テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~ 作:モニカルビリッジ
レサリナスで暴れたカオス一行を追撃する作戦でバルツィエから二人が追ってくるとのこと。
それを知らずにカオス達は…。
グラース国道 北西部 明朝 カオスサイド
「………全員起きてるか?
まだ寝ている奴は叩き起こせ。」
「バーナン隊問題ありません。」
「ダリントン隊も起床済みだ。」
「そうか。
坊や達の方でいないのは………いないみたいだな。
予定より早いが出発する。」
「レイディー、
これだけ離れているなら普通に向かってもいいんじゃないの?」
「そうはいかなくなった。
さっきガキがアタシらを観察する斥候を発見した。
位置確認されたってことは奴等の追っ手がすぐにでも追い付いてくるぞ。」
「複数斥候がいたみたいで何人かは倒したんですが一人逃してしまいました。」
「斥候を派遣してくる辺りバルツィエはアタシらを逃す気はない。
それと昨日の件で坊やを警戒している筈だ。
追っ手には大部隊を編成している頃だろう。
少人数部隊のこっちは身動きはあちらさんよりかはとりやすいとはいえ速度が落ちるのは変わりない。
予測しか立てられない今は迅速に行動をした方がいいだろう。」
「そうですね。
レイディーの言う通りです。
地図を確認すると私達の進路は相手にも伝わっていると思いますから。」
「というより徒歩じゃ手は一つしかねぇ。
ときたら敵さんは最短で追ってくる。
アタシ達は昨日から場所に向かっている得点をリードしたまま保つぞ。」
「「「「はい!」」」」「「「「「「「「「了解ッ!!」」」」」」」」」
中継地点 食料倉庫
「ここが昨日の夜お前らが言ってたポイントだな?」
「はい。
ここに多くの食料が保存されています。」
「…よしそうときたらさっさと補給して「待ってください。」…?」
「ふぁ~わぁ~………、
(暇だなぁ~、王都から式終了の連絡が来ねぇけどどうしたんだろう?)」ダラダラ
「あれは………、
グライド=アースト・バルツィエ!?」
「はぁ!?
そいつは確かこの先のシーモス砦の提督じゃねぇか!?
どうしてこんなとこにいやがる!?」
「…それは分かりませんが奴があそこに張っているとなると今回の補給は難しくなりますね。
まだバルツィエのものでなければ襲撃も容易に済むというのに…。
見たところ奴を数に入れても十人にも満たないようですが………。」
「強行突破………、
普通ならそうしたいとこだが………。」
「レイディーさん、
何か問題があるんですか?」
「…グライドはな。
バルツィエでいうと坊やが戦ったユーラスやフェデール達の同世代のバルツィエでな。
バルツィエ連中はある程度騎士団の任を勤めると王都から離れて別の地の領主に修まるんだ。
ニコライトのような別例もあるがグライドはそれなんだが奴がいるとなると…。」
「?
………強いんですか?」
「当たり前だろバルツィエだぜ?」
「それは…昨日のフェデールよりも…?」
「流石にそこまでは強くねぇよ。
奴とアレックスはバルツィエの歴史中断トツクラスだ。
なかなかあれ以上なんて出てこねぇ。
…アタシが厄介視してるのはバルツィエの魔術の火力のことだ。」
「魔術の火力?」
「昨日の王都では街中だったこともあってユーラス共も魔術の範囲を調整してたんだろ。
その分いりょく重点だったろうが…。
だが今日のこんな開けた場所では奴等にはそんな気遣いが必要ねぇ。
遠慮なく広範囲魔術を使ってくるぞ。
坊やは効かねぇだろうがアタシらは巻き込まれると即致命傷だ。
そこを考えると迂闊に全員でかかるにゃ厳しいところだ。」
「………だったら先ず、
俺一人で倒してきましょうか?」
「坊やが一人でか?
それが友好的な最善策だが………。」
「昨日のフェデール達より下だって言うんなら俺一人でいけますよ。」
「………じゃあ頼む。」
「はい。」スタスタ…
「カオス様お一人に向かわせて良いのでしょうか…?」
「…今のとこそれが一番の安全策だ。
これ以外の策では被害が出る。」
「ですがカオス様お一人で戦うというのも危険なのではないでしょうか…?」
「昨日の坊やの戦闘見ただろ?
万が一なんておこりゃしねぇよ。
バルツィエなんざ才能に傲って力圧しの戦闘しかできない連中だ。
…アタシら平民の努力も虚しく及ばねぇ力でな。
坊やはそんな才能を持ちながらも努力を積んできた猛者だ。
才能だけしか取り柄のないバルツィエのバカタレ共が才能と努力を持った坊やに勝てる道理はねぇ。」
「それは………正に無敵ですね。」
「そうだろうよ。
それに坊やはこういうことで役に立てることが嬉しいようだぜ?」
「嬉しい…のですか?」
「…カオスはこれまで誰かの自らに絶望して生きてきました。
そんな人生を送ってきて自分が誰かのために役に立てることが何よりも生き甲斐を感じられるのでしょう。
カオスは自分のことを誰かを殺すことしか能力がないと嘆いていましたから。」
「カオス様が…?」
「坊やの生い立ちは特殊でな。
本当だったら坊やもバルツィエと同じように育っていたかもしれねぇんだぜ?
昨日のフェデールの誘いなんかそれこそ乗っていたとも思う。」
「!?」
「カッ、カオスはあんなの断るに決まってるでしょ!」
「…そうだな。
坊やはそういう奴だ。
よくあんなふうに育ったと感心するぜ。
アルバートの見立てが正しかったんだろうさ。」
「アルバさんの…?
アルバさんは普通にカオスを育てただけだと思うけど…。」
「その普通の環境が大事だったんだろう。
今にして思えばアルバートが何をしたくて王都を離れたのか解る気がするぜ。
アルバートは…、
地位や権力に縛られないバルツィエを作りたかったんだろうな。
本家で生まれたらどう教育しても腐って育っちまう。
あそこ自体が腐臭にまみれた汚れきった家だからな。」
「俺も…、
十年前王都に来たときはあれが本当にアルバさんの家だったのか疑うほどに酷いものだった…。
あのような優しい方が何故あそこで腐らずに育ったのか…。」
「アルバートは騎士になる前から頭飛び抜けた変わり者奴だった。
それが基でバルツィエの風習にも馴染めなかったのかもな。
だから変えたかった。
そういう働きをずっと心掛けてた。
…ヴェノムが現れるまではバルツィエもアルバートのやり方に染まりつつあったんだ。
それがヴェノムが現れてワクチンが開発されてからは元の風習に戻っちまって………。」
「アルバート様はずっと孤独だったのかもしれませんね…。
やり方の違うバルツィエと民衆の期待との圧力で板挟みだったんじゃないでしょうか…?」
「…アルバートにとって厄介だったのはバルツィエよりもアタシらだったかもしんねぇなぁ…。」
「ふふっ、
そうだったのかもね。
私やアローネさんには関係ない話だけど。」
「お前らは全然アルバートの過去には関係してねぇもんな。」
「まぁね♪」
「私もレイディーから聞かされるまでは普通のお祖父様だと思ってましたから。」
「フンッ、
無関係を装える身分が羨ましいぜ。
こちとらアルバートに重圧をかけてた筆頭なんだからよ!
…………アルバート。
お前が王都を去ったのはよぉ。
あいつみたいなのをバルツィエに欲しかったからなのか………?」
ドゴォッ!!!
ナッ!
ナンナンダオマエハ!?
ウワァッ!?
「終わりましたよ!!」
「………あんな平民とも仲良くできるようなバルツィエを………。
よし、坊やに続けお前らぁ!!!」
「「「「「「「「「「おぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!」」」」」」」」」」
「(この先もこんなふうに上手く進んでいけたらいいのにな…。)」