作戦の邪魔になる。」
「………明日のその徴集…、
お前達何かするつもりなんだな?」
「………」
「何をするのか知らないけどこっちはいい加減お前達騎士団のせいで迷惑してるんだ。
アローネを捕まえようとしたり国中に俺達が動きにくくなるような変な額の手配書をばら蒔いたり…、
しまいには明日の集まりに俺が行ったり行かなかったりとか訳の分からないことを言い出す…。
俺はお前達騎士団の思い通りにはならない!」
「お前の意思がどうであろうとこれは決まっていることだ。
明日はお前がバルツィエの前に立つことになった。
………だからお前は早くにここを去らなければならない。」
「訳が分からないんどけど…?」
「お前が理解する必要はない。
この件は俺達の部隊の極秘事項だ。
それに………!」ダッ
「…ッ!」ガキンッ
「カオス…、
お前では世界は救えない。
お前では英雄アルバートの高みには昇れやしないさ。
この俺に一敗喰わされているようなお前じゃ!」
「………」ハァハァ
「もうお前の動きは十分に把握した。
間合いの取り方、技のタイミング、技のレパートリー………。
この勝負は既に決した。
素直に敗けを認めろ。」
「……もう勝った気でいるのかよ。
決着はまだ立ち上がれるぞ。」ハァ………
「戦いが始まって一時間…。
お前は一度も俺に一撃を入れられていない。
対してお前は俺の攻撃を受け続け疲労が見え始めている。
このまま続けてもジリ貧になるだけだ。
立っているのもやっとだろう。」
「そいつはどうかな…?」
「見え見えの強がりはよせ。
このまま根性比べをしたところで俺が倒れることはない。」
「その言葉………これを受けきってからもう一度言ってみろ!
魔神剣・槍破!!」ザザザザッ!
「どうした!
最初の一撃よりも精度が落ちてるぞ!」ガガガッ!
「…!」スッ
「またその技か!
背後をとったところで神月「魔神剣・槍破!」…!?
旋月刃!!」ザンッ
「……チッ!」
「……狙いはよかった。
魔神剣を囮にして先程とは距離をとったところで本命の魔神剣…。
浅知恵を利かせたところまでは褒めてやるが所詮お前に出来るのは足の速さで翻弄するのみ。
これまで程度の低い連中しか相手にしていなかったのが目に浮かぶようだ。」
「…これでもバルツィエの一人は仕留められたんだけどな。」
「バルツィエなど生まれもった強大な火力で弱者をいたぶるだけの殺戮者だ。
あんなものは強者ではない。
強者なら常に己より上の存在との戦いを想定し続けねばならない。
俺はここで俺を越える強者から散々敗北を味わわされてきた。
その都度それを俺の糧とし強くなってきた。」
「………まるで自分だけが本当の訓練を積んで俺は何もしてなかったみたいな言い方だな。」
「この結果が何よりの証だ。」
「結果を急ぐなよ。
まだやれるって言ってるだろ。」
「敗北を認めるのも強さへの一歩だと学習しろ。」
「それを認めたら俺はここから出ていかなきゃならないんだろ。
…そんなの今まで俺に付いてきてくれた二人に申し訳がたたない。」
「お前のその弱さが原因だ。
お前が俺に勝てていたらそうはならなかった。
お前がこの国の本物の騎士というものを知ってさえいれば他の二人もここで旅を諦めずに済んだのにな。
現実は甘くはないということだ。
じゃあな…。
瞬迅槍ッ!」シュッ
ガキンッ!
「………諦めの悪い奴だ。
まだ抵抗するか?」
「諦められないって言ってんだよ。
俺は二人やミストの責任を背負ってる限り止まれないんだ。」
「そんなものはお前が勝手に背負い込んでるだけだろ。
無理して背負ったところでいつかは抱えきれなくなるぞ。
今のこの状況こそがそれだ。」
「………お前ってそんなに皮肉屋だったか?
人の頑張りや努力を無意味だったみたいに言って…。」
「俺は昔からこうだった。
口に出さなかっただけだ。」
「そうかよ…。
心の中では見下してたってか。」
「分からなかったか俺が何故お前と一緒にいたか。
お前のような格下と一緒に入れば村での俺の評価が上がったからだ。
それが俺と友達ごっこをしていた理由だった。」
「………そうだったのか………。
それがお前の本音だったのか…。」
「そうでなければお前と一緒にいる利点がないだろう?」
「………俺はそれだけの存在だったのか。」
ツー…
「………ハハハッ」
「ショックを受けたか?
十年たってようやく真実を知れたことに。」
「………納得がいっただけだよ。
ウインドラが俺と一緒にいたことに。
お前がどうして他の連中と一緒になって俺を苛めたりしなかったのか。
………お前はやっぱりお前だったわけだ。」
「………何?」
「お前はずっと周りにいい子ぶってただけだったんだな。
回りの人からの視線を気にしてないと生きていけない弱い子供だったんだ。
十年間変わってなかったのはお前の方だったんだ。」
「!?
黙れ!!」ガンッ
「図星をつかれてムキになるなよ。
この程度の弱点誰もついてくれなかったのか?」
「お前が俺を弱いなどとほざくなぁぁぁぁぁぁッ!!」ガンッガンッ
「感情を抑えなよ。
おじいちゃんがいつも言ってたろ。
戦闘ではいつも『冷静に』ってな。
お前の挑発は俺を揺さぶる作戦だったってことか。」
「…!?」
「敗北を知れば強くなれるんだろ?
一歩強くなれたじゃないか。
ウインドラ。」
「減らす口を…!
この一撃で終わらせてやるッ!
『落雷よ!我が手となりて敵を撃ち払え!ライトニング!』」パァァッ…ピシャッ!
「自分の槍に雷撃を…?」
「これは俺が編み出したオリジナルの技だ!
魔術の攻撃はお前には薄いようだがこの雷槍の一撃は耐えられまいッ!
行くぞッ!
瞬雷槍ッ!」バァァァァンッ…!!
パァァンッ!!
「な………に………!?」
「敗北で強くなるのはお前だけじゃない。
この戦闘中に観察されていたのはお前だったんだよ。」
「………お前のどこにそんな力が残って…!」
「魔術が効きにくいところは見破られたけどそれ以外にも俺はダメージの回復が早いんだよ。
勝った気になって長話してくれたおかげでこのくらいなら受け止められるまでには回復した。
久し振りに会って言いたいことでも溜まってたか?」
「ぐっ…!
だが!」ブンッ!
「おっと…」スッ
「たかが一撃防いだ程度で調子に乗るな!
お前が俺に一撃も入れられないことに変わりはないぞ!!」
「………だったら
次の一撃で終わらせてやるよ。」