テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
ウインドラに監禁されたカオスは明朝になっても抜け出せず一人で後悔に苛まれているとそこに誰かが現れ…。
王都レサリナス 城西 研究所 カオスサイド
「よし、ワクチンは持てるだけ持ったな?
撤収するぞ。」
「………いいんですか?
これだって騎士団がヴェノム対策に用意したものなのに…。」
「何言ってやがんだ。
ここはワクチンの製造所だぞ?
ちっとくらい無くなったってまた補充できんだよ。」
「多ければ人のものを盗っていいって訳じゃないと思うんですけど…。」
「もうここに来てる時点で手遅れだ。
今更善人ぶっても傍から見たら立派な泥棒だ。
だったら盗みに失敗した泥棒よりも盗みに成功した泥棒になろうぜ?」
「そんなところで高いところみなくても…(汗)」
「諦めなよカオス。
レイディーの屁理屈は今に始まったことじゃないでしょ?」
「そうなんだけどさぁ…。」
「ちんたらしてんなよ?
見つかる前にずらかるぞ。」
「………はい。」
王都レサリナス 城西 研究所外 カオスサイド
「さて、後は人目につかないところに隠れてあの政をやり過ごすだけだな。」
「政?
…ってえぇ!?
もうこんなに人が沢山…!?」
ザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワザワ………
「何だよ。
知らなかったのか?
今日ここで開戦宣言が出されるって新聞にも載ってたぞ?」
「それは知ってたんですけどこんなに人が集まってるのは初めてで…。」
「私もここまで多いのは…。
何か恥ずかしい…。」
「安心しな。
こんな舞台袖誰も見ちゃいねぇから。
メインはあっちの指令台だ。」
「あそこで開戦を?」
「通例ではそうなるな。
…だが様子が少し違うな。」
「何か違うところがあるんですか?」
「見てみろよ。
ギャラリーと台との距離を。
離れすぎだろ?
前に別の催しで開いたときはもっと前までギャラリーを引き寄せてたが今回は随分遠ざけてるな。
これは何かイベントでもやんのかな。」
「………まぁ何でもいいですけどそれよりもレイディーさんさっきの話の続きですけどどうして王都に戻ってきたんですか?
それもミシガンも連れて。」
「そりゃおめぇ、
アタシの調査が一段落したからだよ。
もうあの村のことは調べ尽くしたからここまで帰ってきたんだ。
そしたらコイツがついていくって聞かなくてよぉ。」
「だってレイディーの話だけじゃ本当にカオスと知り合いなのかどうか妖しかったんだもん。
急に村に来てカオスの知り合いだって言ってきて…。」
「坊や、
あの村では嫌われものらしいな。
コイツ以外皆非協力的だったぜ?」
「………」
「アンタはまたそうやって余計なことを言う…。」
「それで坊やの方はどうだったんだ?
アタシと別れた後騎士団の連中がお前を宣伝してたみたいだがこの街に辿り着けたってことは何か進展あったのか?
ダリントンとは会えたのか?」
「………いえ、
何も。」
「ハハッ、
そうかよ。
じゃあ進展したのはその髪型と服装だけってことか?
手配書出されたからってそんな様変わりしちまってよぉ。」
「確かに!
カオス前と髪型が違うじゃない!」
「これはアローネに言われてゴムでまとめてるだけだよ。
こうすれば手配書と大分顔が違うでしょ?」
「………そう?
あんまり変わってないけど…。」
「よくもまぁそんな単純な手で欺いてこれたなぁ。
坊やと顔見知りでもない限り分からねぇとは思うが。」
「二、三度話をしたことある人にはばれました。」
「だろうな。
その髪の弄りも完璧じゃないと言うことだ。」
「髪型も変わったけど…
カオスその服はどうしたの?」
「この服?
これは教会で貰ったものなんだよ。」
「教会?
何それ?」
「…ほらな?
コイツ連れて歩くの超疲れたぜ。
こんな風に逐一常識を説明してやらねぇといけねぇからよ。
坊やの言ってた通り村全体で金という概念がどっかで抜け落ちちまってたからここまでで何回アタシが常識を叩き込んでやったことか………。」
「それくらい教えてくれてもいいでしょ?」
「アタシはお前のガイドじゃねえっての!
だいたいここまでの賃金払ってやったのアタシだぞ!?
もうちっと敬ってくれてもいいんじゃねぇのか!?」
「よくレイディーさん連れてきましたね。」
「しょうがねぇだろ。
コイツやたらと足が早くて直ぐに追い付かれるんだからよ。
かといってついてきた以上放っておくのも寝覚めが悪ぃし。」
「何だかんだ言ってレイディーは面倒見がいいからね。」
「本当にね。」
「………教会ってのはあれだ。
人は救いあってこその人だとか理念を掲げて人助けする団体のことだ。
つまり坊やのような物好き集団ってこった。」
「ふぅん?
カオスにピッタリなんじゃないの?」
「この服は借りてるだけなんだけどね。」
「おい坊や、
まだそんな木刀ぶら下げてんのか?
そろそろ新しいのに取り替えた方がいいんじゃねぇのか?」
「これですか?
………折れるまでは使うつもりですけど…?」
「お前自分の立場分かってんのか?
アタシは同じお尋ね者だから取っ捕まえたりしねぇがそんな木刀じゃそのうちキツくなるぞ?」
「…大丈夫ですよ。
もう必要以上に戦ったりしませんから。」
「そうは言うけどな。
お前がそれを望まなくても向かってくる奴は出てくるだろ?
そんときになって後悔することになるぞ。」
「その時は………逃げ出しますよ。」
「…また逃げんのか?」
「!?」
「ミシガンから聞いたぜ?
お前のこと。
大分やらかしたみてぇじゃねぇか。」
「………」
「アタシが言うのもなんだけどなぁ。
それじゃあアルバートと変わらねぇぜ?
状況が悪くなって逃げ出すのなんざ、
…まだ戦場で最善を尽くしたアルバートの方がマシだがな。」
「けど俺はおじいちゃんとは違うんですよ。
俺は皆が知ってるおじいちゃんを知らない…。
おじいちゃんと同じことをしてるつもりは…。」
「まぁそうだよな。
お前は別に貴族の家系に生まれたただの平民だ。
なんの使命もないただの平民。
…けどな、お前はあの猿女を騎士達から救ったんだろう?
お前がなりたかった騎士をぶったおしてまで。
一度剣を握ったんならもう離れちゃくれねぇぞ?
お前が手放そうが剣がお前を離しちゃくれない。
この先何度でもその剣はお前を戦いに巻き込む。」
「………」
「…だったらどうせなら掴む剣は強い方がいいだろ?
強ければお前が守りたい人達も一緒に守ってくれる。
坊やも自分の好きな人達が傷つくのは嫌だろ?
そうならないためにも剣ぐらいは選んどきな。
手配書がある限りお前はいつだって戦う運命にあるんだから。」
「………分かりました。
今日にでも新しいのに取り替えます。」
「それでいいさ。
自分が災いの元なのなら自分でそれを祓えるくらい身なりは整えときなよ。」
「…アンタ普通に言えないわけ?」
「普通に言っても聞かねぇ奴がいるだろうが。
こんくらい教えてやらなけりゃ坊やは置かれている状況に気付かないだろう。」
「そうみたいですね…。」
「そういやあの猿とチビガキはどこにいんだ?
あんまり焦ってないとこみるとその教会にでもいんのか?」
「俺が捕まってるってまだ連絡はしてないんですけど一応教会で留守番はしてる筈ですよ。」
「さっきからどうでもいい話ばっかしてるが坊やはどういう流れであそこにいたんだ?」
「そうだよ!
王都に行ったって聞いてたけど何で捕まってるの!?」
「それは………」
「ウインドラ!?
ウインドラがこの街にいたの!?」
「ミシガンには昔一度だけ言ったことあったけど俺と同じでウインドラも騎士を目指してたんだ。」
「それでいなくなったの…?」
「そうらしいけど…。」
「ウインドラが………。」
「なんか知り合いがいる見てぇだがそろそろ政が始まるようだぞ。
見てみろ。」
王都レサリナス 北部 城前広場
「これより!
マテオ国家によるダレイオスへの再戦の儀を行う!!」