テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 騎士を目指す少年カオスは自宅の地下倉庫で変わり果てたクレベストンを見つけるが彼はヴェノムというモンスターに既にやられていたことを知る。

 その後地上に出てみるとクレベストンをころしたモンスターヴェノムが村を襲っているようでカオスは恐怖で竦み上がる。

 だがこんな状況でも冷静に皆を助けようとするウインドラにカオスは自分の本文を思いだし、村へと駆け出す。


助けたい人

「カオス、上だ!」

 

「…!」

 

 それを聞きとっさに前の方へ飛ぶ。

 

 

 

ジュゥゥゥゥゥ

 

 

 

 今まで僕がいたところにヴェノムが降ってくる。

 

 

 

 近くの建物から落ちてきたのだろう。

 

 周辺にはゾンビもいる。

 

 左右前後だけじゃなく上にも気を配らねばならないか…。

 

「ウインドラサンキュー!」

 

「どうってことないよ!アクアエッジ!」

 

 ウインドラが進行を遮るヴェノムを押し飛ばす。

 

 どうやら火や地の魔術で攻撃すると破裂して飛散るので危険らしい。

 

 相手はこちらを攻撃する以外にもこちらが攻撃するというアクションで追い詰めてくる。

 

 だったら

 

「ウインドラ!そのまま走って!」

 

「!」

 

 ウインドラが走る。

 

 そこを

 

「ガアアッ!!」

 

 村人の成れの果て、ゾンビが掴みかかろうとして空を空振る。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉ!!」

 

 そのゾンビを鞘に差したままの剣で峰打ちを決める。

 

「ボアッ…」

 

 そのままゾンビが転ぶ。

 

 剣は………無事のようだ。

 

「カオスありがとう!」

 

「お互い様だよ。」

 

 なんだ、こうして対処できれば案外このヴェノムも大したことないな。

 

 水や風の魔術で相手の進行を遅らせれば捕まることはない。

 

 ウインドラが後衛を張ってくれるのも視界が利いて助かる。

 

 ゾンビに関しては剣で斬ると体液で溶かされて使い物にならなくなり武器を失う。

 

 だったら斬撃ではなく打撃で体液に触れることなく押し飛ばせばいい。

 

 よく見ると動きも遅いしこちらが焦って対処を間違えなければ十分子供でも対応できるようだ。

 

 

 

「この調子で残りの村の人達を外に逃がすんだ!」

 

 僕達がこうして救助に駆け付けてから30人程は脱出に成功したようだ。

 

 僕達の連携を見てそれを真似してくれる人達もいた。

 

「カオス!あっちに人がいるよ!」

 

「分かった!」

 

 僕達で村の人達を全員助けるんだ!

 

 

 

 

 

 

 

 

「そろそろ僕たちも危なくなってきたな。」

 

「……そう…だね。ハァッ、ハァッ」

 

 あれからまた10人ばっかし助けたがそろそろ潮時のようだ。

 

 僕は剣で村の人達を押し飛ばしてるだけだがウインドラはここに来て魔術を連発している。

 

 消耗は僕よりも激しいんだろう。

 

 辺りはヴェノムやゾンビ、そして混乱した村人が放った火で覆われている。

 

 水の魔術が使えるとしても危険に変わりはない。

 

 脱出のことを考えるとここは引くべきか。

 

「ハァッ、ハァッ!…よし、…俺は大丈夫…だよ。」

 

「……。」

 

「カオス…行こう。」

 

「ウインドラ、もうこのくらいにしよう!」

 

「!!何いって…」

 

「このまま村の外に向かおう。後はラコースさんとおじいちゃん達に任せて出よう。」

 

「……」

 

「それに僕もそろそろ体力の限界みたいなんだ。このままだとキツイよ。」

 

「…ゴメン。」

 

「……行こう。」

 

 

 僕達は村の入り口を目指して走った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 村の入り口について

 

 

「思ってたよりも無事な人が多いようだね。これなら村から出てもなんとかなるかな。」

 

「そうだな、それにしても皆何で止まってるんだ?」

 

 せっかく逃げきれたのにこのままだとヴェノムに追い付かれてしまう。

 

「みんなどうしたの?」

 

 進まない村人に声をかける。

 

「おぉ、アルバさんとこの!さっきは助かったよありがとう!」

 

「どういたしまして。」

 

先程助けたうちの1人だったらしい。

 

「みんな何してるの?」

 

 ウインドラが問いかける。

 

「まだラコースさんと村長が出てきてないようなんだ。それからアルバさんも」

 

「それならまだ他の人を助けに出てるんだよ!」

 

 3人とも強い。万が一も考えられないくらいに。

 

 仮にこの3人がピンチに陥るなんてこともないだろう。

 

 もし陥るんだとしたら、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……そういえばミシガンはどこだ。

 

「ウインドラ……ミシガン見てない……?」

 

「………そういえば村長の家を出てから見てないな。村長の横にいたから村長とは一緒だとは思うけど。」

 

「………」

 

 嫌な想像がまた膨らんでいく。

 

 もし3人の誰かが感染していたら……。

 

 ラコースさんと村長が感染していたらおじいちゃんは迷いなく斬るかもしれない。

 

 さっき見ていたから。

 

 でももしおじいちゃんか感染なんてしていたら……他の2人は攻撃出来るのか?

 

 僕もさっきまで剣で突き回っていたが僕の心の中では斬ると武器が溶かされる以上に見知った顔を斬りつけないですんでよかったというのが殆どだ。

 

 あの3人はよく一緒にいるのを見かけていた。

 

 もしかしたらもう3人とも………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウインドラ、みんなを連れて先に行って!僕はおじいちゃん達を捜すよ!」

 

 そういってまた村の中へと駆けていった。

 

「え!?ちょっ、カオス!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 村に入るともう辺りはゾンビとヴェノムだらけで人の悲鳴も聞こえなくなっていた。

 

 通りすぎる僕を見てヴェノム達が僕に向かってくる。

 

 動きは遅いが後ろからはどんどんヴェノムが集まってくる。

 

 

 

 

 

 こんなにヴェノムになった村人がいたのか。

 

 うようよと動いては向かってくるそれらにはもう村人だった頃の面影も消え悪食のスライムの習性通り生物を捕らえて食べて増える。

 

 もうそれしかないように思えた。

 

 目からは少し雫が流れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ハァ、ハァ、ハァ、ハァ!!」

 

 ヴェノムに追われながらも走り続けるがいっこうにおじいちゃん達が見つからない。

 

 入れ違いになったか、あるいはもう既に……。

 

 

 

 

 

 

 

 

 また負の思考にとらわれようとしたとき、前方遠くに見えるヴェノムが村の奥へと向かってるのが見えた。

 

 こちらには気付いてないようでヴェノムはまっすぐ目的あって進んでるように見える。

 

 あの方角は…………1奥のの村長の家だ。

 

 あの家にまだ人がいるのか?

 

 

 

 

 

 

 考えられる可能性で1番高いのは村長かミシガンだ。

 

 なんせその家の主である。

 

 いてもおかしくない。

 

 まだ誰がいるのか分からないが。

 

 

 

 

 

 

 

 こうしているうちにもあのヴェノムは村長の家に着きそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 行くっきゃない!

 

 

 

 もとよりおじいちゃんや逃げ遅れている人を助けに来たんだ。

 

 どうせ後ろはヴェノムだらけで逃げられないんだ。

 

 ならすぐにあよ家いる人と合流してこの状況を突発するしかない!

 

 僕はそのまま駆け出し村長の家の方へと向かう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「油断したか……ぐぅぅッ…!!」

 

「ラコース…。」

 

「さぁ、さっさとしてくれよアルバ…、意識があるうちに逝っときたいんだ。」

 

「スマン!ラコース!私を庇ってこんなことに……!」

 

「村長、アンタは村の連中を引っ張ってかなきゃならん。アンタを守るのは当然だ。私がドジをしただけ

……ぶほぁっ!!」

 

「おじ様……。」

 

「待てミシガン。私に触ってはダメだ…。」

 

「……。」

 

「君にはウインドラとこの村を託したかったんだがな。ハァ…!あの馬鹿息子めが、そこの不良に唆されやがって…。」

 

「……誰が不良だ。」

 

「まさか、殺生石が死んでいつかお前が言ってたモンスターがいきなり来るとはな……ハァッハァッ!!なるほど確かに恐ろしい化け物だ!今にも私の体を乗っ取ろうとしてくる!体の中が燃えるように熱い!!……ブフッ!!」

 

「ラコース……!!なんとかならんのかアルバ!!」

 

「…俺にはコイツの意識を今すぐ楽にしてやるくらいしか出来ん。」

 

「そんな……。」

 

「アルバ、……やってくれ。」

 

「…他に言っておくことはないな?」

 

「言っておくことかぁ…。お前がいるなら何も心配はいらないだろう。」

 

「そうか

 

 

 

   

 

 

 

 ではまた逢おうラコース=ケンドリュー!」

 

 

 

 

 

 

 

ザシュッ

 

 

 

 

 

 

 

 

「…!!」

 

「片付いたぞ、村長。ここも直に奴らが来る。そろそろ出るぞ。」

 

「分かった…。」

 

「……。」

 

 

 

ジュゥゥゥ

 

 

 

 

 

 

「ハッ…、剣が持たねぇなこりゃぁ…。」

 

 

 

 

 

ガラッ!!

 

 

「村長!ミシガン!!」

 

 

 

 

ブンッ!!!

 

 

 

 

 村長の家に来て玄関の扉を開けたらいきなり剣が迫ってきた。

 

「ウォワァァァ!?」

 

 

 

ピタッ!

 

 

 

 

「…!?」

 

「…なんだ、カオスか驚かせんなよ…。」

 

 大して驚いてもいない様子でそんなことを言ってくるおじいちゃん。

 

「ごめんなさい…?」

 

 驚いたのはこっちの方だと思うんだが。

 

 

 

 おじいちゃんの後ろから村長と村長におんぶされたミシガンが出てくる。

 

 心配していた3人は無事のようだ。

 

 これで後は…

 

「おじいちゃん!ラコースさん知らない!?」

 

「……。」

 

「さっきまで村の入り口にいたんだけど帰ってこないんだ!」

 

「……アイツなら今は安全なところ見つけてそこで他の奴等と隠れてる。」

 

「え!?そうなの?じゃぁ早くその人達も連れてここから出よう!」

 

「待て待て!そいつらんとこに今向かったらゾンビどもにバレちまうだろ?今は俺たちだけでここから脱出するぞ。」

 

「その人達はどうするの!?」

 

「おめぇの後ろにたくさんヴェノムがいるじゃねぇか。アイツらを撒いてからまた戻ってきて回収する。いいな?」

 

「分かった!」

 

「……。」

 

 僕達はそのまま4人でヴェノムから逃げることにする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 村の入り口付近にきてゾンビが減ってヴェノムが増えてきた。

 

 ゾンビだったら剣で突き飛ばせるのだが時間が経ってヴェノム化したか、ヴェノム自体に食べられたか。

 

 体が強酸性のスライムに変化したら後は触ることは出来ない。  

 

 ここは引き返して別の道から外に出ようか…。

 

 

 

 だが

 

「後ろから来たぞ!」

 

 村長が叫ぶ。

 

「どうやら囲まれたようだな。」

 

 いつの間にか大分近くまでヴェノムが接近していた。

 

「「アクアエッジ!!」」

 

 おじいちゃんと村長が同時に魔術で前方側のヴェノムを押し退ける。

 

 イケる!

 

 このまま押し退けて入り口まで行けそうだ!

 

「アクアエッジ!」

 

「アクアエッジ!」

 

「アクアエッジ!」

 

 

 

 

 いいぞ!もう少しだ!

 

 もう少しで村の外に……!!

 

 

 

 

「アクアッ……カハァッ!!」

 

「!!」

 

 突然村長が咳き込み出す。これはっ

 

「チィッ!魔力欠乏症だな!平和ボケしてっからぁ…。ゴホッ」

 

 どうやら村長のマナが突きかけているようだ。

 

 おじいちゃんも悪口を叩いているがキツそうな顔だ。

 

 限界が近いのだろう。

 

 外までは後1歩だというのに。

 

 ミシガンは……恐らく攻撃魔術を使えない。

 

 村長は次撃ったら動けなくなりそうだ。

 

 おじいちゃんも動くのが精一杯に見える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 じゃぁ後は僕が……撃つしかない。

 

 

 

 

 

 僕が撃てば他の3人は逃げられる。

 

 

 

 

 

 僕が撃てば3人は助かる。

 

 

 

 

 

 どうせ皆死ぬんなら

 

 

 

 

 

 僕1人だけでいい。

 

 

 

 

 

 ウインドラに言われるまで忘れていたけど

 

 

 

 

 

 僕も誰かを守れる騎士になってみんなの盾になってあげたいから。

 

 

 

 

 皆より少ない命を使えるのはもうこの瞬間だけだから。

 

 

 

 

 最期は大切な人の盾になって死にたい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……流水よ」

 

 

 

 

「「!?」」

 

 

 

「我が手となりて敵を押し流せ…。」

 

 呪文の詠唱が完了する。

 

 

 

「待て!カオス何をするつもりだ!」

 

「そんなことしたらお前はっ!!」

 

 おじいちゃんと村長が止めに入ろうとする。

 

 だがもう遅い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「アクアエッジ!!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

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