テイルズオブフィナーレ ~未来を形作るRPG~   作:モニカルビリッジ

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 騎士を目指す少年カオスは村を襲うモンスターヴェノムに立ち向かう。

 森の奥で巨大なヴェノムを分裂させることに成功したが祖父アルバが感染してしまい命を落としてしまう。

 その後カオスは…。


開幕

かつて、

 

世界は高度な文明を築いた1つの国があった

 

しかし、文明の発展はマナの貧窮を招き

 

人々が力でマナを奪い合う戦乱の時代が始まる

 

争いを望まぬもの達は安寧を求め天を目指した

 

 

 

 

そして神の怒りに触れてしまう

 

怒れる神は雨を降らせ大地を引き裂き国を滅ぼした

 

人々が神の存在を忘れるとき

 

神は災厄をもってその姿を再び現すだろう

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 神の怒り、か

 

 世界を壊したのは人でもなく国でもなく自然ということなのだろう。

 

 人にはそれぞれ踏み出していい世界の限界がある。

 

 それを勘違いして自らの領域を広げすぎた結果足元を掬われた。

 

 このお話は、人が何かを始めるとき自らを見つめ直せ。とどかぬものはとどかない、と伝えたいのかもしれない。

 

 確かに人の欲は果てしない。

 

 手を伸ばした指先までが世界だというのにその遠くが欲しくなる。

 

 限界を越えて得られるものなどまやかしに過ぎないのに。

 

 世界は広がらない、始めから長さは決まっている。

 

 限界を越えた気になるのはそれまでが本当の限界にすら達してなかっただけ。

 

 人が己よりも外の世界にいるのならその世界に己も行きたいと憧れ、願い、手を伸ばす。

 

 そうして掴めるのは指先から内側の世界だけ。

 

 指先から先の異世界はずっと異世界のまま。

 

 人はそれを知って現実を目の当たりにする。

 

 

 

 随分と子供に厳しい話だな。

 

 教えたところで納得する子供などいるのだろうか。

 

 少なくとも自分は納得しない子供だったろう。

 

 

 

 今では自らの世界を悟ってしまったが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カオス」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……」

 

 どうやら自分は眠っていたみたいだ。

 

 子供の頃に読んだことのある懐かしい本を見付けたので手にとったとこまでは覚えている。

 

 あの頃は何のことだかサッパリだったが今になって成熟してきた価値観で読むと新たな側面が見えてくる。

 

 この本が伝えたいことは理解した。

 

 要するに、あまり調子に乗ると思わぬしっぺ返しにあうぞ。分不相応を弁えろ!身の程を知れ、ということだと思う。

 

 

 

 言葉にしてみるとなるほどその通りだと自分の中で納得する。

 

 子供に読ませるにしては難しいような気がしたがこの本は今こうして読むことによってその内容が現れてくるのだ。

 

 一度目は通過儀礼、二度目に理解する。

 

 そんな伝え方があるんだな、勉強になる。

 

 この本を手に取ったとき妙に関心を惹くと思ったらそういうことか。

 

 改めて読んでしっくり来る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 まさに僕のことだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「カオス」

 

 

 

 そういえば誰かの声がして起きたんだった。

 

 ここ最近誰とも会ってないから気のせいだと思って放置していた。

 

 部屋のベッドから起きるとそこには

 

「おはようカオス。」

 

 幼馴染みのミシガンが立っていた。

 

「おはようミシガン、久し振りだね。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「まったく、探してたんだよ?前に住んでた家にいないからどこに行ったんだぁーって。そしたら違う人の家で寝てるし。」

 

「ゴメンゴメン、なんかあっちも良かったんだけどこっちの人の家も気になってね。」

 

「そうやってフラフラしてると癖になるよ?早く直さないとそのうち入っちゃいけない家まで入っていきそうで心配だよ。」

 

 相変わらずミシガンは表情豊かで可愛いな。

 

 そのうえ世話焼きなとこもあるようで僕の様子もこまめに聞いてくるし。

 

 

 

「そういえばミシガンは最近どう?」

 

「最近?ん~と子供たちの教育任されちゃっていろいろと苦労してるってとこかな~。」

 

「みんなの先生は大変だねぇ。」

 

「そう思うんならお手伝いに来てほしいんだけど。」

 

「僕は…僕の仕事があるから。」

 

「…そう。」

 

「アイツとは連絡とってるの?」

 

「うぅん。あれから何の連絡もないよ。」

 

「アイツのことだから元気ではいるんだろうな。」

 

「あの人のことなんて知らないよ。私達を置いていっちゃったんだし。」

 

「…」

 

「今はカオスがいるから平気。淋しくないよ」

 

「……そろそろ仕事に行くよ。」

 

「また…行くの?一人で…。」

 

「そうだよ。ミシガンは先に帰ってて。」

 

「……私も一緒に行くよ!私ならファーストエイドが使えるから…。」

 

「…ゴメン連れていけない。」

 

「…どうして。」

 

「ミシガン達を守るのが僕の仕事だから。」

 

「そうやって一人で抱え込まなくてもいいのに!」

 

「僕の責任だから…。」

 

「けど!カオス一人じゃ何かあったとき…。」

 

「大丈夫だよ。昔ほど弱くはないし身の程を弁えてるつもりだよ。」

 

「カオス…。」

 

「それにまた昔のようにヴェノムが現れたら戦えるのは僕だけだからミシガン達を捲き込みたくないんだ。」

 

「…」

 

「村の皆がヴェノムにならないように僕がしっかり森を見張っておかないとね。」

 

「……いつまでこんなことを続けるの?」

 

「…僕の責「いつまでこんなところでこんなことを続けるの!?」」

 

 

 

「もう十年だよ!?あれから十年!あの事件からみんなおかしいよ!?何でカオスが責任をとらないといけないの!?何でカオスは一人で戦い続けてるの!?何で

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カオスはこんな誰もいない捨てられた村で一人で住まなくちゃいけないの!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ここには僕が自分で来たんだ。」

 

「嘘!!知ってるもん!あの事件の後みんながカオスを責め立てて追い出したんでしょ!?」

 

「そんなことは」

 

「あったんでしょ!!そんなことが!!むしろカオスはみんなを救おうとしてたのに!!」

 

「僕はただ走り回ってただけだよ。」

 

「そんなことない!!現に今ああしてミストの村があるのはカオスがヴェノムを追い払ったからだよ!?」

 

「元々を辿れば僕のせいなんだ。それを村のみんな知っているから僕は今ここにいる。ここに住んでるのを黙認してもらってるだけでも満足だよ。」

 

「それだって!物心つく前の子供のときの話でしょ!?そんなのカオスを見ていなかったカオスの「ミシガン!」!!」

 

「父さんと母さんの悪口は…やめてくれ。父さんと母さんを殺したのも僕なんだから二人に責任はないよ。」

 

「…ゴメン。」

 

「いいんだ。」

 

「……本当にいつまでこんな生活を続けるの?」

 

「…」

 

「事件からミストの村が王都に見つかって最近までよく騎士が出入りするようになったの…。」

 

「…」

 

「王都ではヴェノムに関する研究が進んでてヴェノムを街や村に寄せ付けなくする封魔石って言うのが開発されててそれがあるところはヴェノムは近づけないんだって…。」

 

「…」

 

「今度それがミストにも置かれることになってヴェノムによる被害は心配なくなるの。王国の統治下には戻っちゃうんだけど…。」

 

「…」

 

「……だからカオスも村に。」

 

「…ゴメン、出来ないよ。」

 

「…理由を聞いてもいい?」

 

「………子供が犯したとはいえ罪は罪だ。罪は償わなければならない。」

 

「けどヴェノムを心配する必要性はもう!」

 

「それでもだよ。それでも僕はここで村を守らなくちゃならない。もし王都の技術の抜け穴でもあったら大変だから。それに罪は誰かに洗い流されるものじゃない。例え安全が保証されてても僕はここにいるべきなんだ。」

 

「…その罪は一体いつになったら綺麗に洗い落とせるの?」

 

「僕が死ぬまでかな。村のみんなが成長して、ミシガンが他の誰かと幸せになってずっと平和に過ごせるときになるまで…。」

 

「…ッ!!」

 

 

 

パチンッッ!!

 

 

 

「…」

 

「アンタ、自分に酔いしれるのもいい加減にしなさいよ!!そんな自分が与えたみたいな平和を生きてくれなんて言われても大きなお世話よ!!

 

 カッコつけてるつもり!?そんなにカッコつけたいならこんなところで一人で黄昏てないで堂々とみんなにアピールすればいいじゃない!!

 

 アンタ昔騎士になりたいって言ってたよね!!だったら今度ミストが統治下になったら騎士団の募集に応募して騎士になんなさいよ!!

 

 そんなに罪が気になるんなら私がアンタを裁いてやるわ!!アンタは騎士になって居たくもないミストでこれからずっと村のみんなに監視されて凶暴な森のモンスターと戦って生きるの!!」

 

「…」

 

「今度また来るからそのときは全身縛り上げてでも連れていくわ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…フフッ。」

 

 ミシガン、君のそういう悪い女になりきれないところが好きだよ。

 

 また泣かせちゃったな。

 

 いつも泣きそうになると感情を爆発させてから涙が目から落ちる前に帰るとこは可愛いんだけど。

 

 昔の舌足らずな人見知りしてた頃がひどく懐かしい。

 

 今では村長のようにハッキリとものを言う。

 

 

 

「年下の女の子に元気付けられてる場合じゃないな。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ミストの森

 

 

 

「ガルルッ!!」

 

「ウウウッ!!」

 

「バウッ!!バウッ!!」

 

 森に入ってしばらくしたらウルフの群れに囲まれてしまう。

 

 全部だ六匹か。

 

「ガアッ!!」

 

 一匹が喉元目掛けて飛んでくる。

 

 それを後ろに仰け反りながら地に手をつき足でウルフの腹を蹴り上げる。

 

「ボフッ!?」

 

 飛んできたウルフが思わぬ反撃に奇妙な声をあげて飛んでいく。

 

 蹴り上げた足はそのまま正面から真後ろまで三六〇度円を描く。

 

「ガハアッ!」

 

「ブゥゥゥッ!」

 

 必然的に背後を取り囲んでたウルフ二匹と距離が縮まり二匹が襲いかかる。

 

「…」

 

 片方を避けもう片方の頭を掴んで思いっきり顎を地面に叩きつける。

 

「ギャンッ!?」

 

 悲鳴をあげて動かなくなる二匹目。

 

「バウッバウッ!!」

 

「グアウッ!!」

 

「ハフーッ!!」

 

「ォォォォッ!!」

 

 今度は残りの四匹が一斉に飛びかかる。

 

 それを

 

 

 

ズブンッ!!

 

 

 

 

 持っていた木刀で横凪ぎ一閃。

 

 木刀とは思えぬ切れ味でウルフ達が半分になっていく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ブルルルッ!!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 どうやらボスのご登場だ。

 

 毛並みがさっきの六匹とは少し違う。

 

 こいつは確かブラックウルフ。

 

「ブルァッ!!」

 

「!!」

 

バフンッ!!

 

 突如ブラックウルフがライトニングを放つ。

 

 それを僕はまともに食らった。

 

 そうそうモンスターが魔術を使ってくることはないため油断した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 だが

 

 僕は無傷だ。

 

「バルルッ!!」

 

 こちらにダメージがないと分かるやブラックウルフが突っ込んでくる。

 

 やはりモンスター、力は脅威だが動きが読みやすい。

 

 ブラックウルフの飛び掛かりを難なく避けて真横から

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「魔神剣ッ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ギャヒアッ!?」

 

 ブラックウルフが地を這う衝撃波に切り裂かれて息絶える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

 

 戦闘が終わってから先程倒したウルフ達を見ると体が溶けていった。

 

「どうやらヴェノムだったみたいだな。」

 

 この辺りにまたヴェノムが現れたようだ。

 

「村長に書き置きしておくか。」

 

 村長はミシガンと一緒で僕のことを理解してくれる人だ。

 

 村のみんなには隠れて村長と書き置きの手紙を村の入り口付近の場所に残してやり取りをしている。

 

 これを定期的に行っているため村の内省的なことは把握している。

 

「よし、今日はヴェノム狩りだな。」

 

 一晩中退屈はしない一日にはなりそうだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕は昔、後天的にマナが薄れ魔術を使えなくなる病気にかかってた。

 

 

 

 一度でも魔術を使えば体内のマナが枯渇し死んでしまう奇病。

 

 

 

 寿命は百年前後、人種エルフには短い時間である。

 

 

 

 先天的か後天的かの違いがあったが症状は同じであったためこの先天性魔力欠損症に掛かってたんだと思っていた。

 

 

 

 そう思い込んでた時期があった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕は大罪人だ。

 

 僕のせいで大勢の人が犠牲になる事件が起こった。

 

 だから僕は例え失った命が取り返せなくても失う前と同じ環境を作り続けなければならない。

 

 僕がその環境を壊したから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 僕が村の護り岩、殺生石の力を奪ったから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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