テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 青年カオスはアローネ、タレスと共に旅をしていた。

 レサリナスから脱出したカオス達と謀反を企てた騎士団の生き残り達だったがウインドラとミシガンが再開し話をしている最中ウインドラがミシガンとの中に嫌気がさしていたと言いミシガンがショックでその場から逃げ出してしまう。

 ウインドラは…。


ウインドラの想い

グラース国道 北西部 カオスサイド

 

 

 

「ウインドラは………、

 ミシガンが嫌いだからあんなふうに言ったんじゃないんだな?」

 

「俺は………俺があの村に縛り付けられていたようにあいつも俺が縛るようなことはしたくはなかった………。

 あいつも俺と同じで親同士に決められた将来に憂いていたと思っていたんだ…。」

 

「ミシガンはそんなこと一言も言ってなかったけど…。」

 

「ミシガンと婚約者になったときあいつはまだ物心がつく前だった………。

 そんな幼いときに当たり前のように俺のような男がいた。

 ミシガンには選ぶ権利すら与えられなかった…。

 それも当然だな。

 ミシガンは村長の娘だ。

 大人になったらミシガンともう一人の結婚相手で村を纏めて行くんだ。

 ミシガンには生まれた時から自由はなかった。

 あいつ自身もそのことに疑問も持たず村で過ごしていたんだ。

 

 あいつは俺を選んだんじゃない。

 俺を選ばされていた。

 そういう人生の設計を組まれていた…。

 だから………俺がいなくなることで本の些細なことだが解放されたんだ。」

 

「………いろいろと考えていたようだけど最終的にウインドラの気持ちはどうだったんだよ。」

 

「俺の気持ち?」

 

「ウインドラはミシガンとウインドラがご両親に決められた未来を歩むことが嫌だったんだろ?」

 

「…あぁ、

 あのまま進んでいたら俺は今の俺まで強くなっていたとは思えない。

 そこは間違いではなかった。」

 

「…で、ミシガンとのことも自分の意思が関与してない婚姻は御免だー、ってことだったんだろ?」

 

「それはそうだ。

 そんな決め方で生涯の伴侶など決められるか。」

 

「………ウインドラ自身はミシガンのことを婚約者関係なく見てどう思ってたんだよ?」

 

「俺がミシガンのことを………?」

 

「さっきから何だか難しいこと言ってたけども家だなんだとか言って本人に対してどんな感情を持ってるのか伝わってこなかったぞ?」

 

「………ミシガンは………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 こんな俺には勿体無いとても綺麗でいい娘だとは思う………。」

 

「へぇ………、

 それは今のミシガン?

 それとも昔の?」

 

「両方だ。

 幼いときからミシガンは気が弱いながらも俺のあとをついてきて俺を支えてくれた良き家族だった………。

 大人になった彼女は幼いときとは………大分内面の面影は消え失せてしまったがそれはそれで昔の引っ張られるだけじゃない、自らの芯のある女性へと成長したようだな。

 ………俺がいなくなったからあぁいった成長の仕方をしたのかもな。

 俺と一緒だったらミシガンは誰かに流され続けるような女になっていただろう………。

 俺は彼女には相応しくない情けない家出男………村出男だ。

 彼女は………誰か他の男と添い遂げるのが幸せなんだろう………。」

 

「誰かって投げやりだな………。

 ミシガンはずっとウインドラを待ってたんだぞ?

 ミシガンは今でもお前のことを………。」

 

「俺にはミシガンの気持ちに応える資格はない。

 ミシガンに到底釣り合えるような男ではないんだ………。

 それだったらずっとミシガンを見てきたお前の方が相応しい………。」

 

「俺に振るなよ。

 何で俺なんだよ。」

 

「…お前は子供の頃からミシガンのことが好きだったんだろう?

 あの時のお前は分かりやすかったからな。」

 

「…そっ、そうだったかな。

 まぁミシガンのことは好きだったけどそれは家族や友達としてであって………。」

 

「お前にならミシガンは安心して任せられる…。

 カオスになら俺は心配せずに身を引くことができる………。」

 

「そんなこと言われても俺にはそんな気は………、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ってそうじゃないよ!?

 俺が聞きたいのはウインドラがミシガンのことを好きか嫌いかってことだよ。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「好きだ………。

 好きだった………。」

 

 

 

「おっ、おう。」

 

 

 

「好きだったからこそ俺は誰かに敷かれた不安定なレールで彼女を守るのではなく俺が敷いた俺のレールで彼女を守っていきたかった………。

 俺が………父さんが母さんを守れなかったようなことが起こらないように強くなってからミストに帰って彼女に自信を持って求婚したかった………。

 親達の意思じゃない、

 俺は俺の意思で全てを決め俺の意思でミシガンを選ぶ。

 それだけを考えて今日まで生きてきた。」

 

 

 

「………」

 

 

 

「…その成果が今日の有り様だ。

 どうやら俺には誰かを守れるような力は無かったようだ。

 こんな不様を晒すようでは俺はミシガンにあわせる顔がない………。

 十年間努力してきたつもりだったが俺がやって来たことはバルツィエの血を覚醒させたお前には足元に満たない体操みたいなものだったようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………結局俺には改革を起こすほどの力もない。

 あったのは田舎の村という狭い範囲で培われた無意味な思い上がりだけだ。」

 

 

 

「…!」

 

 

 

「こんな思い上がりの馬鹿には今更帰れる家なんてない………。

 もともと父さんが死んだときあの村からは俺の居場所は無くなってしまったんだがな。

 俺なんてあの時父さんと一緒に死んでしまった方がよかったんだろうな………。」

 

 

 

「…ウインドラ………、

 お前、俺と同じで………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そんなことない!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「「!!」」

 

 

 

 

 

「ウインドラは王都に来てからずっと頑張ってきたじゃないか!?

 そんなふうに自分を卑下しないでくれ!!」「そうだそうだ!」「お前はダリントン隊長と同じく俺達の希望だったんだ!」

 

 

 

「皆………。」

 

 

 

「貴方達は………。」

 

 

 

「初めましてカオス様!

 自分はダリントン隊副隊長のトラビスといいます!

 ウインドラとはウインドラが十年前に王都にやって来た頃からの仲です!」

 

 

 

「はっ、はぁ………。」

 

 

 

「ダリントン隊はバルツィエの騎士団掌握の為危険な任務につくことが多く入れ替わりが激しくなり自分のような半端者でも副隊長の任に就くことが出来ました!

 けれど実際のところはダリントン隊長を覗けば隊にいるまともな戦力はウインドラのみです!

 ウインドラはこの部隊ではエースだったんです!」

 

 

 

「ウインドラが………?」

 

 

 

「ウインドラは王都に来た当初こそ普通の子供と変わらない程度でしたが年を重ねて体格が大きくなっていくにつれ力をつけていきついにはダリントン隊長に次ぐ程になりました!

 その頃からもうウインドラは今回の作戦を実行に移すためバルツィエに目をつけられぬように力を隠してきました。

 ウインドラはそのことに文句の一つも言わず俺達と任務をこなしてきました!

 ウインドラは努力家で常に向上心があって誰よりも仲間思いの奴です!

 

 ウインドラからはずっとカオス様のことやミシガンさんのことを伺っておりました!

 カオス様のことは………!

 ………今回のことで初めて存在を知りましたがそれまではウインドラはお二人に会うために剣を振ってきたんです!

 お二人にお会いしたときお二人を守れるような騎士になりたいと!」

 

 

 

「!」

 

 

 

「………」

 

 

 

「ウインドラ!

 お前ずっと気にしてたじゃないか!?

 故郷にいるお二人のことを!

 例のヴェノム事件で王国に秘密にしていた村がバレてしまった故郷のことを!

 お前は騎士団で名を上げて隊長に就任したらミストへと駐留して俺が村を守るんだ、って!

 お前は故郷を守るために頑張ってきたんだろ!?

 そのことは俺達ダリントン隊がよく知ってるさ!」

 

 

 

「…そうだな………。

 今となっては不可能になってしまったが………。」

 

 

 

「本当ならお前だってバルツィエに行けばその願いも簡単に叶っていた筈だろ!?

 それを俺達の作戦に肩入れしてしまって駄目にしちまって………!」

 

 

 

「あんな奴等にくみすれば騎士団に入隊させてくれたダリントン隊長の恩を仇で返すことになる。

 そんな真似ができるか。」

 

 

 

「そのためにお前の夢が犠牲になっちまって俺達はどうお前に報いりゃいいんだよ…!?

 もう今更お前一人引き返させることなんてできねぇんだぞ!?」

 

 

 

「俺が選んだ選択だ。

 俺に後悔はない。

 後悔があるとしたら己の無力加減だ。」

 

 

 

「ウインドラ…!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「随分と仲がいいんだね………。」

 

 

 

「…皆とはもう長いからな。

 時間だけで言うとお前以上にもなる。」

 

 

 

「そうか………。

 なんか妬けてくるな。」

 

 

 

「…だが俺の中にあった思いはいつもお前たちのことだけだ。

 俺を支えてくれたのはいつだってお前との約束があったからだ。

 それがあったから俺はこいつらと共にやってこれた…。」

 

 

 

「俺?」

 

 

 

「小さいときに約束した………、

 

 

 

 

 共に騎士になろうと約束した思い出………。

 

 お前は騎士にはならなかったがそれなら俺がお前を守ってやろうと思ったんだ………。

 

 ミストから追い出されてしまったお前を俺がミストに帰ってきたときに守るために………。」

 

 

 

「そんなこと考えていたのか………。」

 

 

 

「俺の命は………、

 お前の中にある力に救われた………。

 そして今日までの日々もお前に救われていた………、

 だから俺はお前の居場所を作って恩返しがしたかった………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それだけが俺の心残りだったから………。」

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