テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 騎士を目指す少年カオスは自宅の地下倉庫で騎士クレベストンがな亡くなっていることに気付く。

 そして祖父アルバを問い詰めるがクレベストンが動きだして2人を襲う。

 アルバからクレベストンがヴェノムというモンスターにやられていたことを知る。

 未知のモンスターに驚愕していると地上で轟音が聞こえ駆けつけてみると……。


勇気

「遅すぎたのか…!」

 

 

 

 

 

 

「キャァァァ!!」

 

「ウアァァァァ!!」

 

「来るなぁぁ!!」

 

「ふぁ、ファイヤーボール!!」

 

「痛い!痛いィィィィ!!やめろぉぉ!!」

 

「アアア」

 

 

 

ガブッ、シャムシャム、トガンッ!!

 

 

 

 

 

 辺りから悲鳴と怒号、そして魔術の爆音。

 

 逃げ惑う村人たち。

 

 それを焼かれながらも追いかける同じく村人。

 

 捕まったものは貪られやがて息絶える。

 

 

 

 

 いつからだろう。

 

 いつから僕はこんな地獄にいたんだろう。

 

 僕の村はいつからこんな地獄のようなところに変わってしまっていたのだろう。

 

 

 

 

 

「カオス!しっかりしろ!」

 

 おじいちゃんが僕に呼び掛ける。

 

「…おじいちゃん?」

 

 隣にはおじいちゃんがいた。

 

 僕はこの光景に思考を止めていた。

 

「俺は無事な奴等かき集めてくるからお前は何処か安全な場所に隠れてろ!」

 

 安全な場所?

 

 何を言ってるんだ?

 

 この村が安全な場所じゃないか。

 

 ここ以外に何処に安全な場所があるというんだ。

 

「奴等は動きがのろい!奴等を避けながら安全な場所を探せ!絶対に奴等や怪我してる奴に触るんじゃねぇぞ!いいな!」

 

 そういっておじいちゃんは僕を置いて走り出す。

 

 

 

 待ってよ。

 

 

 

 どうして僕を置いていくのさ。

 

 

 

 僕は1人じゃ何も分からないのに。

 

 

 

 おじいちゃんがいないと1人じゃ何も出来ないのに。

 

 

 

 

 

ザッ、ザッ

 

 

 

 

 背後で足音がする。

 

 そこには

 

 

 

「アァァ」

 

 

 

 身体中血を吹き出しながら呻き声をあげて近づいてくる

 

 

 

 

 いつも畑でお世話になっている人

 

 

 

「ァァッ!」

 

 

 

 知り合いのヒュースさんがいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「どうしたの……ヒュースさん?」

 

「アア、ウ?」

 

 僕の問い掛けに反応するヒュースさん。

 

 

 

「…いっぱい怪我してるよ?」

 

「…」

 

「早く手当てしに」

 

「…」

 

「…」

 

 

 

 

 

 

 

 

「ヒュース」

 

「ガァァァッ!!!」

 

 

 

 ヒュースさんが飛びかかってくる。

 

「何するの!?ヒュースさん!!やめてよ!!」

 

「バァァァッ!!」

 

 僕はとっさにヒュースさんから離れようとし

 

 

 

 足をすくませ転ぶ。

 

 

 

カチャン

 

 

 

「!」

 

 転んだ拍子に僕は今までずっとクレベストンさんの剣を握りしめていたことに気付いた。

 

 急いで剣を鞘から抜きヒュースさんに向ける。

 

「こっ、来ないで…!……けっ、剣だよ!?」

 

「カァァァッ!!」

 

 駄目だ!?止まらない!!

 

 

 

「やめて……やめてよ!………来るなって言ってるだろぉぉぉ!!!?」

 

 もうヒュースさんの耳には何も届かないのに叫ばずにはいられない。

 

「アァァァッ!!!」

 

 僕はクレベストンさんの剣を握って

 

 

 

 

 

 

 

 

 その場から逃げ出した。

 

 

 

 

 

 

 「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ……!」

 

 

 

 

 

 

 

ウァァァ

 

キャァァァ

 

オァァァ

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ガブッ

 

ブチッ

 

ジュゥゥゥ

 

 

 

 

 

 

 

 通り過ぎるみんなが次々に襲われている。

 

 囲まれて押し倒されて後は……。

 

 そしてやられた人も立ち上がって生きている人を襲い始める。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ごめんなさい。

 

 魔術も使えない僕にはどうすることも出来ない。

 

 僕はまだ子供だから…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 何でこうなるんだ。

 

 昨日までは何も変わらなかったんだ。

 

 どうして村がこんなふうになるんだ。

 

 殺生石があるのにモンスターが現れるなんて!

 

 

 

 

 

 

 …殺生石?

 

 そうだ殺生石だ!

 

 あそこが一番安全な筈!

 

 僕は殺生石のある村長の家に向けて駆け出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

「カオス!」

 

 村長の家につくとそこには先に避難してきた人達がいた。

 

 その中からウインドラが僕を見つけて声をかけてくる。

 

 後ろにはミシガンもいる。

 

 よかった。

 

「ウインドラ、ミシガン今どうなってるの!」

 

「分からない。俺も父さんと家に帰ったら辺りから叫び声が聞こえて外に出たらこうなってたんだ。」

 

 状況はみんな同じか。

 

 みんな殺生石の近くが安全だと思ってここに集まってる。

 

 今まで村の中までモンスターが入ってくることはなかった。

 

 この先どうなるのだろう。

 

 嫌な想像が膨らむばかりでなにも考えたくない。

 

「カオス?…それって?」

 

 ウインドラが疑問を口にする。

 

「これはクレベストンさんの」

 

 

 

 

 

「みんな聞いてくれ!!」

 

 

 

 

 

 

 奥の方から村長の声がする。 

 

 隣にはラコースさんとおじいちゃんもいる。

 

「これからみんなに大事な話がある!」

 

 すると村長が下がっておじいちゃんが前に出る。

 

 

 

 

「今、村はヴェノムというモンスターに襲われている!このモンスターは生物を操って他の生物を襲わせるモンスターだ!操られている奴等には絶対に触られるな!すぐに奴等と同じになるぞ!」

 

 おじいちゃんが先程説明したことをみんなに伝える。

 

「今のとこ村にはこのモンスターに友好打はない!

 

 そこで

 

 

 

 

 今ここに集まってるものたちで村を脱出する!村を出たらまっさきに森を抜けて昔の村に集まってくれ!」

 

 村を脱出?この村はどうなるんだ?

 

 他の人達もざわめき出す。

 

「このヴェノムは繁殖力が凄まじい!それも動物だけじゃなく植物にも感染する!この村の食物はもう全滅したものと思ってくれ!!」

 

 

 

 

 

「そんなこと急に言われても無理だろ!!」

 

「あっちの村についても食糧が持たないぞ!!」

 

 村人達が騒ぐ。

 

 自分達の村を棄てて出ていくなんて言い出すから当然の心境だろう。

 

 そして

 

 

 

「殺生石は!?モンスターなら殺生石でなんとかならないのか!?」

 

「殺生石ならどうにかしておびきだして魔術を使って押し込めば!」

 

「流石にモンスターなら殺生石には敵わないだろ!」

 

 ガヤガヤと村人達が案を出していく。

 

 ここに集まったのはみんな殺生石をあてにしてきたんだろう。

 

 これならなにもしなくても大人たちが解決して…

 

 

 

 

 

 

 

「殺生石は死んだ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 突如誰かが叫ぶ。

 

 

 

 ラコースさんだ。

 

「殺生石は死んだ!」

 

 先程と同じセリフを繰り返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 殺生石が死んだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「いつからか分からないが殺生石の効力が最近なくなっていることに気付いた。明日の集会ではそのことを伝えるつもりだった。」

 

 ラコースさんが淡々と述べる。

 

「恐らくこの騒動は殺生石の効能が失われたことによって外にいたモンスターがここを攻めてきたのだろう。もうこの村に安全な場所などない!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんだよそれ…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「何でそんな大事なことに気付かなかったんだよ!!」

 

「…。」

 

「それが分かってたらもっと早くにいろいろと対策立てられてただろうが!何で今なんだよ!!」

 

「そうよ!手遅れになってから教えられても何も出来ないじゃない!」

 

「警備隊はなにやってたんだ!!職務怠慢じゃないか!!」

 

 みんなが好き勝手なことをいい始める。

 

「殺生石はこの百年機能し続けてた。ここ数年で力がなくな」

 

「それがなんだってんだ!!今動かねぇと意味ねえだろ!」

 

「…。」

 

「殺生石の管理は村長と警備隊の仕事だろうが!何してたんだお前ら!!」

 

 責任の擦り付けあいがヒートアップしていく。

 

 このままだと正常な人どうしでも暴動が

 

 

 

 

 

 

 

 

ドンッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 おじいちゃんが魔術で地面に穴を開けた。

 

 

 

「……今さら手遅れになったならなかった言ってもどうしようもねぇ。こうして時間を無駄にしている間にも奴等がここを嗅ぎ付けてくる。それでもいいやつはここで好きなだけ無駄口叩いとけばいいさ。」

 

「……」

 

「話を戻すが今村で暴れてるヴェノムは非常に危険だ。間違っても応戦するなよ。粘膜感染だから返り血浴びるとヤバイ。なんなら奴等の手汗ですら感染する恐れがある。」

 

「あのアルバ…さん」

 

「なんだまだ文句あるなら話を聞くやつだけ連れていくが?」

 

「その……感染する可能性はどのくらい…高いんですか?」

 

「…」

 

 おじいちゃんが少し考え込むそぶりをしてから

 

「襲ってくるやつの症状にもよるが意識がねぇ時点で身体中がヴェノムに侵されている。ソイツに掠り傷でもつけられたら100%感染する。」

 

「そんな…」

 

「なんて危険なんだ」

 

 

 

 

 

 

 

 

「お、おいこのガキ!怪我してるぞ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 僕達から少し離れたところで声が上がる。

 

 そこにいたのは

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え…!?………ち、ちげぇよ!!これはさっき転んだだけで…!」

 

 ザックの取り巻きの一人だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「アルバさん!ここに!ここに怪我してるガキがいます!」

 

「だから俺はちげぇって!!関係ないんだこれは!」

 

 

 

 

 おじいちゃんが取り巻きに詰め寄る。

 

「ボウズ、傷を見せてみろ。」

 

「これは、やられたとかじゃ…」

 

「見せてみろ。」

 

「……。」

 

「……。」

 

「ボウズ…。」

 

「な、なに…。」

 

 

 

 

 

 

 

 

「よかったな、本当に掠り傷みてぇだ。」

 

「……ハ、ハハハ…。ほ、ほら見ろだからあれほど俺がいっ」

 

 

ザシュッ、ゴッ、ココッ

 

 

 

 

 え?

 

 一瞬取り巻きが消える。

 

 何が起こったのか思考が停止するがよく見たら取り巻きはその場から動いていなかった。

 

 首だけがない状態だが。

 

 

 

 

 

「へ?う、うぉぉぉぉぉ!!」

 

「アルバさん!?アンタ何やって…!?」

 

「こんな子供を何も斬りつけなくても!」

 

 突然子供を斬り殺したおじいちゃんにみんな動揺を隠せない。

 

 僕ですら怖い。

 

 こんな、

 

 こんなことするおじいちゃんははじめてだ。

 

 

 

「いいか!お前らぁ、これから先、脱出して無事を確認するまで何があっても走れ!途中転んだり怪我したりしたやつは放っておくんだ!そうでないとこのボウズみたいになるぞ!」

 

 おじいちゃんがみんなに呼び掛けるが反応に困っているようだ。

 

 目の前で子供を斬り殺すような人にはついていきたくない。

 

 口にしたわけではないが僕にはみんながそう言ってるように見える。

 

 本当に取り巻きは感染していたのだろうか。

 

 本当に取り巻きをやる必要があったのか。

 

 もっと調べてからでもよかったのではないか。

 

 そんな考えでみんなはいっぱいのようだ。

 

 取り巻きの体は頭が取れても立ったままだった。

 

 おじいちゃんの剣撃が綺麗に切断したからだろう。

 

 体はまだ頭がなくなったことに気付いてない。

 

 そんな印象のする光景だ。

 

 だから

 

 

 

 

 取り巻きの体が動き出したことを視界に捉えながらも反応が遅れてしまった。

 

 

 

ガシッ

 

 

 

「え?」

 

 取り巻きの怪我を告知した男が首のない体に捕まる。

 

 回りもその光景に目を奪われる。

 

 ほんの一瞬だけおじいちゃんが本当は殺さずにいてくれたのかと甘い思考に囚われる。

 

 が、見返してみてもやはり首が地面に転がっている。

 

 取り巻きは死んだんだ。

 

 その筈なのにあそこで体だけが動き始めた。

 

 そして

 

 

 

ジュゥゥゥゥゥ!!!

 

「うぁぁぁぁぁ!!!熱い熱い痛い!!なんだこれはぁぁぁぁ!!」

 

 取り巻きの体が切断面を男にくっつけた途端蒸気が沸き上がる。

 

 男は悲鳴をあげるが振りほどけずそのまま小さな子供の体に飲み込まれていった。

 

 男を飲み込んだ取り巻きの体は切断面から蒸気の上がる液体を溢れさせ徐々に融解していく。

 

 やがて全身が溶けきり、後には昔モンスター図鑑で見たスライムの姿が現れる。

 

「…………!!?」

 

 誰もがその光景に目を奪われる。

 

 

 

 

 

「ボサッとするな!村の入り口まで走れ!!」

 

 おじいちゃんがみんなに指示を出す。

 

 それを聞いて村の人達は我先にと駆け出す。

 

「「「「うぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」」」」

 

 僕もウインドラも吊られて走り出す。

 

 

 

 あれがヴェノム。

 

 

 

 あんな化物が世界にいたなんて。

 

 

 

 

 

 恐怖で体が竦み上がりそうなのを必死にこらえる。

 

 大丈夫だ。

 

 大人たちはまだこんなにたくさんいる。

 

 この人達に着いていけばなんとか村の外まで辿り着ける。

 

 

 

 

 

 

 

 

バヒュッッ!!ビシャシャシャシャッ!!

 

 

 

 走っていると前の方から魔術の破砕音が聞こえる。

 

 

ジュゥゥゥゥゥ!!!

 

ウァァァッ!!

 

 そのすぐ後に悲鳴があがる。

 

 誰かが襲われたのだろうか。 

 

 直後、前方を走っていた大人たちが突然引き返してくる。

 

「どけぇ!邪魔だぁッ!!」

 

「早くいけよぉ!!」

 

 僕はそのうちの誰かに突き飛ばされた。

 

「イタッ!」

 

トスッ

 

 いったい何があったんだ。

 

 村の入り口はそのまま向こうの方なのに大人たちは何故逆走しだしたのだ。

 

 起き上がって前を見ると先頭を走っていたと思われる人達が苦しそうに転げ回っている。

 

 体からは蒸気が吹き上がっていた。

 

 その様子から先程の魔術でヴェノムを攻撃した際にヴェノムが飛び散って被ったようだ。

 

 悶え苦しむ大人達。

 

 このままじゃいづれこの人達も…。

 

 

 

 予測通り苦しんでいた大人達は立ち上がってこちらに向かってくる。

 

 逃げなきゃ!

 

 そう思い立ち上がろうとするも足に激痛が走りかが見込んでしまう。

 

 痛い…!さっきの大人達に突き飛ばされたから…!

 

 足を抑えるがそれで痛みは治まらない。

 

 こんなときに治療魔術が使えたら…。

 

 眼前にはもうヴェノムに侵されたゾンビが迫る。

 

 もうおしまいだ…!

 

 

 

 

 

「「アクアエッジ!!」」

 

 後1歩までゾンビが差し掛かろうとしたとき背後からアクアエッジが飛んできてゾンビを押し飛ばす。

 

「大丈夫か!カオス!」

 

「足を挫いてるみたいだねファーストエイド!」

 

 そう話し掛けてきたのはラコースさんとウインドラだった。

 

 

 

 

 

 

「ありがとう…」

 

「気にするな。お前達を安全なとこまで逃がすのも私の仕事だ。」

 

「カオス、村の人達はパニックを起こして散り散りに逃げたり感染を恐れて同士打ちしたりしてる。僕達は一緒になってここを出よう。」

 

「奴等の動きをよくみれば魔術などなくとも逃げ切れる。安全なとこまで出たらお前達が他に逃げてきた人達を誘導してくれ。私は逃げ遅れてる人を救助しにいく。」

 

 こんな状況なのに慌てずに辺りを見回し冷静に各々がやれることを語っていく2人。

 

 凄いなこの2人は…。

 

 僕なんかと違って怖くなんかないんだな。

 

 2人とも魔術を使えるから。

 

 この2人と一緒なら無事に村を抜けられる。

 

 その後は……今はよそう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんとか出られたね。」

 

「よし、このまま廃村まで走れ!私は他に無事な人を探す。

 

「父さん!無茶はしないでね!父さんがいないと俺は。」

 

「分かっている。私の腕前は知ってるだろ?」

 

「そうだけど!今回のモンスターは!!」

 

「お前が素直に継いでくれるって言うなら私も無茶をしないで済むんだがな。騎士になりたいというのは驚いたぞ。」

 

「どうして!?」

 

「お前の父親は私だぞ?お前が警備隊に乗り気でないことぐらい分かってたさ。」

 

「父さん…。」

 

「その話はまた後でゆっくり話してやる。ではな。」

 

 そういってまた村の中へと入っていくラコースさん。

 

 

 

「……カオス。」

 

「ウインドラ?いかないの?」

 

 早く森を抜けないとここもいつゾンビやヴェノムが来るかわからない。

 

 いない今が抜けるチャンスなのだが。

 

「先にカオスは森を抜けてて僕もすぐいくから。」

 

「抜けててって、ウインドラはどうするんだよ?」

 

「……俺は父さんを置いていけないよ。」

 

 急にどうしたんだ。

 

「何いってるんだよ!ラコースさんに言われたろ!?先に抜けろって!」

 

「そんなことわかってるよ。でもダメなんだ。」

 

「ダメってなんだよ!ウインドラは怖くないのか!?」

 

 子供の僕達に出来ることなんてたかが知れてるじゃないか。

 

 ワザワザ危険に足を突っ込んだところで他の人の邪魔にしか…。

 

 それに魔術を使えるのはウインドラしか…。

 

「怖いに決まってるじゃないか。

 

 けど

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は騎士になりたいから。子供の俺でもみんなの盾になって守ってあげたいんだ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 …………キシ?………………騎士……………。

 

 そう騎士!!

 

 

 何故今まで忘れていたんだ。

 

 

 

 自分は人を守る騎士になりたかったのだ。

 

 

 

 祖父に憧れて自分も騎士にと。

 

 

 

 それがどうしたことか。

 

 

 

 子供だから魔術を使えないからと理由をつけて逃げてばかりで人任せ!

 

 

 

 何のために日頃バカにされながらも剣術や戦闘訓練を積んできたのだ。

 

 

 

 今日このときのためじゃないのか?

 

 

 

 自分がやらなくてもやってくれる人はいる。

 

 

 

 だからなんだ!

 

 

 

 それが僕がやらなくていい理由になるか!

 

 

 

 僕と同じ筈のウインドラさえ他の人を気にかけてるのに僕はどれだけ自己保身に走っていたんだ!

 

 

 

 

「カオス、また後」

 

「ウインドラ!……僕も行くよ。村の人をほうっておけない。」

 

「!!でも君は魔術を…」

 

「魔術なんかなくても僕にはこの騎士様の剣があるから平気さ!」

 

「……」

 

「ゴメン、ウインドラ、さっきまで本当に足引っ張ってた。けど次はもう大丈夫!早く村の人達を助けよう!!」

 

「…」

 

「…」

 

「どうやら普段の君に戻ってるようだね。俺も1人じゃ本当は怖かったんだ。ありがとう。」

 

「礼はみんなを助けてからだよ!」

 

「うん!行こう!」

 

 

 

 

 

 僕とウインドラはもう一度村の中へと入っていった。

 

 

 




主人公の心情風景難しいですね。屍鬼の作家先生の気持ちが分かる気がします。
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